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今までの『アイカツ』とこれからの『アイカツ』について

ここ最近の『アイカツ』が行なっていたトライスター編があまりにも素晴らしかったので、HDDに眠っていた1話から最新話まで見返してみたのだが、やっぱり面白いなぁ『アイカツ』。

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この一年ぐらいでアイドルなどのショービズ業界を題材とした作品で最高傑作は『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』だと思っているけれど、『アイカツ』はそこに匹敵する、というか毎週の面白さという観点では『アイカツ』の出来というものは毎週かなり高い水準でまとまっているし、キッズアニメがよくやる道徳的・倫理的な、言ってしまえば綺麗事的なメッセージというものもきちんとアイドルアニメのフィルタを通したメッセージに変換している。
その観点で言えば『アイカツ』は間違い無く傑作級の出来なのだが、今回のトライスター編の落としどころとして「アイドルとしてオーディションに勝つことも大事だが、人を楽しませることはもっと大事」というかえで、そして「何があっても他人に流されない、自分らしい魅力を与える」と宣言した紫吹蘭がトップアイドル・神崎美月の作る新ユニット、トライスターのメンバーに選ばれるなど、今までの展開を踏まえたドラマ展開と収束のさせ具合に感動するし、そうしてオーディションに破れて、今まで友人だった紫吹蘭との別れたいちごやあおい達がどういうアイドルになっていくかを考えると、今傑作が生まれる瞬間に立ち会っているかもしれないという感覚すら覚える。
この辺りからしても『アイカツ』という作品の出来は異常なのだが、見返してみると『アイカツ』の面白さというのはきちんと段階を踏まえて物語が動かされていることに気がつく。
アイドルを知らなかった星宮いちごが友人である霧矢あおいと共にトップアイドル・神崎美月のライブに行き、本物のアイドルの凄さに憧れ、アイドルを養成する学校、スターライト学園へと編入を決めてからの一連の流れというものは、アイドルというものをよく知らないいちごの視点を通じて「アイドルって一体何をするものなのか?」ということを展開していく、所謂お仕事体験物のフォーマットに近い物語になっているのだが、そんな中で繰り返し提示される「オーディションという競争システムが生み出す勝者と敗者の存在」や「アイドルというのは一人で成立するものではなく、『ファンがアイドルを応援するからアイドルが頑張れってファンを応援できる』という、アイドルとファンの関係性」、そして「アイドルが活躍する裏側で努力し続けるスタッフ達の存在があってこそ、アイドルは輝ける」というお仕事としての側面まで、段階を分けて様々な視点から描くことで「アイドル」という単語からはピンと来ない存在についてロードマップを引いていく。
そんな中で徹底されているのは「アイドルはスタッフやファンがいるからこその存在で、そのことを忘れてはいけない」というプロ意識の存在で、このプロ意識があればこそ「オーディション」という『アイカツ』世界におけるアイドルの競争原理の意味が提示されるし、「勝った人間の果たすべき義務」というものにまで及ぶ「アイドル」がファンと同じアイドルに対して果たすべき誠意というものが描かれる。
17話までのテーマというのはそういった「プロ意識」と「その誠意の果たし方」という奴で、だからこそアイドルは自分達を応援してくれる今までのファンやこれからファンになってくる観客達、そして自分達を支えてくれるスタッフや自分を信頼してくれるスポンサーや衣装をデザインするデザイナー達の思いに答えるべく日夜努力を積み重ねているのだ!とアイカツの序盤で主なテーマだ。
そうしたテーマがひとつの形として提示されるのが16話・17話のスペシャルライブの話で、トップアイドル・神崎美月との対話、そして今まで展開してきた全ての要素が収束していくスペシャルライブの中で「新人アイドル・星宮いちご」として活躍してきたいちごに「新人だから」という甘えに頼りきっていいのか? それで悔しくないのか?ということを問いかけ、「なぜ自分はアイドルとしてステージに立ちたいのか」ということを自分の中で考えさせる。
「スペシャルアピールを三回出す」というのはトップアイドル・神崎美月にしか出来ないことだと何度も繰り返させていたところも興味深い。
