Entries

『ガンダムビルドファイターズトライ』に見る仲間とだからできること。

『アイカツ!』103話。「いちごの一日マネージャーをやったことで自分の武器に自信が持てなくなる氷上スミレ」から、自分の武器をもう一度見つめなおさせ、今できることを一生懸命やることの尊さを説く事で、彼女の最初の武器を認めてくれた姉をライブに呼ぶ、という一連の流れは、一期でやったことを二度も繰り返させずに少しずらすことで新鮮さと三期だからこその物語になっていて素晴らしいものだった。でもこの103話で一番好きなのは「タルト・タタン」のライブパートで、スペシャルアピールを撃った後のスミレが鏡像になっているということだ。スペシャルアピールの視点と心理的な誘導によってさり気なくすり替えられている実像と鏡像だが、気づくポイントとしてはリボンの位置とそしてもう一つがアイドルオーラの有無である。
アイカツ!のライブパートの演出において大事になってくるアイドルオーラだが、アイドルオーラが存在しているのは実像のみなのだ。現にスペシャルアピールを撃った後、アイドルオーラは消えているのだが、面白いのはそんな鏡像のスミレが鏡に向かって歩くときに映る鏡の中のスミレはアイドルオーラを身にまとっている。この違いから分かることは、アイドルオーラとは実像にしか発生しないということだが、それはつまり「本人だからこそ身に纏えるもの」だということでもある。この辺りの演出は今までも徹底されていたのだが、三期に入ってからこのような実像と虚像を意図的にシャッフルする演出を持ち込んでくるとは思わなかったし、その実像と虚像をさり気なくすり替えさせている事には度肝を抜かれた。
視点や心理を誘導することでさり気なくすり替え、「鏡」というステージのギミックをフル活用した映像表現に仕上げてこられると、こちらとしてももはや芸術的だと言わざるをえない。
スペシャルアピールを撃った後の鏡像から実像に切り替えるタイミングも絶妙だ。鏡に指先が触れた後の「いつかはきっと……」のところで元の実像に入れ替わっているのだが、実は鏡に指先が触れた後でカットが切り替わっており、ここで実像と虚像がまた入れ替わっているのである。
この辺りのタイミングの付け方の上手さとカット進行の絶妙さも凄いが、これを「気付かれないようにやっている」辺りがまた凄い。なんというか、完全に職人技のセカイである。



