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『ラブライブ!』二期二話に見る「誰かのため」ではなく「皆のため、自分のために」について

『レディジュエルペット』の二話を視聴したのだが、今のところ文句の付け所が本当にない。一話の出来というのは言ってしまえば「今回のお話はこういう感じですよ」と言う提示であるし、その部分では主人公がレディになれる兆しを見せてくれたしその描写の緻密さが面白かったわけだけど、今回の二話はテーブルマナーについて語っている中でテーブルマナーの根っこにある「食事を楽しむ事」というのを呼び起こしていたのは「形式上」ではなく「本当に必要なもの」を語っている感があって絶妙すぎる。
その上で「誰かが美味しそうに食べているものは、苦手なものでも美味しそうに見える」と言う流れでカイエンにケーキを食わせる辺りは美しくまとめているのだが、こうやって見てみると「レディになる」ということは「決して技術の問題ではない」ということが既に明確に描かれていて、「真の意味でのレディとは何か」と言う話でもある。だからリリアンは技術面では多くの人を惹きつけるけれど、ももなのあの「誰からも羨ましがられる」という姿はそれ以上に見ている人の心をときめかせている。この辺の優劣(とは多分違うんだろうけど)の付け方は美しいと思う。さすがジュエルペット、さすが川崎逸朗と言ってもいいと思う。そして次回は社交ダンス回、って本当にそつがないな。しかしこのペースだと1クール強で大体出尽くさないか?という気もするし、仲間の事ももうちょっと掘り下げてもいい気がするぜ。
ところで二話の引きについてだけど、これが『サンシャイン』だったら『show me』流してたな。



今週も無事に視聴することが出来たので『ラブライブ!』二期二話の話をすることにしよう。
スクールアイドルの祭典、ラブライブ!に参加することに決めたμ'sだったが、出場グループが多いことから開催一ヶ月前にもかかわらず急遽「未発表の新曲を使うこと」というルールが追加されてしまう。いきなりの追加に驚く穂乃果たちであったが、出場するには作るしかない!というわけで新曲製作のために合宿に行く事になったのだが、楽曲制作の中心メンバーの三人がスランプに陥ってしまう!というのが二話のあらすじになるのだが、二話の良かったところとしては「今のμ'sでいられるのは今しかない!」からラブライブ!への出場を決めたμ'sらしく、「卒業してしまう三年生のために」という呪縛にとらわれてしまう作詞担当の園田海未、作曲担当の西木野真姫、そして衣装担当の南ことりを通じて「誰かのために」ではなくて「皆のために」、そして「自分のために」という一期の主題の一つだったものをもう一度、そして別の視点から描き直したことが上げられるだろう。
一期の段階で明確に「自分の意志でやる」ということを提示したのは誰だっただろうか。それは高坂穂乃果でもあるし、絢瀬絵里でもあるし、矢澤にこでもあるし、小泉花陽でもある。言ってしまえばこの四人は全員「誰かのため」ではなくてなにより「自分のために」と言う意識を持ってアイドル活動へと励んでいる。そしてこれは「ラブライブ!」と言うコンテストに出ることを決めた時も同じように「自分のために」と言う意識を持っていたと言ってもいいだろう。
それに対して他のメンバーはどうだったのか、ということを掘り下げたのが今回だったわけなのだが、南ことりと園田海未、そして西木野真姫という楽曲製作や衣装の中心となるメンバーに改めて問いかけた事は面白い。「アイドルを始めるかどうか」というところではある程度の解決はされている問題ではあるけれど、今回の問題というのは「三年生が卒業してしまうからこそ」と言う問題だ。そのことに対して真面目に、そして深刻に考えてしまう三人をピックアップすることで改めて問われる「誰のために」というテーマというのは「一期で描いたものをもう一度別視点で描いている」と同時に、「音ノ木坂学院」という場所の中で繰り広げていた一期とは違い、学園の外側に打って出る二期だからこそ「ラブライブ!」と言う大会に出る前にやっておかなければならない問題なのだ。
だからこそ「三年生のためにいいものを!」という呪縛に囚われてしまい、スランプに陥った三人の苦悩はμ'sが乗り越えるべき問題として機能し、そしてその解決もまた今やっておくからこその強い意味を持ち、その解決に必然性があるように描写されているのだ。

