4月8日より『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』が放送開始となる。
この作品は2016年に公開され「応援上映会」というものを定着させた『KING OF PRISM by PrettyRhythm』、その続編として2017年に公開された『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』の続編となる作品で、これまで映画館まで足を運んで作品を応援してきたファンにとっては待望の「完全新作TVシリーズ」。歌とダンスとフィギュアスケートとファッションを組み合わせたエンターテイメント「プリズムショー」に自分の全てを賭けて挑む少年達の物語が今度はTVで始まるのである。
既にTV放送に先駆けて劇場編集版が公開されているが、TVシリーズになってもその面白さは何ら変わりがなく、むしろTVシリーズだからこそ出来ることを盛り込んだ作品となっているため本放送でまた見れる時間が非常に楽しみなのだが、自分としては今回の『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』は「『KING OF PRISM』も「プリティーリズム」という作品を見たことがない」という人にこそ見て欲しいと思っている。
というのも、本作は初めて見るにはうってつけの作品になっているからだ。
「えっ前ニ作もあるのに、なぜ三作目が初めて見るにはうってつけなの?」と疑問に思う人もいるだろう。「前に劇場版アニメがニ作も展開されている」のだから予備知識が必要になると身構えてしまうのも無理からぬことだろう。
しかしこれは紛れもなく事実だ。『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』はこれまでで一番シリーズの世界に入りやすい作品だ。前ニ作を見ておいた方がより深く楽しめる事は間違いないだろうが、少なくとも六話まで見た人間として「前ニ作を見ていなくても『物語が全くわからない』ということはない」と断言できる。
なぜなら、本作で描かれているものは前ニ作で殆ど描かれていないものばかりだからだ。
そもそも前ニ作となる『KING OF PRISM by PrettyRhythm』『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』はなんだったかというと、神浜コウジ・速水ヒロ・仁科カヅキの「三人の物語を完結させた物語」だった。
スピンオフ元である『プリティーリズム・レインボーライブ』で、紆余曲折を経てチームを結成した三人の少年達が四年に一度開催されるプリズムキングを決めるための大会に挑む。『KING OF PRISM』の前ニ作とはそういう作品で、「一条シン」という主人公はいたものの、前ニ作で描かれた物語の核となっていたのは『プリティーリズム・レインボーライブ』に登場していた三人であった(特に『PRIDE the HERO』は速水ヒロが主役と言っていい。ただ周囲から愛されるだけの「アイドル」だった速水ヒロが、仲間との絆を胸に「みんなを笑顔にするのは俺だ!」と叫んだシーンは何度見ても泣く)。
『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』はそうではない。
前ニ作で主役級の扱いを受けていた三人は「先輩」となり、物語は一条シンとその仲間達の物語にシフトしている。
言うなれば本作は「『KING OF PRISM』新章」であり、三人から正式にバトンを受け取った新たな主人公達による物語だといえる。そのため前ニ作を見ていなくても問題ない。前ニ作を前提とした内容が必要であってもその都度必要な分量だけ作中で提示されるため見ていなくても問題ない(見ていた方が100の面白さが120になったりするだけ)。
加えて言うならその「前二作の内容」も「1、2カットだけで流されていたものに台詞がついてディテールが掘り下げられる」とかそのレベルのものなのでほぼ新規と言ってよかったりする。
現に映画館で劇場公開版を見ている自分は、前ニ作の映画館での視聴回数が合計150回を超えているにも関わらず「そういうやりとりがあったのか」「やっぱりそういうことだったのね」とか薄い反応になっていたりする。そもそも前ニ作と今作では同じことを演出していても台詞も含めた情報量の違いが段違いなので、「前ニ作を見ていないし……」とか気にしなくていい。むしろ知らずに見た方がその辺りはすんなり入ってくるかなとすら思う。
そして三人から正式にバトンを受け継いだ一条シン達の物語が三人に負けないぐらいに素晴らしい。
本作は一条シン達「エーデルローズ」とそのライバルである「シュワルツローズ」の対決を描いているが、どのキャラクター達も「なぜ自分はプリズムショーがこんなにも好きなのか」「自分の使命とは一体なんなのか」に向き合いながら己のステージに挑む。
タツノコプロの美麗なCGで描かれる彼らのプリズムショーは本当に美しく、そして格好いい。
見ていて胸がワクワクするし、余すこと無くキャラクターの魅力を積め込んだ構成なこともあって「このキャラクターのこういうところを歌詞と衣装と振り付けと背景に込めてる……」とか否が応でも感じ取ってしまい、興奮の余りに知らず知らずのうちに涙を流す。特に「その人のこれまでの人生とこれからの生き方を表現している」と言っても過言ではないプリズムジャンプはそれ単体で感動物である。
そのキャラクターらしさがあることはもちろん、「このキャラクターの人生がこのプリズムジャンプに全て詰まっている」と言っても過言ではない。その人の人生のクライマックスを見せられているので、文脈を深く理解すればするほど感動の余り語彙はたちまち死に至る。
現在視聴した中では歌舞伎役者でありながらプリズムショーをやっている太刀花ユキノジョウにスポットを当てた二話が「プリズムショー全体は5分もないはずなのに、その短時間の間に泣きすぎて頭痛がする」というレベルで泣いてしまったので、できれば二話まで見て欲しい。
なお今回の『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』に合わせるかのように、youtubeにて『プリティーリズム・レインボーライブ』の配信が始まっている。
一日三話づつ追加で現在27話まで配信されているので、気になる人はこの機会に是非。
youtube - 【公式】プリティーリズム・レインボーライブ第1話「私はなる!店長にな~る!」『KING OF PRISM』『プリティーリズム・レインボーライブ』、そしてプリティーシリーズ最新作となる『キラッとプリ☆チャン』をよろしくお願いします。