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『アイカツ!』に見る実在番組のパロディの持つ多重構造について

新番組ラッシュの影響でまだ『バディコンプレックス』をまだ見れていないのだが、『スペース☆ダンディ』だけは頑張って視聴したのだが、「スペースダンディ。それは宇宙のダンディのことである」と言う何の説明にもなっていないナレーションといい、一話の体裁としての整え方といい、コメディやってる時の『カウボーイビバップ』の遊び心を更に尖らせたような遊ばせっぷりが面白いなぁ。全体的な雰囲気としては「名だたるクリエイター達が自分達お手製のとっておきの玩具を持ち寄って公園の砂場で遊んでいる」と言う感じなのだが、このスラップスティック感と投げっぱなし展開、そして「そこに力を入れる必要ってあんまりないよね!?」と思うところに全力を注いだことに依る、全力で明後日の方向に突き抜けたあのオチの生み出すある種の爽快感は「中身があるかどうか」など瑣末なことに感じてしまう。
一話で本作はバラエティコンテンツ=様々な面白さを内包できるコンテンツであるということを雄弁に語りきってくれたので、惑星爆破と言う壮大なスケールのオチを付けた一話からラーメン屋というスケールの小さな話になりそうな二話へなっても印象としては左程変わらないだろうな。と思うと同時に、「え、それって要するに立喰師列伝パロなの?」とか思わないでもないが、何にしても本作の遊び心というか「大人の玩具箱」っぽさは大好きなのでこのまま全力で追いかけたいところである。
しかしこの作品、サントラが無茶苦茶ほしいな。


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で、『アイカツ!』の話をするんだけど、『アイカツ!』と言う作品は少女達のアイドル活動にスポットを当てているので、作中でもアイドルがやりそうな仕事というのはライブや握手会やサイン会だけでなく、当然ドラマや映画なんかの仕事なんかもアイドルの仕事として描かれている。作中でも彼女達はアイドル活動の一つとして映画やドラマの仕事に打ち込んでいるのだが、『アイカツ!』ではドラマや映画やバラエティ番組などといったコンテンツを扱う際には様々なパロディを仕込んでいる事が多く、例えば霧矢あおいと神谷しおんが新米刑事コンビを組んで活躍するドラマの名前は『イケナイ刑事』で『あぶない刑事』のパロディであることは明白だし、一年目の最後で霧矢あおいが出演を決めたのは『ダンシング捜査線』と『踊る大捜査線』がベースになっていることはタイトルから見ても間違いないし、タイトル以外のところでは『オシャレ怪盗☆スワロウテイル』とかもまあ『キャッツアイ』とかあの辺が混ざってるのだろう。何話だったか忘れたけど、バラエティ番組で司会やっているというコメディアンの「いわし」ってキャラクターは関西弁の使い方といい、出っ歯なところといい、明石家さんまが下地になっているパロディキャラであることは疑いようもない事実だろう。
『アイカツ!』ではこのように実在する芸能人や実在する番組をパロディとして作中に盛り込んでいるわけなのだが、これらは単なるパロディとして「笑わせる」という目的のためにやっていると言う側面ももちろんあるのだろうが、『アイカツ!』のやっているこれらのパロディの真に面白いところは何かというと、パロディの持つ「他作品の文脈の流入」によって「現代の日本が舞台である」ということを強化していることだ。
そもそもパロディというのは他作品の文脈=情報を意図的に流入させることに他ならない。作品に入り込んだ別作品の情報は作品が本来持っているはずの面白さを超えた娯楽性を生み出していく。その結果として残るのは「元ネタが○○であると透けて見えるからこその面白さ」という奴なのだが、『アイカツ!』の実在番組や実在する芸能人のパロディが凄いのは、実在する番組や芸能人をパロディにすることで「実在=現代の日本の文脈を作品の中に持ち込む」ということによる「現代日本における元ネタとなった作品や芸能人の立ち位置に対する説明を省略できる=実在する番組や芸能人の立場を利用することで、それらの価値を底上げする」という事をやっている事だ。
コメディアンのいわしさんを視聴者が見た時、その出っ歯や関西弁の操り具合、そして司会者としての立ち位置からいわしこそが『アイカツ!』世界における明石家さんま的存在であるということを想像する。それは『ダンシング捜査線』についても同じで、ミリタリージャケットを着た刑事らしき人物の映像や『ダンシング捜査線』という安直なタイトルは我々の世界における『踊る大捜査線』的な存在である事を説明なしで理解させる。
あれらはパロディであるが、だからこそパロディが持ちうる「他作品の情報」が作中における位置づけに対する説明を不必要なものへと変えており、そこの説明をパロディ化して端折る事で物語のテンポの良さを生み出しているのだ
この「表面的にはコメディ的だが、深層ではそれらの説明をパロディ効果で端折ることで作品の完成度を高めている」と言う多重構造こそが『アイカツ!』の行っている実在作品パロディの真価とも言える部分であるといえる。
その際たる例が年末に放送された「紅白アイカツ!合戦」回で、この回は一話丸々「紅白アイカツ!合戦」と言う番組に参加することになったアイドル達を描いた一話となっているのだが、番組のタイトルからも分かる通りこの「紅白アイカツ!合戦」は「紅白歌合戦」のパロディだ。作中でも「年末の風物詩」など「紅白アイカツ!合戦」と言う番組がアイドルや芸能界的にどれだけ重要なものなのかということは語られているが、「紅白歌合戦的なものである」ということをタイトルや番組趣旨などから漂わせておくことで、視聴者の中での納得感を生み出している。
それを踏まえた上で紅白の名物的な存在として登場するゲストキャラであるサブちゃんのあの「北島三郎+天童よしみ」的外見と小林幸子的な巨大衣装の存在というのは、つまり今回だけのゲストキャラだからこそ不足している「紅白の大トリを務めるようなキャラクター」という部分に対する説得力をパロディ効果によって補完させているのである。
これらをさらっとやってのけると言う事こそが『アイカツ!』の凄さであり強みであるといえ、そこまで計算してやっているのが『アイカツ!』なのである。
ノイズになりそうな部分をパロディを効果的に使うことで解消している。娯楽作品としては素晴らしい出来だと言わざるをえない。

今後も色んな作品のパロディをやってくれそうだが、現状その辺のパロディに対しては不安に思える要素があんまりないので今後共この方向で突き抜けて欲しい。というか、今のところ、ゲストキャラをパロディキャラにすることによるストレス感とか全くないので、この調子でマツコデラックスとかやってくんねーかなーと思って見てる。無いだろうけどな!


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