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ホビーアニメの作劇的な理屈付けについてのメモ

Togetterでこういうのがまとめられていたので読んだわけなのだが。

Togetter - ヴァルヴレイヴがネタアニメに見える層って何が見えてるの?

このまとめの趣旨についてはヴァルヴレイヴの話なのだが、今回の話には関係ない、どうでもいいことなのでおいておく。
個人的に引っかかったのはこのまとめでも悪い見本的に取り上げられているホビーアニメについてなのだが、「ホビーアニメのリアリティ」というか「あらゆる問題が玩具の対決に収束する作劇」を「お子様レベル」で「理屈として成り立ってない」と扱う意見がしばしば見られる。
しかし多くのホビーアニメにおいて「あらゆる物事が玩具によって解決される」という作劇に対して作品の中できちんと説明されているということは忘れられすぎなのではないだろうか。

例えば『遊戯王』という作品群は多くの物事が子供玩具の象徴ともいうべきカードゲームによって解決するし、世界の存亡をかけた戦いですら、突き詰めていけばカードゲームの勝敗によってすべてが決まる。


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カードゲームによって死んだりするのが遊戯王という世界なのだが、遊戯王におけるカードゲームというものは超古代の神やら精霊やら悪魔やらの力の象徴である石版が元ネタになっていて、カードを経由してその力を引き出していると言うことになっている。
そうして考えていけば「神や悪魔の戦いを既存のカードゲームという枠組みに落としこんでいる」というわけなので、そりゃ人の命を左右するし、世界の存亡の危機を迎えてもおかしくないのではないだろうか。
また『ダンボール戦機』ではLBXという玩具が登場し、主人公達がこの玩具を使ってあらゆる事件を解決するし、初代のダンボール戦機に至っては「総理大臣を暗殺するための玩具対阻止しようとする玩具」という構図を展開していたわけだし、玩具を通じているとはいえ、ダンボール戦機の作劇としては「テロリストとの戦い」なわけでそりゃ現代社会を脅かす事件になっても不自然ではないといえる。


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と言うか作中でも「人を怪我させるような存在」としてLBXは描かれているわけで、そんなものを子供向け玩具として扱うなよ!というツッコミはあれども「玩具同士での戦いが社会の存亡をかけた戦いになっている」という観点については一応説明できているではないか。
極めつけは『バトルスピリッツ』シリーズになるが、この作品ではカードゲームによって戦いは決着するものの、そもそもそのカード自体が兵器的側面を持つ事でカード同士の戦いに戦争的側面をもたせているわけで、そうして見ていくと「カードゲームによって物事が解決する」ということには特に矛盾はないと個人的には思う。
この辺りをもっと露悪的にパロディにした事例としてまとめ中にも取り上げられている『カブトボーグ』があるのだが、カブトボーグの何が面白いかというと「ホビーアニメにありがちな最終回」というものをきちんとやっていることで、「ボーガー同士の戦いが世界の存亡をかけた戦いになる」ということについても何度となく起きているが、その全てにおいて「なぜ玩具での勝敗が世界の存亡につながるのか」ということもきちんと説明されていて、であるからこそ『カブトボーグ』の「毎週最終回」というコンセプトが「毎回玩具での勝敗=世界の存亡という図式に対して説明される」という事で「あらゆる方法で世界がピンチになるが、玩具によって救われる」という作劇の面白さにつながっている。
そうして見ていくと、「ホビーアニメにおける世界存亡へのプロセスや物事に対する理屈付け」というものは存外にしっかりしており、「なぜ玩具にあらゆる事象が収束していくのか」ということはきちんと作中の中で説明されているのだ。
そしてその理屈を大の大人が真剣な目で語ることでリアルに感じられるように描写されており、そういう意味では「ホビーアニメではよくあること」はホビーアニメ以外でも十分に通用する――というか作劇における基本的な理屈の通し方であって、「ホビーアニメのありがちは他の非常識」というのは結構おかしな論理ということになる。

大体「ホビーアニメのよくあることはそれ以外の作品にとっての非常識」という理屈は『マクロス』シリーズにおける「大体の物事は歌で解決する」という事にも当てはまる。
理屈の通し方という意味でなら『マクロス』も多くのホビーアニメも全く同じ通し方をしていて、マクロスにおいても「歌えば分かり合えるはずだ」ということを大人が真面目に言う事で「歌で分かり合う」ということをシリアスなものへと変換しているわけで、この点に関してはマクロスも多くのホビーアニメも全く同じ理屈の通し方をしていると言える。
「あらゆる物事は歌で解決する」という『マクロス』と「あらゆる物事は玩具で解決する」というホビーアニメと何が違うというのだろうか。
単に自分自身が成長したことで「玩具に物事が収束していく様子」をリアルに感じられず、真面目に受け止められなくなっているだけなのではないかと個人的には思うわけなのだが、この辺りについては『イナズマイレブン』や『テニスの王子様』においても同じ事が言えるような気もする。

兎にも角にも、ホビーアニメというものにおける「物事が玩具に収束する」と言うことに対する理屈付けはきちんとされていて、「ホビーアニメは理屈が通らない展開が度々起きる」みたいな事はレアケースじゃないだろうか。
俺が見ているアニメも大概偏っているが、少なくとも『ダンボール戦機』とか『イナズマイレブン』とか『カブトボーグ』とか『メダロット』とかあの辺のキッズアニメを見ても、特におかしいと感じることはなかったぞ。

余談。
なお俺はホビーアニメというものを割りと高く評価している方で、玩具が売上が大事なホビーアニメでは作劇面における縛りというものが緩いように思われる。
その辺りを逆手に取って思いっきりヘビーな話を展開しているのが『遊戯王』で、『GX』ではスクールカーストが明確に、そして厳しい形で存在しているデュエルアカデミアに入学した遊城十代の学園生活を通して、デュエルアカデミアに通う生徒達の有り様が変化していく様を描いた大傑作であった。
勝っても負けても「楽しいデュエルだった」と口にする遊城十代の立ち振舞は、勝利至上主義を掲げるデュエルアカデミアにおいて、「勝敗だけが全てではなく、楽しむことが何より大事なんだ」という精神を説き、彼の行いは様々な形で彼を支える力となっていった。


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また『5d's』ではディストピア的で登録市民制による「貧富の差」というものを描いておきながら、それらを超えた社会構造の構築まで描き切っていた快作であったし、現在放送中の『ZEXAL』では人外生命体とのファーストコンタクト物の特徴まで持ち込んでいて、なんかもうなんでもありという感じはするが、それに対する描き方は「子供向けだから」という甘えを一切感じられない真摯なものだった。
ホビーアニメだからと侮る前に、そこに描かれているものがどれだけ真面目な話で、そんな真面目な話を真面目に見せるためにどれだけ真剣に理屈を通しているかということまできちんと見てほしいところである。
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