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「今この時だから」の作品の面白さについて

『アイアンマン3』『スーパーヒーロー大戦Z』が同時期に封切りと言うことで、「日本のヒーローとアメリカのヒーローを同時期に鑑賞できるのなら間を開けずに鑑賞するしか無いな」という意味の分からない理屈を掲げて、ちゃんと二本とも同じ日に見てきたわけだけど、『アイアンマン3』と『スーパーヒーロー大戦Z』。同じようにヒーロー大活躍映画なのに、何がここまで印象を変えているのか。
いやー『スーパーヒーロー大戦Z』は脚本が米村正二というちょっと警戒したくなる布陣だし、なにより前作の『スーパーヒーロー大戦』が俺の観測範囲内では絶賛する人はおろか「面白い!」と言っている人が見当たらなかったし、俺も見に行ったけどどうしようもないぐらいのダメな映画で「どうしてこうなった!」というしかなかったんだが、今回は相当まともな脚本だし、クロスオーバーの仕方にも違和感はなかったのでいいんじゃないかなぁ。
まあ初代ギャバンこと一文字烈が『ウルトラセブン』のキリヤマ隊長も真っ青の鬼畜作戦ぶっ立てた瞬間には「米村!」と思わないでもなかったが。まあそこと宇宙鉄人キョーダインの扱い方が相変わらず酷い事ぐらいしか叩くところはなかったし、なにより宇宙刑事だけでなくメタルヒーロー繋がりでジャンパーソンやブルービートとかビーファイターカブトまで出てきたのなら特に言うことはありませんわぁ。
一方の『アイアンマン3』は展開ありきで脚本が書かれているというか、脚本がとにかく駄目で設定の一貫性も整合性を取る気もない辺りが非常に残念な出来だったなぁ。
映像的な快楽度数で言えば非常に優秀だと思ったのだが。まあそのために脚本がお粗末な出来だというのだから残念な出来だと言わざるを得ない。映像的にはすげー面白かったんだけども。
あの展開だとトニー・スタークがアイアンマンを辞める必要がまるでないような。このあとアベンジャーズ2に繋がるわけなのだが、一体全体どうするんだろうなー。あと俺はマンダリンをああいうキャラ立てにするのだけはどうかと思った。
『ファンタスティック・フォー』のドクター・ドゥーム以来なんじゃないか、ここまで原典の設定を弄って元になっているキャラクターの魅力を歪めているキャラクターは。

しかし映画を見に行く度に思うんだけど、「この時この瞬間だから面白い」という事って結構あるんじゃないだろうか。
この「この時この瞬間」というのは「今学生だから」という主観的な部分と「こういうご時世だから」という客観的な部分があるのだが、主観的な部分というのは本当に「この時に見ておいてよかった」と思える作品というのが結構あって、例えば俺にとっては『舞HiME』とか『カレイドスター』とか『トップをねらえ!2』がこの「あの時に見ておいてよかった」という作品になるし、あの時見ておかなかったら多分そこまで好きな作品になっていなかったと思う。
『舞HiME』は「サンライズが初めて萌えアニメを作った!」という話だけを聞いて「サンライズが萌えアニメ?」という気持ちで視聴し始めた作品だった。

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案の定「萌えアニメ」というより「燃えアニメ」だし女の子は死にまくるし、百合を通り越しているキャラもいるし、中には今で言うところのヤンデレの領域まで両足突っ込んでいるキャラもいるわけなのだが、「後からそういう作品と思って見る」のとはまた違うと思うし、今もし見なおしてみてもそこまで衝撃は受けないと思う。

『カレイドスター』は夕方のあの時間にやってくれた事で純粋にのめり込むことが出来た部分はあるなぁ。今だと大体録画して空き時間に消化になってしまうから『カレイドスター』を毎週リアルタイムで追うことが出来たのはあの時だからだろうし、だからこそ感動があった。

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あとは『ジュラシックパーク3』『ターミネーター』辺りも幼少期に見ておいてよかった映画ではあったなぁ。今見ると安っぽいし脚本の粗が気になると思うのだが、そういうことを気にしないうちに見ておいたことで魅力に気づけた部分はある。
特に『ジュラシックパーク3』。
今改めて見てもそんなに面白いとは思えないし今の映画に比べると雲泥の差だ。酷い映画だし当時の最先端は今見ると相当古臭い。当たり前の話だが、当時の俺はこれを面白がっていたわけだし、これを面白がるセンスが今の俺に繋がっているんだと思うと人間の感性ってそんなに変わらないんじゃないかと思うこともある。
というか俺がここ最近で買った映画のBDが大体B級ボンクラ映画ばっかりなので、多分人間の本質的な感性というものはそれほど変わらないのではないのだろうか。
ある程度変化するものではあるし、アンテナ感度自体は鋭くとがらせることは出来るとは思うのだが、持って生まれた感性というものはやっぱりどうしようもないような気がするわけで、『千と千尋の神隠し』を劇場で見ずによりにもよって『ジュラシックパーク3』を優先して視聴するような人間は、そりゃ「昨今の劇場版アニメブームで一番面白かったのは『トライガン』だと思う」とか書くわな。俺のことだけど。

