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『最強銀河究極ゼロ』と明るく楽しいマジダチの物語について

84ocaさんが『プリズムアライブ』に寄稿してくれた『もう一つのプリティーリズム史──或いは、オーロラの輝きはいかにして受け継がれたか』を有料ですが、全文公開されております。

https://note.mu/84oca/n/nfcea2baeb9f2

『プリティーリズム』シリーズが誕生した背景から「『オーロラドリーム』がどのように受け入れられていったか」というところにまで触れられており、『プリティーリズム』というシリーズの歴史の歩みを感じさせるテキストですので、『プリティーリズム』が好きだという方には是非とも一読していただきたいところであります。
余談ですが、俺は84ocaさんのこのテキストを読んで『プリズムアライブ』という同人誌の「ミニスカート時代からプリパラまでを繋ぐ」というコンセプトが明確になったという背景があり、それによって『プリパラ』についても書き下ろしたのでそういう意味でも84ocaさんには助けられました(執筆当時、プリパラは二話までしか放送されてなかった)。



さて2013年10月より放送されてきた『最強銀河究極ゼロ』が最終回を迎えた。
トレーディングカードゲーム『バトルスピリッツ』を原作とするバトルスピリッツシリーズ第六弾として制作された本作をもってバトルスピリッツシリーズは一旦休止することになったのだが、この『最強銀河究極ゼロ』はなかなかに面白い作品だった。
どんな願いでも叶うという究極のバトスピを求める冒険者のレイと相棒のムゲンは、究極のバトスピがある場所を示す宇宙コンパスを持つリクトとライラと出会い、彼らと共に究極のバトスピを探して旅に出る!というロードムービーである本作だが、何が面白かったかといえば一年間を通して貫かれた「バトスピを通じて紡がれる絆」と中村悠一の演じ分けだろう。
本作の一年間の物語を振り返ってみると物凄く寄り道が多い印象が残る。アルティメットクリスタルを探しに別の惑星に立ち寄っている分にはいいものの、そういうのが関係なかった回も多い。終盤に差し掛かるとミロクとネイクス、裏十二宮との戦いが中心となり、寄り道的なエピソードは少なくなったが、それでも全体的に見れば少なくなっただけだ。
しかし冷静にこの作品の伝えたかったことを振り返ってみるとこの寄り道は必要なものだったのだろう。
この物語が一年を通して伝えたかったのはバトスピによって紡がれる絆。そしてその絆がこの銀河を作っているということだろう。
究極のバトスピを探す旅の中でレイ達は様々な人間とバトスピをやることでマジダチになっていった。それはギルドの銀河七将との再会などでも分かる点だし、ミロクを止めようとしたハンソ郎のレイに対する評価でも語られているとおりだ。
レイはバトスピで勝負し続けることで、究極のバトスピを巡る度の中で様々な人間とマジダチになっていく。
それはつまり「様々な星に人が住んでいて、この宇宙は様々な人間達によって出来ている」ということを如実に語っている。レイは寄り道していたが、その寄り道によって「銀河に住む人々」を描写し続けておいたことが最終決戦で強烈な意味を持つ。本作の最強の敵として立ちふさがったのは裏十二宮使いの蛇使い座のネイクスだったが、彼の目的は銀河全てを飲み込もうとしていた。つまり「銀河に暮らす人々の敵」となる存在なのだ。
それを踏まえてレイがネイクス戦で変身した究極のゼロの誕生を見ると、その寄り道があったからこそ究極のゼロが生まれた事がよく分かる。キリガやエリスの究極シンボルの力だけではなく、この宇宙に暮らす全ての人々の思いであったからこそ、レイは最後の戦いに挑むことが出来るのだ。
その事はレイの「宇宙の全てを背負っているから負けない」という趣旨の言葉からも分かる。この究極のゼロが究極なのは、彼があの瞬間、銀河全ての代表としてネイクスに立ち向かっているからなのである。
マジダチという絆を何度と無く口にしてきたからこそのあの究極の姿とラストバトルは一年間、この物語を追い続けてきたことを全て肯定できる素晴らしいものだが、かつて子供扱いしすぎたことでネイクスに利用されてしまったミロクの最後の扱いも見事だった。
レイは最終決戦でも何度と無くミロクに呼びかけ、「本気で怒っている」と口にしているが、なぜ彼が本気で怒っているのかといえば彼を「マジダチ=対等な存在」だと認めているからこそだろう。マジダチだからこそ、彼がやったことに対して本気で怒り、彼を止めるべく戦うのである。
またネイクスに利用されていたとはいえミロクのやったことそのものが作中で許されているわけではないというのも素晴らしい。やらかしたことはやらかした事として逃げずに、「謝る」ということをちゃんとやらせている。レイがリクトに別れの大切さを説いた点も含めて、本作の「明るく楽しい」という点はちゃんと貫かれていたといえるのではないだろうか。

また本作に登場する全てのキャラクターはバトスピを行うときに必ずと言っていいほど変身する。
その変身後の姿も含めてキャラクター性の一部に組み込まれているのだが、本作の主人公であるレイは六つあるカードの属性を全て使いこなすというキャラクター付けがされており、その時に使うデッキの属性によって様々な姿に変身する。
熱血漢の赤や堂々たる武人である青、アイドルでカメラ目線を忘れない黄など、使うデッキによって変化するレイの姿だが、これらを全てレイを演じる中村悠一が演じ分けているのだ。
通常時のレイを含めると一人で七役。これらを全て異なるキャラクターとして、そしてそれでいながら同一キャラクターであるかのように演じ分ける中村悠一のその演じ分け具合は本作の面白さの一つだったように思うのだが、この演じ分け具合があるからこそ生まれたのが「厄介な病気にかかってしまい、クシャミをするごとに別の姿へと変身してしまう」というコメディ回だろう。
一話完結でコメディタッチではあるが、この話の面白さの一端は間違いなく中村悠一の演技力のおかげである。同じクシャミでもそのキャラクターらしく演じ分けている中村悠一のあの演技力は、それだけで一年間の視聴を継続する理由としては十分すぎた。実に面白かった。

バトスピシリーズは本作で一旦の休止をすることになっているのだが、本作の「明るく楽しく、でも別れはちゃんと描く」というシリーズ構成はその一旦の休止に少しの寂しさと再開した際の期待感を抱かせてくれる。
2015年に新作アニメの制作が決定している本シリーズだが、「一年間ちゃんと楽しんでもらおう」というスタッフの意気込みを感じさせるバトルスピリッツが一旦の休止を経てどのような舵切りをしてくるのだろうか。そしてどのようなパワーアップをしてくれるのだろうか。
何にせよ、『最強銀河究極ゼロ』。一年間を愛せる作品だったと思う。

あとネイクス寄生時のミロク様のデザインは秀逸。六色の瞳は凄いセンスだと思う。


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