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おお、見よ! WEB小説『ニンジャスレイヤー』が面白いではないか!

ドーモ、『魔法科高校の劣等生』四巻までようやく読み終えました。


魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)
(2011/07/08)
佐島 勤

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魔法科高校の劣等生〈4〉九校戦編〈下〉 (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈4〉九校戦編〈下〉 (電撃文庫)
(2011/12/10)
佐島 勤

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もっとも俺はWEB小説版で既に読んでいるので今回で読むのは二度目になるんですが、電撃文庫のフォーマットになると読みやすいですなー。個人的にはかなり期待値が高いだけに、読み始めるきっかけとなった第三章がどういう体裁になるのか期待したいところです。

いやー最近web小説初の作品が多いですね。
『魔法科高校の劣等生』もそうなんですが、『まおゆう』『ログホライゾン』『リセット』なんかもそうですし、『和風ウィザードリィ純情派』はGA文庫から『迷宮街クロニクル』として商業化されておりますし、『アクセルワールド』『ソードアートオンライン』の二作はアニメ化が決定しており、『アクセルワールド』は来期から放送開始ですよ。
でも俺が一番面白いと思っているWEB小説はニンジャスレイヤーだったり。

「サイバーパンクニンジャ活劇小説」とジャンル付けがされた本作は「サイバーパンク」とジャンル名に含まれているとおり、電子ネットワークが全世界を覆い尽くし、サイバネティック技術が普遍的なものとなった未来が舞台。
妻子をニンジャによって殺され、自身もまた死にゆく運命にあったケンジ=サンはその身に超人的身体能力を持つ平安時代のニンジャの魂、ニンジャソウルをその身に宿すことで一命を取り留める。
家族を殺したニンジャに復讐すべく、ケンジはその身に宿るニンジャの力を使い、ニンジャを狩る者、ニンジャスレイヤーを名乗り、長く孤独な戦いに身を投じていく――――というのがニンジャスレイヤーの大まかなあらすじ。

この『ニンジャスレイヤー』の面白いところはその独特の言語センスにあると思います。
独特の言語センスというと古橋秀之の『ブラックロッド』シリーズが思い浮かびますが、ニンジャスレイヤーの言語センスは一味も二味も違う。違うと言うか言葉遣いと勘違い日本観っぷりが狂気の沙汰
時系列では一番最初にあたる『キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー』を一例にあげてみると、

遠く離れた相手を一瞬に絶命させたタタミ針。これはいかなるトリックか。それすなわち、ニンジャ筋力のなせる業であった。彼は己の体に刺さった針を、さながらジャンピング・チヨヤ・サボテンのように、ニンジャ筋力によって押し出し、射出したのである。

「アイエーエエエ!アイ、ア、アイエエエエエエ!」「イイーッ!」ナムアミダブツ! これ以上のマッポー地獄がどこにあるというのか! 「アイエエエエ!」耐えかねたゲイシャ・スキンズ・パンクスの一人が脱兎のごとく出口へ駆け出す。「イヤーッ!イイーッ!」「アイエエエエエエ!」

このような感じ。二つほど書きだしてみましたが、これだけでも狂気としか言いようがない言語センスはよく分かるのではないかと思います。
しかしながら恐るべきはこのエピソードだけでなく、『ニンジャスレイヤー』は終始こんな感じなのです。
叫び声は「アイエエエエエエ!!!」だし、キャラの名前は「○○=サン」。「ドーモ」から始まる奇天烈怪奇な挨拶。
一言では『日本語崩壊』としかいいようがないんですが、恐るべきはこの繰りだされる数々の言語が明らかに下調べした上であえて間違えているんですよねぇ。
「ナムアミダブツ!」とかもそうなんですが、「言葉の使い方が本来の意味から余り間違っていない」。
正しい日本語ではこうなんだけど、あえて間違えることで作品に独特の雰囲気を与えているんですよ!
まあニンジャや武術周りの言語センスは明らかにアメリカ人の考えるそれであることは否定しませんが、その「あえてアメリカ人的なセンスにする」というのがたまらないんですね。
地の文が割としっかりしているだけに、この独特の言語が生み出す狂気的な魅力が面白いのです。

またニンジャ対ニンジャの戦いは「ニンジャソウルを宿したニンジャ達の超人忍法」と形を変えてはいるのですが、山田風太郎の忍法帳シリーズのノリを受け継いでいるというのも面白い点ではないでしょうか。
サイバーパンクのような変換の仕方をした作品としては月村了衛の『機忍兵零牙』がありますが、『ニンジャスレイヤー』のニンジャとは「ニンジャソウルを宿したもの」であるため、「サイバネ技術により身体能力を強化したニンジャ」などサイバーパンク+ニンジャだけでなく、ニンジャソウルを宿したアンドロイドなどもニンジャに含まれるため、その忍法もまた既存の忍者観にとどまらない「忍法とは思えない技を操る忍者」もまたニンジャとしてカウントされ、作品の幅を感じさせてくれます。

兎にも角にもこの『ニンジャスレイヤー』、短編連作の形をとっているため一編辺りが短くまとまっておりますし、過去の短編もTogetterなどでまとめられているため非常に読みやすくなっております。
一風変わった作品を求める方なら一読してみるのもいいのではないでしょうか。

しかしまさかコトダマ空間でまさか記事を書くことになるとは思ってなかったでござる!ウカツ!

