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『Fate/Zero』の評価が定まらない一つの理由

2011年秋アニメもそろそろ半ばを超えて、1クール物はそろそろ後半戦に入るし、2クール物はそろそろ一つの山場を迎えようとしているわけだけれど、今期一番盛り上がっているアニメということになると、やはり『Fate/Zero』はその最有力候補といえる。


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(2012/03/07)
小山力也、川澄綾子 他

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ニトロプラスのシナリオライターとして、そして『魔法少女まどか☆マギカ』の脚本家として今や一躍時の人となった虚淵玄執筆の原作を、『劇場版空の境界』シリーズで確固たる地位を築き上げたufotableと『喰霊零』で注目された監督・あおきえいがアニメ化した本作は、今期一、二を争うほどの力作であろう。
また全世界同時配信!などという前例のない試みも行われており、このことからも製作会社であるアニプレックスの気合の入れようが窺い知れよう。
余談だが、現在ニコニコ動画で配信している七話は19万近く再生されており、前話である六話も21万再生されている事からも本作が今期でも飛び抜けた注目度を誇る作品であることがわかる。

そう。人気作。間違いようもなく人気作なんだけど、俺は『Fate/Zero』を「評価保留」にしてずっと視聴していたりする。
これにはちゃんとした理由があって、それは地味な演出が意図的なのかどうかと言うことが気になって気になって、仕方が無いのだ。

俺は『Fate』を奈須きのこの少年漫画イズムがこれでもか!と言わんばかりに発揮された作品だと思っていて、『Fate/Zero』に於いてもストーリーテラーである虚淵玄の趣味が入っていようとも、その部分は変わらず受け継がれてきていると思っていた。
例えば必殺技相当の宝具発動はやっぱり必殺技のお約束通り、「叫ばないと発動しない」し、効果が常時持続している宝具についても見せ場となるシーンは派手めの演出にされていた。
『Zero』においても多少演出は違えど、宝具の発動シーンや各キャラの見せ場となるシーンでは地の文でかなり多く分量を割いて解説されており、「どのような効果を持つ宝具であるか」「その結果、どういう結果をもたらしたのか」「そしてそれはどのぐらい凄いものなのか」が文量から推察できた。
宝具を持たない魔術師達も、その象徴的な武装について虚淵玄は「凄そうに見える」ように描いており、ケイネスの象徴的武装である水銀を操る『月霊髄液』も「クレイモア地雷を至近距離から受けても物ともせず、自動探知が出来、どんなものでも切断できるケイネス最大の武装」として描かれていた。
しかしながら、アニメ版Fate/Zeroにはそれがない。
派手さはなく、ただただ淡々と描いている。
これがケイネスの武装だけの話であれば、俺が信者らしい気持ち悪さを発揮している、というだけで済む話なのだが、ところが『Fate/Zero』は常に冷淡とさえ感じるような淡白さで本編を描き続けている。
一話から違和感を拭いきれず、まあそれでも脚本の面白さは極上で、イスカンダル王が画面に出てくるだけで嬉しかったのだが、八話の「起源弾発動」の淡白さはどうにも気になって仕方がない。
「起源弾」は文字通り切嗣の起源であり、「魔術師殺し」とまで言われた衛宮切嗣の象徴となる武器であるのだから、『Zero』の中でもとびきり派手にしてよく、またこの起源弾がクライマックスの驚きに繋がるのだから起源弾発動は「視聴者の印象に残るようなシーン」であっても別に良かったはずだ。
それがこのような淡白な演出に落ち着いてしまったことは、少なくとも俺は少々残念だと感じた。

果たしてこの淡白な演出は、第一クールの最後を締めくくるに相応しい派手なシーンがあるからこそ、わざと淡白にしているのか、それとも監督の趣味でこのような淡白な演出になっているのか。
どちらにせよ俺の中で評価が出るとしたら最終回を見終えた後であり、俺は虚淵玄の、そして『Fate/Zero』の気持ち悪いぐらいの信者なので「大絶賛」か「大ブーイング」しかあり得ないのだけれど。

