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『ラブライブ!』二期十二話とみんなで叶えたラストライブについて

レディジュエルペット。前作と比較するとルビー、ガーネット、サフィー、ルーアとレギュラージュエルペットが大幅に減らされていて「ラブラとエンジェラがいないジュエルペットはちょっと寂しいなー」とか思ってたら、最新話でラブラがゲストキャラでやってきて思わずガッツポーズしてしまった。
そして話も文句なしに面白いというか凄い。
育児と父親・母親のあり方について描いたアニメは数あれど、ここまで「これこそが理想の父親像&母親像だ!」みたいな押し付けをせずに「それぞれの父親像と母親像があって当然で、この父親像・母親像は間違いってのはないよね」というところに着地させていた作品は少ないんじゃないだろうか。
「赤ちゃんのラブラの世話をする」という今回の試練ではプリンス達とレディ候補生達がペアを組んで、それぞれ父親役と母親役としてラブラに接するのだが、どのコンビも接し方としては全部バラバラであるにもかかわらず、試験の結果は「全員合格」なのだ。この「全員合格」には「母親像・父親像のあるべき姿」というものを限定していないということを意味している。
つまり「理想の母親像・父親像」みたいなものに拘ることなく、それぞれが自分なりのやり方で向き合う事こそが育児の、そして母親と父親の理想的な姿だとして描いているのである。この限定しなさからくる「多様な母親像・父親像」の姿の提示の仕方は完璧としか言えぬ。
前回の職業倫理と責任の流れについてはちょっと強引な流れだったな!と思う部分はなくもなかったが、今回に関しては文句が付けられん。誰が脚本書いたんだと思ったら武上純希でちょっと納得した。



『ラブライブ!』二期十二話がとにかく素晴らしかった。前回までで物語としては一つのピークを迎えていて十二話はどうなるのかと思っていたが、ここまでの物語を生み出してくれるとは思わなかった。「みんなで叶える物語」としてこれ以上ない一話だと言い切っても過言ではないだろう。
前回ラブライブ!が終われば解散するという決意を固めたμ'sの九人。残り一週間を最後の調整に費やし、本戦はいよいよ明日へと迫った。最後の練習を終えた九人は最後の思い出を作るため、そして皆でいられる時間を大事にするために学校へと泊まりこむのだった。全く異なる九人がスクールアイドルを通じて出会い、そんな九人だからこそ皆の応援を受けてここまでこれた事を再確認する。そしてそんな皆の応援に応えるために明日は最高のライブにするべく決意を新たにするのだった。

今回はどこを切っても素晴らしいというしか無いのだが、今回特に素晴らしかったことは二期だけでなく、一期も含めた「アニメ版ラブライブ!の集大成」として物語とラブライブ!のステージが構成されていることだろう。
『ラブライブ!』というアニメ作品を今改めて振り返ってみると、『ラブライブ!』の一期シリーズではテーマとして「本当にやりたいことは何か」が据えられており、そのテーマが全話を通して貫かれる物語を展開していた。
それはファーストライブで大失敗した時もそうだし、花陽がμ'sに加入するときにも問われ続けていたものだし、一見すると物語には直接絡まないような九話と十話においてもそのテーマは貫かれており、「本当にやりたいことは何か」と言う問いかけは『ラブライブ!』一期の物語のコアとなる部分と言い切ってもいいだろう。
だからこそ廃校が阻止された後、「アイドル活動をそれでも続けるかどうか」ということを「廃校阻止がきっかけでアイドル活動を始めた」という高坂穂乃果に問いかける流れが生まれるのだが、二期では一期の「本当にやりたいことは何か」ということから一歩踏み込んだ「終わりがある今だからこそやりたいこと」と言うテーマを展開しながらも、並行して「μ'sらしさとは何か」と言うμ'sの存在定義についての物語も展開していった。
μ'sの存在定義について最初にテーマとして浮上してきたのは六話だが、六話以降の物語でも「μ'sらしさとは何か」というテーマが展開されていた事を考えると、この二つは同列の扱いであり『ラブライブ!』二期という物語全体におけるコアとなる部分なのだろう。そして九人が既にまとまっている二期だからこそ、この二つのテーマは多様な物語によって多面的に展開されていく。
二期が一期と異なる印象を受けるのは物語のテーマとなる本質に当たるものが二つある事、そしてその二つのテーマを多様な物語によって多面的に描く方向へと切り替えているからだろう。それは一期があくまで「本当にやりたいことが切り開いていく」と言う一本筋の通った骨太な物語展開だったのとは対照的だ。だがその多面的な展開こそが二期の物語展開が魅力を生むのだ。
その二つのテーマとテーマの多面展開が生み出したものこそが三話のA-RISEとの合同ライブや九話の『Snow halation』や、十話の「みんなで叶える物語」と言うキャッチフレーズの誕生、十一話の「解散する」という決意表明だが、いずれもこの二つのテーマが根底にあるからこそ物語として「終わっていく」ということが非常に印象に残るし、「限られた時間」を全力で走り抜けていく少女達の姿が終わりの儚さと力強さと言う相反する印象を生じさせる。
九話で描かれた『Snow halation』は「今の九人で勝ち取る最高の結果のための第一歩」であるとともに、名も無きファン達の応援があって初めて立てるようになったステージだし、μ'sのキャッチフレーズとなった「みんなで叶える物語」もμ'sが「皆の応援を受けて一歩づつ進んでいくアイドル=物語」であるということを踏まえたキャッチフレーズだった。
十一話の「この九人のμ'sとしておくために大会が終わったら解散する」と言う決意表明もまた「限りある今の九人」というものが「いつか終わりが訪れる」ということを踏まえた上で、「今のこの九人だからこそ出来る事」を全力でやり遂げようという意思を描いたものであり、だからこそ「解散」となった時にこの九人でいられる時間を「写真」や「一緒に見た風景」というもので刻みこむ行為が儚く美しいものなのだが、今回の十二話の前半で描かれた合宿や練習もまたそんな「皆でいられる僅かな時間を一秒たりとも逃そうとしない」という十一話の「解散」があるからこその風景だ。
ラブライブ!が終わったら解散するとわかっているからこそ「共にいられる残りの時間」を尊んで、この九人でいられた事、そしてこの九人が集まるきっかけとなった「スクールアイドル」というものへの感謝を告げる流れが生まれるのだ。
この九人だからこそ応援してくれた全ての人々への応援とラブライブ!本戦で見せるステージへの決意は「一生懸命頑張って! それをみんなが応援してくれて! 一緒に成長していける。それが全てなんだよ! みんなが同じ気持ちで頑張って、前へ進んで、少しづつ夢を叶えていく。それがスクールアイドル。それがμ'sなんだよ!」という十話を思い出させるかのような流れが今までやってきた全てへの感謝としてとても印象に残る絵となる。
またこの「スクールアイドルをやっていてよかった!」「最高のステージを見せる」と叫ぶカットで見せた夜景はファンが振るサイリウムに重ねているようにも見える。

