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『少年ハリウッド』に見る「アイドルとして生まれる」ということについて

『プリパラ』十三話。チーム名を巡る話かなーと思ったら、計算高いみれぃと感性のそふぃとの相性が悪くて、噛み合わなくて喧嘩してしまうという話だった。「このスタッフだったら、らぁらがそふぃとトモチケ交換した時のみれぃの表情とかあったし、何らかの形でみれぃが疎外感を感じてしまうという話はやるだろう」と思っていたら本当に入れてきてびっくりしたけど、落とし所として用意したのが「トモチケ交換」と「交換した相手との特別性」で、ここでもちゃんと綺麗に収めてくるところにはさすがの仕事というしか。
「一期一会は大事」と言葉にするのは簡単だが、それを実感させるような話にするのは難しいわけで。友情の証になっているトモチケを、こういう「友達との出会いを大事にしよう」という文脈で用いるとこんなに綺麗なメッセージになるんだなぁ、と土曜の朝から感心してしまったぷりっ。
そしてそういうところで結束を描いて真のチームとなったからこそのこのチーム名と新作サイリウムコーデというギフト。物語上での意味付けとしても綺麗で文句のつけどころはなし。やっぱりプリパラは特別なアニメぷりっ。
しかしシオンのキャラ付けをどうするかと思ったら「より困難な高みを目指す事で自分を高めようとする」という武人タイプで、アイドルアニメの中でも珍しいキャラ付けだなぁ。こういうキャラクターを配置できるのはプリパラの凄いところなのかもしれない。



