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『WIXOSS』に見る「自己犠牲以外の救済の模索」と友情の一貫性について

ウルトラジャンプで連載している『selector infected WIXOSS-peeping analyze-』。タイトルの通り、『WIXOSS』のコミカライズ作品なのだが、内容があまりにも面白すぎる。
本作はTVA『WIXOSS』でるう子がタマと巡り合うよりもはるか以前を描いた前日談なのだが、『WIXOSS』の中でも一、二を争う人気を持つアキラッキーこと蒼井晶のルリグだったピルルクが人間だった頃の物語なのだ。「ルリグとは夢限少女となった元人間達である」ということが一期終盤に判明し、作中キャラクター達と視聴者を驚かせたのだが、ピルルクが人間だった頃を描いた本作では前日談らしく「ピルルクが何を願ってセレクターとなったのか」ということを描いており、本編では「セレクターバトルに振り回された人間達の救済」に焦点が当てられていることもあって、騙されるような形でルリグとなってしまった少女達の悲劇が描かれていわけなのだが、まだ全貌が見えない中で今面白いのは、ピルルクと後にピルルクのセレクターとなるアキラッキーが死ぬほど相性が悪いということがちゃんと今の段階で描かれていることだ。
正直アキラッキーとピルルクは相性が悪いというか、ピルルクはアキラッキーに対して良い感情を抱いていないんだろうな、ということは本編の描写からも汲み取れるが、こうして前日談として人間だった頃のピルルクが描かれてみると、本編でのピルルクのアキラッキーへの対応はむしろぬるい方だったのではないかと思うぐらいである。
ホビーアニメにはよく「パートナー」が登場しバディを組む事があるが、ここまで相性が悪いバディはそうそうないんじゃなかろうか。



