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『ラブライブ!』二期五話と新しい自分への恐れと決意について

『ウィクロス』の最新話を視聴したのだが、岡田麿里は本当に性格が悪いな! 
「願いを叶えるためにプレイヤー同士が戦わなければならない」というのはこの手のタイプの物語にはありがちではあるのだが、「敗北=死」と言う作品が多い中で『ウィクロス』のこれは死んだ方がマシじゃないのか。確かに欲望を叶えるためには戦い続け、勝ち続けなければならない。それは他のプレイヤーの叶えたい願いを踏み躙るということでもあるのだが、しかし『ウィクロス』の敗者に下されるこのペナルティは死よりも重い。
「願いを叶えたいのに願いを叶えることが出来ず、自分が何故願いを叶えられないのかということを自覚できない」というのは、生きる希望を奪っているも同然だ。「絶対に叶わない願いのために今後も努力し続ける」という敗者の姿は哀れであるし滑稽であるし道化的だ。
この手の作劇は主人公に依る救済とワンセットであるし、彼女の嘆きと苦しみもまた主人公によって救済されることが予定調和としてあるからこそこの展開は許されるのではないかと思うが、しかしこの苦しみと嘆き、そして叶わない願いのために足掻き続ける彼女の姿はどうだろうか。もはや死んでいるも同然ではないのか。
主人公に依る救済が予定調和としてあるからこそ、キャラクター達に「死ぬよりも辛い体験」を背負わせているあたり、岡田麿里の容赦の無さが際立つ。元からこういう人ではあったけれど、今回のこれはあまりにも見ていて辛い。
いや本当にどうなるんだろうな。主人公が純粋にカードバトルを楽しんでいて、戦いそのものが目的になりつつあるけど、どういう救済があるのだろうか。とりあえず俺はアキラッキー☆がどうなるのかだけ気にしてる。




『ラブライブ!』二期五話を視聴。
作画的には省力化に徹している感はあったのだが、前回とともに一期から積み重ねてきたネタを二期の文脈に絡めたいいお話にまとめ上げてきた点については素晴らしいものがあった。
今回のお話の概要をかいつまんで話すと「二年生が修学旅行に出かけている間、周囲の推薦もあって暫定的に新リーダーとなった星空凛。ファッションショーでのライブに向けて新リーダーなりに努力をしてきた凛だったが、台風襲来により二年生がライブまでに帰ることができなくなってしまう。やむを得ない事情でセンターとなってしまった凛であったが、自身は可愛くない!としてそのセンターの立場から逃げ出してしまうのだった……」という話だったのだが、一期の段階であらかたエピソードを終わらせてしまった二年組の不在と言う状況は二期でも何度と無く描かれていることではあるのだが、今回面白かった点としてはその「二年組不在」という状況を逆手に取って新リーダーと言う形で世代交代を意識させながらも、一期の頃からネタとしては散りばめられていながらも回収されてこなかった星空凛の「可愛いものへの憧れからくる恐さの解消」という二つの物語を「センターを務める」という物語で上手くまとめあげた点が上げられるだろう。
まず一つ目であるが、二期一話では一期の頃には絢瀬絵里が生徒会長と務めていたところ、新生徒会長となった高坂穂乃果が描かれることで三年生から二年生までの世代交代が描かれた。そのことを絡めた上で「生徒会長の交代」を「今のμ'sの終わり=三年生の卒業」とし、「今しかできない最高の結果を出す!」というのが二期の方向性で、これを展開した一話がなぜあれだけ印象的なのかといえば「終わりがあることに自覚的」で、だからこそ「今しかできないこと(=ラブライブ!で優勝する)をやり遂げる」というビジョンが明確に示されたからだろう。
しかしこれはあくまで三年生から二年生へのパスで、二年生から新二年生、つまり今の一年生である西木野真姫や小泉花陽、そして今回の主役となる星空凛へのパスは未だ描かれていないことだった。そうして考えれば今このタイミングで、μ'sのリーダーの交代と言う形で新リーダーの姿を描く!というのは妥当であるし、三年生から二年生、二年生から一年生への世代交代=パスのつなぎ方としては綺麗に繋がる。
また生徒会活動が忙しい事は一話の段階で明示されていたことであるし、ここで二年生が中心の体制から一年生が一部だけでも仕切る体制に持っていく事は今後の事を考えても納得できる部分ではある。
だからこの「世代交代」というものを三年生から二年生だけのものとして描かず、「二年生から一年生へ」と言う形でパスと繋ぐ事でアイドル活動そのものを「今のμ'sが終わったらそれで終わり」とするやり方ではなく「音ノ木坂学院のスクールアイドル」として「今後も続いていくもの」として受け継がせていこうとするところに面白さが生まれる。
特に二期五話の中心人物となっていた花陽と凛は一期終盤で彼女達は「スクールアイドル活動をやめる!」という状態となっても、にこと共にアイドル活動を続けている姿が挿入されているあたりから見ても彼女達のどちらかが新リーダーとして牽引していくことになる流れはむしろ一期の頃から既定路線だったといえるだろう。
そこでなぜ星空凛なのかというのが今回描かれた話で最も大事なところで、彼女は「可愛さに憧れながらも過去のトラウマにより恐怖している」と言うキャラクター付けがされている。この「可愛さ」というのはつまり「女の子らしさ」であると共に「女の子の夢」とでもいうべきものだろう。そしてこの「夢」や「らしさ」というのは、ひいては「なりたい姿=理想像」というものに繋がってくる。だからこそ彼女がリーダーとして周囲から推薦されることにも納得ができるし、花陽の「アイドルになりたくてアイドルになる」というものはスクールアイドル活動である程度達成されているものであるからこそ、「そこから先のステージ」に繋げられるだけの明確なビジョンを持つ星空凛だからこそ新リーダーとして相応しいのだろう。
そして二つ目だが、前述したように星空凛は「可愛さや女の子らしさに憧れながらも、過去の経験により恐怖感を抱いている」というキャラクター付けがされている。その事は今まで何度も触れられていた部分ではあるものの、今まで詳細に語られたことはなかった。しかし一期の四話の段階で既に「女の子らしい装いをする」というカットが登場していることから考えると、おそらくそれは彼女の中でずっとくすぶり続けていた事なのだろう

