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『ラブライブ』六話の素人っぽいカメラの演出について

今週末にバンダイチャンネルにてアニメ版『ラブライブ』の一話から六話までの一挙配信をやるらしい。

ラブライブ公式サイト ― 2/17(日)19時よりバンダイチャンネルで第1話-第6話 一挙配信 決定!

ブログではほぼ毎週ラブライブの話をしているわけなのだが、既に配信が終了していたりして見直す事ができないという人や最近見始めた人も多いのではないかと思う。
俺に限ると「最近は色々な人に記事が読まれているみたいだしー」というわけで、作業中に一話から六話までぶっ続けで流していたりするのだが、記事を書いた後で見直すと自分の中で見落としていた物があることに気づき驚かされる。
何回見なおしても面白い作品というのは早々あるものではないので、「この時を待っていた!」と言いたくなるようなベストタイミングでの一挙配信に、バンダイチャンネル様には感謝せざるを得ない。まあ全部HDDに一話から六話×三残っているけど。
というわけで。俺も多分今週末はバンダイチャンネルでラブライブ見ながら、「にっこにっこにー!」とか言っている可能性があるわけなのだが、それはそれとして。

『ラブライブ』六話がやっぱり素晴らしかったので雑感としてここに記しておくこととする。



▼リーダーとは何か?

今回は『センターは誰だ!』というタイトルながら、Aパートを「部活の紹介」という扱いでμ'sメンバーの紹介になんだよなぁ。
アニメ版『ラブライブ』は五話までテンポよく「仲間集め」「アイドルとは何か」を展開しながら進めてきているし、五話終了時点でレギュラーメンバーが七人という状態になっているわけで。残りのμ'sメンバーである東條希や絢瀬絵里を加入させる前に「これまで登場したキャラクターをもう一度描く」という事をやりながら、「μ'sというアイドルユニットの方向性」や「誰がどういう役回りか」をさらっと紹介しているのは面白い。
こういうのって画面に映るキャラクターが多いアニメでは必要だから、一段落ついたところでほぼ確実に挿入されるけど、ファーストライブ終了後の四話や一年組加入後の五話でやるのではなく六話でやるとはなぁ。
ここまで勢いで突っ切ってきた部分があるし、Aパートをほぼ丸々使ってこういう話をやってくれた方が視聴者的にはありがたいなぁ、と感じるところなんだけど、Bパートは「センター争い」という名の「μ'sというアイドルユニットの方向性について」の話になっていたのが面白い。
「リーダー争い」と作中では呼ばれていたけれど、結論として出てきたものは「μ'sというアイドルユニットの方向性」の再定義で、例えば「皆で歌う」「皆センター」なんかが今までのμ'sの楽曲の中では徹底されていて、1stシングルの段階で「全員にソロパートが存在している」という事はやっているわけで、「μ'sのアイドルユニットとしての方向性」は視聴者の中には既に無自覚にせよ存在していたと思うのだが、「事実を元にした創作作品」において「μ'sというアイドルユニットはこういうアイドルユニットなんだよ」という事を改めて言われるとは。

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しかも「事実を元にした創作作品」なので「スタッフとしてはそう思う」程度のものであって、ファン自体は「どう捉えてもいい」という自由度を保たれている辺りはさすがの手腕というべきか。

そうやって『μ'sらしさ』を定義した上でPVを見せる辺りも良い構成だなー。


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しかも直前で描いた「順番に歌う」という事をちゃんとPVでも採用しているわけだし、「皆センター」という意味では従来のPVでも立ち位置が結構頻繁に変わるし、楽曲によってセンターが異なるという事にも重なる。
またAパートで練習していたダンスはどう見ても今回の『これからのSomeday』のPVで用いられたダンスで、俺が考えている通りのものだと考えていいのだろうか。
まあ今回はPVが流れる関係もあってBパートはPVの直前までで話の流れやテーマがピークに来るような構成にしていて、PVは「定義したものを映像としてみせる」という構成になっている辺りはいい構成かもしれない。
BパートはAパートに比べると大人しめの構成だし演出だけど、そもそも従来の楽曲自体もPV+ドラマという構成だし、ドラマとPVが相互補完しあってそれぞれに深みを与えている部分があるのでそういう意味では、「いつものことを丁寧にやった」というのが今回なんじゃないかなー。

