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『ラブライブ!サンシャイン!!』メロディとロケーションを利用した意味の補完

『ラブライブ!サンシャイン!!』二話「雨の音」は次回予告の映像やサブタイトルとは裏腹に、仲間達の魅力を再確認して明日へと繋げる美しい作品だった。特に音響演出が素晴らしく、二度三度と見直して音を確かめることで気づく要素が多い一話だったように思う。

二話はまずアバンタイトルからして素晴らしかった。「0を1に、1を10にしても廃校を阻止することは出来なかった」という現実に打ちのめされたAqoursが「それでも諦められない」と意思を固めて再び立ち上がるまでを描いた前話を踏まえて、現理事長の小原鞠莉の交渉から始まり、彼女達が起こす「奇跡」を具体的な形として提示する。その奇跡を「0から1に」や「1から10に」と言った作中で何度も何度も繰り返されてきたセリフに合わせて「10から100に」と表現するのは分かりやすいし、何よりステップアップした彼女達の新たな目標であることを改めて確認させてくれる。
オープニングが終わった後は短期的な目標――つまり今すぐ取り組まなければならない事の再確認。「ラブライブ!予備予選のための新曲制作」と「入学説明会用の新曲制作」、「浦の星女学院のスクールアイドル」にとって大事な事だという事を見せた後、二つの目標の並行処理は作業量が多く、中心核である高海千歌・桜内梨子・渡辺曜への負担が大きい事を見せる。ここで二つの作業を切り分けて、今回の話が「中心核となる二年生以外にスポットを当てた話である」ということを理解させている点はさり気ないが上手い。元々二年生組の制作過程は一期でも散々見せているわけで、二年生以外にスポットを当てさせる方法としてはかなり綺麗に落とし込んでいるように思う。
「作業量分担のため、これまで制作の中心にいた二年生抜きで楽曲を作ることになった」とはいえ、Aqoursの一年生組と三年生組はかなり真逆の属性を持った存在だ。一年生組は文学少女の国木田花丸を始めインドア系を趣味に持っているし、三年生組は松浦果南を始めとして体を動かすことが好きなアウトドア系である。黒澤ダイヤと黒澤ルビィは仲の良い姉妹である事から両陣営に一定の理解を示すものの、趣味嗜好の話であるため「譲る」ということはなかなか難しい。「二年生組の不在」という状況がAqoursにとって予想以上に大きなものである事を感じさせると共に、二年生組がいてこそ今まで一つのユニットとして動いていた事を見せつけるような展開だが、その趣味嗜好の違いを「音」に例え、「自分と違う音を合わせると音楽となる」としたのは良い着地のさせ方だった。
寺で雨宿りすることになった六人は雨漏りを様々な形の器で受けることで、世の中には様々な器があって同じものを受けたとしても全く違う音を響かせる事に気づく。音の違いがあるから違う音同士を重ねることで深みが増し、違う音を繋げることでメロディになる。そのことに気づくことで新たな楽曲が生まれる、という展開そのものも素晴らしいのだが、天井から垂れた水滴が床に置かれた器に落ちた時に一音響き、それが連続することでメロディが紡がれるように嵌め込まれた音が素晴らしい。加藤達也氏の制作した劇伴そのものがそういう作りであるのか、それとも音響チームがギリギリまでタイミングを調整して行ったこだわりの仕事なのかは分からないが、「数多ある音が重なり、連なることでメロディになる」という着地点を耳でも感じさせてくれるのは素晴らしい演出ではないかと思う。さすがは『ラブライブ!』である。今回の裏側で二年生組も新曲を無事に完成させたようであるし、二曲そろって披露される日を楽しみに待ちたい。

その他によかった点としては「静岡県沼津市内浦」と言う場所のロケーションならではの演出を上げたい。
元々『ラブライブ!サンシャイン!!』は静岡県沼津市内浦と言う場所をしっかりと研究して制作された作品であるが、今回は特に「内浦でしか見られないもの」を盛り込み、セリフの補強として上手く使っていた。
例えば屋上での練習中にラブライブ!の厳しさにぼやく千歌に対して、ダイヤが「頂からの景色を見ることが出来る景色が、出来るのですわ」と返すシーンがそうだ。カメラをぐっと引いてロングショットで左へとゆっくりとPAN(カメラを振る)ことで遠くに富士山が見える。富士山といえば「日本一の山」なので、ダイヤが例えた「頂き」が「日本一の場所」という意味合いであることが伝わってくる。これは富士山が見える場所でなければ出来ない上手い補完の仕方だ。そういう意味では『ラブライブ!サンシャイン!!』は自分達の扱っているものを上手く作品の中に組み込んでいると言えるのではないだろうか。

