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『アイカツ!』二年目と憧れの連鎖と向かう未来について

『Fate』の新作アニメがUBWルートらしいんだけど、『Fate』と言う作品が最初に発表されたのが2004年の出来事でTYPE-MOONは『Fate』をかれこれ十年間やっていることに驚かされる。いや十年持つポテンシャルを持つ作品ではあったのだと思う。型月の見解としては『fate』とはつまるところ「英雄とコンビを組んで願いを叶える聖杯を奪い合うバトルロイヤル」という構図さえ守られていれば、「聖杯戦争」の大原則が守られてさえいればそれは『fate』ということなのだろう。
だから公式二次創作である前日談の『zero』は元よりSF解釈した『EXTRA』や黒対赤の総勢十四騎によるチーム戦な『アポクリファ』もまた『fate』を冠し、『Fate』シリーズとして名を連ねているのだろう。それだけのポテンシャルを秘めていたこと、「聖杯戦争こそが本質である」というTYPE-MOONの結論は正しかったからこそ、十年続くようなコンテンツへと成長したのだろうが、まさか本当に十年もの間、ほぼそれだけで突っ切られるとは流石に想定外だ。
「Fate以外に何か出てこないかなー」と思っていたら『魔法使いの夜』は第一部だけしか発売されないし、「星空めておが入社した」と聞いてなんかあると思ったら『ガールズワーク』は全く動きがなくなってしまってるし、『月姫』の情報もまだいつ頃発売かもまだ発表されていない。「fateで十年戦った」ということは賞賛に値するが、「fateだけで十年戦った」ってのは褒めていいのか若干迷うぜ。ところでスタジオディーンが作った映画版ですけど、あれのアクションシーンっていま見ても全く見劣りしないのでufotableは大変だろうなと思います。



久しぶりに『アイカツ!』の話をしていきたいと思う。
2012年から放送開始し、2013年10月からは二年目に突入した『アイカツ!』。
一年目にして『プリキュア』シリーズに匹敵するほどのコンテンツとして成長、既に新主人公を迎えた三年目の製作が決定しているなど名実ともに女児向けアニメ界において確固たる地位を確立した本作であるが、ここ最近は「アイカツ!の未来」という巨大なテーマに挑む物語を展開しており、ますます目が離せない。
そもそも『アイカツ!』一年目と言う物語は「神崎美月に憧れてスターライト学園へと入学した星宮いちごがアイドルとして成長していく」をベースとしていちご達の成長=アイドルとして知名度が増し、仕事が増えていくと同時に増大する責任感やプロ意識の中で、「自分達にとって何が幸せで、その幸せを手に入れるために何をすればいいのか」をアイドル達が「セルフプロデュース」していく物語だった。
星宮りんご・光石織姫による伝説的アイドルデュオ・マスカレードが「アイドルを止めてもなおキャラクターとしてぶれていない」と感じさせるのは彼女達にとって「目指すべき幸せ」を突き進んでいるからであり、そのことは星宮いちごや神崎美月に「自分の幸せとは何か」を問わせ、その上で「どうすればいいのか」と言う行動を起こさせた。その結論としてでたものが一年目のラストで神崎美月と星宮いちごというスターライトクイーンカップで競い争った二人が自分達の道を信じて仲間達と別れ、旅立っていく。
この結末は『アイカツ!』と言う作品が「自分を幸せにする方法は人それぞれ」というアイドルに限らないような大きな命題を扱っていた事を余韻として残してくれる良い結末だと思うのだが、そんな一年目から一週間後にスタートした二年目ではいちご達が旅立ってから一年後を舞台にアイドルとしての修業を終えてアメリカから帰国した星宮いちごと音城セイラを始めとするスターライト学園のライバル校、ドリームアカデミーを中心にした物語が展開され、4月からは神崎美月と彼女が見つけたアイドルである夏樹みくる、そして星宮いちごに憧れてスターライト学園へと入学した大空あかりが登場している。
そして今『アイカツ!』は二年目の、そして星宮いちご編ともいうべき物語としての集大成として「アイカツ!の未来を考える」という大きな命題に挑んでいるわけなのだが、この二年目を振り返ってみると「ドリームアカデミー」「スターライト学園」といった学校ごとのライバル関係やダブルエムや新人アイドルの登場など様々な物語があった中である程度大きく存在していたのが「憧れの連鎖」だろう。
そもそも星宮いちご自身が神崎美月に憧れてアイドルを目指しているのだが、そんないちごに憧れられた神崎美月もマスカレードに憧れてアイドルを目指している。そして二年目から登場した音城セイラや大空あかりもまた「星宮いちごに憧れてアイドルになった」というエピソードが存在している。
この「神崎美月←星宮いちご←音城セイラ・大空あかり」という「誰かに憧れた事で活動し始めたことが、別の誰かの憧れとなって連なっていく」というのは『アイカツ!』二年目を語る上では外してはいけないところだろう。後期OPの「Shining Line*」でも「もらうバトン キミとつなぐ光のライン」や「受け取ったバトン 次は私も渡せるように」という歌詞が存在していることからもその辺りは察することが出来る。この辺りを掘り下げたお話としてファンから問われた「なぜ強くなれたのか」という言葉と向き合ったユリカ様を描いた『あこがれは永遠に』なども大事なところだが、「憧れは強い力になり、その憧れがあるから今こうして頑張ってこれた」という誰かの強くある姿は、別の誰かに憧れられるものなのだ。
そういった憧れの連鎖の中心として本作の中心いるのが神崎美月・星宮いちご・音城セイラ、そして三年目の主人公を務める大空あかりで、この「憧れた気持ちが誰かの憧れとなり、憧れてくれた誰かもまた別の誰かになっていく」というものは「アイドル」というものが世代や人を飛び越えた大きな「物語」としての脈動を生み出している(余談だが、「アイドルに憧れてアイドルになった」というアイドルが現実世界に存在しており、この「憧れて行動してきたものが別の誰かの憧れになっている」と言う物語は非常にリアリティがあるともいえる)。
そんな「憧れの連鎖」を踏まえて『アイカツ!』が展開している「アイカツ!の未来を考える」を見ていくと、「アイカツ!の未来を考える」とは「アイドルそのものをどうしていきたいのか」ということなのだろう。
憧れが憧れを呼ぶことで憧れは連鎖していく。それは同姓からも憧れられるアイドルだからこそのものだが、そうして「憧れてくれる人達が目標としてくれる自分達」が「どうしていくか」を決める事は「自分達に憧れてアイドルを目指す人」「応援してくれる人」に対して「何が出来るのか」と言う話でもある。
「憧れがアイドルを生む」のならば、「アイドルが変化していくこと」は「アイドルそのもののあり方を変化させる」のだから、「憧れてくれる人達」に何をしていくかは「アイドルのあり方を変化させる」。ましてやトップアイドルともなれば、アイドルからも憧れられる存在だ。だからこそ彼女達が「どうありたいか」は作中アイドルの未来を考えることに繋がるのである。
名実ともにトップアイドルとなり、自分達が既に「アイドルを志す者達が憧れる存在」となった神崎美月と美月だからこそ、「自分達の幸せとは何か」と共に「皆=アイドルやアイドルを目指す人達をどうしていきたいのか」と言うことを「トップアイドル(=業界を牽引する存在)としての責任や使命を果たす」というテーマとして描くことは非常に大事なことではないだろうか。
『アイカツ!』というコンテンツとしては今の世代の総決算だが、物語としては非常に大事な部分だろう。
「トップアイドルとして誰かに憧れられる」という立場を手に入れたからこそ星宮いちごは神崎美月とともに「考えなければならない」わけで、彼女が自身の物語として最後に挑むものとして「アイドル全体の未来」というのは「トップアイドルの使命」と星宮いちごの成長を感じさせる部分で二年間の集大成としては申し分ないものだし、このテーマ自体は一年目で描かれた「仕事の責任」や「プロ意識」と直接リンクしているようにも思う。
今のところ、二年目の前半部分を割いて展開したドリームアカデミーが絡んでいないことにはちょっと残念な部分もあるが、ドリームアカデミーの大事なところは「アイドルに必要なのはなりたい!と言う気持ちだけ」なので、そんなドリームアカデミーの存在がその辺の「アイカツ!の未来」を切り開く突破口になるような気がしないでもない。
三年目の情報が公開され、星宮いちごの後を継ぐ新主人公に大空あかりが抜擢された中、星宮いちごと神崎美月は大空あかり達「新たなアイドル」に何を残せるのだろうか。
残り少ない話数であるが、彼女達が切り開く「アイカツ!の未来」とやらが二年目を締めくくるに相応しい輝きを持つものであり、三年目へと繋がる光のラインとなる事を強く願ってやまない。