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余談だけど、今回って「事実を元にした創作作品」というメタフィクション構造の中で「PV」という創作をやっているわけで、メタ構造内メタ構造という二重のメタフィクションになっているんだけど、こういうメタメタな事が出来るのも『ラブライブ』の特徴なのかもしれない。

▼ハンディカメラの素人っぽい演出の巧みさについて

今週の『ラブライブ』六話は新作PVが流れるなどのファンなら嬉しい要素が結構盛り込まれていたのだが、個人的に一番面白かったのはAパートのハンディカメラ演出になるんだよなぁ。
このハンディカメラの演出はとにかく凄い。何が凄いってとにかく素人が撮影しているっぽさがガンガン出ていることが凄い。
このハンディカメラは星空凛が撮影しているということになっているので素人っぽく撮影されるのは当然といえば当然でだからこそ手ブレしているんだけど、そこは動画で確認して欲しいのでそれ以外の所でいくと、こういうのがある。

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このカットは二年組三人がしゃべっているシーンなのだが被写体は穂乃果なのにこの位置から撮影しかしてないし、それ以前に喋っているんだから顔にピントをあわせるべきなのに何故か合わせていない。
こういう素人っぽい撮影の仕方は実に面白い。撮影者自身が素人(ということになっている)なんだから、プロみたいな撮影はしてはいけないんだが、それにしてもここまで「ハンディカメラでの素人っぽい撮影」を演出した作品も少ないのではなかろうか。
このカットでは同じシーンなのに、頭が見切れちゃってるし。

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あとはピンボケしているとか。
こういうのも真面目にやると大変だろうによくやるなぁ。

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こういうハンディカメラの撮影を再現しようとしていた作品としては『涼宮ハルヒの憂鬱』の『朝比奈みくるの冒険』とかEDとかあって、この二つの演出を務めた山本寛は今じゃ「ダンスの人」とか「あれな発言をしている人」言われているけど、本当はこういう「カメラを使った撮影方法」という演出に長けた人である。
彼は今は別のアニメを制作しているし、今回の絵コンテを切ったのは最近のサンライズアニメで絵コンテをよく切っていて古田丈司だし繋がりは本当にない。スタッフロール見ても特にそういう名前はなかった。
でもまさか「ヤマカンしか(労力が掛かり過ぎるから)やらないだろう」と思っていた「ハンディカメラでの撮影」を「手ブレ」「ピンボケ」なんかの素人っぽさも含めてちゃんと演出してくるとは思ってなかった。
正直あそこまで素人っぽさを演出させると尊敬さえする。手ブレだけでも大変なのに!
真面目に話すとあの演出はスタッフの遊びに近いような気もするんだが、キャラクターの写し方としてレンズを一枚挟んでもう一度映されると全く違う見え方をしてくるということを考えさせられた次第。
あれは第三者視点というか「神の視点」での撮影方法じゃなくて「カメラが有る」ということを意識させられた上での撮影なので、やっぱりキャラクターの見え方が全然違ってくるわけで、その辺もちゃんと現れていたんじゃないかなぁ。
この辺とかそんな「カメラ越しであるからこそ面白い」という画面になっているし。

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とりあえず今回は「ラブライブのハンディカメラの素人っぽい演出が色々と面白かったということだけ書いておく。


▼ラブノベルスや愛してるばんざーい!の意味ファンサービス要素

そういえばカラオケのシーンでBGMにグループ内ユニットのBiBiの『ラブノベルス』が流れていたんだけど、楽曲自体は「グループ内ユニット」だし、そもそもμ'sとしては「2ndシングルである『snow halation』以降に発表された楽曲」であるという位置づけなんだよなぁ。

