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『SAO』マザーズ・ロザリオ編EDに見る演出家の作家性について

『アイカツ!』108話視聴完了。
前話の大空あかりに続いて今回は氷上スミレが「プレミアムドレスを手に入れるべく、デザイナーの元を尋ねる」という内容だったのだが、ロリゴシックといえば藤堂ユリカがいるわけでどうするのかと思ったら「今は藤堂ユリカの方が好きかもしれない。でもいつかはきっと」というところで着地させていて、非常に上手い話の持って行き方だなぁ、と感心させられた。ロリゴシックのデザイナーは自分のブランドが持つ世界観を大事にしている。だから自分の目で見極めた、ロリゴシックの持つ世界観を尊重する人間にしかプレミアムドレスを託さない。
その事は藤堂ユリカの時も十分に描かれていたわけだけど、そこを踏まえて「今は藤堂ユリカには叶わない」と言わせることで先輩である藤堂ユリカの立場を守りながら、「いつかはきっと」と未来の自分に繋げることで「強い気持ち」で納得させている。
また氷上スミレがロリゴシックを十分に理解していることを、「白雪姫にとっては悪いイメージが付きまとう林檎でも、ロリゴシックなら付いていると思う」というところで裏付けされているのも地味に上手い。
単に思い出一辺倒ではなく、こういうところでテクニカルに攻めてくるその匙加減の絶妙さはさすがとしか言えない。
あと今回、「ロリゴシックの演技派なスタッフですら思わず素に戻ってしまうほどの美人」という美人演出が生まれたのでそういう意味でも個人的にはかなり評価している方よ。



仮想現実を用いたMMORPGを舞台にしたアニメ、『ソードアートオンライン』。同名のライトノベルを原作とする、アニメ化作品だが、そのアニメの二期シリーズが現在放送中だ。
一期シリーズはそれほど面白いと思えなかったものの、二期シリーズでは最終戦争後の荒れ果てた地球を舞台に、銃火器での銃撃戦での戦いがメインとなる「ガンゲイル・オンライン」で起きるデスガンとの戦いを描いたファントム・バレット編で、銃器に詳しい時雨沢恵一が監修していたこともあって非常に楽しく見ていた。そんなファントム・バレット編が終わり、二クール目からはキャリバー編が放送され、現在はそんなキャリバー編の数週間後を舞台にしたマザーズ・ロザリオ編が放送されている。
このマザーズ・ロザリオ編では絶剣と呼ばれる剣士ユウキと本シリーズのヒロインであるアスナとの交流を描いた物語となっているのだが、このマザーズ・ロザリオ編専用のエンディングがとても素晴らしいものだった。
今までの『ソードアートオンライン』のエンディングの流れはきちんと押さえられているものの、アスナとユウキの交流が重要となる物語であることを踏まえ、物語の隙間を埋めるようなエンディングとなっていて物語に深みを与えてくれる。
このマザーズ・ロザリオ編のエンディングの絵コンテと演出を手がけたのは京極尚彦。
『ラブライブ!』の監督を努めた事で一躍有名になった演出家であるのだが、このマザーズ・ロザリオ編のエンディングは見れば見るほど京極尚彦という演出家のエンディング作家としての特徴、所謂「作家性」のようなものが見えてくる。
自身が監督を務めた『ラブライブ!』を除くと、京極尚彦がエンディングを手がけた作品は『ワルキューレロマンツェ』と『プリティーリズム・レインボーライブ』第三クール目と『ソードアートオンライン』マザーズ・ロザリオ編の三つとなるのだが、いずれのエンディングでも共通して見られるのは回転だろう。

例えば『ワルキューレロマンツェ』のエンディングでは花がエンディング全体の鍵となるアイテムとして扱われているが、Bメロで上から落ちてくる花は回転しながら落ちてくる。


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そしてこの回転しながら落ちてきた花は美桜を飾る髪飾りに変わり、制服からウェディングドレス姿へと変身した後には画面奥から吹いてくる花吹雪は円の運動となっているのだが、サビでは美桜と同じようにウェディングドレス姿に変わったヒロインたちが回転している。

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極めつけは終盤の落ちてくる花から月へ変わった後、90度カメラが動いて三日月へと変わる事だろう。

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このように『ワルキューレロマンツェ』のエンディングでは回転させる動きが中盤から非常に多く用いられている。
サビの回転運動はヒロインが複数いる『ワルキューレロマンツェ』と言う作品を踏まえて、誰か一人ではなく全てのヒロインに対して均等に出番がやってくるように配慮するためにヒロイン達を回転させているのだろう。
その回転

『プリティーリズム・レインボーライブ』では第三クール目のみ京極尚彦が担当しているが、ここでも回転する運動が用いられている。

プリリズ回転

ここで回転運動をあえて用いているのは、『プリティーリズム』と言う作品の鍵となるプリズムの輝きを表現するために回転させているのだろう。そのことを証明するのが同一カットで登場する天羽ジュネの存在だ。
後にプリズムワールドからプリズムの使者である事が判明する天羽ジュネだが、このプリズムの輝きを表現しているカットで登場することで彼女の正体は視聴者に暗にバラされていたのだ。
まあこのエンディングではその前にオーナーであるモモを模したライトが回転していたりもするのだが。

そして『ソードアートオンライン』マザーズ・ロザリオ編ではエンディングの冒頭部分で回転が用いられている。
まずローディング画面で読み込んでいることを示すアイコンが回転しているし、読み込みが終わった後には『ソードアートオンライン』の様々なエピソードから抜粋された幾つもの映像が回転している。

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このように京極尚彦が手がけたエンディングでは回転させる動きが用いられている事が多い。
その回転のさせ方は様々ではあるが、いずれもエンディングや作品の鍵となる部分を回転させて動きを与えることで、そのエンディング全体の印象を引き締め、作品自体のコンセプトを強調させているように見える。
今回手がけた『ソードアートオンライン』と言う作品は仮想現実技術が普及したことにより現実と仮想現実の境が曖昧になっている世界だが、本作に登場人物達はMMORPGの中にダイブすることで自分の中の世界が広げていく。
ローディングから再生に切り替わった時に抜粋された様々なエピソードが回転しながら出現するのは、そうした内面世界の拡大(=思い出が増える)を表現しているのだろう。
マザーズ・ロザリオ編の中心人物の一人であるユウキを考えれば、この「思い出が増える」という事をエンディングの中で込める事にも納得がいくが、このような形で演出するとは。「マザーズ・ロザリオ編に相応しい」という点において、面白い映像に仕上がっていると思う。

また京極尚彦の手がけたエンディングでは日常風景の一瞬を特別に見せる演出が見られる。
マザーズ・ロザリオ編のユウキとアスナの日常風景や『プリティーリズム・レインボーライブ』のハッピーレインの三人の日常風景がそれだが、このような演出をすることでその「何気ない日々」というものが、視点となった人間にとって「どのようなものだったのか」という事を物語る。
「何気ない日常」で物語を補完する事により、物語全体を上品に包み込む。
「エンディングアニメ」と言う形には様々な形があるが、「優しく包み込む」ようなエンディングの形があってもいいんじゃないだろうか。


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