『ラブライブ!』と言うシリーズにおける三話は重要な意味を持つが、その意味を形にするためには一話と二話までで描くべきものを精査しなければならない。『ラブライブ!サンシャイン!!』は2nd seasonにおいてもその点においてはきちんと精査できているように思うし、描ききれている。だからこそ三話が楽しみで仕方がないのだが、はたしてどうなることか。Aqoursがラブライブ!に進めることを期待したい。






『KING OF PRISM』全「EZ DO DANCE」レビュー

『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』のサウンドトラックが発売された。このサウンドトラックには『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』のために使用/未使用問わず制作された全ての楽曲が収録されており、ファンにとっては号泣必死の「pride -KING OF PRISM ver.-」や「FREEDOM -THUNDER STORM ver.-」、如月ルヰ(及び一条シン)の核心に迫るような歌詞となっている「ルナティックDEStiNy」、シュワルツローズが今絶賛売り出し中のThe シャッフルの「恋のロイヤルストレートフラッシュ」辺りは『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』という作品を初めて見た時の感動を蘇らせ、作品に奥行きを与えてくれる。特に高田馬場ジョージの「LOVE MIX」は『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』好きにとっては最高としか言いようがないのだが、今回取り上げたいのは「LOVE MIX」の話ではない。今回取り上げたいのは「EZ DO DANCE」だ。
今から14年前にtrfの楽曲として発表されたこの楽曲は様々な人々にカバーされて歌い継がれており、『プリティーリズム・レインボーライブ』でも第二クールオープニングテーマとして使用されているが、『KING OF PRISM』を愛する者達の中での印象はおそらく「ストリート系プリズムスタァ達が激突する際に使用される戦闘用楽曲」であり、「グッズを買ってるだけなのに、気が付いたら増えている楽曲」であろう。そう、プリズムの煌めきを浴びるだけで「EZ DO DANCE」は増えるのだ。単細胞生物か。
そんなわけで以下は『KING OF PRISM』に関連する「EZ DO DANCE」のレビューです。今後自分が高架下等で戦う時にどの「EZ DO DANCE」を使うべきか検討するために使ってください。

■EZ DO DANCE -DJ.COO ver.-

おそらく世界で最初に登場した男子プリズムスタァによる「EZ DO DANCE」。収録されているのは『プリティーリズム・レインボーライブ』の「プリズムミュージックコレクション」で、作中では「ストリートのカリスマ」と呼ばれた黒川冷が如何に凄い存在なのかを語るシーンで使用されている。楽曲としてはPrizmmy☆の歌ったオープニングテーマのキーを下げたものなので、特筆すべき点はないのだが、DJ.COOを演じる森久保祥太郎がノリノリで叫んでいる事や、気持ちのよい伸ばし方をしている点など聴いていて部分は多いし、何より「大和アレクサンダーがなぜ「EZ DO DANCE」を自分のマイソングとして歌っているのか」というと、おそらく黒川冷がマイソングにしていたからだと思うので、地味にこの楽曲の作品における立ち位置は重要だと思うのです。
若干値が張るものに収録されているので手が出しづらいところもあると思いますが、一度聞いてみてください。

■EZ DO DANCE -K.O.P. REMIX-

『KING OF PRISM』を見に来た観客達の度肝を抜いた仁科カヅキVS大和アレクサンダーのダンスバトルで使用された方の「EZ DO DANCE」。とにかく素晴らしいのは原曲の良さを活かしつつ、「ストリート系のダンスバトル」という命をも落としかねない激闘を彩る戦闘用BGMとしても完成度が高いこと。冒頭のカウントダウンは戦いの始まりを印象づけてくれるし、互いの必殺技の応酬になるプリズムスタァ同士の戦いを表現するかのように交互に歌っていくパート分けは男同士の戦いのようだ。ラストサビ直前のクラップ音は高揚感を掻き立てる。編曲家のmicihitomoさんの最高の仕事だ。あまりにも最高すぎる。
これをバーニングスプラッシュ→バーニングソードブレイカー→鋼鉄の6Pack-Core Wonder!の派手な技を畳み掛けるカヅキ対アレクの戦いで見せつつ、合間にコウジのプリズムジャンプを同時中継的に差し込んでくるのだからたまったものではない。というかこの楽曲を戦闘用BGMにしようとする発想が凄いのに、ちゃんとそうなってるのがおかしすぎる。
あ、この楽曲は『KING OF PRISM』のサウンドトラックに収録です。買ってください。