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この事と現実にμ'sがいると想定されている」という部分と重ねると「ファンサービス的な遊びの要素」の可能性として、あえて流している気がする。
そもそも一話の段階で『もぎゅっと"love"で接近中!』のカップリング曲だった『愛してるばんざーい!』を弾き語り形式とはいえ流しているわけで、「この頃には楽曲自体が存在しないのになぜか流れている」という辺りに虚構臭さを感じずにはいられない。

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そもそも作中での挿入歌の使い方としては『劇場版マクロスF』のように「ミュージカル的に用いる手法」やアニメ版の『アイドルマスター』『Aチャンネル』のように「完全にBGMとして使ってしまう手法」など色んな手法があると思うんだけど、アニメ版『ラブライブ』では「デビュー前のμ'sを描く」という方向では一貫しているので、普段用に別にBGMがあってこういう「遊び」の要素が成立するんじゃないかと思う。
あと『ラブノベルス』が流れたシーンはカラオケなので、そもそも現実のカラオケだとBGMとして普通にアーティストの楽曲が流れているわけで、ああいう「カラオケ内でのBGM」の再現的な側面もあるんだろう、多分。
にしても今回楽曲自体のおまけ要素とともにゲーセンを登場させる辺り、関連グッズの宣伝の仕方が上手いなー。あざとい!と言われてもしかたがないと思うのだが、そのへんの匙加減は絶妙な気がする。




というわけで今回のまとめ。


・構成が相変わらず上手いのだが、ドラマパートで盛り上げてPVに繋げることで、PV自体が今回のテーマを象徴するような印象を受ける構成になっている。
・μ'sらしさとはなにか!?を端的に表している。
・ハンディカメラでの撮影がμ'sの違った一面を描き出している。
・そのハンディカメラでの演出が凄く素人っぽくて素敵。技術のリソースの割き方が愛に溢れすぎィ。
・一話の弾き語りといいカラオケといい、ファンサービスをファンサービスと思わせないようにさり気なく展開していて、ファンとして反応せざるを得ない状態にさせてしまうのは良い仕掛け方ではないか
・ところでPVのにこにー先輩のダンスはもうちょっと大きくした方がいいような気もする



余談。
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5件のコメント

[C1122]

ブログ興味深く拝見しております。
「愛してるばんざーい」だけに関して言えば、作曲担当である真姫に歌わせる事でもともと彼女の自作曲→あとからμ's用に編曲して発表、とすれば辻褄が合わせられるな~などと妄想してしまいました。
  • 2013-02-16
  • meeakat
  • URL
  • 編集

[C1123] Re: タイトルなし

>>愛してるばんざーい

『ラブノベルス』が流れるまでは俺もそういう見方をしていたんですが、『ラブノベルス』がカラオケという場所で流れてしまった以上、ファンサービス+メタ構造であることを意味していると考えたほうが自然かなーと思います。
まあ最終回まで見れば自ずと分かることなので、今回はメタ構造説を強化する要素が出てきたというだけなんですけども。


  • 2013-02-16
  • 水音
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  • 編集

[C1145] 承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

[C1159] ハンディカメラの~

 はじめまして。ラブライブ,面白かったですね。かよちん派としては,今後の票のとりまとめに奔走しているところですが…。

 さて,ハンディカメラの再現映像について言及があったので,ひとことだけ言及させていただくと,この素人っぽい映像を最初にやったアニメは,おねがい☆ティーチャーのOP(後半部分)だと思います。ネットの至る処に落ちていますので,ご参照ください。

[C1161] Re: ハンディカメラの~

>>総選挙

まだ始まったばかりですしね!

>>おねティ

あ、おねティか!
初めて見た当時衝撃を受けたような記憶があったんですが、それ以降ほとんど見かけなくなったので忘れてました。
そういえば同じ系譜の『あの夏で待ってる』ではハンディカメラが作中で小道具として用いられているのに、OPではそういうカットがなかったんですよねぇ。
カメラを構える→ハンディカメラ視点になる、というのはありましたけど。
  • 2013-04-09
  • 水音
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