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最近の忍者物が面白いんじゃないかという話

忍者小説というジャンルがあることは紛れも無い事実であり、山田風太郎などは『忍法帳』シリーズで何本もヒットを飛ばしているし、忍者を主人公とした漫画というのも時代を問わず一定以上の支持を集めている。
また忍者が主題にならずとも忍者というキャラは「ジャンル:忍者」以上に多く存在しており、『魔法科学校の劣等生』でも忍者設定が出てきた時には僕も胸が高鳴ったのだが、何の話をしたいかというと『ニンジャスレイヤー』が面白いという話がしたいのだ。


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『ニンジャスレイヤー』は意図的に面白い方向へと舵取りをしている勘違い日本観や超人じみた戦闘力を持つニンジャ達とそんなニンジャを殺そうとするフジキドケンジ=ニンジャスレイヤーの活躍を描いた小説である。
アメリカ本国では雑誌を中心に展開されている商業小説なのだが、我が国日本ではTwitterによる連載小説という形で翻訳・発表され続け、数多くのファンを生み出し続けている。
本作はその商業版に当たり、原作の時系列シャッフルを反映しており、わらいなく=サンのイラストや人物名鑑などなど商業だからこその魅力を付加していて、「原作+α」の面白さを提示することに成功している稀有な一例といえるだろう。

しかしながら本作の面白さを「勘違い日本観」や「勘違い忍者」などの色物要素に端を発していると思っている人も多いようだが、俺はそれは違うと言い切れる。
『ニンジャスレイヤー』は確かにそのような色物の要素がないわけではない。
機械翻訳めいた翻訳や勘違いしすぎている日本語は確かに存在するし、それらの色物要素が『ニンジャスレイヤー』の魅力の一つであることも間違いないし、かくいう俺もまずその「色物要素」からニンジャスレイヤーに入った人間の一人である。その勘違いっぷりが一番目を引くのはどうしようもないと言えるだろう。
だが、俺は『ニンジャスレイヤー』の面白さはそこではないと考える。
『ニンジャスレイヤー』の面白さはその骨太なストーリーであり、「勘違い日本観」はあくまでスパイスでしかない。メインストーリーとなるフジキドケンジののドラマは「家族を殺された」ということによる復讐劇であるが、彼の目的は「家族を殺したものへの復讐」ではない。
彼の目的は「全てのニンジャを殺すこと」であるのだから、そこには「自身もニンジャである」という部分がつきまとう。
またフジキドは自身の身に宿るニンジャソウルであるナラク・ニンジャの力を制御しきれておらず、度々暴走状態に陥っている点も興味深い。彼はダークニンジャ=サンとの戦いの中でも暴走しているが、このナラクの力がなくてはフジキドは様々な能力を持つニンジャ達と互角以上の戦いをすることは出来なかっただろう。
そこには「力に対してどう向き合うか」というドラマがあり、「ニンジャの中にも悪いニンジャばかりいるわけではない!」というのは終始徹底して展開されているドラマでもある。
またサイドストーリーとして女子高生ニンジャであるヤモト・コキやスゴイ級(凄腕)ハッカーであるナンシー・リーが華を添えている。
ヤモト・コキはニンジャスレイヤーとは異なり「偶然ニンジャになってしまった存在」として描写されており、それ故の悲哀や日常への憧憬などのドラマを展開しており、ニンジャスレイヤーとは異なった「別のニンジャ像」を提示しているし、ナンシー・リーはニンジャではないもののハッカーとして、ニンジャスレイヤーをサポートする。
このような魅力的なキャラクターと骨太なドラマが本作の魅力というわけだが、山田風太郎の忍法帳のように「ニンジャはそれぞれ固有の能力を持つ」という日本の忍者小説のような部分もあり、色物要素についても「日本を調べに調べて意図的に面白くしている」というべきではないかと俺は思う。
そういう意味では「強いアメリカ」と「アメリカの大統領は強い」を体現したフロム・ソフトウェアの『メタルウルフカオス』とは似た存在といえるだろう。どっちもバカバカしい部分はとことんバカバカしくやっているからなぁ。

何にしても『ニンジャスレイヤー』は「馬鹿馬鹿しくみえるだろうが、面白くなければ流行らない」ということを体現している作品だと俺は思うし、「変な日本語が出てくる」という部分だけではなく「サイバーパンクで忍者な骨太小説」として読む人が増えて欲しいところである。



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2件のコメント

[C1068]

やーしかし、重篤なファン目線からですと、忍殺が宇宙一面白いことのほうがむしろ当然の前提で、そのうえでの見所は一周回って勘違い日本描写だったり、人間味あふれる悪役ニンジャだったりもしますね。
  • 2012-12-02
  • hatikaduki
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  • 編集

[C1069]

ドーモ、hatikaduki=サン。水音です。

「ストーリーはこんなに面白いのになぜこんな勘違いジャポニズム!?」や「悪役視点の話はなぜこんなにヒューマニズムが垣間見える出来なのか」というのは忍殺を語る上では大事なところですね。
あまりにも自然に展開されるニンジャポニズムというべき単語の数々は日常侵食率が大変高くて、思わず口走りそうになります。コワイ!
  • 2012-12-02
  • 水音
  • URL
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