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『ガルパン』と「皆」と「戦車」について

ふとした瞬間に作品鑑賞時に感じていた面白い「何か」が理屈で説明できるということが本当によくあることなのだが、そういう時のためにブログが有るのだと思うと凄く気楽でいいわぁ、とか思う今日この頃でちゅわ。
ちなみに今回説明がついたのは『ガルパン』こと『ガールズ&パンツァー』である。

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やっと俺の中で理解できたのだが、『ガルパン』って「皆」がテーマの物語で、「皆がいたからこそ出来たこと」が何より素晴らしいものであるということが描かれている。
例えば主人公である西住みほは前の学校で自分の戦い方=戦車道の在り方に対して疑念を抱きながら大洗女子にやってきたわけだけど、友達や仲間達と共に戦ったという経験を通じてその「自分の在り方」に対して胸を張れるようになったわけだし、殆どもう一人の主人公ぐらいの立ち位置に収まっている秋山優花里もそうで「皆がいたからorいるから、今の私がいる」というお話になっていたんじゃあないだろうか。
この「皆がいるから」というのは今風のテーマではあると思うのだが、この「皆」が何をもたらしたかというと「勝利も敗北も分かちあう」という感動になるわけなのだが、そのテーマの中において「大洗女子学院」という場所はどういう立ち位置になるかというと、「皆と出会えた場所」であり「皆と過ごしていく場所」だ。
それに対する廃校というのは「皆と出会えた大洗女子がなくなってしまう」ということになるのだが、だからこそ「皆と出会えた場所を、皆と過ごしていく場所を守りたい」というプラウダ戦は「皆が目的を共有しているからこその熱さ」になっている。綱渡りじみた戦いになったのはプラウダがそれほど強力だったということでもあるし、そういう「チームワーク」というか「皆と共に戦う」という初めての試合だったからだ。
そもそもあれ以前の試合というのは西住みほに率いられるだけだった様に見えるのだが、プラウダ戦は文字通り「皆で勝ちとる勝利」という描かれ方をしているように見えるし、同時に「一人じゃなかったからこその勝利」という美しさになっている。
この「皆が目的を共有している=皆がいるからこその勝利」というやつはプラウダ戦の「プラウダ側は特にミスらしいミスはしてないけど大洗に負ける」という「チームプレイに依る敗北=自分一人ではない勝利」というものをより魅力的に見せていたように感じる。
そうして以降の流れを見ていくと黒森峰戦が面白いのは文字通り「皆で戦ったからこそ勝てる」というドラマがあそこに集約されているということで、黒森峰はマウスやら何やらの強力な戦車で迫ってくるんだけど結局のところワンマンチームである黒森峰が負けるというのは「皆がいるからこそ戦える」という西住殿や大洗女子が共有する「皆」というものへの思い入れの強さによって負けたんじゃないかと思うし、だからこそ「皆で戦うべき相手」としてのマウスが映像的に映えるのだろう。
マウスだけやたら強そうに見えたというのは機体が大きいからだけじゃなくて、そういう「テーマに対するカウンター的存在だから」という部分があるというのもちょっと思った。「お前一人いればいいじゃん」というのは『ガルパン』の「皆がいるから頑張れる」というドラマを全否定する存在であるのだから。マウス自体は現実でも割と脳筋仕様の戦車だったように思うけど。
またガルパンで題材となっており、戦車模型の人口を文字通り爆発的に増やすことになった戦車は元々チームで動かすものなのだが、そういう「皆で動かしている=皆がいるから動かせる」というものを実感として与えるための「戦車」だと思うと、ガルパンの戦車ってのはまさしく「必然性のある代物」で、ことガルパン(の作劇面)においては「交換の効かない重要なパーツだった」と見た方がしっくりくる。
あれは間違いなく他のものでは代用が聞かない代物で戦車だからこそ「皆と連携をとって戦うからこその勝利」や「皆で動かしている」などの実感が生まれる。その辺りが描かれたのが初めて戦車に乗った時の模擬戦で、バラバラの個性を束ねて動かすことで勝利が生まれており、「皆で動かすものとしての戦車の魅力」というやつは十全と描かれている。
そういう「皆」というテーマを体現するための舞台装置として戦車があって、だからこそ「それがどうやって動いているか」「どうすれば動くのか」ということに対して理解する必要があり、それを最も説得力のある形でやるためにはあれだけ作りこまれた3Dモデルの戦車になったんじゃないだろうか。
あれほど巨大な舞台装置だからこそ、その存在感は手を抜くことを許されないというか。
「皆で動かす」ということを主軸にすると「こんな巨大なものを皆で動かしている」というのは、その動いているものの存在感が何より大事だろうし、その存在感があったからこそガルパンが作中で何度も何度も見せてくれた「戦車を使ったアクション」というものが格好良く見えるアクションになったんじゃないかなぁ。

あと、俺としては聖グロリアーナ戦で負けてるところも面白いんだけど、あれも聖グロリアーナ側がチームプレイで攻めるのに対して、大洗女子は西住殿無双=皆で戦っていないのでテーマ的には負けて当然だというのはあるんじゃないかと。
「皆」がテーマなら一人で戦う事っていうのは基本的にダメなこととだしね。きっちり無双させておいて、最後で負かすというあのカタルシスの与え方は凄かったと思うけども。
何だかんだで『ガルパン』の面白さを支えていたのは随所に仕込まれた「テーマを体現しているもの」で、その「体現しているもの」が「作品が主張するテーマ」と噛み合っているから、あれだけ熱いドラマを感じさせる映像が生まれたのではないかと思うし、そういう「皆が出会えた場所としての大洗」へ惹きつけられるのではないかなー。
映画化も決まっているわけだけど、個人→あんこうチーム→大洗女子と「皆」の幅を広げた西住みほが次に見せてくれそうな「皆」ってなんだろうね。個人的には今まで戦ってきた学校の人達とのドリームチームで世界と戦ってほしい。
世界が終わったら宇宙だな……。
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