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『アイカツ!』二期で進化したライブ演出について

『レディジュエルペット』。本作の「レディ」と言う単語には「理想の自分」という意味が込められているということは今までも散々書いてきたけれど、本作で課題として提示される全ての事はそもそも「人間としてごくごく当たり前の事」を述べているに過ぎない。今週の「一期一会は大事」という課題についても「偶然の出会いでもそうして出会えた事と、出会った人に感謝しよう」というのは当たり前の話のことだ。
しかし「当たり前の事を大切なものとして描く」ということは意外と難しいものだ。
なぜならそれは「あまりにもありふれた事だから」であり、気づく・気づかない以前に誰しもが「当たり前」として処理してしまっていることだからだ。しかしそれだけ多くの人が「当たり前」として処理してしまっている事は普遍的なテーマを持つということでもあり、「レディたるもの」と言いながらもプリンス達が巻き込まれる形で課題に向き合う流れが存在している本作はそうした「誰もが当たり前として処理しているけど、本当はとても大切なこと」を気づかせてくれる物語を構築している。先に例に上げた「一期一会は大事」という課題についても物語の大筋に絡むような「ルビーはももなを選んでおらず、たまたまそこにいたももなを謎の声に導かれる形でパートナーとして処理された」という話をやりながらも、この一話の中で大切な「ルビーとの出会い」がももなをこうしてレディとして成長させてきたという実績であり、「メンターとレディ候補生」と言う枠組みに囚われること無く二人は二人なりに絆を紡いできたという経験の描写が生まれる。「偶然の出会いが今の二人を作り上げてきた」と言う「当たり前」はこの一話だけのものではなく、全体を通した物語としても重要なものだろう。
なんだかんだで半年近く放送してきたわけだが、これだけ色々な引き出しを用意しながら物語を展開してきているという点で、本作はやっぱり凄い作品だ。新キャラとして投入されたのがミウラだけで、他のキャラクターに関しては「元々あった引き出しの中から展開した」に過ぎない辺りとかも今週改めて考えさせられた。つーか、ルーアの「私のリリアン」は印象的な台詞になっているけれど、あそこまで偏愛としか言えない感情を向けているように描かれている辺り、物凄く含みをもたせた上で言わせてたんだなーと思う今日このごろ。



『アイカツ!』二期もそろそろ締めくくりに差し掛かっているが、『アイカツ!』の魅力の一つとしてあげられるのがサムライピクチャーズが3DCGで製作しているライブアニメだろう。3DCGを用いたライブの表現というのは昨今ではさほど珍しいものではないのだが、『アイカツ!』では一年を通してアップデートをし続ける事で表現の限界を常に広げ続けている。
分かりやすいところでは一期と二期では3Dモデルそのものが大きく変更されているように見えるが、これは一期の段階ではアーケードゲームの3Dモデルを元に改良していく形で進められていたからだ。話数を重ねるごとに改良されていくことで、よりアニメ的な表現で見栄えするモデルへと進化し続けており、二期からは(というのも厳密には正しくない。「マスカレードの3Dモデルからは」が正しい)顔のモデルそのものをサムライピクチャーズが製作することで『アイカツ!』のライブ表現は更なる進化を遂げているのだが、そんな二期の集大成のように見えたのが『アイカツ!』82話や94話の星宮いちご・音城セイラによるデュオユニット、2wingsのライブアニメだ(楽曲は基本的に「Sweet Sp!ce」である)。

