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『ガンダムビルドファイターズトライ』に見る「好き」だからこその理解について

『ドリフターズ』四巻。三巻から一年半ほど空いて発売となった四巻だけど、(雑誌で読んでいたとはいえ)待っただけのことはある面白さだ。今まで行われていたのはあくまでゲリラ戦であり侵略戦だったのに対して、今回描かれたのは防衛戦であり、戦いの性質の違いも面白いのだが、相手が銃のことを知っている時代の土方歳三というのがまた熱い。
相手が「銃の戦術的な価値」を知らないからこそ優位に立ち回ろうとした信長だけど、土方歳三が相手だとその優位性はなくなってしまう。つまりあの戦いは『ドリフターズ』ではほぼ初めて描かれた「主人公サイドに知識的アドバンテージがない戦い」だったりするのだ。だから指揮官同士の駆け引きが新鮮に見える。
あと黒王サイドが負ける理由が「指揮官が指揮をしている場合じゃなくなった」というシンプルな理由で負けるのも素晴らしい。「知識のアドバンテージがない」という状態で、超自然的な力を持つ廃棄物サイドにそういった力を持たない漂流物サイドが優っている点は、「怨念にとらわれていない」ぐらいだ。だから土方歳三の怨念まみれの精神だと島津豊久の敵になった段階で島津に対する恨みにとらわれてしまうし、指揮が疎かになるのも仕方がないと言える。そういう意味では負けて当然だったと言えるのかもしれない。そうなってくると廃棄物と漂流物の相性みたいなものも出てくるなぁ。
ところで黒王がキリストなのは確定として、やっぱりユダは黒王絶対殺すマンだったりするんだろうか。



「自分のガンプラが一番強い」
そのことを証明したいという想いは、この場にいる全て人間が同じだからこそ誰よりも相手を理解出来てしまい、その想いは国籍や言語、年齢や人種、そして世界の壁すらも超越し、人々を「ガンプラバトル好き」へと変えていく。そんなガンプラ好き同士の「自分のガンプラが一番強い」という思いの衝突は見ているものを熱くさせてくれる。
『ガンダムビルドファイターズ』はそんな「ガンプラ好きによるガンプラバトル」を題材にしている作品だった。
その続編となる『ガンダムビルドファイターズトライ』は一期とは少し方向性を変えて「ガンプラバトルに打ち込む中高生の青春」を描いており、毎週非常に楽しませてくれる。
さて三話ではギャン子ことサザキ・カオルコ率いる聖オデッサ女子学園チームとのガンプラバトルを通じて、チーム・トライファイターズがチームとしての結束と連携を深めていく物語が展開されたのだが、この話で個人的に興味深かったのはカオルコのガンプラがコロニー外に吸い出されかけた時にセカイが助ける一連の流れの中で見えるセカイがカオルコを助けた理由だ。
セカイがカオルコを助けた理由。それは「カオルコも自分もガンプラが好き」ということだが、「相手も自分もガンプラが好き」ということがなぜ面白いかというと、それは一期から受け継がれてきたテーマだからだ。
一期は世界選手権を舞台にしているが、そこに登場するガンプラファイター達は全員ガンプラとガンプラバトルが大好きだった。だからこそ彼らは同志であり、ライバルになれる。
相手もガンプラが好きなことを理解しているからこそ、彼らは相手に対しての礼節として真剣に向き合う。そんな相手の「好き」の感情に対する礼節を重んじた真剣さが彼らの真剣勝負を支えるもので、その戦いはいつだって盛り上げてくれた。個人的のその最たる例こそがニルス戦ではないかと思う。
ニルスはガンプラが特に好きではなかった。彼にとってはプラフスキー粒子の研究のために始めたものであり、ガンプラバトル世界選手権への参加も元々はプラフスキー粒子を開発しているPPSE社に近づくためだった。
つまり目的を果たして決勝戦に進めさえすれば彼にとってガンプラバトルは本来ならどうでもよかったはずなのだ。
だからレイジ達に八百長を持ちかけているのだが、しかし彼はレイジ&セイのスタービルドストライクと戦った時、自分のガンプラが傷ついた時に大きな怒りを見せているし、負けた時には天才であり大人びた態度を見せていたニルスらしからぬ態度で再戦を誓っている。
これは彼の中にも「ガンプラが好き」という思いがあったからだろう。
そしてそんな自分の中に眠る「ガンプラとガンプラバトルが好き」という思いに火がついたからこそ、あの子どもじみた再戦の誓いを口にするし、一期のエピローグでのプラフスキー粒子を精製に繋がったのだろう。
全ては「自分のガンプラが一番強いのだと声たかだかにいいたい」ということのために。
だが所詮それは遊びにしか過ぎない。しかし遊びだからこそその想いは純粋なのだ。そしてそんな純粋な思いを抱いているからこそ、彼らはガンプラバトルを通じて理解し合える。本気で好きだからこそ、本気で好きな相手のことが痛いほどに理解できるのだ。
『ガンダムビルドファイターズトライ』四話でセカイがカオルコを助けたのもそんなカオルコの「ガンプラが好き」という思いを感じ取ったからだろう。
セカイはガンプラバトルを始めたばかりだが、彼は次元覇王流拳法を長い間嗜んできた。次元覇王流拳法が好きだからこそ続けてきたのだ。
そんなセカイだからこそ、次元覇王流拳法とは道が違い、また始めてからの日が浅くとも、ガンプラバトルで手合わせするだけで相手が自分のガンプラが好きなことも、ガンプラバトルが好きなことも何となく理解できる。だから彼はカオルコのRギャギャがコロニーから吸いだされてしまった時に手を伸ばし、彼女の自慢の盾をも守るのだ。

