Entries

『ラブライブ! School idol diary 東條希編』と限りある儚い場所について

『プリティーリズム・レインボーライブ』で遂に速水ヒロのゴーストライター騒動の決着が付いたのだが、この45話において語られた「速水ヒロが神浜コウジの製作した楽曲を自分の曲であると発表した」というのはこの作品が一年かけて仕込んできた大ネタの一つである。
神浜コウジが作曲することに対して拒絶したのも、元はといえば速水ヒロが盗作したからでありそのことについては何度も語られてきた。様々な計略を張り巡らせ、自身のために神浜コウジを求めていた速水ヒロとそんなヒロの謀略にハマり、一時は作曲そのものに対して嫌悪感を抱いていた神浜コウジ。彼ら二人の男たちの創作をめぐる物語は、本作を語る上でも外せない話しであり、この話は『レインボーライブ』という作品を構成する重要な要因であるのだが、まさか佐村河内守氏のゴーストライター騒動がこれだけ話題になっている中でこの話を回収し切るとは思わなかった。
『プリリズ』は今までも割と話題性を先取りしていた部分はあるのだが、ここに来てタイムリーすぎる。一年前から仕込んでいた以上、完全に現実の佐村河内守氏が被ってしまっただけなのだが、にしてもである。
いやまあなんか持ってるんだろうな、プリリズ。アイドルアニメブームもプリリズ以降の流れだしな。
あ、内容自体は大変素晴らしくって、「全てを投げ打つ覚悟でファンの前で自身の罪と過去を曝け出した速水ヒロが、その罪も過去も応援してくれるファンの声でステージに舞い戻る」だとか「聖・怜・仁の三人のプリズムキングをめぐる戦いが、未来のために頑張るプリズムスター達のための過去の精算」と言う形で決着付けられているとか、「ヒロさんの母親が本当に訳あって息子とわかれざるを得なかった」とか、「ファンがいるからこそ自分がいる!ということを自覚したヒロさんが、『全部バラすぞ!』と脅す法月仁を否定する」とか、「スターライトエクスプレスって『ファンから与えられる』な絶対アイドル!と対極にある技で、『ファンを連れて行く=ファンに与える』技で、この2つを使えるようになったヒロさんは、俺達の心の中で輝き続ける本物のアイドルだ」とか、「つーかヒロさん、老婆すらもファンにしているとか、ファンの年齢層広いな!」とか、「親はどんなことがあっても子供のために何かをする!が、あれだけのことをしでかした法月主宰にも用いられてる」とか、本当に書いておきたいことは色々あるのだが、とりあえず今週の展開はアイドルアニメ好きとしては教科書に載せたいぐらいに素晴らしかった。ファンとアイドルの関係性でこれほどまでに胸を打たれたのは一年ぐらい前の『AKB0048』以来かもしれない。プリリズDMFは言うまでもないとして。

ライブに行ったり、その準備だったりで読めてなかったのだが『東條希編』をようやく読了。


ラブライブ! School idol diary ~東條希~ラブライブ! School idol diary ~東條希~
(2014/01/30)
公野櫻子

商品詳細を見る


μ'sの中でも最も性格が掴みづらく、公野櫻子から「正解がない子」と言われた東條希。
アニメでもその捉えどころのない性格っぷりは健在で、スポットがあたった十話においてもその性格から真姫がμ'sのメンバーと打ち解けるまでをサポートするなど、物語を裏で支える役回りに徹していたのだが、今回の小説版ではそんな東條希と言う存在が今の性格になるまでを掘り下げられていた。と言ってもラブライブ!はどの作品もパラレル扱いなのだけれど。
今回の小説版で描かれたのは東條希が親の都合で転校ばかりで、同じ場所に三年といたことがないという過去を持つということ。そして音ノ木坂学院だけが彼女がおそらく入学してから卒業するまで通うこととなった学校であるということが描かれているわけなのだが、彼女自身は転校に対して了承済みであるということが面白くさせている。
彼女自身が今まで何度と無く転校をし続けてきた。転校するということは、そのたびに自分の居場所をどこかに作るために苦労し続けるということであり、天候と同時にそれは失われるものだということである。彼女がそんな中で身につけたのが占いで、占いの力によって彼女は「自分の居場所」を確保し続けてきた。そんな彼女が「居場所づくり」から解き放たれた今だから出会い、楽しめているのがμ'sであり、そんな彼女達と出会えた音ノ木坂学院が彼女にとってパワースポットと定義付けていく一連の流れは面白い。「転校続きだったからこそ、守りたい」というのはおそらく彼女だけが持つ強烈な目標となっており、立ち位置が常に変動する彼女だからこそ今足をおろしているこの場所こそを大事にしたいと願う流れはその目標への活力を感じさせてくれる。彼女自身が割とふわふわした性格であるから、今まで掴み切れなかったが、彼女には彼女なりの過去があって、その過去が今の彼女を形成し、そしてそんな「今の東條希」だからこそ願う。
それに三年生だからこその重みで出してきたところも面白いところで、その三年だからこその重みは「二月のライブ」への決意や「進路」の問題として出てくる。矢澤にこ編でも見られた部分ではあるのだが、「三年生」という笑っても泣いてもこれが最後の学年だからこそ、それでも「守りたい」という「終わりを間際に控えたからこその気迫や決意」というものは小説版の東條希から滲み出てくる味だ。普段は飄々としているものの、根の部分は「熱い」というキャラクター付けがされたことと、卒業直前に転校した事による悔いが彼女の「夢をかなえる物語」を加速させているような気さえする。「友達」についてもおそらく彼女の方が大事にしているようなものなので、「音ノ木坂学院を守る」という目的はそことも繋がっている。その接続の仕方が絶妙だった。過去はやり直せない。そして過去は今に繋がっている。そこから未来へ繋げるための「今」。
そのための頑張りが本作ではきちんと描かれているし、その熱意が伝わってくるような描かれ方をしている点は東條希と言うキャラクターを「内面から見つめる」という作業が必要で、「日記」という形式だからこそその熱さがようやく描かれたように感じる。
またその辺りを写真とアルバムを通じて語っているのも面白いところで、中学からの彼女がある程度止まった時間を生きていたようにも感じられる。そんな彼女の時間が動き出したきっかけがμ'sというのは良い流れで。だからこそ、最後の絢瀬絵里の怒りが映えるのだろう。あれは「今」に対して諦めたように見える行動なのだから。
つーかあのシーンに関しては公野櫻子だからああいう「歳相応の関係性」というか「友情」ってやり方についてはある程度理解はしてたけど、やっぱり卑怯なぐらいに綺麗なシチュエーションを用意してきたと感じるところでもある。
あれはどうすればいいのだろうか。いやどうもしないのだが。

さて、次は最終巻となる絢瀬絵里編。何気に一番熱い人間だと思うのだが、そんな彼女の熱さが読めれば嬉しいかなー。
ところで小説版ラブライブ!の感想マラソンも次で終わりなので、来月以降は何か適当な感想を書きます。
スポンサーサイト
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://ilya0320.blog14.fc2.com/tb.php/2009-66db70c5

0件のトラックバック

0件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

魔界戦線


■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
44829979_m.jpg
とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

プロフィール

  • Author:水音
  • tumblrの方が積極的に更新してるマン。
    面倒くさがりなので、Twitterのほうが捕まります。

    魔界戦線



    連絡先  :mizune.moon.sounds@gmail.com
    @を半角にして下さい

カウンター