『アイカツ!』二期のライブアニメ表現で特徴的だったのは「キャラクターの表情」と「ステージ演出」の二つだが、この二点は二期から初めて実装されたものかと言われるとそうではない。この二つは一期の段階から存在していたものだ。
例えば32話の「fashion check!」ではステージそのものが大きく変化しているし、STRA☆ANISのライブアニメでは視線誘導を用いて「視線を交わす」という表情をキャラクターにさせることで、両者の関係性を伺わせる演出がされていた。『アイカツ!』はそうしたキャラクターの表情を変化させる演出やステージギミックを用いた演出を一期の頃からやっていたのだ。
二期では3Dモデルそのものが変更されているように見えるのだが、「歯がある3Dモデル」になったというのが一期からの変更点としてあげられるだろう。「歯がある3Dモデル」としては最近では『ドキドキプリキュア』以降の『プリキュア』シリーズでも用いられているが、歯があるモデルだとキャラクターの感情表現そのものの限界が広がるのだ。例えば『ハピネスチャージプリキュア』では歯を見せて笑顔になる表情付けがされているのだが、これは歯がなければ絶対に出来ない表情付けだ。
『アイカツ!』二期ではそんな歯のある3Dモデルを採用することで、より特徴的な表情付けを行えるようになったのだが、今までその歯のあるモデルだからこその表情付けは伺えなかった。しかしこの82話、94話のライブではイントロ部分においてそれぞれ歯があるからこその表情付けがされている。とりわけ94話のいちごのニッと笑う不敵な笑みは歯がある3Dモデルだからこそ出来る表現であり、一期の段階では出来なかった表情付けだ。
このニッと笑う表情により、神崎美月・夏樹みくるのWMという強者に挑む挑戦者と言う立場であるいちご達の「不敵さ」と「自信」が感じ取れる。また82話と共通のところだが、82話で小悪魔的な表情を見せていたセイラに背後から視線を送るいちご、94話で不敵な笑みを見せるいちごに視線を送るセイラは互いの信頼感を伺わせる部分だ。
「互いにパートナーとして認め合っている」という2Wingsというユニットとこれまで積み上げてきた二人の信頼関係を感じさせる見事な視線誘導の演出だといえるだろう。

そしてこの82話、94話ではステージ演出も見事なまでにハマっている。
前述したように『アイカツ!』はステージの演出も重視されており、ステージごとに様々なギミックが凝らされている。例えば「Kira・pata・shining」が用いられた61話では城門が開閉するギミックや花火が打ち上がるという演出が用いられており、見せ場である星座アピールの後、星座アピールで上がった映像のテンションを維持できるような工夫がされているし、ユニット楽曲で顕著に現れるそれぞれのユニットのロゴをあしらったバックスクリーンの画像などもそうしたステージの演出の一部だ。
この82話と94話で用いられているのはどちらもロックステージなのだが、このステージの演出として面白いのが照明の演出だ。このステージの光源は概ね頭上のスポットライトによるものなのだが、光源が頭上にあるということは当然光が直接当たる頭頂部は照明の強い光によって明るく照らされてしまうのだが、この82話と94話では頭頂部の色を飛ばす事で「強い光に照らされている」ということを表現している。また頭頂部が明るく照らされてしまうことで、影になってしまう顔の部分についてもきちんと影が差し込まれているのだが、大事なのはただ影が差し込まれているのではなく「表情がちゃんと見て取れるような影の指し方をしている」ということだろう。
本来だとあれほど強い照明ならば顔の部分は殆ど影になってしまうと思うのだが、本作はその辺りを調整することで表情を見せながらもステージギミックとして組み込まれた照明の存在を強く主張した演出を行っている。94話ではそうした「強い照明によって顔に影がかかる」というステージギミックを活かした演出のおかげで、いちごの表情から感じ取れる不敵さはより強調されており、未来を切り開く二人のその意志に力強さと「この二人ならば切り開けるに違いない」という確信できるような映像になっているのだろう。

『アイカツ!』は話を重ねるごとにパワーアップし続けてきている。それは二年目においても変わっておらず、その結果が「現在のアニメシーンでもトップクラスの3DCGアニメを毎週提供している凄い作品」という評価にも繋がっている(余談だが、各衣装については全て特注とのこと)。
10月からは三年目がスタートし主人公も星宮いちごではなくなるのだが、そこでサムライピクチャーズは何を見せてくれるのだろうか。その進化の先にある映像にまた期待したい。

ところで俺が一番好きなのは「フィッティングルームを駆け抜けて決めポーズをした後のステージに降り立つところ」なのだが、あのポージングからの一連の流れって歌舞伎の見栄の切り方と似ている気がする。


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