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一期十三話のライブで見せた講堂のサイリウムと比較してみると、レイアウトとしても非常によく似ているのだが、その光は一期の講堂ライブとは比較にならないほど多くの光に溢れている。
サイリウムの光はファン一人一人が手にすることで生まれる光だが、だからこそこの夜景の光は園田海未の「この一つ一つが誰かの光なんですね」と言う発言があることで一人一人ファンが持つサイリウムの光と重なる。
μ'sの九人が衝突し、傷付き合い、そして分かり合いながら一歩づつ確実に進んできた成果である一期十三話のサイリウムであるのならば、二期のこの夜景はこの九人で何度も立ち止まりながら「応援してくれる皆」と共に成長してきたことの証明だ。
そもそもラブライブ!という大会の「ファン投票によって本戦への出場が決定される」というシステムだが、それは「応援してくれる皆」とそんな「皆がいるからここに立てる」という事を証明することにほかならない。だからこそこの夜景に向けての決意はとても意味のあるものになるのだ。

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そしてラブライブ!本戦でのμ'sのラストライブだが、今までやってきたことがここに繋がってきたことを再確認し合いながらも、「何をするべきかということは言葉にしなくても共有している」として勢い良く飛び出していく彼女達の姿はとても眩しく、そして力強く見える。

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一期OPそのもののステージで行われるそのステージは、思いを一つにしている九人だからこそ生まれる最高のパフォーマンスだ。また歌い終わった後の「ありがとうございました」は「結果がどうあっても解散する」という事を決意しているからこそそして誰もいなかったファーストライブからここまで連れてきてくれた全てのファンへの感謝に溢れているからこそ重い。
一人一人名乗っていく流れも、「この九人こそがμ'sなんだ!」と言うことを改めて再確認してくれる大事な部分なのだが、そんな全力を尽くしたラストライブはルール通りの一回限りのステージに奇跡をもたらす。

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誰もがラブライブ!本戦のステージは一回限りであることを理解しているはずだ。μ'sはこのステージを「ラストライブ」と呼んでいるし、ラブライブ!という大会のルールにも確かに存在している以上、観客達もおそらく理解している事だろう。今眼の前で行われているステージは最初で最後の一回限りのステージである事を。
しかしそんな一回限りのステージだとわかっていても受けた感動をもう一度見たいと望むことは別段おかしなことではない。理屈では理解しているからこそもう一度そのステージを見たいと望み、アンコールを求めて叫んでしまう。
そしてそんなアンコールを望む声が、「みんな」の声が一回限りのステージにアンコールをもたらしていく。

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「このまま誰も見向きもしてくれないのかもしれない。応援なんて全然もらえないかもしれない。でも一生懸命頑張って、私達がとにかく頑張って届けたい! 私達が今ここにいる想いを!」

一生懸命に、そして今ここにいる想いを伝えるために頑張ってきたからこそ、その一生懸命な姿は「みんな」に伝わっていく。
そしてその伝わった熱は応援となって彼女達の背中を押し、次のステージへと連れて行く。そのステージこそが一回限りのステージに生まれたアンコールなのだ。
このアンコールを求める声が彼女達に新たなステージを与える流れはまさしく「みんなで叶える物語」だ。彼女達の今まで成し遂げてきた事が「みんな」のアンコールを求める声を生み、その声が彼女達にもう一度のチャンスを与えていくのだから「みんなで叶える物語」というμ'sの本質そのものを体現したかのような展開だろう。
このアンコールライブで流れるのが『僕らは今のなかで』と言う一期OPなのもニクい選曲だ。

