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『レディジュエルペット』一話に見る「理想」の第一歩とメッセージの重ね方について

「アイドルアニメ戦国時代」と言う言い回しでアイドルアニメについて語っている記事を散見するけど、今期に限って言うなら「アイドルアニメ戦国時代」よりも「カードゲームアニメ戦国時代」もしくは「ホビーアニメ戦国時代」と表現するほうが正しいような気もする。
例えばカードゲームだけでも『ヴァンガード』と『バディファイト』と『遊戯王アークV』と『WIXOSS』と『最強銀河究極ゼロ』は今現在放送中なわけだし、ホビーアニメとしては『ディスクウォーズ:アベンジャーズ』や『ギガントシューターつかさ』は今期スタートだ。アーケードゲーム形式だと『マジンボーン』や『妖怪ウォッチ』、『アイカツ!』もそうなるのだが、ともかく今期はカードゲームアニメが多いぞ!というのは振り返った時に押さえておきたい文脈ではあると思う。
そんなカードゲームアニメの中でも唯一の深夜アニメとして製作されている『WIXOSS』は一話にして「ルールを知らない初心者に勝負を挑む」ということをやり、二話では「ハンドデス戦略使いを登場させる」というカードゲームアニメではあんまり見ないようなことをあえてやっていてちょっと面白かった。あとこれはマイナスの評価に繋がる部分でもあるけど、岡田麿里だからか駆け引きの部分に重点を置いたカードバトルの組み立て方をしていたのは興味深い。カードゲームは運やデッキ構築力、プレイングはもちろん大事だけど、駆け引きの部分の面白さもあるわけで。そこの要素をあえて盛り込んできたのは本作の「らしさ」でもあるのかなーと思うけど、カードゲームの宣伝的側面を持つのにカードゲームの面白さが見えてこないのは大きなマイナスになる部分でもあるのでこの辺はもうちょっと後にやってほしかったかなーと感じる部分だ。
ともあれカードゲームアニメとしてはちょっと異色(放送時間帯的にも)な『WIXOSS』は結構頑張ってるよ、ということを『プリパラ』に期待する身として書いておきたかった。『WIXOSS』もタカラトミーだしな。

よし、『レディジュエルペット』の話をする。
『ジュエルペット』シリーズも何だかんだで六年目に突入。
シリーズ第一作である佐々木奈々子・前川淳の『ジュエルペット』、山本天志・島田満の『ジュエルペットてぃんくる☆』、稲垣隆行・柿原優子の『ジュエルペットサンシャイン』、森脇真琴・ふでやすかずゆきの『ジュエルペットきら☆デコッ!』、そして三月に無事終了した桜井弘明と複数人の脚本家集団からなるジュエル学園文芸部の『ジュエルペットハッピネス』。一年ごとに監督が変わると共に作風も変わるのが『ジュエルペット』シリーズの面白さの一つなのだが、今回六年目の『ジュエルペット』として始まったのが『レディジュエルペット』。
監督には川崎逸朗、シリーズ構成には高橋ナツコという布陣でスタートした『レディジュエルペット』だけれど、サンシャイン→きら☆デコッ!→ハッピネスのギャグコメディ路線からどうなるかと思いきや、川崎逸朗監督らしく少女達が自分達の憧れる素敵なレディになるまでを描いた作品になるようで、その一話のあまりの美しさにちょっと驚いてしまった。
『レディジュエルペット』一話の何が良かったかというと、一話の段階でダメな主人公が一年間の経験を経て素敵なレディになる姿を幻視させるような話の構成とその演出だろう。『レディジュエルペット』は「レディ候補生がメンターでありパートナーであるジュエルペット共に素敵なレディになる!」と言う一年を通して少女達が成長していくまでを描いた物語であり、従兄の結婚式に出席していた主人公のももなはジュエルペットであるルビーに導かれてジュエルパレスにやってくるのだが、とにかく序盤で描かれるももなの姿というのは他のどの女の子よりもドジでダメな姿だ。
それは試験においても同じで、自分とともに試練に挑むことになったジュエルキング候補生であるカイエンの足を引っ張ったり、我儘な振る舞いをしたりと悪いところばかりが目立つ(とはいえ角が立つ描き方ではなく、ももなの魅力に転換させるような描き方なのが素晴らしいところでもある)。
しかしそんなももなを繋ぎ止めたのは以前のレディ候補生から受け継がれていくマジカルレターペンに込められたメッセージだった!というのはまあベタなのだが、何が面白かったかというと二重三重にもそのメッセージの意味を重ねてきたことだろう。
「素敵なレディ」というのが本作のゴール地点であることが明示されているのだが、その「素敵なレディ」の姿を従兄の結婚相手の中に見ていたり、マジカルレターペンの前回の所持者がそんな従兄の結婚相手を彷彿とさせるような描き方になっている。そのことにより「ももながこの一年間で辿り着くだろうレディの姿」がこの段階ですでにある程度提示され、そんな素敵なレディの姿=理想像に向かって少しでも努力しようとするももなのその行いが「彼女なりのレディのあり方」として生きてくる。
つまりこの一話では先に「なりたい姿」をある程度実像を持った姿として提示しておくことで、そこに至ろうとする少女のほんの些細な第一歩が彼女の一年後を期待させてくれるような描き方がされているのだ。それにより「試練を乗り越えて、レディ候補生である資格を得た」は強い意味を持つ。ダメでドジな少女でありレディとしての資格があることそのものを疑われるようなももながちゃんとレディになれるような存在であり、そしておそらくなるだろうということを視聴者に強く印象づけている。それは本作が強く押し出しているメッセージ、「女の子は誰でも輝ける」や「女の子は誰でも素敵なレディ」というものは、この一話において既に明確なメッセージとして機能している。
だからこそこの一話は素晴らしい。ももなの憧れる姿を提示し、今のももなのダメさ加減を逃げること無く真っ向から描き、その上で彼女がその理想とする姿に向かって頑張る姿を描くことで「誰でも輝くレディになれる」というメッセージがより強調される形で昇華されているのだから。
川崎逸朗監督は以前にも『シャイニング・ハーツ~幸せのパン~』などで一話である程度テーマ性を描き切った上で、最終話でもう一度そのテーマを深く掘り下げるようなシリーズ構成をしていたけれど、本作でもそういうシリーズ構成になっているように見える。少なくともこの一話だけで一年後のももなの姿が、そして「女の子は誰でも輝ける」というメッセージは既に表現されている。
冒頭に書いたように『ジュエルペット』シリーズも『レディジュエルペット』で六年目になるのだが、六年目の新たな第一歩を踏み出す一話として最終話後に改めて視聴した時に一話の価値が生きてくる。そんな一話であったことは素晴らしいことだと思う。



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2件のコメント

[C1495]

一話の演出がてぃんくる☆監督の山本天志さんなのは、スタートダッシュの地盤をより固めるための布陣だなぁとテンション上がりました。

[C1496] Re: タイトルなし

あのキスしたのかしてないのかわからない演出は「ああクソ! てぃんくるの山本天志らしいな!」ッて思いました。あれ、本当にしたのかしてないのかわからない撮り方ですしね。
  • 2014-04-16
  • 水音
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