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『閃乱カグラ』に見るフェチアニメの難しさと奥深さについて

三月も半ばを過ぎてから書くような話でもないのだが、書きたかったので書いておく。



アニメというジャンルは実写に比べて画面内の情報量が少ないメディアであるという事に異論を挟む人はあんまりいないと思うのだが、この「実写に比べて少ない画面内情報」を利用して「意図的に画面内の情報を増やすことで印象に強く残させる」という演出が行えるのもアニメの特徴の一つでは無いかと思う。
そしてそういう「意図的な情報量の増幅」こそが監督だったりアニメーターだったりの「スタッフのコダワリ」につながるのではないだろうか。
で、俺はこういう「スタッフのこだわり」が前面に強く押し出したアニメ群のことをフェチアニメと呼んでいるんだけど、そういう作品は「スタッフのこだわり」というものが画面に強く現れ、映像作品としては一風変わったものが出来上がってくるので個人的には大好きな作品群の一つになっているんだが、この「スタッフのこだわり(偏愛でもいい)」というのが俗っぽいものであればあるほどフェチアニメ群は輝き出す。

例えば『聖痕のクェイサー』『魔乳秘剣帖』の監督を務めた金子ひらくがいい例だろう。


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彼は所謂おっぱいフェチであり『聖痕のクェイサー』も『魔乳秘剣帖』もおっぱいというものに対する熱の入れようたるや並の乳揺れなどでは比較対象にすらならないほどではないかと思う。
『聖痕のクェイサー』も『魔乳秘剣帖』もおっぱいが作品内で割りと重要なワードになっていることもあるが、金子ひらくのおっぱいというものを描写することへの貪欲さは「おっぱい以外には視点がいかない」と言う事をもって強く強調されている。
この辺りについては金子ひらくの監督デビュー作である『聖痕のクェイサー』の時にもシリーズ構成を務めた上江洲誠に突っ込まれていたように記憶しているのだが、あの人はとにかく「おっぱいだけを描き、尻や足には絶対にカメラを向けない」ということを持って「おっぱい」の存在感を増し、「おっぱいへの偏愛」を表現している。
同じようなことは今期の『ビビッドレッド・オペレーション』や『ストライクウィッチーズ』の高村和宏にも言える。


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高村和宏は股間の書き込みを増やすことで股間の情報量を底上げし存在感を与え、それを背後から動くカメラを持って撮影するという手法により「女性の股間」というものに対する偏愛をフィルムに込めている。
このように「フェチアニメ」というのは、元々情報量に乏しいアニメだから「書き込みを増やす」「動かし方に拘る」「カメラの向ける先を選ぶ」ということにより存在感を増させる事で成立し、故に特定部位や特定シチュに対するスタッフの思い入れを視聴者に向けて雄弁に語ることが出来るのである。

で、以上の話を踏まえて今日話したいのは『閃乱カグラ』なんだけど。


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このアニメは「爆乳ハイパーアクションバトル」というバカっぽいジャンル名を名付けられたアクションゲームが原作で、実際ゲーム自体も「爆乳」という要素を全面に押し出して「爆乳の美少女がアクションして乳揺れする」というスタッフに「兄ちゃん、こういうの好きなんやろ?」と諭されている気分になれるという意味では素晴らしいゲームだったんだが、アニメになるにあたって色々変わったというか。
いや正直ゲームと同じ表現をアニメに求めるのは間違っているし、細かい所で気になっていたシナリオについても改変してきていてアニメとしては素晴らしい出来になっていることは否定しないのだが、それでもあえて言いたいのはこのアニメは原作のフェチズムをまるで理解していないアニメであるということだ!
確かに爆乳要素はあって乳揺れはするし、女の子のアクションも素晴らしい。
でもな!「爆乳ハイパーアクションバトル」という馬鹿げたジャンル名を本気でやろうと思った原作スタッフの爆乳への狂気的とも言える偏愛がこのアニメには致命的に足りないんだよ!
乳揺れ一つとっても魅せ方が地味。存在感があるわけでもないし、かといって乳揺れが魅力的というわけでもないし、フェチズムって感じじゃなくて「揺らさなきゃいけないから揺らした」的な仕事的な物を感じるのだ。
そんなものにフェチズムを感じるかといわれると感じるわけがない。
頑張ってんなーとは思うけど、こと乳揺れに関しては頑張ってんなーでは駄目なんだよ!
俺が見たいのは「言われなくても揺らしたいから揺らした」であって、そんな「仕事だから揺らす」なんてものは乳揺れの先駆者に失礼だろう。最初に揺らしたのは誰かは知らないけど!

