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『WakeUp,Girls!』とアイドルに宿る物語と可能性について

2013年に夏コミで頒布したラブライブ!本である『RUNWAY』と冬コミで頒布したアイカツ!本の『スイッチオン!』ですが、余った分をとらのあなで委託販売することにしました。『RUNWAY』もそうだけど『スイッチオン!』も再販する気どころか、むしろ「どうせやるなら今回の本からいくつか抜き出して二期の時に再掲載するわい」と思っているぐらいなので全部読んでおきたいという人や二期の本まで待てない!という人はちゃんと買っておくことをおすすめします。

とらのあな - 魔界戦線

なお『RUNWAY』と『スイッチオン!』が売り切れても売り切れなくても夏コミの新刊は「菱田正和プリティーリズム三部作完結記念本」のつもりなので、良い子の皆は夏コミまでの間に『プリティーリズム』シリーズをオーロラドリーム一話からレインボーライブ最終話まできちんと視聴しておきましょう。

「ウェイクアップ」と聞いて『仮面ライダーBLACK RX』とゆいかおりと『ガンソード』が思い浮かぶ人種であるとともにアイドルアニメ好きとして『Wake Up,Girls!』を見なければならないと思ったので見てみたのだが、なるほど。「アイドルアニメを俺に作らせろ!」と言い放ったアイドルオタクである山本寛らしく、「アイドルってなんだろう」的テーマに対して真正面から向き合っていると共に、「アイドルオタク」と自負するだけあってアイドルについての深い理解を感じられるいい作品だなぁ。


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(2014/02/28)
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この作品では劇場版とTV版がリンクしていて、時系列的には劇場版→TV版一話という順序の物語となっているのだが、劇場版ではこの作品で中心を担う仙台発のアイドルユニットでありタイトルにもなっている「Wake Up,Girls!」の結成までが描かれている。
大まかなあらすじとしてはほぼ一話で描かれたとおりで、強欲な社長の金儲け的思いつきによってアイドルユニットを結成することになったものの、社長は活動資金を持ち逃げして蒸発してしまう。そんな中、暗礁に乗り上げてしまったこのユニットに影から見守り続けていた元トップアイドルユニット、I-1クラブのセンターだった島田真夢が加わり、クリスマスに仙台の小さなステージの上で最初で最後のライブを行う!というものなんだけど、この劇場版を一話にしておけばよかったのに!というのは間違いなく正論で、俺もそのほうが一話のあらゆる展開に説明がつく(あの露骨なまでのパンチラですらその必然性については説明されている)し、それが確かに正解ではあると思う。
だが劇場版で描かれた話というのはつまるところ、「彼女達がアイドルとしてステージに立った」ということだけだ。これはどういうことかというと、アイドルというのは作中でも述べられているように物語なのだ。
あらゆるアイドルが物語を持つ。現実のアイドルだとももクロなんかはどの楽曲を見ても某かと戦っている。週末ヒロインというキャッチコピーや楽曲などからしても所謂特撮的な臭がするし、「戦う」ということを一つの物語として秘めているアイドルだといえる。
アイドルアニメに目を移すと『プリティーリズム・オーロラドリーム』では最終回で春音あいらが「全てのプリズムスター達が夢見る存在となった」ということが作中でも述べられているし、『ラブライブ!』のμ'sは「廃校を阻止する」と言う物語を秘めており、だからこそ終盤で廃校が阻止された後、『アイドルとして物語をもう一度再構成する』と言う流れになっていて彼女達は「夢のために頑張る」と言う物語を勝ち取ると言う物語を持ったアイドルとしてもう一度スタートする事となった(またこれについては「皆で夢をかなえる企画」という『ラブライブ!』の基本コンセプトと合致する、ということを今書いておく)。
で、話を『WUG』に戻すと、劇場版で描かれた内容というのはつまり「WUGと言うアイドルの物語の可能性」なのだ。「この子達が活動していく中で見せてくれるかもしれない光景の断片」なのだ。それがどういうものなのかは今後描かれるだろうからいいとして、なぜそれを劇場版で見せてしまい、本編の一話に持ってこなかったのかというと、そこを伏せておくことでWUGを知り、ファンになっていく作中のファンと視聴者を連動させるという舞台仕掛けのためじゃないのか?というのが一つ。で、こっちが主な理由ではないかと思うが、デビューライブのステージで物語の可能性を提示できたとしてもそれを上手く物語として完成させられるのかどうかは分からない。失敗して消えていったアイドルだって腐るほどいるだろう。そりゃアイドル戦国時代なんだからI-1クラブだって、そうして物語を提示できずに消えていったメンバーとかもいるはずだ。WUGのセンターとなった島田真夢自身も意外とそういう存在なのかもしれないが、その「物語の可能性」を「可能性」で終わらせるのではなく、「その後」つまり「物語としてどうやって昇華していくのか=具体性を伴わせるのか」ということに比重をおいているからこそ、本作では時系列的には一話に当たるデビューライブ=WUGというアイドルが誕生するまでを劇場版でやってしまい、その後をTV版で!と言う形にしたのではないだろうか。
そうやって見ると、この作品って結構「アイドル」というものを理解していて、露骨なまでのパンチラも脚本の中で「見せパン」の存在に言及した上でアイドル自身に「今回が最初で最後だから見せてしまおう」と言わせておく事で「見せパンじゃないのに、パンツが丸見えになることをも恐れずに精一杯のパフォーマンスをやり遂げる」ということの力強さが際立つ。もっともあそこで説明しちゃったせいで動画枚数が多い分、露骨さを通りすぎて露悪的に見えたというのはあるのだが、あそこはむしろあれぐらいガッツリ見えないとおかしい部分でもある。
また際どい水着についてもトップアイドルだったI-1クラブが水着でもあれほど堂々としたパフォーマンスを繰り広げているところを見ると、際どい水着を持って「新人アイドルに向けられる好奇な視線」というのはちょっと筋が通らない。どっちかつーと、あれって反応を伺うためにやってる部分もあるような気もするんだよな……。水着=性的アピールのための存在って扱い方でもなさそうで、むしろアイドル活動の中における水着の立ち位置って結構性的アピールっぽさって相当薄いからなぁ。
何にしても、アイドルアニメが無数に乱立し、『ラブライブ!』二期や『うたの☆プリンスさまっ♪』などが控えている中、この『WUG』は現実に則した形でのアイドル活動や芸能活動について真っ向から挑んでいると言える。ついでにそれを支えているのは間違いなく取材力で、相当取材をこなして制作されていることは間違いない。
ここまでリアルさの伴ったアイドルアニメって『スーキャット』とか思い浮かぶけど、あれもそういや芸能事務所の強力で制作されてたな。今回の『WUG』もエイベックスが協力してるから、そういうところでも似てるっちゃ似てるか。話的には『スーキャット』の方がなお酷いが(それを『猫の擬人化』と言うアイデアで暈しているところはあの作品の凄さなんだけど)。