■EZ DO DANCE -K.O.P. REMIX-(大和アレクサンダーソロ)

そしてこちらは『KING OF PRISM』のキャラクターソングアルバム「「KING OF PRISM Music Ready Sparking!」のアニミュゥモ通販特典として配布された大和アレクサンダーソロの方です。楽曲そのものは前述した仁科カヅキVS大和アレクサンダー版と変わりませんが、何と言っても大和アレクサンダー役の武内駿輔君の美声が素晴らしい。
本作における武内君は褐色マッチョで、「プリズムショーの破壊者」という異名を持つ破壊的なプリズムショーを行う少年を演じているのですが、腹の底から響かせるような「Go To Hell!!」の声からして最高なのに、高音域になった時のファルセットがあまりにも美しく、その声の抜け具合は「え、これを無料でもらってもいいのか?」と動揺するレベルで気持ちいい。荒々しい中にある僅かな色気……。これが当時十代の声帯から出ているとは……。

■EZ DO DANCE -THUNDER STORM ver.-

仁科カヅキと決着を着けるためにプリズムジャンプで会場を破壊し、観客達を人質に取った大和アレクサンダーと、そんなアレクサンダーを止めるためにカヅキの代わりに乱入した香賀美タイガの二人による「EZ DO DANCE」です。前半は大和アレクサンダーのプリズムショーで使用されているのでアレクソロ版とさほど違いはないんですが、二番からはタイガが乱入してラッシュを仕掛け、それをアレクサンダーが受ける!という本編映像をそのまま歌にしたかのような熱い展開に。声が重なるパートは互いの技をぶつけあい、拮抗状態のような印象を受けるのが良いですね。ストリート系はこうじゃないと。
ラストサビ直前のラップパートは互いの力が高め合っているかのような熱があるのもよし。「VS」と言う表記もしっくりくるので自分は大好きです。

■EZ DO DANCE -THUNDER STORM ver.-(香賀美タイガソロ)

当然のように香賀美タイガソロ版もあるのが『KING OF PRISM』の優しさ。ただし『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』サウンドトラックのアニミュゥモ購入特典なので、後発が買うのは厳しいという辛さ。優しいのか辛いのかはっきりして!
楽曲としては「小手先のテクニックを駆使するのではなく、とにかく我武者羅に!前のめりに!」という畠中祐の演技プランがタイガらしくていいなぁ、と思います。タイガの良さというのは根はまっすぐで純粋で、不器用だけど誰よりも全力でぶつかっていくところだと思うので、それが「EZ DO DANCE」という楽曲の中でしっかりと表現されているのは嬉しい限り。「レジェンドワールド」とはまた別の方向で「タイガ」というスタァが見えてくる良い「EZ DO DANCE」です。



「『KING OF PRISM』といえば「EZ DO DANCE」!」なところはあると思うのですが、わずか一年半ほどで「EZ DO DANCE」だけがここまで増えるとは思ってなかったです。自分はどの「EZ DO DANCE」が好きか。検討してみてください。
ところで……この調子で「男子プリズムスタァがEZ DO DANCEだけを歌うアルバム」とか出してくれないですかね、エイベックス。アレンジ効かせれば面白いと思うんですけど。

おまけ。

■CRAZY GONNA CRAZY

見ていない人には信じてもらえないと思うけど、この楽曲は「男二人がプリズムショーでいちゃつく」「追い詰められて慰められにわざわざハリウッドまでやって来た親友をプリズムショーでボコボコにして追い返す」を交互に繰り返すせいで色々混乱します。あと最後にいちゃついてた二人も短剣で串刺しです(嘘はいってない)。

『ラブライブ!サンシャイン!! 2nd season』第一話に見るAqoursの覚悟について

浦の星女学院に通う九人の少女達と共に『ラブライブ!サンシャイン!!』が発表されてから早二年。始まった当初こそ頼りなかった九人の少女達も、「Aqours」と言う名前を得て全国三都市を回る全国ツアーライブを大成功させるほどの存在へと大きな成長を遂げた。そしてそんな少女達の新しく、そして輝かしいネクストステージが幕を開ける――。
『ラブライブ!サンシャイン!! 2nd season』はAqoursの新たな飛躍を描く物語で、『1st season』から繋がる形で、Aqoursの九人のスクールアイドルとしての青春の日々が描かれる。『1st season』以上の全力で自分達の「今」を変えようとする少女達の想いはとても美しい。