『少年ハリウッド』の最終回をようやく視聴したのだが、素晴らしいものだった。2015年1月より二期が控えているとはいえ、一クールという時間の中で描くべきものを描き切った作品だった。
伝説的アイドル・少年ハリウッド。その十五年後に二代目少年ハリウッドとしてデビューすることになった五人の少年達がアイドルになっていくまでを描いた本作だが、改めて振り返ってみると「アイドルの輝きは刹那的で儚いもの」ということを前提にした上で、その「アイドルの輝き」を様々な角度から問うた話だったように思う。
例えば一話では「アイドルの名乗り」という話から「アイドルというものは恥ずかしい物なんだ」という話を展開していたが、同時にそんな恥ずかしいアイドルだからこそ、恥ずかしがらずに自信満々にやっている姿がとても魅力的に見えるという話をしていた。「アイドルは恥ずかしい」という要素は『少年ハリウッド』という話の中でちゃんと貫かれていた事だ。「颯が妹にアイドルらしい振る舞いを見られて恥ずかしがる」というエピソードは断片的に挿入されてきており、非常に意味のあるものだった。
二話ではアイドルになっていく颯とアイドルではない颯の友人達の間に存在する溝を「スニーカー」というアイテムを見立てる事で描いていたのだが、このスニーカーには同時に「オリジナルとレプリカの違いとはなにか」という、初代少年ハリウッドという偉大な先輩を持ち、これから羽ばたこうとしている二代目少年ハリウッドである彼らの立ち位置も重ねられており、彼らが初代少年ハリウッドの二代目であるとともに、一つの少年ハリウッドでもあってこれから「そうなっていく」という事を一話の中で描き切っていたのだ。
また三話からは「アイドルになりきれていない」という少年ハリウッドに対して、シャチョウが演劇を通じて「何かになりきることで伝えられるもの」を理解させるために演劇をやらせるのだが、少年ハリウッド達が初めてステージに立って行うパフォーマンスとして用意された演劇・エアボーイズは、彼らに「夢」というものの向き合い方を、そして夢は少しづつ変化していって、そのたびに上書きしていけること。そして偽物だと誰もが理解していても、それでも偽物の夢を大切に魅せ続けることこそが「誰かに楽しんでもらう」ということの真の意味であることに気付かせる大事なエピソードだろう。
一話丸々使い、やや煽り気味のアングルで行うことで観客の視点を作り出し、演劇っぽさを演出しながら行われたこの五話のエアボーイズは『少年ハリウッド』という作品を考える上でも重要な位置を占める。非常に大事な話だ。
六話では自分の居場所の無さを感じて少年ハリウッドを辞めようとするマッキーの姿が描かれたが、この話で大事なのはマッキーよりもキラだろう。子役として子供時代から芸能界というオトナの社会にいたキラだからこそ、「居場所」というものに対して非常に強い思い入れがある。だからこそ少年ハリウッドという場所を大事にしているのだが、マッキーは「自分には合わない」という思い込みでその居場所を捨て去っていく。
そのことに激怒するキラの姿は少年ハリウッドという場所に対する思い入れを感じさせ、マッキーに自分のやらかしたことの意味を改めて問わせ、彼に「少年ハリウッド」という居場所を獲得させたあの一連の流れは、マッキーが真の意味でリーダーとなった瞬間でもあるのだろう。
そして七話では音痴であることを自覚しながらも自信満々で歌うカケルと少年ハリウッド達の姿がミュージカルのようなノリで描かれたのだが、原宿の街に飛び出した五人に向けられた通行者の好奇な眼差しとその眼差しの中で必死で自分達に出来るパフォーマンスをやり遂げる姿は、彼らにアイドルとなっていく予感を感じさせる。
そして九話ではアイドルとしての仕事は増えていくものの、どの仕事も肉体を酷使するだけの仕事で下手をすれば顔すら出ないことがある仕事の多さに違和感を覚える舞山春が、「アイドルであること」を初代少年ハリウッドの大咲香との出会いを通じて学んでいくエピソードが展開されている。
続く十話を見れば分かる通り、大咲香の姿は今でもアイドルだ。30代を回ってもアイドルとして最前線に立ち続けている大咲香の姿は、舞山春に「なぜそうなりたいか」を自覚させる事でアイドルとしての変化を促していく。
十一話以降ではクリスマスライブへ向けて調整していく中で、熱い想いがあるがためにすれ違っていく五人の姿が描かれたのだが、面白いのは彼らが徐々にシャチョウの手から離れて自分達の道を歩み始めていることだろう。
初代少年ハリウッドと比較される二代目少年ハリウッドという悩みを抱えながらも、自分達の地図を作って自分達の少年ハリウッドになろうとする颯とマッキー、とにかくパフォーマンスのレベルを上げて観客全員に楽しんでもらうことを選んだトミーや春、キラ。それぞれが自分なりに少年ハリウッドというものを大事にしているからこそ、自分達に出来る方法で少しづつ歩み始める姿は、シャチョウの言われるがままにアイドル活動を続けていた姿とはもはや別物だ。
なぜかタイミングが合わない「ハロー世界」の最後のポージングも、なかなか揃わないことでシャチョウ命令で簡略版が提案されてもなお挑戦し続け、観客の存在を意識することを前提にする事で成功させる姿は、彼らが「二代目」でありながら「二代目」ではない、彼らは彼らなりの少年ハリウッドとなったことを実感させる。
そして最終回では彼らが少年ハリウッドの一人となってから今までのアイドル活動の中で学んできたことを改めて見つめなおしていく。トミーはなぜ自分が少年ハリウッドのようなアイドルになりたかったのかを見つめ直し、キラは誰かではなく自分の夢を生きる事を決意する。マッキーはかつての友人達との出会いに自分が自分の居場所を見つけ、自分の意志で輝くことを決めた姿を存分に見せつけた。颯はあれだけ恥ずかしがっていたアイドルとしての振る舞いを、妹という最も身近な人間の前で見せ、より最高のパフォーマンスへ近づける努力をスタートさせ、春は今までやってきたことに必ず意味があったということに気づいた。
そんな彼らだからこそ、何度でも生まれ直せる。少年ハリウッドとして今ここに生まれることが出来るのだ。
その事はシャチョウを見れば分かるだろう。
シャチョウは十五年前のあのクリスマスライブで「永遠の十七歳」「少年ハリウッドに舞い降りた神・ゴッド」となった。だからこそ十五年経っても彼は、何年経っても彼は永遠の十七歳にして少年ハリウッドに舞い降りた神・ゴッドとして輝ける。
ゴッドとして求められればいつだってゴッドに生まれる事が出来る。
だからこそ彼らは確信を持って光の先へ、声のする世界へと足を踏み出すことが出来るのだ。
『少年ハリウッド』のOP曲である「ハロー世界」にはこんな歌詞がある。
「あの光の先、出口だと思ってた。夢の入口さ。声がするよ。耳を澄ませて、さあ行くんだ」
あの歌詞には彼らがアイドルとして立つ、このクリスマスライブというステージへの決意とその意味が秘められている。
二代目少年ハリウッドの「ハロー世界」は、光の先にある夢の入口への最初の一歩なのだ。

一クールという長いようで短い期間を開けて、二期がスタートすることがアナウンスされている『少年ハリウッド』だが、あらゆる演出に必ず意味があるこの作品に、無駄な事は何一つないだろう。一クールというインターバルにも必ず意味があるに違いない。
例えばそう、このクリスマスライブの成功で売れ始めた後の彼らの姿からスタートするとか。
きっと一クールという期間を空けた時、多くのファンを迎えるのはそういう仕掛けだろう。そういう仕掛けをやってくる作品であることは五話の演劇や十話の音楽番組を見ていれば分かる。
一月にまた彼らに出会えた時、何を見せてくれるのだろうか。彼らの活躍に期待である。


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