ガンダムのプラモデル、略してガンプラ。そんなガンプラを戦わせる遊びが流行っている近未来世界で、ガンプラバトルに魂を燃やす人々を描いた作品、『ガンダムビルドファイターズ』。そんな『ガンダムビルドファイターズ』の最新作として現在放送中の『ガンダムビルドファイターズトライ』だ。
前作でイオリ・セイとレイジが世界選手権で優勝してから七年後の世界を舞台に、ガンプラバトルを全く知らないものの次元覇王流拳法という格闘技の達人であるカミキ・セカイと、イオリ・セイの始動を受けた天才ビルダーであり、前作に登場したコウサカ・チナの弟でもあるコウサカ・ユウマ、そしてガンプラバトル部の部長を務めるホシノ・フミナが、チーム・トライファイターズとして、チームバトルが主流となった世界大会へと挑む!というストーリーの『ガンダムビルドファイターズトライ』。前作までと同じように「ロボット」ではなく「プラモデル」、物語は戦争や軍事ではなく、あくまで「遊び」に全力で打ち込む人々の情熱を描いているという点では共通だが、一騎打ちが主流だった前作からチームバトルへと変化したことを受け手『トライ』では様々な点が変化している。その変化の一つとしてあげられるのが「一人では出来ないことでも、仲間と一緒ならば出来る」というテーマの変化だろう。
『ガンダムビルドファイターズ』一期の主題となっていたことは何かと言われれば、「遊びだからこそ真剣勝負をすることが出来る」ということだろう。それは二代目メイジン・カワグチが敵として描かれていたことからも分かる。
二代目メイジン・カワグチのガンプラバトルは「勝利する」という一点のみのために構成されている。その勝利への執着は、三代目メイジンがエンボディシステムにより見せた「相手のガンプラの破損したところを容赦なくエグリ、痛めつける」というバトルスタイルが二代目メイジンのソレと重ねあわせられていたことからも何となく分かる。
「勝つこと以外は無意味」と言わんばかりに戦う二代目だったが、なぜ二代目が否定されたのだろうか。
それはガンプラバトルが「一人では出来ない」からだろう。そしてそれは「ビルダー達が熱い思いを持って作られたガンプラだからこそ、真剣な勝負を繰り広げられる」というテーマにも繋がる。
レイジは当初はガンプラバトルに興味はなかったものの、タツヤやセイやフェリーニというガンプラをとにかく愛し、ガンプラバトルを楽しんでいるプレイヤー達と出会ったからこそ、彼はガンプラバトルという遊びに熱中することが出来た。当初はプラフスキー粒子の研究のためにガンプラバトルを始めたニルスもまた、ガンプラバトルという遊びの奥深さにとりつかれたからこそ、レイジ達との戦いに敗れた後、天才らしからぬ子供らしい振る舞いでリベンジを誓ったのだ。
『ガンダムビルドファイターズ』という作品はそういう作品だ。
「たかが遊び」ではなく「たかが遊びだからこそ」なのだ。殺し合いもへったくれもない、ただの遊びだから真剣になってしまう。命がかかっていないからこそ、自分の「熱い思い」をガンプラに載せられる!という熱い奴らが、自分の熱い魂をもって作り上げたガンプラを持ちより、自分のガンプラこそが世界で一番強い事を証明するために戦うのである。
だから二代目メイジンはあの世界では異物として否定されてしまうのだ。ガンプラバトルではなく、勝つことを楽しむ彼は、そういう遊びだからこその「熱い思い」を尽く否定してしまうからこそ、あの世界では悪とされ、愛に生きる三代目メイジンとなったタツヤの反面教師となる存在になっているのだ。
さて、そんな前作の流れを踏まえて『トライ』を見ていくと、キャラクターのエピソードが少しづつずらされながらも根本的な部分ではやはり前作のテーマを受け継いでいるように思う。ガンプラバトルの魅力に取りつかれるセカイ、ガンプラバトルに夢を抱くフミナもそうだが、命がかかっていないからこそ彼らは真剣にガンプラバトルに向き合っているし、自分達のガンプラバトルを楽しんでいる。
『トライ』ではチーム戦が主体となって描かれているが、「遊びだからこそ真剣になれる」というテーマはそのままのようだ。しかし『トライ』では「遊びだからこそ真剣になれる」に加えて「チーム戦」を踏まえてまた別のテーマが用意された物語が展開されているように思う。
『トライ』で描かれているもの。それは「一人では出来ないことも仲間となら出来る」ということだ。
かつてガンプラバトルでガンプラを徹底的に破壊されるという過去を背負ったユウマが再起した二話などは顕著だろう。
ユウマはかつて地区優勝候補として持ち上げられながらも、対戦相手に徹底的にガンプラが破壊された挙句に「ガンプラバトルの才能がない」と罵られ、ガンプラバトルへの情熱を失ってしまっている。
そのことからかつて幼馴染のフミナと誓った選手権への夢にも蓋をして、プラモデル部に入部したのだが、彼が再起して選手権へ挑むことを決めたのはフミナとの約束と、そしてセカイの言葉からだった。
一人ではユウマは自分の夢を諦めて嘘をついていくしかなかったが、フミナやセカイがいたからこそ、選手権への夢とガンプラバトルへの情熱をもう一度燃やすことが出来たのだ。一人ではくすぶるだけだった情熱が、仲間がいたからこそもう一度熱を持つことが出来る。
「遊びだからこそ真剣になれる」ものの、その真剣さを相手に踏みにじられたユウマを再起させた鍵が「真剣に向き合ってくれる仲間」というのはなかなか面白い。そしてそんな「仲間と一緒だから出来る事」というものがあればこそ、そんな仲間と共に戦った一つ一つの経験は思い出となって、彼らのガンプラバトルを彩ってくれるのだろう。
またそういう意味ではフミナがパワードジムカーディガンからウィニングガンダムに乗り換えることが先にアナウンスされている事も面白い。
パワードジムカーディガンはフミナのパートナーとして登場した機体だが、あの機体はフミナが一人だったからこそ、一人で状況を打開できるように重武装かつ重装甲、シールド二枚を補助アームで展開し、一人で何とかするしか無かった機体として制作されている。
しかし三人となった以上、そこに拘る必要はないのだ。ウィニングガンダムという新たな機体が持つのは、三人だからこそ出来る事だ。
格闘戦を得意とするビルドバーニングガンダム。狙撃戦を得意とするライトニングガンダム。
全く異なる戦場を得意とする機体を主軸とするトライファイターズだからこそ、ウィニングガンダムは二つを繋ぐ機体として必要なのだろう。

