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『WIXOSS』と欲望をより強く見せるバトルロイヤル作劇について

『プリティーリズム・ レインボーライブ』の『プリズム☆ミュージックコレクションDX』が無事に発売されたので購入したのだが、ようやくジュネ様の『nth color』、ジュネ様とりんねちゃんの『SEVENDAYS LOVE,SEVENDAYS FRIEND』がフルで聞けるとか素晴らしいなぁ。ジュネ様とりんねちゃんはプリズムワールドからの使者と言う設定もあって、他の楽曲と違って作曲家が違うのだが、そのおかげでこの二人の楽曲の作品の題材となっているもの、作品に込められたメッセージなんかが盛り込まれていても違和感がないというか。
以前にも作曲家で他のキャラクターと出自が違う二人を浮かび上がらせる手法については触れたことがあるけど、斉藤恒芳作曲だけあってこの二人の楽曲が山原一浩作曲の他の楽曲と違い荘厳な雰囲気を持つメロディであることにちゃんと意味があって、だからこそ歌詞に込められているものがジュネ様とりんねちゃんがレインボーライブ世界にやってきた事で得られたものの価値を噛み締めさせてくれる。特に『nth color』はその、ジュネ様はどんだけ純粋に聖さんを愛しているんだ!と叫びたくなるな。「私の愛が貴方を撫でる」とかどれだけ好きなんだ……。そりゃ最後の瞬間まで愛し抜き、自分が燃え尽きるほどのすさまじいジャンプを飛びますわぁ。
そして特典扱いの森久保祥太郎版の『EZ DO DANCE』だけど、これは黒川怜が歌っている想定のいい歌い方だなぁ。

で、今期放送している中でもひときわ異彩を放つカードゲームアニメ、『selector infected WIXOSS』だけど、この作品が何だかんだで結構面白く視聴させてもらっているのだが、この作品のどこが面白いかというと本作の脚本を手がける岡田麿里が得意とする思春期の青少年のドロドロした感情のぶつかり合いもさることながら、そんな岡田麿里の得意とするシナリオ類型に「願いを叶えるためのバトルロイヤル」を組み込んだ事で、「どんなことをしてでも叶えたい願いを持つ思春期の少女達が自分の欲望をむき出しにして傷つけあう」というところが真剣かつ切実に見えるというところだろう。
本作に出てくる主人公を除く全てのキャラクター達はこの『WIXOSS』と言うゲームに「どんなことをしてでも叶えたい」という強い願いを持ってカードゲームをプレイする。
その願いというのは人それぞれで、「友达を作りたい」「遙か高みにいる自分の同業者に対する嫉妬」「実の弟に対する恋心」なんかと多岐に渡るのだけれど、本作で徹底されているのはその願いを叶えるためにプレイヤー達は必死で戦っている事で、その願いが何れも同じぐらい尊い願いとして演出されている。
それによって前述した「願いに賭ける真剣さ」だが、それはつまり「その願いを抱くキャラクター達一人一人の生き様」であるし、全員が同じぐらい真剣な願いを持っていると演出している以上、それは「戦うことによって研ぎ澄まされていく剥き出しの欲望」というものの面白さが生み出されている。特に真剣なのはルールを知らない主人公に初心者狩りを仕掛けた遊月とか精神攻撃と駆け引きのスキルで相手の勝ち筋を封じる戦いをする晶達だが、彼女達が勝つことに執着し、真剣になればなるほどその「叶えたい願いに賭ける思いの強さ」が強く現れていく。そしてその思いの強さが強くなれば強くなるほど、キャラクターとしてのエゴの強さと彼女達のある種のいびつさが魅力としてより強く生きてくるような作劇になっている。
その「願いに賭ける思いの強さ」をより強調させるルールとして面白いのが、この作品では「一回負けても敗者にはならず、三回負けて初めて敗者となり戦いに参加する権利を失う」と言うルールで、このルールの面白いことは「三回」という余裕のあるルール設定にすることで「どうしても叶えたい願いなのに、願いが叶えられないかもしれない」という不安感を煽り、焦燥感を生み出し、勝利への執念をより滾らせる、という「願いに賭ける思い」をより強く引き出すものとして機能している。「一回負けたら即リタイア」じゃない事で「本当に負けられなくなった」という状況になったその時、彼女達の願いと勝利に対する執着が高まるということでもあるのだから、この設定は逆にえげつない。
ましてや彼女達は「どんなことをしてでも叶えたい願いを持つ」。だからこそこの戦いに参加しているわけで、この回数制限付きのコンティニュールールは、彼女達の欲望と勝利への執着を引き出すことで少女を「自分のために周囲を全て犠牲にできる」という怪物へと変えてくれそうでもある。いずれにしてもこの作品のあらゆるルールが「勝利へ執着させる」というえげつない方向で整えられていることで、キャラクター達の自分達の願いをより真剣かつ化物的な何かへと変化させているわけで、その狂気に半歩踏みいっているかのような真剣さこそが「思春期の少女達に依るバトルロイヤル」というものを激しいドラマへと見せてくれている。
その一方で主人公が特に叶えたい願いは持たないものの、「願いを持つ者同士の激突」という中に身を置く事で「カードゲーム自体を楽しんでいる」という描き方がされているのは面白いところで、彼女は叶えたい願いを持たない。だからこそ「負けてもいい」といえるのだが、その一方で彼女自身はこのカードゲーム自体の魅力に取り憑かれているし、「願いを叶えるために真剣になって戦っている」という奴らとの戦いも楽しんでいる。
実は誰よりもこのゲームを楽しんでいるのが主人公なのだが、にも関わらずその主人公自身は戦いを積極的に行う理由を持たない。そのアンバランスさが彼女自身の魅力にもなっているし、この「願いを叶えるためのバトルロイヤル」という戦いに一石を投じることで何かが変わりそうな気配を漂わせている。
また販促として見た場合、面白いのはキャラクターの性格とデッキのコンセプトが絡められていることで、手札を削るなど相手の勝ち筋を徹底的に封じることで立ち回る青のデッキを使うのが作中でも苛烈かつ狡猾な性格の晶だったり、直情型の遊月が殴って削るというビートダウンを得意とする赤のデッキ使いだったりと、ちゃんと「そのキャラクターらしい戦術が取れるデッキコンセプト」になっていることで、より一層「そのキャラクターが剥き出しで戦っている」ということに「らしさ」が出てきているように見える。ゲームは大なり小なり性格が出るものだけれど、カードゲームだとその辺はデッキ構築の部分で出てくるものなので、性格から逆算されたかのようなデッキコンセプトは地味に面白いし、「なりきり」みたいな部分もある。
そしてあえてカードゲーム自体の詳細なルール説明を避ける事で「どんなカードゲームなんだろう」と興味をもたせている辺りも今のところ有効な気がする。俺も赤と青は買ったからな……。

