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仮面ライダー龍騎とそのフォロワー群を隔てるものについて

youtubeの東映チャンネルでこっそりと配信されていた『仮面ライダー龍騎』が最終回を迎えたのだが、今『龍騎』を見なおしてみると『仮面ライダー龍騎』と『仮面ライダー龍騎』に影響を受けたと思われる作品群・フォロワー群との間に大きな隔絶があるような気がしたのでちょっと思いつきがてら書いておこうというのがこの記事の趣旨である。
そしてこうして趣旨を最初に書いておくことということは話が横道にそれがちな自分自身を戒めるための、精神的ドMのような行為であり、同時にそれはあんまり横道にそれないようにしたいという願望の現れであることも付け加えて書いておく。


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平成ライダーの第三作である『龍騎』は「自分の願いを叶えるために仮面ライダーとなった者達によるバトルロワイヤル物」であり、現代ドラマのリアリズムを持ち込みながらもあくまで物語の骨子としては人類対怪人という構図だった『クウガ』『アギト』とは明確に異なり、人間同士の競争と人間関係にドラマの焦点を当てたその作劇と「願いを叶えるためにたった一人になるまで仮面ライダー同士が戦い続ける」という設定により人気を集めたシリーズなのだが、この『龍騎』の「願いを叶えるために一人になるまで戦い続ける」という導入設定は様々な作品に影響を与えていき、有名どころでは奈須きのこ・TYPE-MOONの代表作となっている『Fate』なんかも『龍騎』の影響を受けた、いわば龍騎フォロワー作品というべき作品の一つだろう。
しかし『仮面ライダー龍騎』と龍騎フォロワー作品群とでは明確に異なることがあって、それは「仮面ライダー龍騎で描かれている存在」というのは「いい歳をした大人である」ということで、龍騎のフォロワー群の殆どが思春期の少年少女を主人公としている点を考えると龍騎ならではの要素であるといえるだろう。
仮面ライダー龍騎の作劇面における魅力の一つとして、ライダーとなる存在はいずれもそれなりに立場がある大人たちであるということがあって、シザースのような警察官やゾルダのような弁護士、TVSP版において登場するベルデのような実業家など、社会的立場がしっかりとしていて世間的には成功者と呼ばれる人間達までもがライダーバトルに参加しているのだがこの作品においてライダーバトルに参加する=叶えるべき願いを持つということに他ならない。
彼らはライダーバトルでしか叶えられないような願いをもって、他の参加者を倒そうとしているのだが、その願いというのはゾルダは不治の病にかかっていることから不老不死を望むし、ベルデは超人的な力を望んでいることからも分かる通り、その多くが「子供じみた願い」であって、そうした子供っぽい夢をもった立場ある大人達が子供のように「他者を排除することで願いを叶えようとする」というところが、『仮面ライダー龍騎』という作品を「シリアスなドラマ」に見せている。
また大学生や大学院生だったタイガやガイについても同じ事が言えて、「ヒーローになりたい」という願いをもつタイガなんかは「大学院生にもなった人間のヒーロー願望」と言うことで非常に狂気的かつ危なかっしい描き方をされていたし、ガイの「ゲーム感覚での参加」についても彼のその幼児性とでもいうべきゲーム感覚は「殺人を引き起こすゲームの製作」という形できちんとシリアスに表現されている辺りも押さえておきたいのだが、そういう「大の大人が子供っぽい言動や振る舞い、そして子供みたいな願いというもののために戦う」という事とそして「子どもじみた願いであるからこそ、大の大人がそれを口にする事をシリアスに見せた時に願いにかける切実さや思い入れの強さというものが強く現れる。この辺りこそが『仮面ライダー龍騎』の作劇面での魅力ではないだろうか。
そうして見ていくと龍騎のフォロワー群が「歳相応の願いを持つ思春期の少年少女」を主人公とする限りは『龍騎』で描かれる「大の大人がやっていること」というシリアスさと願いにかける思いの強さには届かないだろうし、この点については大の大人が聖杯をめぐって殺しあう『Fate/Zero』についても同じだといえる。
というか『Fate/Zero』に登場する参加者たちはいずれも大人らしい願いだという辺りを考えると、『龍騎』と対極に位置する存在のようにも感じられる。

また『龍騎』の落としどころとして「他人の命を犠牲にしてまでも叶えたい願いは意外と存在しない」というところも『龍騎』の良さではないかと思う。
この辺りの面白さは不治の病にかかり不老不死を望むゾルダが好きになった相手の幸せを願った果てに「ライダーバトルなんてどうでもよくなった」と口にしていることや、ライダーバトルとは自分の命を救うために兄が仕組んだことであるということを知ったヒロインが戦いを否定し、兄を説得している事からもよく分かる。
この辺りのテーマの掘り下げ方と結論において「そもそも他人を犠牲にしてまでも叶えたい願いなんて存在しない」と言い切ってしまう辺りに小林靖子の恐ろしさが分かるし、「願いを叶えるために戦う」という龍騎フォロワー作品群の多くが「願いを叶える=良くないことが起きる」としている中では異質だと感じるところである。

当時は何となく凄いものを見たという気になっていたが、龍騎と龍騎フォロワー群とではこの辺りの「大の大人がやること」と「願い自体の否定=戦うこと自体の否定」が違いを分けているのではないか、ということがこの半年の間龍騎を見続けて俺が思ったことだ。
あとやっぱりそういう意味では龍騎の独自性というのは今でも通用することのように見えた。特に「願う事自体が否定される」というところとか、ちょっと凄いんじゃないだろうか。



なお今週からは『仮面ライダー電王』が配信開始している。
平成ライダーというもののターニングポイントとなった大傑作である『電王』。最初からかなり完成度の高いエピソードを展開していて、まさに「最初からクライマックス!」なので是非とも見ていただきたい一本である。
まあ一週間に二話なので割と見やすいと俺は思うね!
だから次は『デカレンジャー』を是非……!
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4件のコメント

[C1305]

龍騎はまどマギにも影響を与えてると聞きますしね。
個人的にあの結末でどうしてもセラムン一期の最終回を思い出してしまうのですが…。

[C1308] Re: タイトルなし

>>まどマギ

まどマギは龍騎もそうですが、ブレイドなんかも影響を受けている気がしますね。

>>セーラームーン

ああ、言われてみれば。
そういえばセーラームーンもリメイクの製作が発表されているわけですが、リメイク前と同じ落としどころになった時にどういう反応をされるのかは気になるところです。
  • 2013-05-21
  • 水音
  • URL
  • 編集

[C1309]

Fateのプロトタイプは今40前の奈須さんが学生時代に書いたはずなので、少なくとも書かれたのは龍騎より前だと思いますよ~。

[C1310] Re: タイトルなし

プロトタイプから現在の形に落ち着くまでの過程に影響は受けてますよね、という話ですね。
当時のインタビューでそのようなことを話していた記憶があるんで。
  • 2013-05-21
  • 水音
  • URL
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