そうして「神崎美月にしか出来ないこと」を繰り返して言わせた後に、それをやらせようとするということで、一度試すような作りになっているのだが、もっとスゴイのはそうした「出来ないかもしれない事」を「失敗を恐れるな!」という前向きなメッセージ性を「そこで止まらない事で見える世界」というものを見せること、そして神崎美月の凄みというものを身近な視点で描き直すことで、神崎美月というアイドルの格を更に高め、「それでもその後を追う」ということを決意する星宮いちごのドラマの熱さが際立つのである。
またこの段階で「アイドルの活躍する場所は多様である」ということを提示し、「自分にとって重要なステージというものは千差万別だ」ということを描いているところも興味深いところで、劇中劇である「イケナイ刑事」のオーディション回で登場するアイドルは「自分に自信がなく、何もない自分だからこそ、何かになれる事に対して人一倍努力する」という演劇やドラマに比重をおいたアイドルだし、その一方で三ノ輪ヒカリのように「表舞台には一切出て来ず、ネットを中心に活躍するアイドル」というものを登場させることで、全てのアイドルが綺羅びやかなステージに立つ事や歌って踊る事を主な興行にするアイドルではなく、アイドルという世界は様々なステージがあって、そのステージごとを特化的にしているアイドルの存在はアイカツの世界のアイドルというものが「これをしていればいい」というものではない、大変な「職業」であることを感じさせる。
18話以降の中盤を支える物語というのは、そうした「多様なアイドル像だからこそのアイドルとしての在り方」というやつで、19話から登場する藤堂ユリカの特定ブランドの魅力を伝えるための吸血鬼という設定などからくる「アイドルとしてのキャラクターの作り込み」や北大路さくらのような「自分の得意とするものを混ぜ込んだアイドル像」というものに繋がっていく。そうした「多様なアイドル像」とそこからくる「アイドルとして個人個人が考える理想のアイドル」という事を進級などを交えることで、「アイドルになる」から「どういうアイドルになりたいか」というアイドルとしての一段階上のドラマのように感じさせる。
その一方で序盤を支えた「お仕事」という要素も健在であり、ドラマ編では本格的にドラマデビューすることになったいちごを通じて、「役者」というものについても挑戦的なドラマをやっているところも押さえておきたい。
こうした「アイドルってなんだろう」というテーマを、「アイドルとしての成長物語」という縦軸のドラマを段階的に進めながら、「アイドルはどういうことをするのか」という職業体験的な横軸のドラマを並列的に描く横軸のドラマというのがアイカツのシリーズ構成の面白さで、この立体的な構成は「同じような題材」でも視点が変わることで全く別のドラマを展開しているように見える。
視点となるキャラクターが変わるのではなく、キャラクター自身の成長がそもそものドラマの在り方というものを変えるというのはアイカツの面白さの一つで、そんな立体的な構成が生み出す「初めての頃よりも成長したからこそ、更に高みを目指す」という成長物語をよりドラマティックに見せてくれる。
そして最近まで展開されていたトライスター編はそんな多様なアイドル像を登場させ、立体的な構成を用いて成長を描いてきた中盤のドラマを締めくくるに相応しい物語だった。
トライスター編はトップアイドルである神崎美月がユニットを結成することになり、そのためのパートナーを探すというオーディションが開催されるというものだったのだが、その結末としてはアメリカからやってきたアイドル、一ノ瀬かえでと、そして星宮いちご、霧矢あおいの友人でありずっと一緒に努力してきた紫吹蘭が選ばれるというものだったのだが、この展開というのもある意味当然の帰結だったように思う。
一ノ瀬かえでというアイドルはアイドル同士の勝負の場所であるオーディションですらステージだと言い切り、周囲を楽しませることを何よりの理想とするアイドルであったわけなのだが、最後の一人を決める「今度こそファイナルオーディション」で紫吹蘭がいちごやあおいを差し置いて選ばれたのは紫吹蘭にはあって、星宮いちごと霧矢あおいにはなかったものだろう。
蘭にあっていちごやあおいにないものというのは「神崎美月を憧れのままにしておかない」という覚悟だったのではないかと思うのだ。
憧れという感情は確かに素晴らしい感情だし、重要なモチベーションではあると思うのだが「憧れる」というのは自分を相手から下だと見ているからこそ生まれる感情であり、自分の中の理想像を他人に代役してもらうということなのだ。
