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ただの現代リメイクではない新生デビルマンとしての『デビルマンG』について

過去のコンテンツを現代でも受け入れられるように作りなおす「現代リメイク」呼ばれる作品群がある。
『大空魔竜ガイキング』をリメイクした『ガイキングLOD』や永井豪の『マジンガーZ』を始めとする一連の作品群をリブートした『真マジンガー衝撃Z編』、そして春から放送されることが決まった『宇宙戦艦ヤマト2199』など、「過去にヒットした現代風に作品を作りなおす」ということは割とされているように思う。
まあ中には「漫画版の続編という体裁で実質現代リメイク」という『鋼鉄神ジーグ』とかあるし、「現代リメイクをしたけどあんまりする意味があったとは思えなかった」という意味では『ダンクーガノヴァ』とか思い出すし、「マジンカイザーをやるつもりがあばしり一家になっていた」という『マジンカイザーSKL』とかある。
ああ、あとキューティーハニーもか。永井豪率高いなおい。
特撮に手を伸ばすと『キューティーハニー』とかリメイクされてるし、いま放送中だと『聖闘士星矢Ω』も「続編の皮被ったリメイク」だろうし、あとセーラームーンもそうなりそうな気配があるがまあそれは置いておく。

『デビルマン』という作品がある。
超古代に封じられた先住民デーモンが復活を遂げ、デーモンと融合しながらも人の心を失わなかった不動明が悪魔人間・デビルマンとなって戦うという導入から始まるこの作品は、永井豪の代表作といえるほど彼を象徴する作品だろう。
人類対デーモンという構図といい、人間も悪魔も関係なく殺しあうというバイオレンス展開といい、黙示録的なシナリオといい永井豪らしさの塊みたいな作品なのだが、そんな『デビルマン』をリメイクしたのが本作『デビルマンG』である。


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この『デビルマンG』、いわゆる「舞台を現代に移しました」という類のリメイク作品などではない。
確かに不動明はデーモンの勇者、アモンに取り付かれた事によりデビルマンとなるし、登場してくるデーモンたちはいずれも残虐非道。人を殺し人を喰らうその様は永井豪の描く暴力描写に近いものがある。
シレーヌはやっぱりシレーヌだしゲルマーやジンメンはやっぱり酷い奴になるのだが、本作が「安易な現代リメイクではない」と言い切れる理由は、本作が「ヒロインである牧村美樹(本作では魔鬼村ミキ)が死なないデビルマンである」という路線を前面に押し出されていることにある。
原作にあたる『デビルマン』では人類対デーモンの戦いの過激化と「デビルマンである不動明の味方をしていた」という理由により牧村美樹は人類によるリンチにより死亡してしまう。そのことが不動明が「人類を守る」ではなく、「ゼノンを倒してひとまず戦いを終わらせる」という目的にシフトさせ物語は終幕へと向かうのだが、『デビルマンG』におけるミキはそうではない。
「現代魔術を実践し、魔女に憧れる少女」として登場したミキは原点とは違い不良に絡まれても負けずに殴り飛ばすという性格付けに変更されていたり、不動明をデビルマンへと変えたデーモン、アモンはたまたまその場にいた不動明を選んだのに対して、本作におけるアモンはミキによって召喚され、不動明に憑依したという設定になっている。
この「アモンを召喚した」という設定により、本作のミキはデーモンを殴ったり、不動明の身体に宿るアモンの力を増幅することが出来たりと原作にはない様々な能力を発揮しているのだが、これだけであれば「ミキが死なないデビルマン」としては不十分であろう。
だって「デーモンを殴れる」と言っても人間の力で殴った所で大したダメージを与えられないし、そもそも本作におけるデーモンは原作と同じように凄まじい身体能力を持ち、必死で逃げる人間を容易く追いついて切り裂き食らう存在である。
また「アモンの力を増幅できる」は「デビルマンが全力を出すためにはミキが必要」と言い換える事もできる。それだけであれば、「ただ弱点が増えただけのデビルマン=不動明」にしかならない。
『デビルマンG』を面白くしているのは「アモン=不動明を一人にしない・出来ない」ということである。
確かにアモンの力を持つ不動明=デビルマンは強いし、並のデーモンでは太刀打ちできない描写がされている通り強力な存在だといえるだろう。
しかしミキがいなければその力を全力で振るうことが出来ない以上、不動明はミキから離れられない。
これにより不動明はミキの傍にいることを強いられるわけなのだが、それにより不動明の身に宿るアモンは人間というものを学習していく。
「闘争本能の塊であるアモンが人間と共にある事で人間性を獲得していく」
この「アモンの人間性の獲得」この『デビルマンG』における最大のシナリオギミックであるし、「ミキが死なないデビルマン」というコンセプトを強く象徴するものとなっているし、またアモンは人間性を獲得していく事で、他のデーモンにはない感情を手に入れていくなど「人間の味方であるデビルマン」という強烈なヒーロー性を生み出しており、本作を面白く見せてくれる。
また本作を手がける高遠るいが過去に『ミカるんX』などでも見せた特撮っぽい演出やケレン味の効いた必殺技は健在であり、原作の『デビルマン』にはないまた別の面白さを生み出している点も見逃せない。
このように高遠るいの作風も色濃く反映された事で「デビルマンを知らない人間にも楽しめる」という娯楽性を生み出すことにも成功している辺りが「安易なリメイク」などではないことを象徴しているのではないだろうか。

『デビルマンG』はデビルマンではない。
しかしデビルマンにはないものが随所に見られ、また「ミキを死なせないデビルマン」というコンセプトについても考え抜かれたものを感じさせるし、『ミカるんX』で「人類の持つ可能性」を説得力がある形で描写してのけた高遠るいならば、おそらくこのコンセプトを踏まえた上で、より高いものを見せてくれるに違いない。
ならば我々も「新たなデビルマン」がどこに行くかを楽しみにする他ないだろう。
きっとそれは「今だからこそのデビルマン」を描いてくれるに違いないのだから。


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