にしても、「大人が構築しているからこそ子供らしくい続けることが許されず、大人の理不尽な無茶ぶりに応えなければならない」という流れに見事なまでに乗っかってきて、それを真正面から描いている『WUG』はある意味すごい。
相当真面目にやってる『アイカツ!』では「デザイナーのご機嫌を取って衣装取ってこい」とかやっていてその辺の理不尽さは演出されているし、『プリティーリズム』では『オーロラドリーム』の時に「自分達がデビューさせたくせに、仕事が嫌ならやめちまえ」的な事をやってるし、どっちも演出されてるんだよな。『0048』もその辺を忘れてなかった(初代秋元康の挙動の話である)けど、『WUG』はそのへんから逃げずに取材力も合わさって「リアルなのかファンタジーなのか判別付かない」という「業界物っぽさ」が伴っていて、この「業界物っぽさ」だけで十分楽しめるなぁ。

しかし実写パートまでアイドルアニメのフォーマットに合わせてくるとは思ってなかった。
最近だと『プリティーリズム』シリーズにおいて「プリティーリズムクラブ」と言う形で導入されていて、俺などはDMFの時のMC KENSAKUに大興奮し、RLになった時に「KENSAKU卒業かー」とか思ってたられいながKENSAKU譲りのMC芸をやっていて毎週楽しみにしているのだが、実写パート自体はアイドルアニメではむしろ王道とも言えるんだよなぁ。『きらりんレボリューション』では実写PV使われてたし、『アイドル伝説えり子』も一分ぐらい実写パートがあったぐらいだ。『アイドル天使ようこそようこ』はEDに実写PV使われてたぐらいしか記憶に無いけど、今調べたら最初期のアイドルアニメと言ってもいい『ピンクレディー物語』(未見。イマドキVHSなんかどこで見ればいいのか)でも実写パートは存在していたようなので、むしろ実写パートってアイドルアニメのお約束みたいな部分があるから、この実写パートには「よく分かってやがる」としか言いようがない。
まあ真面目に言えばアフレコ現場の映像ってそうそう見れるものでもないので、そこだけでも十分満足です。これでまたアニメを見た時の面白さが上がるわいってなもんである。

しかしまあ「劇場版とTV版が同時スタート」だし、「中の人のプロフィールや内面描写も反映する事でキャラクターと演じている声優が入り混じった虚実混交の面白さ」と言う意味ではちゃんとありそうだしで、色々意欲的なものが目立つ今作。個人的には相当好きなのだが、でも『プリティーリズム』が最終クールに入って超面白いのでしばらくはこっちが優先順位一番だわ。仕方ないわ。『どっかーん!!キラメキフューチャースター!』と『無限ハグエターナル』を同時に見せられる事になりそうな作品なんて、どうやっても優先順位高くせざるを得ないわ。
あ、でも『立チ上ガレ!』は劇場版での演出がよかったので買う。何気に神前暁作曲の楽曲で一番欲しくなった曲かも知れない。


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■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
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とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

プロフィール

  • Author:水音
  • tumblrの方が積極的に更新してるマン。
    面倒くさがりなので、Twitterのほうが捕まります。

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    @を半角にして下さい

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