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『ガンダムビルドファイターズ』に見る自爆しないフェニーチェについて

『アイカツ!』が毎週やっていることに意味があるという領域に足を踏み入れつつあるわけなのだが、ここ最近のドリームアカデミー贔屓の展開って要するにソレイユ結成編みたいなことをやりたいんだろうな。以前木村隆一監督はアニメージュのインタビューで「スターライト学園全体がユニットのようなもの」と言っていたけれど、今やっているのはドリームアカデミー自体をユニットとして見立てるためのお膳立てのような部分で、今までそれほどきっちり描いてこなかった「スターライト学園対ドリームアカデミー」という構図をもうちょっと具体的な形で表現するために、ドリームアカデミーの四人を「ドリームアカデミー」と言うユニットを構成する存在として成立させようとしているような気もする。
実際どうなるのかはわからないけれど、とりあえずオーロラファンタジーは童話モチーフということもあって、幻想性が高くて結構好きだし、姫里マリアのキャラ立ても今までのキャラクターと重ならないように本物のお嬢様+西洋系と言うキャラ立てで、同じオーロラファンタジー使いである北大路さくらとちゃんと対照的な存在になるように組まれていて面白いと思う。マリア専用の星座ドレスはスイス辺りの民族衣装っぽさもあるしなー。
こうなってくると、さくらの星座ドレスも気になるのだが、東洋でファンタジーってどうやっても中華ファンタジーが脳裏をよぎる。実家が歌舞伎で、口癖が「北大路劇場」呼ばれているさくらのイメージとどういう混ぜ方をするんだろう。単純に童話チックというだけだと、マリアの方がキャラクターの持つイメージとの混ぜ込み方と言う意味では上手いわけで、さくらの個性が食われちゃうし。どうするんだろう。

で、『ガンダムビルドファイターズ』。
いつもは掴みの話程度で終わらせるのだが、今週放送された20話『裏切りのアイラ』は特に素晴らしかったのでいつもより長めに書いておく。


