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『アイカツ!』に見るメインキャラの違いが生むそれぞれの物語について

『妖怪ウォッチ』。色々あって一話から観直しているところなのだが、これだけ映画やら漫画やらドラマやら、ジャンルを問わず様々な名作や迷作をパロディを展開している作品は早々無いような気がする。
『妖怪ウォッチ』は一話完結で毎週三話という構成で、一話終わるごとに仕切り直しが入る話の自由度が高いといえば高いのだが、それにしても多すぎる。そして面白すぎる。
孤独のグルメのパロディである給食のグルメは今シリーズ化しているのだが、毎回ちゃんと「楽しみにしていた給食の最後の一口は味わえない」というオチが付いている。特に揚げパン回の「最後の一口を他人に食べられてしまう」辺りの面白さは外し方も含めて面白かったし、筑前煮にダイブする唐揚げなどは「食べられこそするが悲しい」という酷さで、色々な意味で笑いが止まらない。でも『妖怪ウォッチ』で特筆すべきは、別にパロディに頼らない回が面白く無いというわけでもない事、そしてギャグばかりでもなく感動系のいい話もやっていることだろう。ちゃんと感動できて、いい話としてまとめあげられているのだから凄い。
なんというか、この作品ほど「バラエティ」という言葉がしっくり来る作品もないような気がする。
CMで笑いあり涙ありを連呼しているが、本当に笑いも涙もあるのだから広告に偽りなしだ。
でもこれ、シリーズ構成は加藤陽一なんだよなぁ。『アイカツ!』も加藤陽一だし、キッズ人気のあるアニメの半分ぐらいは加藤陽一アニメと言ってもいいような気がするぜ。