まあ今期一番よくも悪くも最終回を楽しみにしている作品の一つなので、バーサーカー対ギルガメッシュのドッグファイトを楽しみにしながら今後も視聴していきたいところ。
あのドッグファイトだけ『ブラスレイター』スタッフが参加したりしないかなー。
板野一門なら安心できるのだけれど。

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5件のコメント

[C857]

宝具や魔術の説明に台詞と時間を割いてしまうと、あまりに解説的な内容になる上に、必要なシーンが描けなくなってしまいますので、それを最低限に留めた結果、多少地味になってしまっているのではないかと(個人的にはそれほど地味だとも思いませんが……)。
演出を派手に~と言っても、原作という元がある以上、過剰な装飾は出来ませんしね。

確かあおき氏も台詞の抽出には苦労していると何かのインタビューで答えられていましたし、趣味と言うよりかは、小説を映像化する際の「地の文をどう表現するのか」という構造的な問題が顕在化しているというところではないでしょうか。

私個人の感想としては、むしろ、今でも説明台詞が不自然だなあと思うくらいです。たとえば、「まさかギルガメが単独行動スキルを持つアーチャーのクラスで~」という時臣の台詞については、原作だと心中の台詞(地の分)で済ませているのですが、アニメだと独り言になっちゃってるんですよね。解説として必要なのは分かりますけど、「アーチャーが単独行動スキルを持つ」という魔術師にとっちゃ常識的な知識をわざわざ口に出して言うのはおかしいだろって思ったもんです。
  • 2011-11-23
  •  名無し
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  • 編集

[C858]

キリツグの起源弾は確かに盛り上がってもいいという指摘には頷かされました。
しかし設定を解説するのが難しいのでナタリアの回想を出したり、ケイネスの苦しみ方でダメージを表現出来てたかなとも思ってました。
起源弾の発射シーンでエミヤが流れるんじゃないかと期待してましたが、よく考えると士朗やセイバーと違って理詰めで戦うタイプですしね。
そこが意図的に抑えてるのか、それとも単に盛り上げが弱いのかはまだ分かんないですな。

セイバーのエクスカリバーやライダーの某切り札での盛り上げに期待してます。
とくにライダーの切り札は1クール目での最大の見せ場になりそうですし。Zero屈指の燃えシーンの一つだと思うので。
  • 2011-11-24
  • 神尾そら
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  • 編集

[C860]

>>名無しさん

説明ゼリフの多さは確かに気になりますね。
地の文の説明をそのまま台詞にしてしまっている部分があって、その部分の不自然さが目立っている感じがします。
なんとかこう、説明ゼリフっぽくない台詞に変換出来なかったんですかねぇ。

>>神尾そらさん

設定は確かに難しいですもんねぇ。
小説だから実現できる説明だった感じですし。ただ個人的にはクライマックスの布石のためにも印象に残る演出にして欲しかったです。

エクスカリバーやイスカンダルの切り札は確かに派手にして欲しいですね。
ここを派手にしないでどこを派手にするんだ!というぐらいの盛り上げどころですし。
  • 2011-11-26
  • 水音
  • URL
  • 編集

[C862]

ケイネス戦の演出は個人的には満足しています。むしろ映像映えする魔術を使うケイネスに対して暗殺者である切継の魔術が地味に見えるのは当然なわけで・・・。あまり演出を派手にすると返って違和感が生じるような気がします。
 
むしろ個人的に一番問題だなと思う所は、各キャラクターの心理描写が大幅に省かれているところです。それによって、切継は本当はすごく苦しみながら戦争に参加しているところや、言峰が切継に執着している理由などがいまいち分りにくくなってしまっています。zeroは実質この2人が主役の物語でもあるため、そこだけはきっちり描写してほしいです。
  • 2011-11-30
  • たま
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