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『ラブライブ!』二期十話に見るμ'sを突き動かす原動力について

『プリティーリズム・オールスターセレクション』で『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』50話が放送されたんだけど、三桁ぐらい見てるのに改めてもう一回見たら「凄い!」しか言えなくなった。もう何がすごいかということは既に書いているので今更書く必要がないとは思うが、大事なことはもう一回書いてもいいはずなので書いておく。
この『DMF』50話で一番凄いことは阿世知欽太郎が指摘した「現実」を何一つ否定せずに主人公である上葉みあが叫ぶ「私達が(綺麗事を)言わないで誰が言うんだ!」ということにある。現実は阿世知欽太郎が言うように残酷で、そして過酷な場所だ。どんなに理想を貫き通しても、どんなに頑張っても報われるとは限らないし、そうして愚直に突き進むことで周囲から人が離れていくこともある。残酷だけどそれが現実だ。人は生まれてから死ぬまで孤独なのだ。
だからこそエンターテイナーやスターやアイドルと呼ばれる存在が必要で、彼らはそういう現実を忘れさせてくれる。夢は信じ続ければ叶うし、努力は報われると叫び続ける。なぜなら誰かがそれを言わなければ、そして誰かがそれを体現する存在でなければ残酷な現実に押しつぶされてしまうから。
だからこそエンターテイナーと呼ばれる存在はそういう残酷な現実を「知った上で」夢は叶うと叫び続けなければならない。たとえ後ろ指をさされても、それでも誰かが言わなければ残酷な現実は人を殺し続けるだけなのだから。
あと「プリズムアクト・ディアマイフューチャー」の時に「根っこだって枝の先っちょだってみんなみんな一番なんだ!」という台詞があるんだけど、あの台詞はオンリーワンによりナンバーワン争いの否定じゃなくて、「それぞれがそれぞれの一番になり続けることで世界は作られるんだ!」と言う意味であるし、「互いに一番を目指して競い争ったからこそ、こういうことを言えるようになった」ということでもあるので、むしろ「オンリーワンとナンバーワンの共存」の意味が込められていると取る方が自然であると俺は思うね。
ところで朝から最終回付近だけ放送されるとボロボロ泣いてしまう生活もあと一回で終わりと言う現実が重くのしかかってきて、俺の心からプリズムの煌めきが失われそうなので早く『プリパラ』が放送される世界に行きたい。



ファンの間でも人気の高い『Snow halation』をやった以上、次の話のハードルは相当高いぞ……と思いながら『ラブライブ!』二期十話を視聴したのだが、九話とはまた別ながらもラブライブ!らしい物語構成で面白かった。
A-RISEを破り、ラブライブ!本戦に無事に勝ち上がる事が出来た音ノ木坂学院のμ'sの九人。ラブライブ!本戦では五十組以上のスクールアイドルの中から一人でも多くの人に印象付けるために自分達らしいキャッチフレーズを付ける事が出来るという。改めて問いかけられた「自分達らしさ」に悩む九人だったが、そんな九人の前にA-RISEのセンターである綺羅ツバサが現れる。「自分達も一生懸命やってきたはずなのに」と語るツバサは穂乃果に問う。「何が貴方達を突き動かしているのか。そして原動力は一体何なのか」と。

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冒頭部分で九話の『Snow halation』によって勝ち取った結果をA-RISEによるエールと言う形で描写するなど、細かいところでの演出が光る二期十話であるが、今回特に面白かったところは「μ'sの原動力とは一体何なのか」ということだろう。
アイドルにキャッチフレーズを付けるということ自体はさして珍しいものではない。多くのアイドルがそれぞれの自分らしさを一言で表すためにキャッチフレーズを持っていたり、アイドルユニットそれ自体もキャッチフレーズを持っていることはもはやアイドル戦国時代と呼ばれる情勢となった今ならごくごく普通だ。例えばAKB48ならば「会いにいけるアイドル」というキャッチフレーズが付けられている。
なのでスクールアイドルがキャッチフレーズを考えることもさして珍しいことではない。
ましてや全国各地のスクールアイドル達が優勝という一つの座を巡って、時間制限も一切なしと言うルールのもとでライブをしていく以上、作中でも指摘されたように「自分達の贔屓にしているアイドルのところだけを見る」という層もいるだろうし、そうじゃなくとも五十組以上の中からどれを見るかということは大事になってくるだろう。
だからこそ「キャッチフレーズを考えよう」ということ自体には強い意味を持つ。
なぜなら先ほど上げたように、キャッチフレーズはそのアイドルの「らしさ=個性」を端的に表したものなのだから。
実際『ラブライブ!』作中でもキャッチフレーズを考える際には「μ'sらしさ」と言う形で語られているのだが、同時に「原動力となるもの」についても言及されている。
そして「なぜμ'sが頑張れるのか」ということは敗者となった綺羅ツバサからもまた、「貴方達を突き動かす原動力は何か」と形を変えて問い直されているのだが、改めて問われてみれば「μ'sが何故頑張れるのか」ということは二期では直接的には描かれてこなかった。
「廃校を阻止するために頑張る」から始まったμ'sは廃校を実際に阻止するという形で目的は解体されている。そこから「歌いたいからアイドル活動を続ける」と言う形で再構成したのが一期の物語で、それは「もう一度夢のために頑張る」と言う形で物語に一旦は幕を引いた。そして二期では「今のこの九人で最高の結果を勝ち取る」という目的のために立ち上がったわけなのだが、しかしながらこれらはあくまでμ'sの目的であって、活動を続けるための原動力ではない。
彼女達が活動を続けているのは「自分のため」ということはもちろん、もっと何か別の理由があったはずだ。でなければA-RISEを超える事は出来やしない。A-RISEもまたμ'sと同じように好きでスクールアイドル活動をしているし、ラブライブ!で優勝することもまた「最高の結果を手に入れたい」と言う部分から来ているのだろうから。
ではこの両者を分けた原動力、それは一体何だったのだろうか。
それは九話を視聴してみればよく分かる。
μ'sはいつだって自分達のためにやってきたが、しかし同時に彼女達は「みんな」のためにやってきたのだ。
見に来てくれている「みんな」、応援してくれる「みんな」、共にステージに立って支えてくれる「みんな」。
その「みんな」がいるからμ'sは今ここに立っている。
その事を強く印象付けてくれたのがあの九話だ。