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そして今回、その問題に対して苦悩を抱える西木野真姫、園田海未、南ことりを中心とした三つのグループが形成され、それぞれが距離をおいて問題と対峙するという描写がされたが、それぞれユニットになっていることも面白さの一つだが、それ以上に少人数のグループに分かれて悩みを共有させてやることにより同じような悩みでも様々な解決方法が提示されている事が面白い。
最下級生の西木野真姫の「卒業間近の最上級生と共に最高の結果を手に入れたい」ということは彼女の生真面目さを考えれば当然のことだといえる。あれだけクールに振る舞っていながらも、やはり彼女がアイドル活動を続けてきたのは今の九人だからで、そこには三年生も当然含まれる。だからこそ彼女は彼女なりに「最高のもの」を作り出そうとしてスランプに陥ったわけなのだが、それに対して三年生であるにこが「曲はいつも、どんな時も全員のためにあるのよ」と語るのだが、これには真姫のその考え方自体が間違っているのではなく「三年生のためにいいものを!」という真姫の思いが微妙にずれているという意味が込められている。そしてそのずれこそが彼女のスランプの原因であり、自覚することがそこから抜け出す鍵として機能しているのである。

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他のメンバーについても、それぞれのメンバーが抱える問題に対して少人数に絞ったからこそ回答が導き出されている。
力が入りすぎて空回りしている園田海未に対して東條希は「引く勇気」を語る事で立ち止まらせてくれる。進んでいるか進んでいないかで悩んでいる南ことりに対して高坂穂乃果と小泉花陽は一度立ち止まる事とそれでも少しづつ進んでいる事を信じる心を説く。
少人数のユニットに分かれた事で「誰かのためにいいものを作ろう!」という三人の悩みはそれぞれのユニットらしい解体をされている。そしてそこから少しづつ悩みを抱えていた当事者達が自分達なりに組み上げていくことで少しづつ楽曲は完成に近づいていく。
この悩みの解体におけるそれぞれのグループらしさと当事者同士が協力しあって組み上げていくという解決のプロセス。この二つが組み合わさるからこそこの解決は美しさを感じさせてくれる。
コミカルに描いてこそいるが、大事なところではちゃんと一歩づつ積み上げていく過程は今回の脚本を手がけた花田十輝というよりは京極尚彦、そして京極尚彦の師匠である菱田正和の気配を感じさせるのだが、『ラブライブ!』だからこそ「九人で解決する」と言う流れが綺麗に嵌っているのである。

「誰かのためではなく自分のために」「誰かのためではなく皆のために」「一歩づつゆっくりとでも進んでいく」という事は一期でも描いたことなのだから当たり前のことなのかもしれない。視点を変えたからといってもテーマを引き継いでいる以上、回答も似たようなものにしかならないだろう。
しかしだからこそ今ここでやっておかなければならない。一期から引き継いだ「自分のために」「本当にやりたいことはなにか?」と二期から登場した「終わりがあるからこそ今を頑張ろう」。その二つを今ここで一連の流れに乗せて合わせて描写しておく事で、この後の展開でどれだけの苦難が待ち受けていようとも「九人で乗り越えていく」というドラマ展開に説得力が増すはずだ。
また三人を同時進行的に掘り下げたからこそそれぞれの悩みが同格の存在であったことも垣間見えるのだが、それに合わせて「だって九人もいるんだよ! 誰かが立ち止まれば、誰かが引っ張る。誰かが疲れたら、誰かが背中を押す。皆少しづつ立ち止まったり、迷ったりして。それでも進んでるんだよ!」という穂乃果の言葉を思い返してみればμ'sとそのμ'sが背負っているドラマというものの本質を見ているようにも感じられる。いやおそらくそういう意味なのだ。
「μ'sと言うユニットは九人になった時に困難を打ち破れる」と語っていたのは東條希だが、九人だからこそ廃校の危機を乗り越えることが出来た。九人だからこそ、講堂を観客でいっぱいに出来るようなライブが出来た。
そしてその道中には様々なことがあって、時に立ち止まったこともあった。しかしそれでも前へと進んでいたことだけは間違いなかった。だからこそ「立ち止まりながらも少しづつ前へ進む」という言葉の意味があるのだろう。この辺りは毎話ごとのテーマ設定と、それを組み込めるグランドストーリーがあってこそのものだ。シリーズ構成としてガッチリしているからこそ、本作のストーリーは毎回魅力的なのだろう。

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そして徹夜で楽曲を完成させたであろう三人の髪の描写だが、この作画の密度は素晴らしい。

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髪の乱れと差し込む朝日のみで描写されているが、髪の乱れをこれだけの密度で描くことで完成に至るまでの三人の熱量の苦闘を感じさせてくれる。
だからこそ苦悩と解決、そしてその結果が生み出す新曲に三人の「ラブライブ!で優勝する!」という意気込みが強く現れていると感じさせる。果たしてどんな楽曲になっているのだろうか。聞ける日を楽しみにしておきたい。



ところで関東の『ラブライブ!』放送直前に知人から『ラブライブ!』と『プリティーリズム』のライブ演出についての比較論を求められたのでうっかりやってしまったのだが、そのうちまとめてテキストを書きます。
やるとしたら同人誌かねぇ……。


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