一話を見た時、「ルール説明をあえてしない」「初心者狩り」と「カードゲームの販促アニメ」として「おいおいそれでいいのか」と思う部分は多かったのだが、今こうして見てみるとそれらは全て意味があった事がよくわかる。
こうなってくると最終的にどこに落としこむのか気になるところだが、まだ全体が見えてこない。どういう方向に舵を切るにせよ、今の段階ではアキラッキーが面白すぎるのでああいう狡猾な腹黒なキャラクターがどういう顛末をたどるのか、それが楽しみだなあ!


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4件のコメント

[C1497] 自分も楽しく見ております

 主人公ルウルウが戦闘狂の片りんをチラ見せしてきたりアキラッキーが百面相を披露したりと見所がたくさんあり、拙者も毎回楽しく視聴してますよ
次回はモデルで5人目のセレクターの紫?の娘がアキラッキーを撃ち落とす展開になりそうで今からソワソワしております
 ただOPのサビ2回り目でノーテンキに登場する謎のちびっ子が気になる
今までのシリアスな歌と映像にそぐわなすぎだろ…
  • 2014-04-27
  • チョウチンアンコウ
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  • 編集

[C1498]

>>チョウチンアンコウさん

スターターデッキの販売スケジュールを見ると、あの五人目のセレクターは黒属性デッキ使いにも見えるんですけど、現状最強のアキラッキーのハンドデス戦略っぷりをどうやって叩き潰してくれるのか。そして精神戦が通じない相手に対するアキラッキーの挙動が楽しみですわぁ。
  • 2014-04-27
  • 水音
  • URL
  • 編集

[C1502] 見守りたいです

こちらのブログで紹介されていたので興味を持って
見てみました。
最新話まで来るとテーマはまどマギの系列っぽいのかなと思いました。
3回負けて戦線離脱の子をこれから筋に復帰させる
ときはどうするのか、それをしないのかなど、
まだこれからだと思うので見守りたいです。
蛇足ですがプリリズのレインボーライブからこの手の
アニメに興味を持って、あれこれネット等を回ってみました。
こちらのレインボーライブの解説も熱くて感動しちゃいました。
  • 2014-05-05
  • AppleCandy
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[C1508] Re: 見守りたいです

るう子にしてもまどマギのまどかにしてもそうですけど、最近流行りの主人公パターンの一つである「エゴが分からない主人公」は龍騎型バトルロイヤル物ではちょっと浮いてる存在なんですよねぇ。これを逆手に取ったパターンとして、『Fate/EXTRA』があって「エゴが極端に薄い」ということをユーザーが入り込みやすい器として機能させる事で解釈を委ねる、というパターンもあるんですけども。
何にしても「三回負けたら」がえげつない形で出ていたり続きが気になるように作っている辺り、話題を途切れさせないようにしていて頑張ってるなーとは思います。
  • 2014-05-18
  • 水音
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