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『冴えない彼女の育て方』が丸戸史明らしい作品だった



丸戸史明といえば『この青空に約束を―』や『パルフェ』で知られるシナリオライターで、最近では「ずっとやりたかった!」と熱望していた『WHITE ALBUM』の続編『WHITE ALBUM2』でエロゲーマーを沸かせた、高い評価も人気もある実力者。
そんな丸戸史明の作風は王道。癖はそれほど強くなく主人公の好感度も高い。張り巡らせた伏線を計画的に回収していくと言うタイプのシナリオを書き、ライター買いするファンも多い。
まあ俺も「シナリオが丸戸史明だから」と言う理由で買う人間の一人なのだけれど、まさか丸戸史明が富士見ファンタジア文庫からライトノベルを出すことになろうとは。
「出すとしたらガガガ文庫」という雰囲気があったのに!
ガガガ文庫は虚淵玄や東出祐一郎や田中ロミオなんかも書いているもので、色んな意味でまくつ(なぜか変換できない)と化しつつあるレーベルなもので、そこに丸戸史明ならありだなーとか考えていたのだけれど、商業小説デビューがまさか富士見ファンタジアなるとは。ちょっと予想外のところを突かれた。

そんなわけで。
『冴えない彼女の育て方』買いました。読みました。
物語としては『バイト中に出会った加藤恵をヒロインとした同人ゲームを作るぜ!』というあらすじで、随所に丸戸史明の主戦場であるエロゲーやら彼自身が主に支持されている30代ぐらいを狙い撃ちにしたネタがちょいちょい挟まれているものの、物語としては極めてオーソドックスなボーイミーツガール物。
ただしヒロインは加藤恵。
表紙に描かれているような金髪でハーフで見た目が物凄く派手なツンデレ同級生というわけでも、丸戸作品にほぼ確実に登場するようなダウナー系ツンデレ上司ではなく、名前も平々凡々。容姿も前述した2つの属性持ちと比べると遥かに地味なヒロイン。でも丸戸作品のヒロインとしては正しい。というかヒロイン力が天を突き破るほど圧倒的に高い。
ちなみにダウナー系ツンデレ上司は今回の主人公は社会人でもフリーターでもなくただの高校生的生物で、舞台も名古屋の高校なので先輩と言う形に変えて出演してます。

で、肝心の作品なんだけど、後書きで本人も触れている「時代に左右されない、誰がいつ読んでも楽しめる普遍的で骨太な物語」という言葉がしっくり来る作品だと俺は感じた。
構成でも特に遊んでいるわけではないし物語展開でも取り立てて珍しいものはない。
前述した「時代に左右されない」とか「誰がいつ読んでも楽しめる」とか「普遍的」「骨太な物語」というのはひとによっては「ありきたり」だの「面白みがない」だの「驚きがない」だの言われるのだろうが、飽きさせない工夫や導入部分のパンチの入れ方なんかを見ていると、「目立ったところは特に無いが、基本を堅実に積み上げてテクニカルな印象を残す」という丸戸史明らしい作品なのではないかと思う。
もちろん「ありきたり」と言う意見が間違っているのではなく、そういう側面もあるのは事実だろう。
でも俺は「ありきたり」と言われようがこういう「変化球を投げて目の前の相手を打ち取ること」より「いい勝負をしようとすること」を重視している「計算された王道を持つ作品」の方が好きだなー。

ところでこの作品の口絵はちょっと計算されすぎじゃないですかね。
ヒロインの容姿を確認できるのに一手間かかるところが実に「よくわかってる」感。




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