四話ではガンプラ心形流のサカイ・ミナトが登場したが、彼の登場はセカイがガンプラバトルの奥深さに気づくいいきっかけになっている点は興味深い。自身の経験した身体感覚を持ってガンプラを操るセカイは、自分が経験したことがある場所でならば無類の強さを誇る。
しかし自身の体感したことのない場所でのセカイはあまりにも弱い。それは彼が自身の操るガンプラに対する理解不足から来ているものだろう。だから「自分の身体感覚を再現する」ことでしかガンプラを操ることが出来ないし、経験できない宇宙などでは普段通りの戦い方が出来ないのだ。
しかしミナトとの戦いの中で見えたのは「ガンプラの特性を活かしきる」ということ。それはつまり、自身のガンプラであるビルドバーニングガンダムを知っていくことであり、それはつまりガンプラをもっと好きになっていくことでもある。
そんなガンプラバトルの奥深さに気づき、ガンプラの特性を生かすためにセカイはもっとガンダムを、そしてガンプラを知っていくことになるだろう。そしてビルドバーニングガンダムを知ることは、製作者であるイオリ・セイの制作した経緯を知っていくことでもある。
そういう意味では四話では、強くなる=ガンプラを理解すればするほど「一期の後のイオリ・セイを知るための鍵としてのビルドバーニングガンダム」が立ち上がってくる、というギミックが完成したと言ってもいいだろう。
何のために徒手空拳を基本とするビルドバーニングガンダムが作られたのか。
一期を見ていたのなら気になる要素を、ちゃんとセカイの物語として組み込んでくる辺りは芸が細かい。
いよいよ始まる世界選手権地区予選が楽しみになってくる作りだ。

フミナも自身の理想とするガンプラ像を見定め、ユウマも自身のライトニングガンダムに足りないものを増設してきた。
セカイはビルドバーニングガンダムの実力を引き出すために、もっとガンプラを知り、もっと好きになっていくだろう。
『ガンダムビルドファイターズトライ』はガンプラが好きな中高生の物語として、非常に見応えがある作品だ。


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