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『キルラキル』と劇団☆新感線について

『天元突破グレンラガン』の監督である今石洋之とスタッフがガイナックスを抜けたという話を聞いた時は「ガイナックス大丈夫なのか……」と驚いたのだけれど、そんな今石洋之の所属するトリガー初のオリジナルTVアニメという認識をしていた『キルラキル』の一話を視聴したんだけど、「なんといういつもの中島かずき」としか言えんなぁこれ。
脚本・監督共に『天元突破グレンラガン』と重なることや、『パンティー&ストッキング』のスタッフがほぼそのまま参加していることなど、トリガースタッフのガイナックス時代のアニメ作品と比較したくなる部分は多々あるのだが、本作はどちらかと言えば中島かずきの成分が『天元突破グレンラガン』よりも濃いように感じる。
中島かずきといえば石川賢の元担当編集者で、『天元突破グレンラガン』の時は「ゲッターサーガを終わらせる」と意気込んでいた記憶があるのだが、本作のこの清く正しいダイナミックプロの文脈の受け継ぎっぷりと単に「ダイナミックプロの継承者」というだけでは出ない、このハイテンポかつケレン味の効きまくった少年漫画的王道を征く作風はどこに近いかと考えてみれば中島かずきが脚本を手がけることが多い劇団☆新感線の演劇に近い。
つまり本作は神話や史実などをモチーフにケレン味を効かせまくったいのうえ歌舞伎的アニメーションなのだ。
そう思って『キルラキル』を見ていくと、いのうえ歌舞伎の持ち味が随所に持ち込まれている。
この場合下地になっているのはおそらくダイナミックプロだろうと思うのだが、ダイナミックプロ――とりわけ永井豪や石川賢のやる学園ドラマをモチーフに、中島かずきの得意とする人間臭くも熱い感情の載せ方をミックスしており、そこが本作のケレン味とハッタリにおける味となっているようにも思う。
また「片太刀鋏」という「裁ち鋏」と「太刀+鋏」をミックスしたネーミングセンス、「繊維喪失」という「戦意喪失」と「極制服の特異性の理由である繊維を失う」という意味を混ぜた決め台詞の持ち込みよう。そしてキャッチコピーであるキルカキラレルカという「切るか切られるか」と「着るか着られるか」というダブルミーニング。
これらの言葉遊びと言ってしまえばそれまでだが、ハッタリを効かせた言葉選びは紛れも無く中島かずきが劇団☆新感線の脚本(とりわけいのうえ歌舞伎シリーズにおいて)にて見せてきたものであり、そうした劇団☆新感線のノリがアニメーションで再現できているという1点において本作はとんでもなく凄い作品だというしか無い。
なんというか、いのうえ歌舞伎にしろ劇団☆新感線的なノリにしろ、実際に舞台に立って演じている役者のキャラクターと本来の人格や体格レベルまで理解しているからこそ、役にハマったと感じられる時の面白さやキャラクターを超えて「作品内に息づく人物」としての台詞を見せてくれた時、そしてそれらが合わさった名乗りの熱さやケレン味にまみれたセリフ回しの魅力に繋がっている。
あくまで役者があってこそのキャラクターだという演劇的なキャラクター作りをしているように感じられていたからこそ、劇団☆新感線と同じようなノリは脚本家だけを連れてきても不可能なんじゃないか?と視聴する作品が増えるごとに俺などは思っているし、視覚内における情報量が多い現実の人物がその姿や動きを演じる演劇に漫画的・アニメ的なキャラクターを持ち込むからこそ放たれる怪しい魅力ってのはあるとは思うのだが、この『キルラキル』はそういう意味でもちゃんと演劇らしいというか、役者ごとの演技の癖や声質に至るまで理解してキャラクターが設計されているような気がする。
有り体に言えばキャラクターと声優がハマりすぎていて特に文句の付け所がない。主役である纒流子にしても小清水亜美だからこそ出来る演技になっているし、柚木涼香だからこそ鬼龍院皐月という存在の強大さに説得力をもった存在になっている。
この辺りの計算し尽くされた感じは地味ながらも凄い。特に殆ど出てこなかった生きたセーラー服、鮮血など関俊彦だからこそ真面目な演技の中に滲み出るコメディっぽさが出ている部分で、味のあるキャスティングだと思う。
あと元々舞台上でも漫画的だと思っていたが、アニメで見るとやっぱり面白いコメディ描写は笑ってしまう。
特にマコの弟が喧嘩を売る→ボコられる→土下座の一連の流れ、そして説教しながらマコの振るう暴力のバイオレンスさ加減というのは中島かずきのギャグ描写において度々見られるものだが、手癖で書いてるんじゃないか?と思うほどに自然なものに見えたし、ちゃんと「それっぽくなっている」という意味ではかなりすごい。
本作はトリガーの社長である大塚雅彦いわく「もうこの作品はテレビでやる作品じゃないですよね、「劇団☆新感線」の舞台がずっと続いているような感じですから」とのことだが、確かにそんな感じはかなりする。
「こいつは古田新太がやってるんだろうなぁ」と思えるキャラクターもちゃんといるし、各キャラクターの挙動も劇団☆新感線の役者が今まで演じてきたキャラクターに似ていたりもする。
だが本作はそうした「いつもの劇団☆新感線の舞台」をアニメに持ち込んだ時に発生するだろう違和感が全くなく、それどころかアニメ的な魅力の光る作品になっている。この点においては感心させられる点で、『キルラキル』は怪しくも惹きつけられる輝きを持ってる作品だとは思う。
まだ一話が始まったところなのだが、こういう作品があってもいい。というか「本気でやってくる奴ら」に最後まで付き合いたいと感じている。なんか術中にハマっていて悔しいけど、見応えがあるのは事実なので、まずは一話を見て欲しいところだ。

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