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『ラブライブ!』二期七話に見る「後輩の自立」と先輩の寂しさについて

BD版『あいまいみー』が出ると聞いて即予約を決め、週末に無事に届いたわけなのだが、「買わないと二期作れないからなー! うっちーもスペシャル番組で『買わないと二期作らないっていってたしなー」という理由でDVD版を購入し、「夏コミで出る『裏あいまいみー』を買えば二期が出るかも!」と言われて「仕方ないなー二期作って欲しいしなー」という理由で購入してきた俺だが、本当に二期制作が決定した今、最初に「DVD買わないと二期が作れない」ということを明言したスペシャル番組(BD版収録)が今となっては色々味わい深い。
この番組、「二期の要望」とかやってるんだけど、本当に二期が決まった今見ると「こういう営業努力があったからこその二期なんだなー」と感じるものにしかならないという。いや本当、ずっと応援してきてよかった。買ってきてよかった。
ところで二期では処女厨対アンチ処女厨の戦いは是非やっていただきたい。一期の段階でも「処女のホットパンツになりたい!」って言わせてるんだからセーフだろう。多分。



さて今週もいつもどおり『ラブライブ!』の話をしていこう。
A-RISEとの前哨戦に舞い上がり新しさを求めて迷走したμ'sだったが、「いつもどおりの自分達」こそがμ'sのらしさであることに気づく!といういい話でまとまった六話だったが、終盤も終盤に挿入されたのは穂乃果の部屋を片付けていた雪穂が書類を発見しその内容に驚く!というエピソードだった。
そこから引き続く形で放送された今回の第七話であるが、「食べ過ぎに依る体重増加を指摘された穂乃果は園田海未の監督のもと、体重増加傾向にあった花陽と共にダイエットをすることとなる。そんなダイエットとレッスンの中、穂乃果達は予算会議前に美術部の予算を通してしまっていたことに気づく」というストーリーだった。
一言で言ってしまえばダイエット回。もっと言えば前回が割と大事なエピソード&ライブアニメをやっていたからこその箸休め的なエピソードだったわけなのだが、前回「いつもどおりこそが自分達らしさ」という判断が本当に正しかったかどうかがファンからの評価と言う形で提示されていたり、μ'sとA-RISEの競争の構図が着々と築き上げられている事などなかなか興味深い回だった。
その中でも面白かったのは自己管理のミスとそのリカバリーが「本音をぶつけ合える仲間がいるからこそ出来る事」として描かれていた事だろう。
まず自己管理のミスについてだが、今回のお話において描かれたミスは「体重増加」と「予算会議前の予算の承認」と言う二つ存在している。それぞれ「アイドルとしてのミス」と「生徒会長としてのミス」に分けられるのだが、どちらにおいても鍵となっているのは高坂穂乃果というキャラクターの自己管理のできていなさ、もっといえば「やれば出来るのにやらない」というある種のだらしなさだ。

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作中ではその事が何度と無く指摘されているし、ランニング途中に見かけた定食屋に花陽が止めるにも関わらず立ち寄ってしまう姿や、ダイエット中にも関わらず間食が多いことなど描写の面でもその辺りの自己管理能力の甘さ、そして「物事を深刻に捉えなさすぎる」という二つの問題点が出てきていたわけなのだが、それらは「生徒会長としてのミス」と言う形で現れてくる。

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今回直接ミスをしたのはことりではあるものの、「生徒会長であるにも関わらず、その仕事を放り出している姿」というのは何度と無く描かれていた事で、それらについては海未やことりの努力によって何とかなっている姿が提示されてはいたのだが、そもそも今回のミスに関していうなら「書類を溜め込む」という穂乃果の悪癖に依る皺寄せによる部分が大きい。
穂乃果の仕事を代わりに片付けていたからこそのミスである「生徒会のミス」は、「体重増加」と言うアイドルにあるまじき失態を引き起こしていながらその解決に真剣さが足りない穂乃果の自己管理能力の無さを大きく、そして深刻な問題であるように見せる。
その上で今回の一件は各所に影響が出ていることで、体重増加のような「自分の問題」ではなく「多くの人が関わっている問題」として描くことで、この「予算会議を通さない予算承認」を「決定的な形でのミス」として描く。それにより穂乃果自身に問題を自覚させているのである。
また二つの異なる問題を「生徒会役員」と「スクールアイドル」という二つの側面を持つ二年組に対してあえて重ね合わせて描く事で、二年組をクローズアップしている点も面白い。というのも今回は一期で一通り描いた「二年組の信頼関係の再確認」という側面も持ち合わせていたからなのだが、そのクローズアップを行う際に二つの問題を重ね合わせる際に「自分達の管理能力のミス」と言う共通項を持った上で重ね合わせている。
そのことによりこの二つの問題に対して「本音をぶつけ合える仲間と共に解決する」という話に持って行くことで「二年組の信頼関係を再確認しながら自己管理能力の無さを窘めて、今まで乱雑に扱っていた生徒会の問題を正す」という描き方になるのだ。

