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『ラブライブ』九話の実在の場所を使うということが生むもの

『ラブライブ』九話の挿入歌の使い方が挿入歌らしい挿入歌の使い方だったという事はもはや九話を視聴したものなら当然認知していることではないかと思う。
この使い方は今まで「挿入歌と言えばライブかPV」という楽曲の使い方をしてきたアニメ版『ラブライブ』としては珍しい使い方であり、また『Aチャンネル』や『アイドルマスター』のようなミュージカル的な使い方でもないということなど、実にオーソドックスな使い方をしていた。
でも本来はこういう使い方こそが挿入歌の本来の使い方であり、「ライブ」「PV」のどちらかしかやってこなかった今までがおかしかったと言い換えることも出来るし、もっと言うと今回の話の焦点はライブではなくその前段階に絞っているのでああいうあっさり目の使い方のほうが楽曲自体が映えるのではないかとも思う。
まあ関西だと九話を視聴した七時間後ぐらいには既にCDが店頭に並んでおり、そしてジャケットは九話でのライブでも見られたメイド姿のμ'sであり、センターがことりであることなどから考えても商売上手な仕掛け方をされているなーとも思うわけなのだが。
こういう挿入歌は初めて聞いた時が一番欲しくなるわけで、思えば『ススメ→トゥモロゥ』の時でも発売直前に『ススメ→トゥモロゥ』を本編で流すようにしているなど、最後に本編で流れてから発売までのタイムラグが殆ど発生していない点は見事な連携だというしか無いのでちゅわ。


TVアニメ ラブライブ! 挿入歌 その2TVアニメ ラブライブ! 挿入歌 その2
(2013/03/06)
μ’s

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ところで密林はいつになったらジャケットを公開してくれるのか。
Someday いつの日か願いは叶うのだろうか。

さて『ラブライブ』九話は「「ラブライブ」に参加するべく絵里の提案で秋葉原でライブをすることとなったμ'sだったが、絵里が提案したのはそれだけではなく秋葉原をよく知ることりに新曲の作詞を依頼する」というもので、あらすじとしてはシンプル極まりない内容だし実際話自体もダイナミズムを感じさせた八話の直後ということもあり、過剰な演出や大きな流れもなく箸休め的なエピソードではあった。
また『ラブライブ』では舞台を「秋葉原と神田と神保町という3つの街のはざまにある伝統校、音ノ木坂学院」ということになっており、八話まではそんな「音乃木坂学院」という場所を中心において物語を展開してきたし、アイドル活動としても三話の1stライブは音乃木坂の講堂だし、六話のPVも学校内での撮影だったし、八話についても学校のグラウンドでのライブだった。
そういう意味では今回の九話はほぼ初めて「音乃木坂の外で物語が進行する」ということをやったわけなのだが、面白かったのは秋葉原という実在する都市を利用した演出を行なっているということだ。

今回秋葉原でライブをすることになったのは絵里の提案からだが、絵里は秋葉原でライブをやることの理由として希にこのように語っている。

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「次々新しいものを取り入れて、毎日めまぐるしく変わっていく。この街はどんなものでも受け入れてくれる、一番ふさわしい場所なのかもなって。私達のステージに!」

この「新しいものがどんどん生まれていく」「受け入れてくれそう」という絵里の秋葉原観だけれど、(当たっているかどうかはともかくとして)「秋葉原」という都市の紹介に時間をかけているわけでもないにも関わらず「それをすんなり視聴者に受け入れさせる」という効果を生み出しているのは作中に登場する「秋葉原」という都市が実在する都市だからこその説得力があるからではないだろうか。
絵里の秋葉原に対する認識は都市論というべきものだが、都市というものはそれなりの歴史を持って進んでいくものだし、そこには「その都市に対する思い入れ」や「都市の背景に流れる歴史」が存在している。
だから「都市」を舞台にしようと思うときちんと都市を描写していく必要があって、この辺りは俺が押井守好きだから書くけど劇場版『パトレイバー』辺りを見るとよく分かる。
あの作品では「都市」をきちんと裏も表も含めて描写しておくことで都市構造の話に踏み込んだ後半部分の説得力を産ませている。
要するに「都市」を「キャラクター」としてきちんと描写しておくからこそ「掘り下げた時に面白いドラマを生む」という事なのだが、『ラブライブ』ではそういう「都市をキャラクターとして濃密に描く」ということはやっていない。
もっとも音乃木坂学院という場所についてはきちんと語られていたからこそ七話の「オープンキャンパス次第では廃校になる」という部分に緊張感を生むことに成功していたのも事実であり、そこが八話の面白さにつながっていた部分もある。
でも「秋葉原」という都市のキャラクター性ついて作中の人物が語っても違和感なく受け止められるのは、「歴史上の人物に対する話」がすんなり受け止められるように秋葉原と言うキャラクターが我々にとって「身近」で、そして「実在する存在」だからこそ、絵里の都市論がすんなりと受け入れられるのではないだろうか。

