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『【ろこどる】』と地方アイドルである意味について

『レディジュエルペット』。カイエンが本当にロイヤルパレスに転校したわけなのだが、あのカイエンの転校騒動の流れの中で「カイエンに抱いている自分の感情に整理を行う」「カイエンが待つ頂点を目指す」「リリアンからのライバル宣言」など序盤から積み上げてきた描写にひとまずの区切りをつけており、第一章のクライマックス!と言わんばかりの展開で正直面白すぎた……!
カイエン周りのエピソードに対して一区切りつけているけど、ももなにとっては具体的な目標が設定されたし、リリアンとは名実ともにライバルになった。この面白さはここまで丁寧に描写を積み上げ、こうなることを期待させるように描いてきたからこその面白さだ。
なんだろう。『レディジュエルペット』って実は変わったことは何一つしていないように見える。カイエンやももなの恋愛模様やリリアンについても予測の範疇だし、王道中に王道だ。多くの物語に触れた人間であれば、本作のストーリー展開は取り立てて珍しいものではないだろうし、個人的にも目新しさは感じられない。しかし一つ一つの描写に注力して描くことで次の展開を期待させてしまう。その「急かず慌てずに一つの描写を丁寧に描くことで生まれる期待感」こそが本作の面白さなのではないだろうか。
しかしカイエンの代わりに登場したミウラはいいなぁ。カイエンもよかったけど、ミウラはミウラでいいキャラクターしている。プリンスの一人としてどういう動き方をしてくれるのだろう。楽しみでしかたがないわ!

最近アイドルを題材としている作品が多く製作されているわけなのだが、「芸能界」と言う世界に飛び込んでいく「メジャーアイドル」を描いている作品が多い中、今期アニメが放送開始された『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』はアイドルはアイドルでも「地方アイドル(=ロコドル)を題材とした作品である。
流川市に住む女子高生の宇佐美奈々子は市役所に務める叔父の手伝いとして小日向縁と共に市民プールのリニューアルイベントでのステージショーに立つ事となり、それをきっかけに地域密着型アイドル、ロコドルとして活動していくことになる――という導入から始まる『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』だが、本作で描かれるアイドル活動=ろこどる活動の姿はメジャーアイドルではなく地方アイドル、それも地域密着型アイドルということを差し引いても、とても異質なものとなっている。
というのも、本作における「ろこどる活動」には二つの側面が与えられているからである。
本作における「ろこどる活動」にはまず部活動・アルバイトという学生の活動側面が与えられている。これは一話で部活動を始めた友達や部活帰りの学生を見た菜々子の「私もなにかやりたいなぁ」と言うセリフからも伺える点だが、本作で描かれる「ろこどる活動」は少なくとも菜々子視点ではバイトや部活動と同列に扱われており、あくまでバイトや部活動など「学生活動の延長線上に存在している」ものなのだ。
そうして部活動やアルバイトと言った「学生活動の延長線上の活動」としてろこどる活動を置くことで「学生」と「ろこどる活動」の間に壁を作らずに物語が展開できる。それにより「普通の女子高生っぽさ」が強められており、ろこどる活動自体の面白さがとても楽しそうに見える。
この「普通の女子高生っぽさ」の強調は本作の「ろこどる活動」のもう一つの側面でも意味がある部分で、主人公である宇佐美奈々子と小日向縁の活動目的は流川市のPRが目的だ。そしてそのPR活動のために、「流川市」という地域の魅力を知らなければならないのだが、その地域の魅力というのは「普通に暮らしていては当たり前すぎて気づけない」ものだ。
現に一話で菜々子は流川市と言う場所の魅力に気づいておらず、市民プールにもリニューアルイベントがなければ来ていなかったように描かれている。つまり彼女は流川市民でありながら、自身の暮らす「流川市」というものをよく知らない、「普通の女子高生」なのだ。
そんな「普通の女子高生」がろこどる活動を続けていく中で、「普通に暮らしていては気づけない魅力」というものを発見していく。それが本作が描いている「ろこどる活動」に与えられているもう一つの側面で、つまり本作は「ひょんなことから新しく始める事になったものの夢中になっていく」という側面と「自分の暮らす場所の魅力を発見する」という側面、二つの物語を内包するものとして「ろこどる活動」というものを活用しているのである。
そうして見ていくと主人公のパートナーとなる小日向縁の立ち位置が絶妙で、彼女は「地元貢献のためにろこどる活動を始めた」という存在であることから「流川市の魅力を知っている存在」で、菜々子に対して一番近くで解説出来る存在なのだ。
この辺りのキャラクター造詣や立ち位置、物語などはおそらく「ロコドル」というものを題材にした辺りで物語側から必然性があって組み上げられたものだといえるのだが、アニメ版に関して言うのであれば綾奈ゆにこ女史が「細かく描写を積み上げることで菜々子を普通の女子高生として演出する」という前振りを用意したからこそ、菜々子を「作中における普通の女子高生の代表的な見解」として演出される。この辺はゆにこ女史の流石の仕事である。
何でも本作の仕事を受けた段階で地方アイドルに取材しに行ったらしいのだが、その取材があってなのか本作を見ていると「ろこどる(地方アイドル)ってなんだろう」と考えさせられる。これが地方アイドルにとっての「正解」というわけではないのだろうが、少なくとも本作は地方アイドルが題材だからこその面白さが光る。
一話でとりわけ面白かったのは流川市の事は何も知らない菜々子だが、流川市の市歌である「あぁ流川」を知っていたことで彼女も流川市民であることがちゃんと伝わる演出になっているところである。あの合唱は単なる合唱ではなく、流川市民としての菜々子を際立たせるものだったのだろう。
あれがあるからこそ「流川市の事を何も知らない菜々子」が「流川市のアイドル」となることに意味が生まれており、地方アイドルとして活動していくだけの面白さを得て活動を開始する一話のラストに繋がるのである。



地方アイドルを描いた作品としては『Wake Up Girls!』が存在しているが、『【ろこどる】』は『WUG』ほどアイドル活動としての側面は強くない。しかし「普通の女子高生の活動」という部分を強調することで、「流川市のPRを目的とするアイドル」として普通に暮らしていては見つけられない魅力を見つけて地元を知っていく事により、その活動には「アイドルとしての物語」が発生する。それは地方アイドルを題材とする本作だからこその魅力だ。
地方アイドルがいま熱い!とまでは行かないまでも、「地方アイドル」というものを考える上で本作は重要な作品ではないだろうか。


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