百歩譲って乳揺れは許すとしよう。
でも俺には全体的にフェチアニメとしては何か欠けているように感じられる。
俺はフェチアニメの面白さに「存在感を増すように演出する」という部分を上げているわけなのだが、『閃乱カグラ』のミスは「どこを見てほしいのか」という意識が抜け落ちてるのではないかと思うのだ。
例えば爆乳だったら金子ひらくのように爆乳だけを見せ続ければ爆乳の印象は強く残るだろうし、尻だったら木村貴宏のように肉感的に塗ることで情報量を増させるようにすればいい。
高村和宏のように特定部位への書き込みを増やすのも一つの手だ。
でも『閃乱カグラ』はどうだろうか。
どれも同じような書き込み具合だし、カメラは特定部位に縛られているわけでもない。塗り方についてもどれも似たような感じだ。
ジャンル名に「爆乳」とつけて、番宣でおっぱいに対して飽くなき冒険スピリッツを発揮しすぎる原田ひとみに「爆乳」と言わせるなら、ちゃんと「爆乳」というものに対するフェチズムを丸出しにして周囲がドン引きするような爆乳への偏愛を周囲の人間が黙るしか無いほどの熱意で描いてほしかった。
いやまだ終わってないから最後に何かあるのかもしれないけどさ!
俺はそういう「他の部分に視点がいかないストイックさ」が見たかったんだ! 一人の『閃乱カグラ』好きとして、そしてフェチアニメ好きとしてな!



今日書きたいことは大体そんなところなんだけど、今期一番のフェチアニメは『ラブライブ!』ではないかと愚考します。
あれの足への偏愛と性的な方向への舵を切らなさ加減は正直フェチアニメ好きとしては褒めるしか無い。
スタッフの中に足フェチでもいるのかとすら思ったが、京極尚彦が絵コンテ切ってることが多いし、作監が西田亜沙子だからどっちかが足フェチなんだろうなぁ。

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8件のコメント

[C1136]

今期ならGJ部もフェチ度高いですよ。スタッフのこだわりが伝わる良い描写が楽しめます。
  • 2013-03-16
  • オレマン
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[C1137] Re: タイトルなし

> 今期ならGJ部もフェチ度高いですよ。スタッフのこだわりが伝わる良い描写が楽しめます。

関西だと見られなくて辛いところです。
面白いと聞いてはいるんですけどねー
  • 2013-03-17
  • 水音
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  • 編集

[C1138]

ntvのオンデマンドでどこからでも見られますよ>GJ部

[C1139] Re: タイトルなし

> ntvのオンデマンドでどこからでも見られますよ>GJ部

oh……ネット配信を殆ど見ない状態だったので完全に盲点でした。
後追いですが、ちゃんと確認してきます!
  • 2013-03-18
  • 水音
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  • 編集

[C1239]

水音さんのラブライブ記事にラブライブの魅力を数割増ししてもらった身としましては
ノイタミナで放送されていたUN-GOの評価をお聞きしてみたいです。
ナマ言ってすいません。
  • 2013-04-23
  • 34
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  • 編集

[C1240]

>>34さん

ええと。コメントでやるような話でもないので総評になるんですけど、「よくあそこまで換骨奪胎し、連続性をもたせた上で、きちんと結城新十郎のドラマしているなー」とシナリオ面でまず感心しましたね。
また画面作りで視聴者に違和感を抱かせたり、色使いで耽美的に見せたりと、映像的な遊びに満ち溢れていて、映像と音声と脚本の三つが奇跡的なバランスで成立していた極上のエンターテイメント作品だと思います。
原作とはほとんど別物になっていたり、因果論を見ているとちょっとしたことが面白くなったりする辺り、かなり技巧派な作りだったなーと思いますね。
とりあえず風守が異常なぐらい可愛いことだけは正義だと思います。ジャスティス!

  • 2013-04-23
  • 水音
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[C1244]

回答ありがとうございます。
本放送を見ていた時はお、おう・・・ほほーくらいの感想だったのですが
新潟アニメマンガフェスティバルなるものに會川氏のトークショーと因果論の上映が企画されておりまして0話としての完成度に熱い手のひら返しをキメてその場でBDを購入してしまったクチであります。
水音さんの記事では漠然と頭のなかで(ほんの少し)考えたり考えられてなかった部分が明文化されているのでハッとしながら読むことがよくありますね。
語れるくらい真剣にアニメを分析するという観点も今後は頭に置いておきたいと思います。
ジャスティス!
  • 2013-04-23
  • 34
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[C1249]

>>34さん

まー俺も乱暴なことを言いたいだけですし、言語化好きなだけなんですけどねー!
  • 2013-04-24
  • 水音
  • URL
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