ニンジャスレイヤー公式サイト

龍盤七朝から始める最近の武侠作品


龍盤七朝 DRAGONBUSTER 〈02〉 (電撃文庫)龍盤七朝 DRAGONBUSTER 〈02〉 (電撃文庫)
(2012/01/07)
秋山 瑞人

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秋山瑞人の『龍盤七朝 DRAGON BUSTER』の二巻が先日発売されました。
2008年に発売された一巻からかれこれ三年と七ヵ月。ようやく発売された第二巻!
一巻の後書きで秋山瑞人が「デストロイ!」連呼してたのでてっきり作品ごとデストロイされて出ないと思っていたのですが、二巻が出てくれたのは嬉しい限り。「後書きでデストロイ書かれた秋山瑞人作品は打ち切られる」というジンクスが見事なまでに破られたわけで、この調子で第三巻を出来れば今回のような数年後とかではなく、もっと早く出して欲しいところであります。
面白かったので! 無茶苦茶いいところで終わってるので!
一巻も合わせてどうぞ!


龍盤七朝 DRAGONBUSTER〈01〉 (電撃文庫)龍盤七朝 DRAGONBUSTER〈01〉 (電撃文庫)
(2008/05/10)
秋山 瑞人

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さて本作は龍盤七朝というシリーズの一作であることはご存知のとおり。
『ブラックロッド』や『超妹大戦シスマゲドン』で知られる古橋秀之とのシェアードワールド企画であり、この企画は「同一世界観のもとで二人の著者により全く異なる物語が紡がれる」という壮大な企画となっております。
つまり秋山瑞人が『DRAGON BUSTER』で物語を描いている一方で、古橋秀之は全く別の物語を進めているのです。
そんな古橋秀之の龍盤七朝がこの『ケルベロス』


龍盤七朝 ケルベロス 壱 (メディアワークス文庫 ふ 1-1)龍盤七朝 ケルベロス 壱 (メディアワークス文庫 ふ 1-1)
(2009/12/16)
古橋 秀之

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DRAGON BUSTERはお姫様と貧民の少年の物語であるのですが、ケルベロスは化物を喰らう一頭の獣、ケルベロス。このケルベロスの誕生と活躍を描く!というのがコンセプト。本作を読めばより一層『DRAGON BUSTER』を楽しむことが出来るわけですが、ちょっとばかし作風が違いすぎるわけです。
もちろん作者の違いというのもあるんですが、この二作は「中華ファンタジー」という触れ込みにも関わらず、あまりにも武侠小説すぎるんですよねぇ。

武侠小説とは己の信条に従い、武術を修めた任侠の活躍を描いた中国の娯楽小説群のこと。中国語圏内では有名なジャンルであり、武侠小説の金字塔ともいわれる有名作家、金庸などは中国語圏内であればどこでもあると言われるほどの絶大な支持を誇ります。
物語としては様々なので一概に傾向を述べることはできませんが、多くの場合は武術を修めた武人が登場し、外功や内功といった「気」を用いたアクション作品であることが多いです。
最近の武侠小説で言うと『覇道鋼鉄テッカイオー』辺りが思い浮かびますね。


覇道鋼鉄テッカイオー (集英社スーパーダッシュ文庫)覇道鋼鉄テッカイオー (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2011/11/25)
八針 来夏

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「心身を極限まで鍛え上げた武侠の少年が武侠にしか操れないロボットに乗り込んで戦う!」というスーパーロボット物のような感じですが、内功や外功、気の概念だけでなく、なにより「強い義侠心を持つ」主人公たちですから、舞台が多少SFチックとはいってもジャンル的には武侠小説だと言えましょう。
またSFチックな武侠だと『サイバーパンク武侠片 鬼哭街』がありますね。


鬼哭街鬼哭街
(2011/05/27)
Windows

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妹を殺したかつての戦友たちを殺すべく舞い戻ってきた侠客、コンタオローの復讐劇を描いた本作は「サイバーパンク世界観で武侠物」という一作。
武侠小説に出てくる者達はもれなく超人アクションを得意としているのですが、今作に出てくるのは主人公を除いてほぼ全て身体を機械に置き換えたサイボーグ達ばかり。機械化したことで音速を超えた生身では到底できない速度の攻撃と機械ゆえの強靭な肉体を持つ彼らに、内功しか使えないコンタオローが挑む!という構図がまた面白いわけです。
「肉体面での強さ」は武侠小説的には「外功」と言われるわけですが、サイボーグである敵とコンタオローでは明らかに敵の方が外交では上。しかしながら外功だけでは真の強さとは言えないのが武侠世界。内功の達人であるコンタオローと後天的とはいえ、外功に長けたサイボーグ軍団との死闘はまさしく武侠小説のそれでありましょう。
血反吐も吐くよ! 武侠だもの!

