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『ラブライブ! School idol diary 矢澤にこ編』と燻る夢が輝く「場所」について

『プリティーリズム・レインボーライブ』で三クールぐらい回してきたあん・わかな・カヅキの三角関係に決着が付いたんだけど、「どちらかが結ばれるとどちらかが泣くだけにどうするんだろう」と思ってたらまさかの「カヅキ先輩が二人に振られる」で、二人の関係をぶっ壊すことなくそれでいて二人の恋心を無駄にしないということも含めて美しい落としどころだったと思う。
そこに至るまでにカヅキ先輩の従姉(結婚済み)を恋人だと勘違いし、振られたと思い込んだ二人が互いに讃え合う展開にすることで「腐れ縁」になりそうな雰囲気を出していたのも良いと思う。わかなとあんの縁って一回完全に途切れていたわけで、そんな二人が腐れ縁という切っても切れない縁で結ばれる、というのは三クールぐらい引っ張ってきただけの重みがあるというか。ついでに二人して「自分達が振られたと思い込んだことは勘違いだと気づく」と言う展開を経ても、振られたと思い込んだからこそ生まれた絆の美しさをそのままにしておくことで泥沼感がなかったのもいいと思う。
しかし結果的にカヅキ先輩がいい女二人に振られるという展開になったのだが、まあカヅキ先輩だからいいや。歩くだけで罪作りな存在になってしまうようなお人だし。


ラブライブ! School idol diary ~矢澤にこ~ラブライブ! School idol diary ~矢澤にこ~
(2013/12/27)
公野櫻子

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発売から二週間以上経過しているけどようやく読了。
今回からは三年編ということもあって、「卒業間近」な三人にスポットを当てた物語が進んでいくわけなのだが、そんな三年組の一発目に持ってきたのはμ'sの中でも最もアイドルに詳しい矢澤にこの視点で綴られる、彼女の物語はというと彼女がどれだけアイドルが好きかということ。そしてそのために努力し続けてきたこと。
彼女は家庭環境的には他のメンバーとはちょっと違う。笑顔の大切さを教えてくれた父親を亡くした彼女は母子家庭だし、その関係もあって母親は働いていて妹が二人もいる。そういう家庭環境だからか、彼女は「夢を追うために努力しながらも、一人では打ち壊せない壁に衝突して夢に破れる」という物語を背負っている。
作中で何度も母親はやれることは全部やってくれているし、妹二人とも姉妹仲はいいと語られているけど、「長女だから」ということもあって「親が一番頑張っている事を知っている」からこそ「我儘を言えない=アイドルになるために、才能や努力だけでは超えていけないような壁に衝突した時に涙をのんで諦めるしかない」という挫折の物語が生まれてくる。
「父親が教えてくれた笑顔の大切さを伝えるアイドルになりたい」と思い、そのために努力して才能があるということを見込まれながらも、その「頑張っている親を一番見ていからこそ頼れない」事が彼女のアイドルへの思いを燻らせる。「UDXに入りたい」と思いながらも入学金の関係で諦める。もしかしたら母親に言えば何とかなったかもしれないし、これが一人っ子だったのならおそらく何とかなっただろうと思う。でも妹が二人もいるんじゃ諦めるしかない。
誰よりも笑顔の大切さを知り、アイドルという存在の価値を知り、そのために努力できるだけの想いを持ちながらも事情により諦めるしかなかった「アイドル志願者」のドラマがそこにはある。そして長女だからこその「苦しみ」のドラマもまたそこに存在しており、この二つのドラマこそが「矢澤にこ」というキャラクターのアイデンティティーも兆すドラマとして描かれている。しかしこれらのドラマは「境遇の物語」であり「過去の物語」であり、それはつまり「変えようがない物語」だ。そして矢澤にこ自身もそれらは「変えようがないもの」として受け入れている。
では本作の何が美しいかというと、音ノ木坂学院に入学し三年になって始めたスクールアイドル活動。その中でそれらの物語が昇華されていく事だ。
事情があって諦めるしかなく、心の中で燻らせていたアイドルへの想いとアイドルになりたい!と言う強い心の輝きは今スクールアイドルとして活動することで昇華される。また「長女だからこそ誰も頼れない」と言う彼女の家庭環境からくる物語は、スクールアイドルとして共にステージで舞う仲間達が差し伸ばす手によって救済される。
「誰も頼れないんじゃない。少なくとも仲間達はこうして風邪に倒れた自分を心配して家までやってきて助けてくれる」
それだけで彼女が持っていた「頼れないことに依る苦しみ」はどれだけ救済されたことだろうか。
また特筆すべきはこの二つのドラマは音ノ木坂学院に来てスクールアイドル活動をはじめなければ救済されることがなかったのではないか?ということを匂わせていることだ。
もしUDXに入学していたならば矢澤にこは確かにアイドルになれたのかもしれない。だが風邪で倒れた時に助けてくれる友達に出会えただろうか。
もしスクールアイドル活動を始めていなければ、矢澤にこはアイドルへの想いと上手く折り合いをつけることができたのだろうか。
少なくとも本作において、その「仲間」と「アイドルへの想いの決着場所」としての出会いは「音ノ木坂学院に入学する」「スクールアイドル活動を始める」と言う二つを行わなければ出会えなかった事として綴られている。音ノ木坂学院だからこそ彼女は今こうして笑っていることが出来たのだと語られる。
「音ノ木坂学院」と言う場所への面白さを際だたせるとともに、矢澤にこの「現在進行形の物語」としてこの落とし込み方は美しいと思う。
次はμ'sのスピリチュアルガールである東條希編だが、彼女は内面について踏み込まれたことがあまりないだけにどういう物語になるのか全く想像がつかないなぁ。

ところでこの展開に『ガラスの仮面』臭というか猿渡哲也メソッドの匂いがしたのは俺だけだろうか。
最近だと『プリリズRL』の速水ヒロも矢澤にこと同じような境遇(ヒロさんの方が母子家庭なのに親がネグレクトしている辺りより悲惨だが)なのだが、こういう物語を見ると超興奮する体質なので今回の話は相当メチャウマに楽しんだわ!

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