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九話では雪によって会場への道が閉ざされた時、助けてくれたのは学校の「みんな」だった。
その「みんな」の助けがあったからこそ、ファンの応援があったからこそμ'sはラブライブ!最終予選のステージに立ち、A-RISEという遠く憧れていた存在を、そもそもの発端である存在よりもファンの支持を集めてラブライブ!本戦という夢にまで見たステージへと至ることが出来たのだ。

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だからこそ「みんながいたからここにいる」というμ'sが「皆」を原動力として動き、「みんな」ということを強く印象付ける言葉――「みんなで叶える物語」をキャッチフレーズとするのはとても自然な流れだと言える。


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「みんな」がいたから今まで頑張ってこれた。そしてこれからもまた、「みんな」がいるから頑張れる。μ'sは「みんなで叶えるために」走り続けられる。
だからこそこのキャッチフレーズはとてもμ'sらしいキャッチフレーズとして強い説得力を持っているのだろう。

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「一生懸命頑張って! それをみんなが応援してくれて! 一緒に成長していける。それが全てなんだよ! みんなが同じ気持ちで頑張って、前へ進んで、少しづつ夢を叶えていく。それがスクールアイドル。それがμ'sなんだよ!」

さて今回提示された「みんなで叶える物語」は『ラブライブ!』というコンテンツそのものを表す言葉でもある。
『ラブライブ!』が今こうして愛されるコンテンツとなっているのは『ラブライブ!』が好きで応援し続けた「みんな」がいるからであるが、そもそも『ラブライブ!』と言うコンテンツ自体がユーザー参加型コンテンツとして企画されている。
電撃G'sマガジンとサンライズ、ランティスの三社による合同企画からスタートした『ラブライブ!』だが、今日の隆盛に至るまでには様々な経緯があった。
そもそもTVアニメ化が発表されたのは2012年2月の1stライブでのことで、『ラブライブ!』と言うプロジェクトの予告が掲載されたのが電撃G'sマガジン2010年7月号のことだ。ここに来るまでに約一年半ほどの月日が流れているし、その間にμ'sとしては四枚ものシングルCDをリリースしている。
そしてアニメが放送開始されたのがその翌年の1月であることを考えると企画から二年以上もの歳月をかけてようやくTVアニメにこぎつけたのである。当初はどうなるのか不安視されていたものの、結果としてその不安は杞憂のものへと変わり、新たなファンを獲得することになったわけなのだが、一期放送終了からさほど時を空ける事無く二期の製作が決定したのは紛れも無くここまで応援してきたファン達のおかげだし、そしてここまで頑張ってきた声優、スタッフ全てを含めた「みんな」がいたからこそだ。
だからこそ「みんなで叶える物語」がラブライブ!のキャッチフレーズとして、μ'sのキャッチフレーズとして改めて作中で定義された時、その言葉は強い説得力を持つ。ここに至るまでに紆余曲折がありながらも、ここに辿り着く事ができたのは間違いなく「みんながいたからで、「みんなが叶えたい」と思った物語がそこにあったからこそ、こうして今日の『ラブライブ!』がある。
今回の二期十話はそのことを改めて再確認させてくれる良い一話だ。

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さて今回μ'sのキャッチフレーズとなった「みんなで叶える物語」だが、そもそも『ラブライブ!』一期一話が『叶え!私達の夢!』から始まった事を考えると、ここまで積み重ねてきたものや二期で新たに描き直したものも「皆」という大きな括りで見せた事は非常に意味があることではないだろうか。
そういった部分を上手く拾い上げていく話の流れ作りには花田十輝の脚本の良さが光るし、小さいながらもニクい演出が印象的な今回は絵コンテを手がけた山本裕介(代表作は『ワルキューレロマンツェ』)や演出である安藤良、河野亜矢子の仕事っぷりが光る。
残すところあと三話だが、十二話は京極尚彦監督の師匠筋に当たる菱田正和氏が絵コンテを手がけるという。果たしてどのような物語を見せてくれるのだろうか。最期まで「皆」を信じたいところである。


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2件のコメント

[C1516]

記事とは関係なく申し訳ないのですが、プリパラの劇伴がジュネ様・りんね曲を作曲した斉藤恒芳氏に決定しました。かなりプリリズの系譜を感じています。深読みすればプリパラの世界の音楽は彼女らに追随する「人境を超えた音楽」なのかも……?

[C1531] Re: タイトルなし

3DS版に登場した北条コスモがOPに出ていたりする辺り、本当に上位世界なのかもしれません。
  • 2014-07-20
  • 水音
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