今まで上げたタイトルは変化球も変化球なんですが、正統派だと『武林クロスロード』がありますね。


武林クロスロード (ガガガ文庫)武林クロスロード (ガガガ文庫)
(2007/05/24)
深見 真

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邪智暴虐のルカン朝を打倒すべく最強の武術家に弟子入りした少女の活躍を描いた本作はまあ、正統派というか乱世を舞台にした作品が多い武侠小説の定義には一応当てはまりますし、王道の成長物語としての構成はなんというか、金庸の『侠客行』を彷彿とさせます。
まあ深見真先生といえばエロスとバイオレンスですから、本作もまたそのあたりは徹底的にバイオレンスかつエロティック。そもそもふたなりという単語がライトノベルで許されるのかどうか。
まあ中華思想的には陰陽の両方の特徴を持つということである意味最強の存在であることは否定しませんが、しかしながらこれは……。
まあ「王道の武侠小説」ってことならこれがまず思い浮かぶ俺もどうかと思うんですけど。




そんなわけで「最近の武侠物」と言う定義ならこの辺りが個人的に「武侠だなー」と思った作品であります。
どれも面白いよ! 最後だけは物凄く人を選ぶ気がしますが。

なお「エロゲとラノベばかりでガチな武侠物あげてないじゃないか?」と言う意見は受け付けません。
だって、だって……本場の武侠小説は……殆ど絶版じゃねーか!!!!
手に入らないものは俺も紹介できんわ!

おまけ。
「『覇道鋼鉄テッカイオー』が予想以上に武侠だった」という俺の感想に、「星方武侠よりは武侠している」と返した平和さんはさすがだった。
星方武侠アウトロースターなんてマイナー作品もいいところじゃないか……。

国のために王女は男として生きようとする――『デュランダル 不朽の刃』


デュランダル 1―不朽の刃 (電撃コミックス)デュランダル 1―不朽の刃 (電撃コミックス)
(2011/12/17)
前嶋 重機

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前嶋重機といえば、古橋秀之の<ケイオスヘキサ>三部作の最終巻、『ブライトライツ・ホーリーランド』やロバート・A・ハインラインの『人形つかい』『銀河市民』のイラストを手がけている事でも有名なイラストレーターなのですが、彼の作風を一言で言えば「ごちゃ混ぜだけれど調和的」というところではないでしょうか。
例えば古橋秀之との共著である『蟲忍』は前嶋重機が漫画作品として考案したものを、古橋秀之がライトノベルの形に再構成した作品なのですが、この作品は山風忍者の文脈に異形の神々をその体に宿す蟲忍の活躍を描いており、SF的ガジェットを山風的な使い方で戦うという意味で大変奇抜な作品でありましょう。
俺などは『ブライトライツ・ホーリーランド』で彼の奇抜だけど調和のとれたデザインとSF的ガジェットの発想に度肝を抜かれ、それ以降彼の作品は一通りチェックするようにしております。

そんな前島重機の最新作がこの『デュランダル 不朽の刃』
「地上の王国・グラントリアンの王女セリーヌは、仇敵サンドリヨン伯爵の攻撃から国を守るために髪を切り、男として、王として生きていく決意を固める」というところから始まる本作は作者曰く、「SFロボット嘘っこ百年戦争ファンタジー」。
そのジャンル名の通り「王女は王太子として生きていこうとする」という西洋ファンタジーではありそうな感じの大河ドラマの王道をいく導入ではありますが、月からやってきた機械兵器である機族・カトリーヌ・デュランダルの存在が本作をSFファンタジー風味な作品に。
SF的デザインとファンタジー的なデザイン、この2つは全く違うベクトルですし、SFファンタジーという作品は数あれど、ビジュアル的に成功している作品は数少ないのですが、異なるデザインの代物を見事なまでに束ねてのけ、そこにあるのが普通かのような空気感があり、さすがと唸るしか。
「月世界兵器は旧文明の遺産である」と作中でも明言されておりますが、カトリーヌのモノローグや前嶋重機氏のコメントを見るかぎりではそれだけではないらしく、「機族と人間のドラマ」と「王国を守ろうとするセリーヌのドラマ」。
この2つが「どこで融合するのか」ということと「どこまで上り詰めていくのか」というのは非常に気になるところなんですが、なにやら現状の敵対勢力であるサンドリヨン伯爵の動きも気になりますし、『∀ガンダム』よろしく「機族同士の戦いがあったりするのかなー」というのもまあ気になるわけで。
一巻しか出ていない現在のところじゃ伏線をばらまくだけばらまいた感は半端ないのですが、技術も迫力も世界観が創りだす空気感も頭一つ飛び抜けているので、この『デュランダル 不朽の刃』。
個人的には今後が気になる一冊と言った感じですが、二巻以降が楽しみです。

Appendix

プロフィール

  • Author:水音
  • バッドエンドが好きなニュースサイター。
    好きな作家は虚淵玄、奈須きのこ、鋼屋ジン。
    好きなブランドはニトロプラス。

    ニトロプラスと東出祐一郎を応援中であります。



    連絡先  :mizune.moon.sounds@gmail.com
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