大空あかりを中心とするアイドル活動がスタートした『アイカツ!』三期。
ルームメイトとなった氷上スミレと共に始まった大空あかりのアイカツは、「誰かが勝てば誰かが負ける」という弱肉強食な芸能界の掟を知って臆病になったスミレの心を溶かし、そして星宮いちごの姿に圧倒されながらも、今自分に出来る最高のパフォーマンスを見せたスミレは「大空あかり」という「仲間」を、自身をアイドルの道に勧めてくれた姉に紹介するまでに成長を果たした。
そして104話からは新庄ひなきが登場した。この104話では芸歴13年と子役時代から活躍する新庄ひなきと共に「PON PONクレープ」のイメージガールオーディションを受ける中で、「新鮮さ」を知っていく物語が展開され、三人でのアイカツがスタートすることとなった。
この104話の新庄ひなきの登場をもって放送までにアナウンスされていたメインキャラクターはこれで全員で揃ったことになるのだが、星宮いちごを主役として描いた一年目と、大空あかりを主役として描いた三年目とでは一部のキャラクターがある程度重なるようなキャラクター付けがされている。
例えば新庄ひなきの「芸歴13年」という経歴は紫吹蘭と重なる部分があるし、それは星宮いちごの後を追いかけてスターライト学園に入学したという経緯の大空あかりについてもそうだ。またどちらも一見すると関係性も似通っているようにみえるのだが、一年目と三年目のメインキャラクターを比較してみると、少しづつずらされており全く別の物語が展開されている事がよく分かる。
一年目では星宮いちごは霧矢あおいと紫吹蘭を中心にアイドル活動を励んでいたのだが、この三人はアイドルとしては天性の才能を持つ星宮いちごが他の二人を引っ張っていくタイプの関係性が構築されていた。紫吹蘭も霧矢あおいも、思いついたらまず行動!な星宮いちごと共にアイドル活動に励むことで、少しづつ成長していくことが出来た。そして星宮いちごもその辺りは同じである。
霧矢あおいが理論的なフォローを行う事で効率よく成長できたし、プロ意識の強い紫吹蘭がいたからこそ妥協せずに前を向いて走り続けることが出来た。この三人は互いが互いの欠けているところを、補完し合いながら前に進んでいるのだ。
その辺りが意識的に描かれていたのがソレイユ結成回だろう。
ソレイユ結成回では霧矢あおいや星宮いちごと離れてしまい、輝きを失っていく紫吹蘭の姿が描かれているが、そんな彼女が最大限輝ける場所として、神崎美月が指し示したのがソレイユだ。
星宮いちごと霧矢あおいと紫吹蘭が最終的に「ソレイユ」という形に収まったのは、彼女達が三人だったからこそ前に進んでこれたことの証明だ。そしてそれは「互いが互いの個性を高め合う」というアイカツのアイドルグループ理論にも合致するところでもある。
それに対して大空あかり達はどうかというと、新庄ひなきはプロ意識が強くファッションに詳しいし、氷上スミレは物静かながらも客観視が出来る存在だ。あと美人だ。
では主役としてアナウンスされている大空あかりは? というと彼女には星宮いちごのような天性の才能があるわけではない。彼女は「いつか芽が出る」ということを信じて努力し続けるしかないキャラクターとして描かれている。
そういう意味では氷上スミレや新庄ひなきとバランスが取れるほどの能力を持っていないといえるかもしれない。
しかし彼女には星宮いちごから受け継いだ「アイカツを楽しもう」という精神がある。
思えば三年目で登場している氷上スミレも新庄ひなきもアイドルとしては高いスペックを持つアイドルだ。
氷上スミレは同性ですら見惚れるほどの美人であるし、新庄ひなきも芸歴の長さから来る強いプロ意識を兼ね揃えているし、そのプロとして活動し続けてきた経験は彼女のアイドルとしての能力の高さを伺わせる。
有栖川おとめと共に番組をやっていることなどは、彼女のそのアイドルとしての能力の高さがあるからこそ出来る実績だろう。しかし彼女達は様々な理由で「アイドル活動の面白さ」を知らない。
氷上スミレは弱肉強食な芸能界の掟に縛られて、一人でレッスンする事が多かったと語っているし、新庄ひなきもその経験とプロ意識の強さから雁字搦めになっており、「自分の満足のいく仕事ができない」という行き詰まりを感じているように描かれている。
しかしどちらも大空あかりと共にアイカツすることで、自分の中にある壁を打ち壊して「仲間とともにアイカツする楽しさと面白さ」を知って変わっていく。
氷上スミレは「勝つのは一人」と分かっていても「一緒にアイカツしよう」と誘い、自分が負けても勝った人間を称える大空あかりの姿を見て「弱肉強食な競争社会であるからこその仲間の尊さ」を知ったし、新庄ひなきは大空あかりの我武者羅なアイドル活動を見て何かを掴んでいる。
大空あかりは天性の才能も経歴の長さからくる経験も知識もそれほどない。
しかし星宮いちごから学び、どん底を味わったからこそ手にした「アイカツの精神」がある。そのアイカツの精神が氷上スミレや新庄ひなきに伝わり、彼女達を変えていくのだ。
そう考えると、『アイカツ!』三年目のメインキャラクターのバランスは非常に面白いところで取られている事がよく分かる。
経験に裏打ちされた豊富な知識を持つひなきに、天性の才能を持つスミレ、そしてどんなものでもアイカツとして楽しむ心を持つあかり。
そんな三人だからこそ星宮いちご達が経験した事をなぞったとしても、そのエピソードは全く別の印象を残す。
その印象の違いこそが、彼女達が「彼女達なりの物語を歩んでいる」ということを実感させてくれる。
一日マネージャー回などは氷上スミレでなければ「トップアイドルの実力に気圧される」という展開にはならなかっただろう。そして気圧されたからこそ「自分の全力を姉に見せる」というブレイクスルーが彼女の成長として描かれているのだ。

三年目となる『アイカツ!』だが、事前にアナウンスされていたキャラクターが出揃ってみて思うのは、一部の設定は共通であるものの立ち位置や解釈を「少しずらすことでの面白さ」がちゃんと存在しているということだ。
そしてこのずらしがあるからこそ、キャラクターとしての魅力が生まれ、その魅力に物語に変化を生む。そしてその変化が『アイカツ!』では心地よさとして映像に現れ、物語を盛り上げているのである。
三年目だからこその面白さが今生まれつつある『アイカツ!』。
今後、どのような面白さを魅せてくれるのだろうか。
期待していきたい。


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