何にしても『ビルドファイターズ』に二期が決まった時に少しとはいえあった不安感を見事なまでに吹き飛ばしてくれる素晴らしい一話に、その発展性を感じる二話という構成はとても素晴らしいと思う。富野由悠季監督作品の『Gのレコンギスタ』ともども、今期のガンダムはとても面白いので毎週じっくりと見て行きたい。

ところでこれは余談なのだが、本作の監督を務める綿田慎也だが、『ラブライブ!』や『プリティーリズム』への参加経験を持つだけあって、本作の一話では各所で「ラブライブ!っぽさ」や「プリティーリズムっぽさ」を感じてしまう。特に一話の「ガンプラを知らないセカイに驚くフミナ」はラブライブ!っぽさしか感じなかった。
いやだからなんだという話なのだが、とりあえずミライさんとフミナが可愛く見えるように演出されているので素晴らしいと思う(特にミライさんは超絶美人設定の反面、歳相応の幼さがある表情付け)。
でも一話のタイトルが「必殺拳!嵐を呼ぶ少年」のパロディっぽいのはどうなんだ。ウルトラマンレオって。



ガンダムビルドファイターズトライ Blu-ray BOX 1(ハイグレード版)(初回限定生産)ガンダムビルドファイターズトライ Blu-ray BOX 1(ハイグレード版)(初回限定生産)
(2015/03/27)
冨樫かずみ、内田雄馬 他

商品詳細を見る

セルリアン/Silent Trigger ( CD+プラモデル) (初回生産限定盤)セルリアン/Silent Trigger ( CD+プラモデル) (初回生産限定盤)
(2014/12/17)
BACK-ON

商品詳細を見る


スポンサーサイト
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://ilya0320.blog14.fc2.com/tb.php/2079-77049b68

0件のトラックバック

4件のコメント

[C1558]

二代目メイジン・カワグチについてなんですが、あれはマシタ会長の思惑だったのではないでしょうか。
マシタの考え方が悪とされてる事には変わりないのですが、ビルダーとしての話だと二代目は実像がハッキリしてないのでややこしい気がします。
エクシアダークマター戦もVS二代目というよりは、VSマシタ会長という図だったと思うんですよね。
ガンプラバトルが一人では出来ない物から、トライでのチーム戦である事に繋がってる書き方は非常に面白いです。
フミナのジムカーディガンからウィニングガンダムへの乗り換えも、OPの映像から「二つを繋ぐ機体」というのもよくわかります。
監督の綿田慎也氏は08MS小隊の新作フィルムやAGE劇場版も撮っていて、ガンダムを担う若手として注目が高まりますね。
プリリズ、ラブライブの流れから評価するのも当サイトならではというか、そういう繋がりがあると一層楽しめます。

[C1559] Re: タイトルなし

>>二代目

なるほど。確かにそうですね。
ただ個人的にはマシタ会長だけでも弱いと思うんですよ。
「マシタ会長の勝利至上主義に従い、象徴として君臨していたのが二代目」なので、VSマシタであるというのは間違いないんですが、「三代目が二代目と同じ戦い方をさせられている」というところを考えると、「勝利至上主義を唱えた側と象徴となった側が合わさったのがあのダークマター」というのが個人的には一番しっくり来ますね。

>>綿田さん

何気にガンダムUCで中盤を支えている四話の演出も綿田さんなんですよね。
そういう意味でも今後のガンダムを担う存在として期待しています!
  • 2014-10-19
  • 水音
  • URL
  • 編集

[C1560]

VSマシタ会長は物語の構造上で見すぎていたかもしれません。
作中だとやはり非道な戦いをする二代目メイジンというのが象徴とされていたので
エクシアダークマターは素直に二代目の亡霊として見た方がしっくり来ますね。

UC4話は旧作MS祭りで、ビルドファイターズに通じる物がありました。
それに菱田正和氏、京極尚彦氏も参加されていて、まさにプリリズ・ラブライブの布陣でしたね。
この繋がりで二人がBFTに参加する期待も持ってしまいます。

[C1561] Re: タイトルなし

UCもそうですけど、サンライズ出身のアニメーター達によるお祭り感がありますね。
一視聴者としては大変面白いので、京極さんや菱田さんが参加したガンダムをもう一回見てみたいです。
  • 2014-10-23
  • 水音
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

魔界戦線


■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
44829979_m.jpg
とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

プロフィール

  • Author:水音
  • tumblrの方が積極的に更新してるマン。
    面倒くさがりなので、Twitterのほうが捕まります。

    魔界戦線



    連絡先  :mizune.moon.sounds@gmail.com
    @を半角にして下さい

カウンター