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『スペースダンディ』のゾンビの面白さについて

『闘神都市2』が3DSに移植されると聞いて、心が揺れる側の人間だったのでもちろん買ったのだが、思った以上に『闘神都市2』していることに驚いた。3DSは任天堂ハードなので、色々危ないところがあるはずなのだが、描写がマイルドになった以外はほぼそのまま。世色癌ももちろんそのままで「色々大丈夫かこれ!」と思ったのだが、竜角惨は名称変更させられてたのでチェックしてこれなんだと思うと、色々強気すぎやしないか。
ゲーム自体は新ヒロインが追加されているのでシナリオ進行も要所要所で変わっているし、元々の『闘神都市2』ほどの自由度はないものの出来自体は相変わらず。セックスは全部デートイベントになってるけどまあその辺は仕方ないとして、今作のオリジナル要素としては女の子モンスターをカードで捕まえて装備することで様々なスキルが使えるようになるということ。それは戦闘用スキルだけじゃなくて、フィールドスキルというのもあってそれを用いてダンジョン攻略をしていくというシステムは面白い。カードは八枚まで装備できるけど、カードごとに使えるスキルが違うこともあって結構八枚ってすぐ埋まるので付け替える必要があるのもよし。やりこみ要素として隠しボスもちゃんといるので、「イメージエポック頑張ったなぁ」というところで。まあ表示バグが多いから「いつものイメージエポック」ではあるんだけども。

『スペースダンディ』の名だたるクリエイター達の玩具箱っぷりには一話からずっと魅了されてきているのだが、今まで放送された話の中で一番面白かった話は何かと言われればこれはもう『死んでも死にきれないこともあるじゃんよ』一択である。
この話は新種の宇宙人と思って捕まえた生物に噛まれたミャウがゾンビとなってしまった事をきっかけにゾンビが人間社会を支配していくまでを描いた作品なのだが、この話が面白い理由が大体二つあって、一つはAパートのダンディがゾンビとなるまでの過程がちゃんとゾンビ映画のお約束を守り切っているというところにある。
ゾンビとなった宇宙人に噛まれた事によりゾンビ化したミャウは病院に運び込まれるのだが、一晩開けてダンディ達が再び病院を訪れるとそこはゾンビパラダイスとなっているというところから始まる一連の流れは何れもゾンビ映画におけるお約束みたいなやりとりである。
ゾンビ化した人間に話しかけてしまいフレンドリーに接するとかその辺の話は、ゾンビ映画ではそれなりによく見るやりとりである。もっともダンディは危機一髪でそれらを回避するところなどはゾンビ映画はゾンビ映画でも『ショーン・オブ・ザ・デッド』的なコメディとして茶化すタイプのやりとりだ。この辺は『スペースダンディ』と言う作品が若干コメディ寄りの作風だからなのだろうが、ゾンビ映画的なお約束を守ろうとしているところに好感が持てる。
またこのAパートだけでなくこの話におけるゾンビ像は『ドーン・オブ・ザ・デッド』以降の走るゾンビではなくロメロの「緩慢な動きと圧倒的な繁殖力による数の暴力で押し切ってくる」というタイプのゾンビであるのだが、このゾンビの数の暴力っぷりに「動きの遅さ」を根拠に調子に乗っていたダンディ達が次第に追い詰められていく様。そして仲間がゾンビ化して敵に回るという事の面白さなど、意外とちゃんとゾンビ映画らしい物語になっているし、追い詰められたダンディが上へ上へと逃げ延び、最終的にやってきたヘリに乗って脱出するところなんかもゾンビ映画のお約束的展開だといえる。その後ダンディがゾンビに襲われるのも、まあゾンビ映画的な幕の弾き方であるが、このゾンビ映画的なお約束を短い尺の中で厳守しているという点が素晴らしい。ここまで律儀に守る必要がないのに!Aパートだけなのに!ってなもので、この辺の「予想以上にゾンビ映画している」というのがなんかもう面白すぎだ。
その一方でBパートではゾンビと化したダンディ達を通じて、「ゾンビが社会を生きていく方法」という物語が展開されているのも面白い。「ゾンビ化してしまったものの、ゾンビとしてどう生きていくのか」と言う視点は何気にゾンビ映画では見たことがない。というかゾンビ視点で描かれる人間社会があまりにも滑稽すぎる。
ゾンビ化したことで宇宙人ハンターを失業することになったダンディ達の収入源が、自分がかけた自分の生命保険であると言うのは色んな意味で愉快すぎる。自分の生命保険の受取人が自分であるということもそうだが、ゾンビという「生物上死亡が確認されている存在」と言う立場を生かし切った立ちふるまいには笑うしかない。その割にゾンビとしては満喫した生活を送っているのだが、そのことがきっかけとなってゾンビ対人間の戦いが資本主義的に勃発しているところも素晴らしい。
宇宙進出が進み、宇宙人との交流が普通となったスペースオペラの世界でゾンビはさほど目立たないという事もさることながら、そんなゾンビが「生物上死んでいる」という立場を利用して生命保険を受け取っている。そのことを腹立たしく感じた保険会社がゾンビハンターを雇う事で、ゾンビ対人間の金をめぐる戦いが勃発し、「既に死んでいるはずのゾンビ達が殺される」と言う言葉遊びじみた闘争に発展したのは、もはや「ゾンビ」というものが「死んでいるのに生きている」という意味の分からない存在だからこそ生まれた悲劇であり喜劇だと思う。正直ゾンビでここまで話を回すとは思わなかった。
そうしてゾンビの視点で人間社会を眺めながらも最終的にゾンビの数に圧倒されて人類が滅んでるところなんかも面白いのだが、本作がゾンビ物として面白かったのはそんな末路の中に退廃的な雰囲気を出していたというところで、ゾンビ映画の面白さって「数が増えていくゾンビ」とか「友人が化物になって襲い掛かってくる」とかホラー映画的文脈の面白さもあると思うんだけど、ゾンビという存在が持つ退廃的な雰囲気だと個人的には思うところで、ゾンビが全宇宙を支配した後のその雰囲気はまさしくゾンビの持つ退廃さと同じだと思うの。緩慢に死んでるというか、文明としては死んでるのに動いてるというか。
その退廃的な雰囲気がこの回の締めに出てきたことがいい味になっているというか。最後にロメロの名前が出てくることで、『ゾンビ』リスペクトだったということが判明するところも上手い。そこでちゃんとロメロにパスを投げることで味になっている。
大体すべての話を楽しんでいるのだが、この一話!ということだとこのゾンビ回以外ない。これはもう俺がゾンビ映画好きだからだが、しかしこの回は全体的な整え方の面白さが光る回でもあるので『スペースダンディ』と言う作品の懐の広さが感じられる話でもあるので大好きだ。

ちなみに最新話はいい話でまとめていて面白かったです。前後の話が結構酷い事も含めて。


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