いちごやあおいの理想像で憧れのアイドルというのはトライスターを結成することに決めた神崎美月なわけなのだが、ユニットにおいてユニット内に「憧れを置く」ということは、それはすなわち「自分自身をその憧れの対象より格下で、輝きの劣る存在」としているということであるし、それは憧れの対象のために自分を引き立て役にしておくということなのだ。
それ自体は悪いことではないのだが、神崎美月が求めるのは「究極のステージを作るためのパートナー」であって「自分を引き立てる存在ではない」。トップアイドルというのはアイドルからも憧れられて当然の存在であるということを差し引いても、神崎美月が求めたのは「自分を憧れのままにしておかない存在」であったのだろう。
そんな中で紫吹蘭は「どんなことがあっても自分は自分である」と表明し、神崎美月に憧れるままではなく、また神崎美月を理想像としておかない「自分の求める理想像を歩く紫吹蘭」の存在を輝かせた。
結果的には自分があおいやいちごに投げた「仲良しでいられるのは今のうちだけだよ」を自分自身で証明してしまう形となってもだ。
だからこそ紫吹蘭はトライスターに選ばれるわけなのだが、そうした展開を考えていくとやっぱりいちごとあおいが自分に理想像を見つけていくのが今後のアイカツのドラマになるんじゃないかと思うのだ。いちごやあおいはどれだけ頑張っても神崎美月本人にはなれないように、彼女達は彼女達が目指すアイドル像というのを探す必要があるとは思うのだ。
この点では藤堂ユリカや北大路さくらや有栖川おとめというのは既に見つけているように見えるし、ドラマとしていちごとあおいから始まった物語がこの二人の物語に集約され、「アイドルになりたいと願った者達が、どういうアイドルになるのか」というドラマの着地点としても面白いとは思う。
個人的にはOPで何度も伝説のアイドルであるマスカレードが登場していることや、何度も描写されているあおいの指導者としての素質、そして「二人で一緒にトップアイドル」といういちごの言葉に考えてしまうあおいなどの描写から考えると、「二人で一緒にトップアイドル」になるというマスカレード再来という流れになってくれると面白いのではないかと思うが、アイカツもそろそろ終盤に向けて物語が加速していく頃合いで、神崎美月は一ノ瀬かえでや紫吹蘭と共にトライスターというアイドルユニットを生み出した。
そんなトライスターが『アイカツ』世界のアイドル達にどのような影響を生み出していくのか。
そしてそんな影響がいちごやあおいをどのように変えていくのか。
また『アイカツ』では「芸能界」という過酷な競争社会を描写しておく一方で、アイドル達は「負けても次につなげようとする」という負け方が徹底されているのも面白い。ただ負けるのではなく、次のオーディションに繋がるように負け、負けてもそれを必ず次につなげようとする中で、今回敗れた者達は何を思い、何を次につなげようとするのか。
今、伝説が生まれようとしているのかもしれない。

それはさておき、アイカツ関連楽曲の耳心地の良さは作業の際に流しっぱなしにしているぐらいには好きだなぁ。
早く『ダイヤモンドハッピー』を聞きたいわ。

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3件のコメント

[C1328]

アイカツ面白いですよね、トライスターオーディションも最高潮の盛り上がりでした
ただ、いちごとあおいが美月にはなれないとするなら、マスカレードの再来にもなって欲しくないと思うのです
それは新生マスカレードの誕生は二人の理想ではなく、理事長の理想という気がするからです
自分がアイドルだった事を最近まで話さずに、いちごの意志を尊重するりんごさんを見ると
当事者達のすれ違いを仄めかしていると感じてしまいます
いずれにせよこれからどうなって行くのか楽しみです
  • 2013-06-16
  • 名無し
  • URL
  • 編集

[C1331]

>>名無しさん

なるほど。確かにマスカレードをそのまま受け継ぐというのは理事長の理想形ですし、それを超えて欲しいというのはありますし、すれ違いをあおいやいちごといった「次代の存在」が持ち込んでほしくないというのもありますね。
そこを解消した別の存在になってくれると熱いっすねぇ。
  • 2013-06-17
  • 水音
  • URL
  • 編集

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