さて『2ns season』の話に入る前にまずは『1st season』の物語についておさらいしておこう。
舞台となるのは静岡県沼津市内浦にある浦の星女学院。この学校に通う高海千歌はたまたま訪れた東京秋葉原でスクールアイドル「μ’s」の存在を知る。自分と同じようなごくごく普通の少女達でありながら、自分とは違ってきらきらと輝いている存在がいる事に衝撃を受けた高海千歌は自身も輝くために友人の渡辺曜と桜内梨子と共にスクールアイドル「Aqours」を結成する。途中、黒澤ルビィと国木田花丸、津島善子がAqoursに加わり、廃校阻止という具体的な目標を得て東京のスクールアイドルのイベントに呼ばれるまでに注目を集めるようになったAqoursだが、「観客達の支持を全く集めることが出来ない」という自信とは真逆の結果に打ちのめされてしまう。落ち込む高海千歌であったが、「0を100にするのは無理でも1にすることは出来る」という思いを胸に奮起し、仲間達と共に0を1にするためにスクールアイドル活動に打ち込む。新たに過去に決着をつけた黒澤ダイヤ、小原鞠莉、松浦果南も加わり総勢九名のユニットとなったAqours。桜内梨子も自身のピアノ活動に一つの決着をつけ、「憧れる」のではなく自分達の輝きを手に入れる事を目指すようになった九人はラブライブ!地方予選に進出。そのステージで観客達に訴えかける。「浦の星女学院」と言う場所が失われつつあることを。そして浦の星女学院だから生まれた自分達の輝きを。

『2nd season』は結局ラブライブ!本戦へと足を進めることこそ出来なかったものの、入学希望者は増加した事が語られる事から始まる。ラブライブ!の結果は「そこは重要ではない」と軽く台詞で流してしまい、0が1にも10にもなった事は浦の星女学院の全校生徒で勝ち得たものとして見せていくその割り切り具合と、練習前の準備運動の「今までできなかった事ができるようになっている」という描写で成長を感じさせる辺りには「流石」と唸らされる。「終わり」を予感させながらも、決意を感じさせるOPもよく、『2nd season』の一話としては申し分ない作りであるが、個人的に素晴らしいと感じたのはAqoursに「なぜスクールアイドルをするのか」と問うた点だ。
Aqoursを始めとする浦の星女学院全校生徒の頑張りで、入学説明会で話を聞きたいと思う少女達の数は確かに増えた。これはAqoursがなければ出来なかったことだし、彼女達とともに地方予選で歌った全校生徒達が勝ち得たものの一つだ。「0から1に」を胸に頑張ってきたからこそ、0が1になり、1が10になって確かな結果をもたらしたことを喜ばしく思うが、しかし大人の事情はそんな努力の結果とそこに込められた思いを、理不尽にも「廃校決定」という最悪の形で奪い去っていく。
0を1にしても、1を10にしてもダメだった。どれだけ言葉を尽くしても、大人達は「廃校」という結果だけを突きつける。
そんな「理不尽な結果」を前にして、「それでも彼女達は輝けるのか」というのがこの第一話のテーマとなっているのだが、その答えとして「そんなに簡単に諦められるわけがない。私達は最後の最後まで諦めない」を置いたのは素晴らしいことではないだろうか。
そもそもAqoursは何度となく「諦める」という機会はあったにも関わらず、諦めなかったから0を1にも10にもすることが出来た存在である。東京のスクールアイドルイベントで自分達の努力の日々と自信を真正面から打ち砕かれても、スクールアイドルとして輝く事を諦めきれなかった。何度となく諦める機会があったにも関わらず諦めなかった事が、0を1にするという偉業に繋がったのだ。
そこを踏まえて「諦める?諦めない?」という問いかけに「そう簡単に諦められるわけがない。だから最後まで諦めない。奇跡を起こしてみせる」としたのはあまりにもAqoursらしい。この不屈の精神こそがAqoursなのだ。

二話では『サンシャイン!!』という作品タイトルには似つかわしくない「雨」という天気が採用されている。
またしても苦難が降りかかるのか、それとも雨上がりの美しさのための雨なのだろうか。
何にしても再び幕を開けた『ラブライブ!サンシャイン!!』。3rd ライブ共々行く末に期待したい。

Appendix

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■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
44829979_m.jpg
とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

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