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(2014/03/26)
小松未可子、國立幸 他

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この『裏切りのアイラ』はレイジ達との再戦を誓うリカルド・フェリーニの前に立ち塞がったチームネメシス。フェリーニの相棒であるウィングガンダムフェニーチェとチームネメシスが開発し、今までに誰も傷ひとつ追わせることが出来ないほど圧倒的な性能を見せつけてきたキュベレイパピヨンの試合を描いていた。最終的にフェリーニはキュベレイパピヨンを前に相打ち覚悟の自爆を行おうとするなど、主人公達の良き兄貴分であったリカルド・フェリーニが再戦の願いが叶う事無く敗れると言う少し悲しい物語でありながらも、フェリーニのフェニーチェへの愛があふれたお話となっていたわけなのだが、今回の物語がなぜよかったのかというとリカルド・フェリーニはフェニーチェを失う覚悟をしてまでの自爆を決意しながらも、キララの言葉やフェニーチェを作った時の初心を思い出した事で最終的にフェニーチェを自爆させなかったというところだろう。
「最悪でもキュベレイパピヨンを撃破できる可能性があったのに、なぜフェニーチェが自爆しなかった事がよかったのか」というと、これはウィングガンダムフェニーチェの元になっているウィングガンダムに起因する。
というのもウィングガンダムと言う機体は『新機動戦記ガンダムW』の主人公機であるのだが、とにかく自爆と縁が深い機体なのである。原典においては後のライバルとなるゼクスに撃墜されたウィングガンダムは、パイロットであるヒイロの手によって破壊させられかけるし、シベリアでの戦いでは絶体絶命の状況を打破するためにウィングガンダムはヒイロによって自爆させられている。というか、ヒイロとウィングガンダムについては久しぶりにTV版で参戦となった『第二次スパロボZ』でもなぜか「自爆する」のところだけボイス付きで再生されていたり、自爆の精神コマンドがあるスパロボではヒイロの精神に自爆が入っていたりするなど、ウィングガンダムとそのパイロットであるヒイロ・ユイという男は「自爆」という二文字に縁が深いのである。
ウィングガンダムは自爆と縁が深い。であれば余計に「キュベレイパピヨンと言う強敵を前にした絶体絶命の中で、フェニーチェは自爆するべきだったんじゃないか」という部分もあるだろうが、そもそもウィングガンダムと自爆に縁が深いのはヒイロ・ユイという男がとにかく機体に愛着を持たない男であった部分も大きい。何せあの男、節操なしに機体に乗り換えるし、ウィングガンダムゼロもゼクスと交換すると言う形で手に入れているわけだし。
そうしてみていくとリカルド・フェリーニはヒイロ・ユイという「機体に愛着がない男」と全く逆の存在なのである。
ヒイロ・ユイは機体に愛着を持たない。だからこそ自爆もするし、機体を何度も乗り換えるのだが、リカルド・フェリーニは違う。
自分が勝つために作り上げたと語る「ウィングガンダムフェニーチェ」という機体を愛している。度重なる戦いに傷ついたフェニーチェはそのたびに修復され元の機体と大きくかけ離れたシルエットになっている。
アンテナが折れていたり、背部ウィングも左側に寄せていたりと傷つくたびに修復されていった事、そしてリカルド・フェリーニがそれだけこの機体を大事にしている事が伺うことが出来るデザインになっている。
ヒイロ・ユイとリカルド・フェリーニ。
この二人は同じウィングガンダムを使いながらも真逆に位置する。それによりリカルド・フェリーニがフェニーチェを愛すれば愛するほど、ヒイロ・ユイのその機体に対する愛着の無さというのは際立つ。いわばリカルド・フェリーニという男は、ヒイロ・ユイと言う主人公の逆向きのパロディとなっている存在だといえる。
だからこそ、ヒイロ・ユイが自爆したように「窮地に追い込まれながらも自爆しないフェリーニ」という部分が熱いのだ。機体に対して愛着があるからこそ、フェニーチェという相棒と共に戦ってきたからこそリカルド・フェリーニはフェニーチェを自爆させない。リカルド・フェリーニは自爆し相棒を失って手に入れる相打ちという結果よりも、相棒と共に敗北を受け入れる道をあえて選ぶ。
あのシーンで描かれているものはリカルド・フェリーニの敗北ではなく、「リカルド・フェリーニがフェニーチェという機体を愛するからこそ、自分の相棒だと分かっているからこそ、これ以上壊させない」という相棒にかける愛情であり、自爆よりも意味のある敗北を認める勇気の姿なのだ。
だからこそ、そのリカルド・フェリーニの勇気とフェニーチェをこれ以上傷つけさせないための決断を、システムの暴走とはいえ結果として踏み躙ったチームネメシスの非道さが際立つ。ファイター達の挟持を、ガンプラを愛する全ての人達を愚弄するようなあの破壊行為はあの場にいる全ての人間達が敵だと感じるような行いであると言える。
そういう意味では前回「ファイターであるレイジやセイ達や全てのガンプラファイターを馬鹿にするような八百長試合を申し込みながらも、試合が終わってみればすっかりガンプラファイターであり、ガンプラが好きな一人の人間だった」というニルス・ニールセンとは対照的な存在だともいえる。まあスポンサーの理解を得られたニルス・ヤジマ商事とスポンサーの理解を得られなかったチームネメシス&ヨセフ・カンカーンシュルヤという枠組みでも、この二人は対照的だといえるけども。
またフェリーニを止めたキララの言葉もまた熱い。
「明日勝てばいい。明後日勝てばいい」と叫ぶその言葉は「ガンプラアイドルという色物な存在になってまでも売れる」という初心を忘れること無く努力し続け、こうして今の活躍の舞台を勝ち取った「初心を貫き通したものだからこその重み」だ。
ガンプラ選手権に出場したものの破れた際に「一年後など待てない」と叫びながらも、その道を捨てなかったからこそ、「勝つためのフェニーチェ=フェニーチェと共に勝ち続ける」と言う初心を忘れたフェリーニを引き止める。あそこで「初心を貫いたからこそ今があるキララ」を出してきた事で、初心を思い出すフェリーニと言う展開が胸を打つのである。



どこぞのアニメを見ないでアニメの感想を書いているブログなどはこの20話に「自爆しとくべきだった」などというコメント書いていたが、あそこで自爆しないからこそフェリーニとフェニーチェ、ヒイロ・ユイとウィングガンダムの対照的なキャラ立てが際立つし、フェリーニのフェニーチェのための敗北が光るのであって、自爆していたら何の意味もないのである。
自爆させなかったことでフェリーニとフェニーチェを魅せながら、ヒイロやウィングガンダムという原典をも立ててきたスタッフには何度目か分からない賞賛を送る。お前ら全員ガンダム好きすぎ!

ところでエクシアがプトレマイオスに格納されてたけど、あの世界ってプトレマイオスまでもプラモ化されてるんですかね……。



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2件のコメント

[C1471]

こちらの記事で触れてないので言うべきか迷いましたが
長崎さんはNO6で初監督を務めましたよ。
ぶしつけでしたら申し訳ありません。

記事の内容には全文同意です。

[C1472]

ご指摘どうもありがとうございます。
完全に記憶から抜け落ちてました。>NO6
  • 2014-02-27
  • 水音
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