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彼女達は好きだからスクールアイドルをやってきた。そしてその「好きな事」が人に伝わり、それぞれの好きなことがときめきを生み、そのときめきが次のステージ=今のこのステージを生み出しているのだから、アンコールで歌う楽曲として『僕らは今のなかで』はこれ以上ない楽曲となっている。
またラストライブで歌った曲が『僕らは今のなかで』を彷彿とさせるようなイントロであるにも関わらず、歌詞としては一期・二期を含めた「この一年間」というものを象徴する歌詞であることを踏まえると、『僕らは今のなかで』は「今だからこそ」歌える楽曲として位置づけられているのだろう。
だからこそ彼女達がこの楽曲を歌った時に「今までの集大成」としてこれまでのドラマを想起させる。
それがあるからこそあの『僕らは今のなかで』は基本的には一期OPとほぼ同じであるにも関わらず異なった印象を受ける映像となっているのだろう。

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何度も書くようだが、今回の十二話は『ラブライブ!』というアニメシリーズの集大成として文句の付け所がない。二期のまとめを前半の合宿パートで行いながら、後半のラブライブ!本戦のステージで一期も絡めて『今までの集大成』として物語を大いに盛り上げる形でまとめ上げている。構成としてとても美しく、そしてストーリー上での盛り上がりが明瞭で計算されており非常に素晴らしいシナリオだった。
またそんなシナリオに負けないのが画面作りと作画面での演技で、京極尚彦監督の師匠に当たる菱田正和氏が担当した絵コンテや演出担当の三宅和男氏、南川達馬氏はステージ裏に下がるまでμ'sに涙を流させないようにしていたりと細部にまで非常に気が使われているし、「奇跡、それは今さ。ここなんだ」という歌詞があることからも分かる通り、彼女達が今までやってきたことの全てがこのラストライブに詰まっており、今までの集大成となれるような映像となっておりとても素晴らしい出来だ。
そしてファーストライブから応援してくれた三人の友人達から手渡されるあの衣装と楽曲、そしてスタッフロールの挿入歌部分のタイミングを調整することで生まれる『僕らは今のなかで』の衝撃はとても素晴らしいものだった。
残すところあと一話となったわけなのだが、ここにきて一期一話の『叶え!私たちの夢――』を想起させるようなサブタイトルを持ってくる辺りは絶妙だ。どのような結末になるのかが気になるところだが、彼女達の未来が明るく輝いている事を予感させるものであることを強く願う。


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3件のコメント

[C1517]

いよいよ来週でアニメパートは終わり

長いようで短い2年だったなあ、と。
実際アニメパートを見ていたのは半年程度の期間だったんですが
おっしゃるとおり、ここまで来てファンとしてはこれ以上ないほどのラストライブでした。
……でも本当にこれがラストなんですかね?
来週に【それは僕たちの軌跡】で締めそうな気がします。

ここまで過去のPVとの対比をやってきたのなら、
OP映像をエンドに持ってきて卒業ライブ!ってことで
それ僕やってくれないかなあ……なんて思ったり。

いずれにしても、彼女たちが駆け抜けた青春は
これで終わるわけですね。
これ以上は来週にとっておきます。

いつも楽しく読ませて頂いてます。ありがとうございます。
  • 2014-06-25
  • sbjrt777
  • URL
  • 編集

[C1518]

ラブライブの記事、全て読ませてもらってます
アンコールは正直最初は王道くらいに思ってしまったんですけど
そこで「みんなで叶える物語」ですか
アイドルとファンの相互関係がこのアンコールを生んだのだと理解しました
今までの集大成として素晴らしかったのは同意です
それとレディジュエルペット、面白いですよね
全員合格というのがテーマ性として優れてるというのは非常に納得です
それと同時に、これまで「レディ達の個性」と「それを支えるプリンス達」を
しっかりやってきたので、1クールまでの集大成の様に感じてしまいます
1年物となれば長い目で付き合う事もありますけど
1クールでここまで面白いと恐ろしくなってきますね

[C1532]

>>sbjrt777さん

個人的には今週がスクールアイドルサイドのクライマックス、来週が学生生活としてのクライマックス=卒業というダブルクライマックス状態はありだと思いますね。
これ書いてるのが放送終了後なんですが、「青春は終わらない」的まとめ方と楽曲で演出される「今までやってきたことを全肯定する」というのは凄くよかったと想います。

>>1518さん

レディジュエルペットはここ最近でも飛び抜けて出来がいいアニメですねー。毎回のテーマ設定とクリアの絶妙さとスポットの当て具合、キャラクターの動かし方など非常によく練られているというか。
今の段階でもカイエン周りの三角関係とかも見ごたえありますし、この後どうなるんだ!?と言う期待感しかないです。
  • 2014-07-20
  • 水音
  • URL
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