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2件のコメント

[C1544]

以前「『アイカツ!』と季節感とテーマを配慮したシリーズ構成について」 に書き込んだ774です
ずっと774で書き込んでるのですが変えさせて頂きます
「SHINING LINE*」の歌詞が本編とリンクしているというのは感じたのですが、
あかり登場と重なったために、美月→いちご→あかりという図式かと思いました
ここにセイラが入るのは、セイラがいちごの影響でアイドルになった事と、
いちごがアイカツの未来を考える時に一緒に考える相手がセイラという事から、
しっかりと意図して作られてるのがわかりますね
以前意見した時はドリアカのなおざり感についてだったのですけど、
ドリアカ側は存在意義についてのドラマが優先だったという事でしょうか
そこから考えるとアイドルの在り方としてスタライ→ドリアカ→WMと様々で、
アイカツの未来についてというテーマについて準備を進めていたと感じます
自分が考えてたよりも高い所で話が構築されてた様で、アイカツは奥が深いです
今回の記事で色々と気付く事ができて、とても面白かったです

[C1546]

>>7724さん

単純に考えればいちご→あかりと考えたほうが自然なんですけど、同い年のセイラとあかりって「いちごに憧れた」という部分は同じでもちょっと別物だと思うんです。
どっちも「憧れて行動したけど、ダメだった」というエピソードは共通してるんですが、セイラの場合はドリアカでデビューすることで「違った形だけど憧れが繋がった」という形で、あかりは「諦めずにもう一度挑戦したから憧れが繋がった」なんです。
で、アイカツ!の未来を考えた時にセイラが立ち上がってくるのは、そういう「回り道をしながらも背中を追いかけ続けた存在」だからだと思うんですよ。
「回り道をした人」っていちごとは違う道を歩んできた存在なので「一緒に答えを出す相手」として相応しいと。
で、ドリアカって元々「誰でもアイドルになれる」学校なので「回り道をしながらも憧れた背中を追いかけた」というセイラはそういう「ドリアカらしさ」の象徴でもあるんです。
だから美月やいちごと共に答えを出していく存在になることに強い意味があると思うのです。

一年目もそうでしたけど、この辺は逆算的にやっている感じがあってとてもいいですね。

  • 2014-07-30
  • 水音
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