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虚淵玄と平成ライダーと仮面ライダーガイムへの期待について

次のライダーの情報が例年より遅れていたので、まだかまだかと思っていたら次のライダーは10月スタートだったようなんだが、『仮面ライダー鎧武(ガイム)』という久しぶりの漢字表記ライダーであるということや平成ライダー二回目の和風モチーフであるということ以上に、スタッフ面で虚淵玄をメイン脚本として起用してくるとは思ってなかったぜ。

仮面ライダー鎧武 テレビ朝日公式サイト

なんとまあ。まさか虚淵玄が平成ライダーの脚本を手がけることになろうとは。
虚淵玄といえば今やオタク界隈では知らない人の方が珍しいんじゃないかと思うような存在であり、直近だと『翠星のガルガンティア』や『サイコパス』などの脚本を担当していたりと今後の活躍が注目される脚本家ではあったのだが、平成ライダーの脚本家となってしまうとはなぁ。ついに来るところまで来たか!という雰囲気すらある。
しかし冷静に考えれば虚淵玄が平成ライダーの脚本家になったというのは驚くべきことだが、順当なようにも思うのだ。
というのも虚淵玄が今まで手がけてきた作品の中には平成ライダーを意識した作品が数多く見られるからなのだが、そんな虚淵作品の中で最初に平成ライダーを意識した作品といえばおそらく『吸血殲鬼ヴェドゴニア』だろう。

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この『ヴェドゴニア』という作品は「吸血鬼に噛まれた事により吸血鬼化する宿命を背負った主人公が、人間に戻るために吸血鬼となる事で得た力を駆使して戦う」という作品なのだが、『仮面ライダー』シリーズの肝として敵もライダーも同じ力を持って戦う=両者は同じ存在であるというところがあるのだが、『ヴェドゴニア』は敵もヴェドゴニア自身も吸血鬼であるなど、同一存在同士の戦いというライダーっぽい要素はきちんと兼ねそろえている。
もちろんそれだけじゃ平成ライダーを意識しているとは言いづらいのだが、ヴェドゴニアには『クウガ』のテーマの一つになっていた「怪物化していく事による恐怖」という要素が登場しており、変身するごとに主人公は吸血鬼に近づいていき、日常生活が困難になっていくなど「怪物化することで人ではなくなっていく」という事が終盤における物悲しさを生み出している。
また『クウガ』に影響を受けているとみられる点としてはシーンの最初に日時と場所が表示されるという演出などにも見られる点であるのだが、何よりライダーを意識していると思わせる要素としては「ヴェドゴニアがバイクで走っているだけ」というそのEDであり、これは『仮面ライダーBLACK RX』のOPのパロディとしか思えないものであったのだが、ともかく『Phantom』に次ぐ二本目がこうしてライダーを意識したものであったということは数々のインタビューを見る限りでも間違いなく、一部のインタビューでは『クウガ』を意識していたと語っていることから見ても間違いないと言える。

