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『ラブライブ! School idol diary 西木野真姫編』と自分らしく素直でいられる場所への想いについて


ラブライブ! School idol diary ~西木野真姫~ラブライブ! School idol diary ~西木野真姫~
(2013/08/30)
公野櫻子

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『ボイス坂』を読み返してたり、与太話でメガストアの付録の話をしてたけど、ようやく『西木野真姫編』を読み終えたのだが、ことり編までの二年生編はスクールアイドル活動を最初に始めた三人ということもあって、「音ノ木坂学院を廃校にしたくない」「街が変わっていく中で残したいものもある」という「音ノ木坂学院」という「場所」に対する思い入れの話が多くて、ことり編だけ「後から幼馴染になった」という変化をつけているものの、基本的な流れとしては同じだった。
しかし今回の『西木野真姫編』はそういう思い入れがない西木野真姫がなぜスクールアイドル活動に加わっているかというコミュニティの話になっていたところは面白いところだろう。「音ノ木坂学院」という場所というより、「なぜ西木野真姫がμ'sにいるのか」「そして彼女がスクールアイドル活動を続けたいのはなぜか」という話なのだが、西木野真姫を「大病院の娘という肩書により周囲の目を気にしている」という性格付けにしていることで、周囲の期待に応え続けることをある意味で生き方にしてきたということが彼女自身の口で語られる。
『園田海未編』でも触れられていた部分ではあるのだが、「親の期待に応え続ける」ということと「自分がそうすることが好きだ」ということ。選べた道をあえて選んでないだけじゃないのか、というのは園田海未だけでなく西木野真姫にも重なる部分がある。しかしこの二人が違うのは園田海未はある意味「最終的にそこにたどり着けばいい」し本人も了承済みであるということで、「今望まれてる」が「それは本当に自分が了承していることなのか?」というところで、本作ではそういう西木野真姫の「周囲に望まれるがまま生きてきた過去」と「自分が本当にやりたい事はなにか」という事が語られる。
特筆すべきは「周囲の視線と期待を意識している西木野真姫」を描写するために「日記」という体裁であるにもかかわらず、本作では西木野真姫から見た「周囲の人間」というものが描かれることで作中におけるキャラクター同士の繋がりがかなり意識されており、器用に何でもこなせるからこそ人間関係に対する彼女の不器用さが浮き上がってくる作りになっている事だ。
例えば花陽と凛と一緒に夕ごはんを食べたいということが素直に表現できないエピソードなどはそういう部分が如実に現れている部分であるといえ、その不器用さは彼女自身の「心からの友達と出会うこと」という想いを呼び起こしていく。
確かに西木野真姫は音ノ木坂学院を守りたいと思えるほどの想いを持たない。それは紛れもない事実で、本人も望んで音ノ木坂学院に入ったのではなく親の意見によりその道を選んだという過去を持つ。
そういう意味では彼女は音ノ木坂学院を廃校にしたくない!という思いから結成されたスクールアイドル、μ'sの中では浮いた存在だといえるのだが、同時に彼女自身が音ノ木坂学院に来てスクールアイドル活動に巻き込まれ、そうした中で変わっていった事は紛れも無い事実だ。彼女自身がこの「μ'sという場所」によって心からの友達と出会い、素直に好きだといい、やりたい事を素直に告げる事を友人達との間で気づけたと本作でも記述されている通り、「心からの友達と出会えた場所だからこそ大事にしたい」という想いは「伝統」や「「昔からあるからこそ」という二年組とはまた別ながらも、一年という下級生だからこその理由であり、二年組と比べると本人自身の願いではあるが、だからこそ尊いものではないだろうか。
また地味に園田海未編で語られた「μ'sやめる騒動」を当事者視点から描き直したのはよいところで、当事者の視点から掘り下げたことで、このエピソード自体の価値を引き上げているところは面白い。この手法自体は『べびプリ』でも見られた手法ではあって、エピソード自体を多面的に描くことで作中における位置づけとしてこのエピソードがどれだけ重大なものであったかというものをより意識させることに繋がるのだが、内容自体は既にやっているだけに無駄といえば無駄な部分ではある。
しかし「本人に取ってこのエピソードがどういうものだったのか」ということを語る事は、本人自身の認識と掘り下げに繋がるわけであり、解決したからこそ日記に書けるという本作の構造上、当事者の視点の存在は内外から見つめなおす事につながっていく。そうした部分がキャラクターの魅力に繋がっていく部分なわけで大きな話を考える上では無駄といえば無駄だが、だがそういう部分での積み重ねが彼女達の繋がりをより強くさせているように映る。
また地味に上手いのは「問題の解決事態は既に周知の通り」ということにすることで、大幅にエピソード自体を省略しているということで、この省略の仕方によって本作自体の価値は全く下げていない。地味ながらも有効な手法だといえ、日記形式である本シリーズだからこその魅力が光る一冊だと言えるだろう。
しかし西木野真姫って弱点多いのだが、弱点が多いからこそ努力家設定が生きるんだよなぁ。それ以上に素晴らしいのは小泉花陽に対して彼女は彼女で強い憧れに近い感情を抱いているかのような描写が挿入されることで、一年組の繋がりが出てきたかなーと所存するところで。

何気に連続性が強いシリーズになっているわけなのだが、こういう連続性は好みなので次巻以降で以前のエピソードが掘り下げられるとより好きになれそうだが、別に俺が好きになったからと言って何かが変わるわけでもないので今のままでもいいです。



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