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上:一期四話 下:二期五話

だからこそセンターとなり、ライブの依頼をしてきたファッションショー側の衣装を見た時に恐れてしまう。
それは自分が憧れ、自室で着用したりしていながらも一度も人前では見せたことがない、見せないように封じ込めてきた「女の子らしさ」が形になったものなのだから。
だからこそ恐れるし、自分の中で最も女の子らしいと思っている存在である花陽に押し付けてしまう。誰よりも憧れ、誰よりも理解しているからこそ、他者が決めた「星空凛らしさ」に縛られて逃げ出してしまうのだ。
しかし彼女が花陽の「最大の理解者」として振る舞うように、花陽は凛の最大の理解者でもあるのだ。
だからこそ彼女は星空凛の「女の子らしさ」を誰よりも理解し、彼女の背中を強く押す。
かつてアイドルに憧れながらも、そのステージを恐れて影から応援する立場を選ぼうとした自分を後押ししてくれたように。

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今度は花陽が女の子らしさに強く憧れながらも、過去の経験から恐れる星空凛の背中を押す。

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花陽の魅力を語ってくれたように、凛の魅力を花陽は語る。
『ラブライブ!』一期四話と二期五話。
この二つでは時間の変化により大きく状況は変わっているが、語られている事は同じことだ。
「自分は本当はどうしたいのか」
一期のテーマとして掲げられていたものであるが、凛→花陽として描いた物語を今度は逆の花陽→凛として描き直すことで、この二つは互いに互いを補完しあう。だからこそ二期五話は一期四話の凛に対する花陽のアンサーとして機能する。
そしてこの「新リーダー誕生による世代交代」と「女の子らしさへの恐れの解消」という二つのドラマを「ファッションショーでのライブ」という一つの物語の軸に合わせて収束させている。
ライブを終えた後の凛の「女の子らしい装い」と「堂々としたリーダーとしての立ち振舞い」がともに描かれているのはこの二つがドラマの成果物だからだが、その二つが晴れ晴れとした凛の「笑顔」で終わるのはどちらか片方だけではなかったからではないだろうか。
二つのドラマが同時に一つの点へ収束していったからこそ、この笑顔が「晴れ晴れとしたもの」として描かれている。
過去の経験を乗り越えた「新しい自分」となったことを示す笑顔だからこそ、きっと晴れ晴れとしたものへと変わったのだろう。

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そしてこの笑顔につながるために今回は凛の細やかな表情付けが印象的だ。
例えば花陽にセンターを譲る時の凛の笑顔や花陽がセンター用の衣装を来ている時に見せた表情からは、衣装に対する憧れと恐れが垣間見える。だからこそ自分の衣装を確認した時の驚きと焦りの表情を描いた時、それらの表情がこの展開に対する布石として機能してくる。

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その点に関して言うなら、自室でワンピースを重ねた後の姿もそうだが、全体的に今回は凛に話の商店を合わせた関係もあって表情の切り替えで非常に描き切った点は多い。そういう意味では海未の表情付けがやたらギャグっぽかったのもそういう表情を印象的にする導線だったのかもしれない。

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なお今回の絵コンテは高松信司監督から受け継いで『銀魂』の監督となった藤田陽一氏であるが、藤田陽一氏の代表作である『銀魂』や『貧乏神が!』などで見えてきたものはシリアスにしても悪ノリギャグにしても、表情付けをより工夫する人であるということである。
今回の海未の表情付けなどはギャグ描写であるが、台詞がまともにあるわけでもないのにギャグ描写として成立しているのはそういう表情付けの工夫があったからだろう(いささかオーバー気味ではあるが、あれぐらいオーバー気味の方がギャグとしては分かりやすい)。
その一方で凛の表情付けは細やかであり、表情がコロコロ変わる凛のキャラクター性を踏まえた上で一つ一つの表情を丁寧見せている。その積み重ねがあったからこそ、エピローグの晴れ晴れとした笑顔やセンターとしてステージに立つ凛の誇らしげな表情が生きてくるのだ。

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「誰でも可愛くなれる。きっとなれるよ。こんな私でさえも。変身!」



ところで今回絵コンテは藤田陽一氏だったのだが、演出は河野亜矢子女史であった。
河野亜矢子女史といえば一期・二期共にエンディングの絵コンテと演出(京極尚彦監督と共同)を手がけ、一期十三話で演出を担当されていたのだが、二期の一話・二話で演出助手を務めた後、まさか五話で単独演出を再びされるとは。
一期から積んできたエピソードの昇華とも言える今回だが、エンディングの入り方まで含めて素晴らしい映像だったように思う。また来週も楽しみだ。


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