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『エロゲー文化研究概論』エロゲ文化と歴史と現実の影響力について

色々忙しくて書いたものの上げるのを忘れていたので、いい加減書評として上げておく。


エロゲー文化研究概論エロゲー文化研究概論
(2013/01/26)
宮本直毅

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みやもさんの『エロゲー文化研究概論』読了。
この本は「エロゲー=18禁アダルトゲーム」が誕生してから今までの歩みを「エロゲー文化」という括りでの通史という形で論じている一冊なんだけど、一エロゲーマーとしてもオタクとしてもなかなか興味深い内容だった。
「エロゲ」というものが世に生まれてから様々な作品が発表されており、その都度エロゲ業界内外に多大な影響を与えてきたことはここ十年の歴史を遡ってみても間違いないことだろう。
例えば『fate』『月姫』なんかが登場した時や『ひぐらしのなく頃に』が登場した時には多大な影響があって、この本にもその辺の「エロゲ内外のオタクカルチャーにおける変化」というものはきちんと触れられているんだけど、この本の面白いところはそうしたメインカルチャーやサブカルチャーにおける影響だけでなく、現実世界における規制や事件がどのようにエロゲに影響を及ぼしていったかまで通史として記しているところだろう。オウム真理教によるテロ事件――地下鉄サリン事件というものがあったのだが、それ以前までのエロゲでは度々登場していた新興宗教やカルト宗教というものが、地下鉄サリン事件は「メインとして据える」ということはおろか「触れることすらも細心の注意が必要になるもの」へと変わっていき、殆どタブー的なものになった(後にアニメ作品ではあるが『輪るピングドラム』で登場して、ようやくエンターテイメントの中で用いる事に関しては許された感がある)という事や所謂18禁作品に対する規制の流れなど、「現実や社会が作劇においてどういう変化をもたらしたのか」ということを経緯も含めて「エロゲの歴史の一部」としてまとめている事で、現在にまで繋がる流れというものが見えてくる。
歴史というのは一部分だけ切り取って成り立っているわけではないので、こうして一連の流れとして見せてくれることで「今あるもの」というものが「大きな流れの果てに生まれたもの」で、そこにはその流れの中で変わっていったものの趣きというのが見えてくるのだが、この本がやっていることというのはまさにそれで、「今のエロゲというものがどういう流れを経て生まれたのか」というのが通史という形で語られる事で、「生まれるべくして生まれたもの」という感覚へと変えてくれる。
エロゲというのは長く愛されてきたものなだけあってそれなりの変化はあるし、またアリスソフト・エルフの誕生というものが、今から考えると「歴史小説における有名武将の登場」みたいなノリに見えてくる辺りはかなり面白い。
歴史というものは後の人間が振り返るものなのだから当然といえば当然なのだが、そういう「今振り返ってみる事で、今あるものに繋がる何かが大きなものに見える」というのも「歴史を振り返ってみる」という事の面白さなわけで、「エロゲの通史」として語るこの本はそういう意味ではきちんと歴史を振り返っているような気もする。
また所謂特定の萌え属性ブームについても触れているところも面白い。
例えば妹ブームやヤンデレブームなどなど、その辺りのオタクカルチャーの中における流行り廃りについてエロゲ文化という観点で触れることで、それらのブームや業界全体のムーブメントとの兼ね合いなんかも見えてくる。
あと大きな流れを作り上げたクリエイターやブレンドなんかもちゃんと触れてる辺りも押さえておきたいなぁ。
割とピンポイントで取り上げられることはあっても、その人やブランドというものがどういう立ち位置でどういう特徴がある人なのかということを、歴史という大きな流れの中で語っているテキストは本当に少ないのだが、この本では「代表作が何か」ということから「どういう事をして、どういう影響を後進に与えたのか」ということまでやっていて、読み進めていく事で「あの人の影響がこういう人を出してきた!」みたいな部分もあって「エロゲー文化」というものを考える上で基本となる事柄を通史という形で描いたことで、そういう部分の連続性が感じられるようになっている。
『エロゲー文化研究概論』というタイトル通り、エロゲ文化というものを考える上で大事なことを網羅しているんだけど、単純に読み物としても面白いのは「エロゲの文化史」という側面があるからで、「エロゲは文化なんだ!」ということが読み進めていく上で理解できるんだけど、これも文化として確立されるまでの一連の流れ、経緯というものがあって、その流れ=歴史があるということを記しているからなんだよなぁ。
そういう「歴史」というものを一部分を切り取るのではなく「概論」「通史」という形で見せている辺りはスゴイ仕事だと思うし、今後を考える上でも面白い読み物なんじゃないだろうか。

発売から四ヶ月も経過した状態で書くような話でもないのだが、面白い本だとは思うのでエロゲに興味ある人もない人も一読する事を薦めたいと思ったので、今頃上げておくことにしたのである。



ところでエウシュリーの『魔導攻殻』はユーザーインターフェースはクソだが、ゲームとしては相当頑張ってたと思うので結構好きなエロゲだなぁ。
まあヒロイン云々よりも内政に力入れすぎて内政バカと化していたんだけども。


魔導巧殻~闇の月女神は導国で詠う~魔導巧殻~闇の月女神は導国で詠う~
(2013/04/26)
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こういう結構本気のゲームが出てくる辺りもエロゲの面白さだよなーという適当なことを書いておくのだわ。
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