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また今回の話では先程も書いたように「生徒会の問題」と「体重増加の問題」を「共通項をもたせた上で重ね合わせる」というやり方を取っているわけなのだが、その重ねあわせをすることにより二つの問題は物語上の問題としては同一の存在となっている。だからこそ「ミスを取り戻し、予算会議を成功させる」と「ダイエットして元の体重に戻る」はどちらか片方が解決することとでもう片方もまた解決に至るのだ。今回の場合、生徒会の問題は全員で作った予算案によって解決されているのだが、体重増加の問題は食べ過ぎが原因であることは既に提示されていたとおりなので描き方としては「予算案の制作に追われて食べ過ぎなかった」と言う事で解決されても別にいいのだ。むしろ二つの問題を重ね合わせている以上、解決方法としては正しいとさえ言える。
「世代交代」というテーマは二期では明確に打ち出されているものではあったのだが、「星空凛が穂乃果代理でリーダーをする」と言う形で「スクールアイドルユニット・μ'sの世代交代」が描かれたのに対して、「絢瀬絵里・東條希達の生徒会組」の世代交代としてのエピソードは未だ提示されてこなかった。
高坂穂乃果が生徒会長を務めることに関しては一話で描かれたとおりであるものの、それ以外の面においてはかなり置き去りにされてきているし、高坂穂乃果自身が生徒会の仕事を放り出している姿は既に何度も描かれている。しかし今回「予算会議を通さずに予算を承認してしまった」という現役生徒会役員の三人に対して絢瀬絵里と東條希が「元生徒会役員として」助けようとするものの、穂乃果達は「今は自分達が生徒会役員だから」と跳ね除けている。
これにより今までの「何だかんだ言って絢瀬絵里や東條希といった見習うべき先輩であり助けてくれる人がいたからこそ何とかやってこれた」という「前生徒会依存の体質」から「自分達のミスを自分達で解決する」と言う方向へ明確に舵が切られている。
ここに面白さが宿る。
「生徒会」というシステムは確かに受け継がれたものの、未だに中身が伴わなかった現生徒会が「自分達のミスを自分達で解決しようとする」という事は「自分達で先輩達が築き上げてきたものを受け継ぎ、それを尊重しながらも自分達のやり方で突き進む」という自立につながっている。
その自立があるからこそ「元生徒会長の言うことなら」という台詞の否定が「ようやく自立した」という部分を強調させるし、元生徒会の二人のどこか寂しげながらも少し満足気な姿が「余韻」となっていて味わい深い姿となっているのである。
そういう意味では今回はやたらと夕焼けのカットが多かったのも理解できる点で、特にパフェを食べに行くあの夕方の風景における主役は絢瀬絵里と東條希であることを考えると、あの二人が夕焼けの中で去っていく姿は「自分達の手から離れていく三人に対する寂しさや切なさを感じている」と見て取れる。

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バトンを渡す側と渡される側。
どちらのドラマも十分に盛り上げきったからこそ、自分達の足で歩き出した三人とそれを見守る側となり夕焼けの中去っていく二人が対比としては非常に魅力的なものとなっているのだろう。

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「でも、私達で何とかしなきゃダメなんじゃないかな。自分たちのミスだもん。自分達で何とかするよ。今の生徒会は私達がやってるんだもの!」


余談ではあるが、『ラブライブ!』一期はμ'sの物語であるのだが、話の焦点になっていたのは最初にスクールアイドル活動を始めた二年生三人だった。一期終盤において二年生の三人が中心になったのは最初に始めたのがこの三人だったからだ。
だから最初にスクールアイドルを始め、様々な人を巻き込みながら廃校の危機を乗り越えたからこそ「この先」へ進む事を考えた時に、「廃校の危機」から始めた最初の三人に改めて「本当に大事なことは何か?」「目的を果たしてもなお続けたいと思うか?」という問いかける事に意味があるし、その問いかけに対する解答がクライマックスになるのだ。
そういう意味では二年生は個別の話を一通り終えた存在であり、二期では意図的に二年生を話の中心から外すような話の流れが形成されていて、一話では穂乃果を探して走り回る他のメンバーの姿が描かれたし、五話では修学旅行によって二年生を意図的に話の中心から外している。そのことによって「二年生を中心としたμ's」ではなく、あくまで「九人だからこそのμ's」という物語上の立ち位置が生まれてくる。「最初の三人」が不在でもμ'sとして活動できる事が証明されたのが二期五話であり、そして「二年生を中心にした九人」ではなく「それぞれの個性を持ってここに集まった九人」という事を改めて再確認させたのが二期六話なのだ。「二年生を意図的に話の中心から外したストーリー構成」をあえて採用することで、それ以外の結びつきを強化しながら二年生と同じステージにまで引き上げる。
そんな「二年生ありき」ではなく、「九人だからこそのμ's」という文脈の強化を行ったからこそ、二期七話において二年生を中心にした物語をやるのは自然なのだ。スクールアイドル活動に関しては一つの結論を出している三人だからこそ学生生活、そして「二年生同士の繋がりの強化」という流れを持つ七話は必然的にやる必要のある話となるのである。



さて次回であるが、今まで描かれてこなかった東條希にようやくスポットが当たる回となっている事がまず面白い。
というのも東條希と言うキャラクターは「捉えどころがない」というところに魅力があるキャラクターであり、彼女を改めて掘り下げてディテールを細かくしていくことは彼女のキャラクター性を解体しかねない行為だからだ。
公野櫻子は「今の自分から振り返った過去の自分」と言うやり方で「自分がどうしてこういう性格となったか」と言う部分を掘り下げなくて済むように配慮した上で、中学時代をあえて描かずにさらっと流したことで東條希というキャラクターの魅力を解体すること無く物語として語りきったわけなのだが、あれはあくまで「日記形式」という体裁を取った小説版だからこそ成立する手法だ。
またアニメ版ではとりわけ「複数人の関係性」を重視していることもあって、小説版と同じやり方ではその「関係性を重視したシナリオ作り」というものは成り立たなくなってしまう。だからこそ面白さと期待感があるのは「そんな希をどうやって描くのか」ということで、一歩間違えば崩壊しかねないキャラクター性に対してどのようなアプローチで描いていくのかが非常に興味をそそられる。
と言ってもこのスタッフだったら間違いは起こさないと思うのだけれど。でも実際どうなるんだろうなぁ。

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