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『ノブナガ・ザ・フール』の演劇とアニメの混ざり合った妖しい魅力について

アイドルアニメを見ることは仕事なのでいくらでも見ると言ってるんだけど、『のうりん』でライブアニメパートがある上にその出来が良いと聞いて俄然見る気が湧いてきた。「アイドルアニメ」と言う枠組みで言えば、現在は『アイカツ!』と『プリティーリズム・レインボーライブ』が放送中で、今期では『Wake Up Girls』などが存在しているわけなんだけど、ライブアニメ部分に対して「面白い」といわれたからには見るしかねぇわな!楽しみにしておこう。
ところで『Wake Up Girls』が色々と挑戦的なことをやっているのでまた後日。あと『バディコンプレックス』も書きたいことがちょこちょこ出てきてるのでそのうちまとめて書きたいんだけど、それはそれとして『ゴールデンタイム』の新OPが清竜人の作曲なことに感動した次第。やっぱり清竜人の「堀江由衣以外の声では破綻し、そしてメロディだけでは決して完成せず堀江由衣の声が入ることで完成させる」と言う楽曲の設計は美しいな。綺麗すぎてぐうの音も出ねぇ。

今期は色々と挑戦的な企画のアニメが多くて、以前にも六社合同企画という事で各社が各社の持ち味を活かす方向でのメディアミックス展開を計画している『バディコンプレックス』は企画として面白そうだ!ということは書いたのだが、今期の中でもおそらく最も異質だろうと思うのは『ノブナガ・ザ・フール』。
二つの惑星が存在する世界を舞台に偉人の名を持つキャラクター達が戦う戦国SF作品である本作は河森正治が総監督とシリーズ構成を務める一大企画。河森正治自体は『マクロス』シリーズなどで知られているし、オリジナルアニメを中心に色々手がけていて、去年には『AKB0048』の総監督を努め、見事なまでに「芸能禁止」の社会におけるアイドルと言う存在を描き切ったわけなんだけど、この作品はそんな河森正治が企画開始から二年半ほどかかってようやく世に出すことが出来る意欲作で。どう意欲的かというと、まずこの作品はアニメだけの企画ではなくアニメと演劇の二つのメディア展開を最初から企画されていて、この演劇とアニメと言う三次元と二次元の二つのメディアの境界線に挑んでいる。
この部分がまず意欲的で面白い挑戦なのだが、アニメ本編でと言う話になると、この作品はアニメではやらないような演出やセリフ回しが随所に見られる。例えばほぼ全員が芝居がかった演技をしている事などがその代表格なのだが、これらの演出ってアニメではあんまり見ない演技というか演出じゃないですか。一人二人ならまだしも全員が全員芝居がかった演技をして動きでキャラクターごとの個性を見せようとしている。そして声優の演技自体も従来のアニメよりは大仰な演技になっているんだけど、これらはすべて「演劇的」な演出や演技なのだ。
どの観客席からも舞台上で起こっている事を見せなければならない演劇ではその動きは大きくなるし、セリフ回しというのはどうしても説明ゼリフっぽくなってしまう。しかしそれらの動きの大きさは体全体での感情表現を生み出しているし、説明ゼリフっぽい部分はそれらでは伝え切れないような情報を過不足無く伝えるための手段となる。
『ノブナガ・ザ・フール』では演劇とアニメの二つの軸でコンテンツを語っていく形式をとっているのだが、キャラクターは共通である以上、演劇側でのキャラクターの造詣もアニメ的なキャラクター造詣になってしまう。
アニメ的というのは言ってしまえば、ファッションやセリフ回しや小道具などの記号によって構成されるということなのだが、一方の演劇側のキャラクターをアニメに落としこむと今度は役者側の立ちふるまいや身体能力、ちょっとした癖と脚本上のキャラクターというのが食い違う事がある。演劇とアニメは全く別のものなので、であるからこそ落としこむ際にはちょっとした工夫が必要となってくるわけなのだが、『ノブナガ・ザ・フール』ではアニメ側も演劇側も互いに近寄らせるというやり方(つまりアニメ的キャラクターを用いた演劇と演劇的な演出やセリフ回しのアニメにする)ということで、この2つを同時進行的に進める事により違和感を軽減し、「どちらからも入り口となり、そして両方見るとより楽しめる」というコンテンツとなっているのではないだろうか。
演劇的な演出やセリフ回しは結果としてアニメ版において、演劇的魅力とアニメ的魅力が混ざり合った妖しさを生み出しており、また演劇経験のある宮野真守が演じる事で「ノブナガ」と言うキャラクターは「笑いながら泣く」「泣きながら笑う」という二つの感情が入り混じった妖艶さを生み出しているように見える。
こうした妖しさが計算のうちかどうかは俺は知るよしもないが、こうした妖しさはトンデモSF戦国時代劇という本作の作品観において魅力として光る部分ではあることは間違いなく、やっぱり面白ぇクリエイターだなと河森正治に対する認識をまた改めたいところである。是非もなし!

大体言いたいことはそれだけなのだが、二つの惑星があるということは二つの文化があるも同然なのでその文化の描き分けと言う意味でもよくやっている方だと思う。
ところで演劇版はちょっとアクセスする機会がなさすぎるので、どこかで有料配信してもらえないものだろうか。2000円までなら出す。


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