そんなわけで『WIXOSS』二期こと『selector spread WIXOSS』である。
セレクターバトルを終わらせるために夢幻少女となってオールリセットによる全てのルリグとセレクターの救済を願いながらも、最後の最後でタマによってその願いは阻止されてしまったるう子と、るう子に負けた事で願いを叶えるための条件が満たされ、夢幻少女となってるう子のルリグとなったイオナ。るう子の元を去っていったタマというところで終了した一期に直接繋がる形で幕を開けた『selector spread WIXOSS』だが、そもそも一期とはどういう話だったかといえば「セレクターバトルに振り回される思春期の少女達とルリグの物語」であった。
セレクターバトルとは意志のあるルリグカードを持つ存在=セレクター達が夢幻少女になるために行う戦いのことだ。夢幻少女になれば何でも願いが叶う。その都市伝説を信じて、少女達は自分の願いを叶えるために他のセレクター達と戦い続けている。
友達がなかなか出来ないるう子のために、きっかけになればと兄が与えたスターターセット。その中に眠っていたルリグ、タマとの出会いを通じてるう子は様々なセレクター達と出会い、彼女達がそれぞれ強い願いを抱いてセレクターバトルを行っていくことを知っていく。
最初に出会った遊月は双子の弟の事が好きで好きで仕方がないものの、その恋は報われないと知っているからこそ夢幻少女となって恋人関係になることを強く望んでいたし、一衣は人付き合いが苦手で孤独だったこともあり、友達を求めてセレクターバトルに参加していた。中には晶のような「他人の破滅」を求めてセレクターバトルに興じる人間もいたのだが、ともかく願いのためにとにかく必死で戦い続ける彼女達の姿を見たるう子だったが、そんな時一衣が晶に敗北した事、そして夢幻少女となったはずの遊月が一衣の新たなルリグとなって姿を表したことから、セレクターバトルの真実を知り苦悩することになる。
セレクターバトルとは夢幻少女になるための戦い。もし三回負けたものは願いが反転してしまう。
しかし夢幻少女になるということは、自分が所持しているルリグと入れ替わってしまうということ。
そのことを知ったるう子は苦悩の中で「全てのルリグを開放する」という願いを抱き、その願いを叶えるためにイオナの呼びかけに答えたセレクターの大会へと参加することになるのだが、イオナとの戦いには勝利したもののタマの拒絶によって夢幻少女になることが出来ず、それどころかタマを失ってしまうのだった。
この『WIXOSS』一期で興味深いのは「夢幻少女になって、騙されるような形でルリグとなってしまった少女達を開放する」という自己犠牲による救済が一期の段階で否定されてしまっていることだろう。
前述したように「夢幻少女になる」ということは「ルリグになってしまう」ということだ。
もしるう子が「ルリグとなった少女達の救済」を願い、タマが承諾してるう子が夢幻少女となったとしても、るう子はただ一人だけルリグとなってしまう。夢幻少女による「願いの遂行」と「ルリグ化」がワンセットである以上、るう子の願いはるう子の犠牲によってしか成立しないのである。
どれだけルリグ達が解放されても、このルールに則った形での「救済」ではるう子は絶対に犠牲になってしまう。
タマはそれを理解していたからこそ自分を友達と呼んでくれた「るう子の犠牲による救済」を回避するために、るう子の願いを否定してどこかへ去って行ってしまうのだった。
以上のように『WIXOSS』では一期の段階で「自己犠牲に依る救済」を否定されている。
タマはるう子の犠牲によって成される全てのルリグの救済を拒んだ。それはるう子のことを本当に大切に思っているからこその拒絶だ。
一期でそのようにタマの拒絶を描いた。では『infected(感染)』から『spread(拡大)』となった二期ではどのような物語が展開されていくのだろうか。決まっている。『WIXOSS』はきっと「自己犠牲以外での救済方法を模索する物語」となっていくのだろう。
なぜなら夢幻少女システムに則った方法では誰かが犠牲になるしか解決策が存在しない。しかしその方法は一期の段階でタマの「るう子は友達だからこそ、友達が犠牲になるしか救う方法がなかったとしても、友達を犠牲にしてまで救いたくはない」という思いによって既に否定されている。
また二期三話で一衣や遊月の「るう子がいない世界は楽しくない」という台詞からもそのことは伺える。「誰かが誰かの為に犠牲になる」という自己犠牲による救済を否定しているからこそ、二期では「自己犠牲以外での救済」を探すしか無いのだ。自己犠牲での救済が否定された以上、誰もが救われる方法を探す他はない。そしてそのための情報は断片的にではあるが登場している。
タマと語り合っていた謎の少女などはまさしくそんな自己犠牲以外での救済方法へと繋がる鍵の一つだし、新たにるう子とそんなるう子のルリグとなったイオナ。そしてイオナと化したウリスとそのルリグとなったタマもまた、「自己犠牲以外での救済」を探す鍵となっていくに違いない。
また一期と二期を通じて見ていくと「友達」がテーマとして一貫されていることも面白い。
一期でタマがるう子の犠牲を否定したのも元々は「大切な友達だから」だし、遊月や一衣が二期三話で「誰かが誰かのために犠牲になった後、残された人たちにとってその世界は全然楽しくない」という事を語っているが、それもるう子が友達でありかけがえのない存在だからだろう。
そしてタマを失ってイオナを手にしたからこそ見えた「なぜ自分がセレクターバトルを楽しめていたのか」というアンサーもまた、タマがるう子の友達で、友達と一緒の遊びだったからこそ楽しかったからだ。
おそらくそんな「友達を思いやること」もまた「自己犠牲以外でのルリグ達の救済」にも繋がる部分に違いない。
例えば外の世界を拒む謎の少女が友達という自分の内側ではなく外側にしかいない存在に触れて起きる化学変化とか。
そんな反応が物語にどのような波紋を広げ、そして全てのルリグ達が開放される結末へどのように繋がっていくのだろうか。まだまだ物語は始まったばかりだが、某かの解答を用意されている。その解答が物語を締めくくるに相応しいものであることを楽しみにしていきたい。

思えばTCGは友達がいなければプレイできない。一人では出来ないゲームだからこそ、「対戦相手」という存在が必要だ。
そして対戦相手は同じゲームで楽しめる仲間であり友達となれる存在だ。だからこそ本作は「セレクターバトルに振り回される思春期の少女達」と共にそんな少女達の「友情」を描いているのだろう。
セレクターバトルがあったからこそ出会えた友人達とその出会い全てに感謝する結末であることを心から願っている。

それはそうと第四弾ブースターで遊月のレベル4が追加されるらしく、花代属性が消えてしまうので色々考えてしまう。
遊月デッキ使いなもので、その辺の調整はどうしても……。場合によっちゃ全部組み直す事になるかもだし。


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