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『ろこどる』と地元とロコドルの絆について

『幕末Rock』。「幕末」という時代が今動き出そうとしているタイミングというのは政治情勢はごたついているしで色々とドラマが生まれやすい下地であり、時代劇における「幕末物」というジャンルはそういう「歴史的ダイナミズム」も込みにした面白さだと思うのだが、そんな「幕末物」の枠組みに「反体制音楽としてのロック」という要素を入れて幕末音楽劇として仕立て直した『幕末Rock』。
ぶっ飛んではいたものの、振り返ってみれば「文化弾圧に苦しむ民衆達がロックによって天歌以外を虐げる幕府と徳川の怨念を浄化し、自由を手にする」というお話なわけで、幕末物としては王道中の王道だったように思う。そもそもウルトラソウルズの目的は「ロックを広めること」ではなくて「好きな音楽を自由に聞ける社会を勝ち取る」なわけだし、幕府の天歌推しも元はといえば政治不信と民の不満を天歌によって虐げるため=幕府の地位を保ち続けるためにやっていたわけで、徳川幕府そのものである「徳川=天歌の怨念」を浄化することで自由を勝ち取る流れは良かった。あと坂本龍馬達の力で勝ち取られたわけではないところも大事だと思うが、しかし唐突に現れた諏訪部ことペリーJr.は一体なんのためにやってきたのか……。
ゲームの宣伝のためにアニメ化されたのだろうが、ペリーJr.のあまりの諏訪部順一キャラっぷりに「こいつと和解したところがみてぇなぁ」とゲームに興味が出てきてしまった。困る。



ひょんなことから流川市を宣伝する地方アイドル(ロコドル)・流川ガールズとして活動することになった女子校生達の、アイドルな活動の日々を描いた作品『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』が最終回を迎えた。
同名の四コマ漫画作品のアニメ化作品ではあるが、10月からは三年目に突入する『アイカツ!』の脚本陣の一人であり、『きんいろモザイク』のシリーズ構成を努めていた綾奈ゆにこがシリーズ構成を務めていることもあって、一つ一つのエピソードを膨らませながらも「地方アイドル」を題材とする作品として、一つの物語の流れを感じさせる素晴らしい作品だった。
この作品が一クール十三話もの間描き続けてきたことは「ロコドルとは何か」ということだろう。
ロコドル=地方アイドルではあるものの、宇佐美菜々子や小日向縁の活動はアイドルが主体であるとは言いがたかった。ローカルテレビでMCをやっていたりするものの、やっている事は蜂の巣駆除だったり地元の店のレビューだったりと「アイドルじゃなくても出来そうなこと」だったりする。その事は物語終盤においてもしっかりネタにされていたのだが、物語の序盤からロコドルフェスタ辺りまでの中盤に至るまではどちらかといえば魚心君チームの方が作中世界において注目度は高かった。その点を踏まえた上で、さてそんな「アイドルらしからぬお仕事」ばかりしていた流川ガールズが参加することとなった地方アイドル達のイベント、「ロコドルフェスタ」。そして既に全国区となった徳波市の地方アイドル、AWA AWA GIRLSとの対比の中で描かれたのは地元とアイドル活動の距離感だった。
AWA AWA GIRLSは既に全国区の地方アイドルだ。ワンマンツアーが行われるほどの人気で、ライブ前日の物販では流川ガールズのブースの隣に位置し、常に人は絶えないように描かれてきたのだが、だがしかし「地元のPR」を目的として活動しているロコドルという活動において、彼女達はどうだったかというと本人達のグッズは完売したものの地元の特産品はあれだけの人がブースに並んでいたにも関わらず売り切れることはなかった。
それに対する流川ガールズはというと彼女達とは逆で、自分達のグッズは一切ないにも関わらず、地元の特産品は全て完売している。
ここで考えさせられるのは「アイドル活動と地元との距離感」で、地元での知名度はあるものの全国区とはいえない流川ガールズと全国区の地方アイドルであるAWA AWA GIRLS。この2つを分けたものは流川ガールズはあくまで「地元のために活動している」という点ではブレなかったことだろう。その点は前日のPR活動においての菜々子達のMCやロコドルフェスタの時間が押している中で、「このまま名古屋にいては地元の夏祭りに参加できない」という状況においても「あくまで彼女達は地元と地元で応援してくれる人達のために活動をしている」という点は貫かれている。
そんな流川市とその流川市に住んでいる人達が大好きだからこそアイドル活動で頑張る流川ガールズだからこそ、AWA AWA GIRLSも自分達が地元から離れてしまっていることに気付かされる展開がある。「全国区となったものの、地元の特産品すら満足に売ることが出来なかった」という事実、そして自分達の出世と地元のイベントを天秤にかけられても、地元のイベントを決して切り捨てない姿勢が彼女達に「ロコドル」というものの真価を気づかせるのである。
そんな「地元と地元で応援してくれる人達のために頑張るのがロコドル」という結論が出た時に気持ちよさがあったのは、今まで彼女達のアイドル活動の中で地元の人達と交流するシーンが必ず用意されていたからだろう。その事は彼女達がライブでみせた「流川ガールズソング」の歌詞からも見えてくる点だ。
流川市のロコドルであるということは歌詞の中に盛り込まれているのだが、もうひとつ大事なことは彼女達がアイドル活動の中で何を大事にしてきたかということだ。これもまた「流川ガールズソング」の歌詞の中にあることなのだが、彼女達は地元の人達と接する際に何を大事にしてきたのだろうか。
おそらくそれは「誰かの傍でアイドルみたいに笑顔にしたい」ということだ。
「アイドルみたいに笑顔にしたい」ではなく「傍でアイドルみたいに笑顔にしたい」なのだ。
それこそが流川ガールズの活動目的であり、彼女達が頑張る理由なのである。
だから地元となる場所や応援してくれる人達を大事にするし、地元のために頑張る。今ロコドルフェスタにやってくる人達とも、地元の人達と同じように接する。そういう日常と地続きな等身大のアイドル活動と距離の近さ、そして地元の人達との交流があったからこそ「流川ガールズソング」は流川ガールズらしい楽曲になっている。
彼女達は本当に流川市が好きであり、流川市(=地元)のために頑張っている。そういう姿が応援したくなるし、彼女達がオススメする一つ一つの特産品が輝きを持つ。これはロコドルだからこそ描けたものだろう。
そしてそういう「地元愛」を感じさせる彼女達だからこそ、観客たちも「地元のイベントのためなら」と彼女達を送り出せるし、彼女達を出迎える流川市の住民達の声に「流川ガールズ」というロコドルの今までの活動とあの時の決断に確かな手応えを感じさせるし、最後に歌うのが「流川ガールズソング」ではなく、「ああ流川」な事で彼女達があくまで流川市のロコドルであるように見せる。
「ああ流川」から始まった物語だからこそ同じ曲で終わることで今までの価値を噛み締めさせる非常にいい演出だ。この演出があるからこそ「流川市」という彼女達の拠点に魅力に惹きつけられるのだ。

オリジナルキャラクターとして新田恵海、黒沢ともよ、今井麻美とアイドルアニメでレギュラーを務める声優を呼んでいたりとキャスティングでの小技がまた面白い『ろこどる』だったが、終わってみれば非常に面白い作品だった。
綾奈ゆにこは本作の仕事を受けた段階でロコドルについて取材したというが、取材しただけのことはあって綾奈ゆにこなりの結論は十分出ているように思う。
一クールアニメと尺は短いものの、一話一話の満足感が確かにあるので短さを感じさせない一本だった。



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