アニメに活躍の舞台を移してからは2008年に発表された『BLASSREITER』という作品がある。

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平成ライダーシリーズでは『龍騎』や『電王』を手がけた小林靖子とタッグを組み、後に師匠と慕う板野一郎を監督に据えたこの『BLASSREITER』は死体が突如怪物化してしまうようになったドイツを舞台に、怪物の力を自在に操るブラスレイター同士のバトルロイヤルを描いた作品だった。
随所で見られる陰鬱とした雰囲気は平成ライダー一期につきまとっていたものだし、死者が蘇って怪物となるという要素は『仮面ライダー555』のオルフェノクを思い出させるが、なにより「ブラスレイター同士が戦う」という展開は共に脚本に携わる小林靖子が脚本を手がけた『龍騎』と似ているではないか。
まあ平成ライダーではライダー同士が戦うのは最近ではよくあることではあるのだが、『BLASSREITER』も『龍騎』も「互いに本気で殺し合っている」という意味では類似しているといえるだろう。
この他にも『まどか☆マギカ』では本放送中に『龍騎』や『仮面ライダー剣』を想起させられるという感想も見られたのだが、こうして流れだけ見ていくと虚淵玄は「平成ライダーを元ネタに出来る=平成ライダーらしさというものを理解している」という人間であるということは言えるのではないだろうか。
そうしてみると経歴から見ると虚淵玄の平成ライダーへの脚本参加は、流れとしては妥当なんじゃないかと個人的には思うのである。
また虚淵玄が今まで関わってきた作品と平成ライダーの作風を考えてみると、どちらも「キャラクターを甘やかさない」「人間の弱さを通じて人間臭さを出す」という点でも似ていると言えると思う。
平成ライダーにおいてこの「人間の弱さを通じて人間臭さを出す」という展開が多かったのは、多くの作品で起用された井上敏樹と白倉伸一郎プロデューサーの芸風だといえると思う。
井上敏樹は元々「人間の弱さ」というものを込めて脚本を書いているし、それらの要素は仮面ライダーや怪人が人間としては弱い存在として描かれている辺りからも伺える。
例えば井上敏樹単独脚本だった『アギト』では人間の可能性を信じられない存在=神の使徒が敵であったし、『555』ではオルフェノク側の目的は「仲間を増やすこと」であると同時に「そう遠くない死から自分達を救う存在を探すため」だった。人間で無くなり絶大な力を得たオルフェノクを待っていた人間だった頃以上の死の恐怖と孤独感はオルフェノク達が戦う理由となっており、そういう意味では「人間よりも弱い存在」として怪人という存在がいたように思うし、オルフェノクを倒すライダー達もまた「オルフェノクと同じような恐怖」と戦っていたりするわけで、そういう意味では弱い存在だったとも言える。
また虚淵玄が最も色濃く影響を受けている『龍騎』はというと「願いを叶えるために戦うライダー」という姿を描きながらも、最終的には「人を犠牲にしてまでも叶えたい願いはない」と「願いを叶えるために戦ったライダー達の存在」というものは否定された結末になっているわけで、そういう意味では「人間の弱さ」から生じた願いは人間の強さによって否定されているように映る。
その上で虚淵玄の作品を見ていくと、虚淵玄の作品で描かれるキャラクター達はいずれも「弱さ」を抱え、その弱さに依って苦悩する姿が見受けられる。
デビュー作となった『Phantom』の第二部では「暗殺者となったツヴァイはキャルとの共同生活を送る中で、暗殺者であるのにキャルとの平穏な生活を望むようになる」という人間的な弱さを持って苦悩するし、最終的にそれが弱みとなった事でキャルを失う展開を見せるし、『BLASSREITER』では怪物の力を復讐に利用し殺人を犯してしまった少年など「自身の弱さが生み出したもの」を悔やむ姿が描かれている。
そうして見ていくと、虚淵玄の「人間的な弱さ」の描き方と平成ライダーが(とりわけ『クウガ』から『ディケイド』までの第一期シリーズが)描いてきたドラマというのは意外と相性がいいんじゃないのではないかと思うのだ。
特に今回の『ガイム』はライダーバトルが初期の段階から示唆されているだけに、そういうライダー同士の激突においてその弱さが描かれるような気もするし、また武将モチーフであることやチームでの怪人討伐ということを考えると、そういう弱さが生み出す怪人なんかも登場しそうな気もする。
ちょっと不安な点としては虚淵玄のキャラクターは登場時点ではかなり薄いキャラクター付けであることや、平成ライダーにおいては玩具の販促活動と言うのが大事なわけで「玩具とライダーが格好良く見えるかどうか」という意味では不安な点だが、前者については「話が進むごとにキャラクターとしての魅力が増していく」という部分もあるし、後者についてはスタッフや他の脚本家との兼ね合いもあるわけなので、10月を楽しみにしておきたい。
しかし今回は最近ではあんまり見られなくなったライダーバトルを解禁するなど、平成ライダー一期シリーズっぽい臭がするんだけど、原点回帰なのかねぇ。

ところで今回の『ガイム』のデザインと変身アイテムが錠前であるということを聞いて、『魔弾戦記リュウケンドー』を思い出してしまったの。
あれは松竹だ! あと別に魔法は絡んでねぇ!
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