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この「実在する都市だからこその説得力」ということを上手く使い、本来描写としては足りていない説得力にブーストをかけて納得できるレベルにまで引き上げた事
それこそが『ラブライブ』九話の面白さなのであり、これこそが「実在する都市を舞台にする」ということの面白さなのではないのだろうか。
あと「新しいものを受け入れてくれる」「A-RISEのお膝元」な秋葉原で「ライブ!」という辺りがアイドル業界の弱肉強食具合が出ていて業界モノ好きとしては最高によかったです。

さて。今回の『ラブライブ』で用いられたものは「実在する舞台だからこその説得力」だと書いたが、この「説得力」はいわゆる「ご当地アニメ」の持つ説得力ではないかと思う。
今では珍しくもないご当地アニメだけれど、「実在の場所を使う」ということは「実在の場所をモデルとする」という事とはわけが違う。
「モデルにする」ということは元が実在の場所であったとしても「実在のものを虚構に落としこむ」という事である。
今期だと『たまこまーけっと』が分かりやすいと思うのだが、『たまこまーけっと』の舞台となっている「うさぎ山商店街」だが、この「うさぎ山商店街」のモデルは出町柳商店街である。では『たまこまーけっと』の舞台は出町柳商店街であるかというとそうではない。
「モデルにする」ということは「虚構の形に再構成し直す」ということであり、『たまこまーけっと』で描かれている場所は「出町柳商店街をモデルにしている」ということは間違いないが、「描かれている場所」は「全く別の場所」ということになる。
同じ事は『けいおん!』にも言える。
『けいおん!』の舞台は滋賀の豊郷小学校であるが豊郷小学校が舞台であるかといえばそうではない。
そもそも豊郷小学校から京都三条の楽器店まで移動するだけでどれだけ時間がかかると思っているのか!
つまり『たまこま』にせよ『けいおん!』にせよ、「実在の場所を使っている」というわけではなくて「実在の場所をモデルにしながら作品内に都市を作り上げている」という事をやっているわけであり、そこで提示されているものに「モデルになっている場所っぽさがない」というのはある意味当然なのだ。
それに対して「実在の場所をそのまま使う」という作品というのもあって、『輪廻のラグランジェ』や『つり球』なんかがそのパターンに分類される。
こういう作品の良さというのは「実在する場所をそのまま使う」ということで「作品内で都市を構成する必要がない」ということが上げられるだろうが、個人的には『ラブライブ』のように「実在する場所だからこその歴史や文化といった都市を構成する要素をそのまま使える」ということが大きいんじゃないだろうか。
『つり球』はしらす丼を登場させていたり、江ノ島を舞台にしているからこそ「釣り」というものとのリンク性を出せていたと思う。
『輪廻のラグランジェ』はその辺の文化背景の描写に大失敗してたいい例だと思うけど、なんだかんだで実在する場所を使うからこそ「宇宙規模のマクロな話が鴨川市というミクロな世界で動く」という面白さに影響を与えていたのではないだろうか。
まあ「おらが丼をもっと表に出せ!」とか無理難題をアニメスタッフにふっかけた結果、「鴨川エナジー」などという「鴨川市には存在しないアイテム」がやたら重要視されるという自業自得な結末をたどっていたが、まあその話は自業自得以上のコメントが出来ないので置いておく。
このように「実在する場所を使う」という事はイコール「文化や歴史と言った『都市』の背景をそのまま使う」という事に繋がり、それが「魅力的な舞台」という要素に繋がるのではないだろうかと思うところである。
また前述したように「実在する都市」というのは「都市」というものを特に描写していなくても、「その歴史やら文化の背景を借り受けることで説得力を底上げする」ということも出来るわけで、「ご当地アニメ」というのは意外と面白い効果を生んでるんじゃないだろーか、というところで話を落ち着けておくこととする。



ところで今回ラブライバーとして見逃せないのは『WONDERFUL RUSH』に繋がりそうなラストカットですかね!

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そういえば本編中でも謎スポットライトが登場しているんだよなぁ。


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謎のスポットライトといえばラブライバー的には『WONDERFUL RUSH』のPVだろう。
あれも最後のサビ直前でのことりソロで謎のスポットライトが登場している。
今回ことり作詞ということになっている挿入歌、『WonderZone』は『WONDERFUL RUSH』と同じくことりセンターな楽曲なのでそれと関連させたファンサービスの可能性があるな……。

まあ俺としてはにこにー先輩と真姫ちゃんというツープラトンアタックが最高だったんだが!

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百合最高や! 男なんていらんかったんや!


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