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この間改めて見なおしたけど、やっぱりこれは傑作の一つな気がする。

あと『ダークナイト』とか『魔法少女まどか☆マギカ』とか『コードギアス』とか「こういう時代だから面白い」という作品群についても書いておくけど、そういう作品はその時代時代ごとの空気感や製作された国の空気感というものを文脈に織り込んでいることが多いよなぁ。
アメコミだけど『ウォッチメン』とかまさにそういう作品で、これ単体でも大傑作であることは保証できるのだが、冷戦下のアメリカで誕生した作品であることを意識しておくと『ウォッチメン』という作品の中で作家が伝えたかったものというのが浮き出てくる。

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『ウォッチメン』は「正義とは何か」や「ヒーローとは何か」という普遍的なテーマを扱っているとはいえ、やはり米ソの冷戦下というある種の閉塞感を持ったアメリカ社会を舞台にしているわけで、そこに対する理解をしておく事こそがこういった作品を面白くしている部分はあるし、クリストファー・ノーランの『ダークナイト』三部作は「今のアメリカ」というものを扱っている作品であることを強く意識しておく必要が有る。
そういう意味では「テロリストを敵にしにくくなった」と言われる現在の「ハリウッド映画」ってきちんとテロリスト側の思想まで描いた上でのドラマ構成になっていることが多くて、単純明快な悪党としてのテロリストというのは鳴りを潜めた部分があるし、『トゥルー・グリット』とかみたいな西部劇や『リンカーン』とかみたいなアメリカの父とまで呼ばれるような人間を主人公にした作品が最近になって増えてきたのは、「原点に立ち返る」という動きが起き始めているのかもしれないと言える。

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本当のところはわからないけど、少なくとも『トゥルー・グリット』の原作にあたる『勇気ある追跡』はアメリカの教科書に載るレベルの作品なわけで、そういう意味では「アメリカ人の精神」というものを「もう一度描き直している」というのが『トゥルー・グリット』の最も面白いところなんだと俺は思っているし、エイブラハム・リンカーンがやたらと最近映画化されているのはそういう理由もあるんじゃないかな。
「正義なき世界」というのは9.11のテロ以降ずっと叫ばれているし、実際問題としてアメリカは9.11以降完全に「世界の警察たるアメリカ」という立場を失っているわけで、そんな立場も正義も失ったアメリカが再び立ち上がるために「自分達の原点」を探し出し、「もう一度定義する」という作業に入ってるんじゃないか?とはここ最近のリンカーンブームを見ていて思うところである。
まあ中には吸血鬼と戦ったりゾンビと戦ったりするリンカーンもいるんだけど、そういう出自が出自なだけに不明な過去があるからこそリンカーンはアメリカの象徴的存在なのではないだろうかと思うし、先日起きたボストンマラソンのテロ行為を受けて「テロというものはどこにでも起きる可能性がある」という危機感が生まれつつあるようなので、その辺りの「危機感」というものが作品の中でどういう形で反映されて来るのかどうかも不謹慎ということは理解しながらも映画好きとして気になるところだし、そういう「時代」や「社会」の問題を描いている作品というのはやっぱり「発表されたタイミング」で見ておいた方が理解しやすいので出来る限り見に行きたいところなのでクリストファー・ノーランの『マンスティール』はちょっと期待していたりする。
『ダークナイト』三部作でバットマンを描いた彼がアメリカの象徴的ヒーローであるスーパーマンを描く!というのだから、見に行くしか無いわな。

あーあと単純に「公開されている」という事自体がお祭りとなる作品もあるので、そういう作品はまあ空気感も考えると出来れば公開期間中に劇場で見ておくほうがいいかもしれない。
最近だと『エヴァQ』とかその類で、「エヴァンゲリオン」というお祭りなのでそのお祭りに参加するために見に行くというか。
そういう意味では宴もたけなわということで『シン・エヴァンゲリオン』は絶対に見に行かないとなぁ。その前に俺は『エヴァQ』のBDを買うべきだけども。樋口真嗣・鶴巻和哉絵コンテ美味しいです。

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でも俺が直近で見に行くのはウォン・カーウァイの『グランドマスター』だし、その次はトッド・フィリップスの『ハングオーバー3』だし、『パシフィックリム』も見に行くつもりだ。しばらくは映画館に通うことになりそうだなぁ。
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2件のコメント

[C1281]

作品の良し悪しを判断する際に受け手のコンディションが影響を及ぼす事はありますよね
そういったタイミングを逃さず良い作品に巡り合えるようにしたいものです

ところでアメリカのテロは9.11では

[C1282] Re: タイトルなし

これだけ様々な作品が公開されている今という時代において、作品と出会うことは一期一会何じゃないかと思うことはありますねー。

そしてそこについては完全に誤字ですね。雑文のつもりであっても推敲をするべきであります。
  • 2013-05-02
  • 水音
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