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『プリパラ』二十五話と二十年前の約束と本当の気持ちについて

女の子の元にどこからともなくやってくるプリパラへの招待状、プリチケ。誰でもアイドルになれるというそんなプリパラでアイドルとして夢に向かって頑張る真中らぁら達のアイドル活動を描いた作品、それが『プリパラ』だ。
放送開始から約一ヶ月ほどで前シリーズとなる『プリティーリズム』とのクロスオーバー作品の映画化が決定。また12月13日のクリスマスイベントでは第二期シリーズの制作が決定が発表されており、「飛ぶ鳥を落とす勢い」と言う言葉がしっくり来るような勢いがある作品である。
『プリパラ』は真中らぁら達のプリパラでのアイドル活動を描いている作品だが、そんならぁら達の活動の最大の障害として立ち塞がっていたのがらぁら達が通う私立パプリカ学園の小学部校長を務める大神田グロリアだ。プリパラと友達を嫌い、校長に就任して以降「プリパラ禁止」を唱えて小学部の生徒達からプリチケを奪うなどの横暴っぷりでらぁらのアイドル活動の最大の障害として、そしてらぁらのアイドル活動の一つの目標として大神田グロリアは物語で存在感を放ち続けてきた。そして二十三話では中学部の校長も兼任することになり、私立パプリカ学園全てをプリパラ禁止にし、らぁら達小学部だけでなく中学部の生徒達からもプリチケが失われることになってしまった。
みれぃの論理的な説明すら聞き入れず、アレルギー的にプリパラを嫌い続け、私立パプリカ学園の生徒達からプリチケとそしてプリパラを奪った大神田グロリアだが、「なぜ彼女がそこまでプリパラを嫌うのか」というのは今まで断片的にしか語られてこなかった。そんな彼女がプリパラを嫌いになった理由とその解決が描かれたのが二十四話、二十五話である。
この二つの話で明かされたのは、大神田グロリアは最初はプリパラが大好きだったことだ。プリパラが好きで、アイドルとして活動するのが楽しかった。そしてそんなプリパラの中では「ひめか」という親友とも巡りあうことが出来、「ラブリーツイスター」として二人でアイドル活動をしていた日々をとても大切にしていた。しかし「プリズムストーンの前で待ち合わせして、一緒にプリパラへ行こう」と言う約束を交わしたその日、大神田グロリアはひめかに会うことが出来なかった。何日も何日も通いつめても出会えなかった彼女はひめかに裏切られたと感じ、「こんな悲しい思いをさせる友達やプリパラは危険なものだ」という思いだけをもって教師の道を志したということだった。
明かされてみれば大神田グロリアのプリパラ嫌いの理由は、作中でシオンやみれぃが言うように全く論理的ではない。しかしその気持ちは理解できるものだろう。自分は一番の親友だと思っていたからこそ、「相手が約束の場所に現れなかった」「約束をすっぽかされた」という事実は、「相手にとって自分は『約束を破っても問題ない相手』として捉えられている」と言われているも同然だからだ。二十年前の大神田グロリアはそう言われたと思ったからこそ、ひめかとそしてそんなひめかと出会わせたプリパラを憎んでいたのだ。
しかしらぁらの「きっと何か理由があったんだ」と言う言葉とソラミスマイルの校長へと伝えたい思いのこもったライブが大神田グロリアの心を突き動かし、「プリパラに近づくと拒絶反応を起こす」という心の壁を乗り越えて、二十年前の待ち合わせの場所、プリズムストーンへと導く。そこで出会ったかつてのひめかの面影を残す女性と出会い、二十年前のあの日起きたことを知る。
「あの時なぜ来なかったのか」「理由があったのなら、なぜ再び来なかったのか」など、一つ一つ二十年前のあの日の出来事が紐解かれていく中で興味深いのは、「プリパラだから起きたすれ違いである」ということだろう。
「プリパラは特別な場所」というらぁらの言葉があるが、プリパラの特別性を端的に示した表現として、プリパラへ入る際には女の子達は皆「理想の自分へと変身している」というものがある。
現実世界ではメインキャラの中でも特に背が低いらぁらもプリパラでは中等部のそふぃやみれぃと並んでもそれほど差がなく、同年代に見えるような風貌になるし、みれぃは真面目で理性的な姿から自身の目指すポップなアイドルの姿と変身を遂げる。プリパラは誰でも理想の自分へと変身し、その理想に向かって努力することが出来る場所なのだ。
そんなプリパラだからひめかもグロリアもプリパラでは現実世界とは全く違う姿をしていた。ひめかは大人びて見えるような姿に、グロリアは逆に可愛らしい姿へと変身していたのである。そんな理想の自分への変身をギミックとして持ち、「特別な場所」であるプリパラだからこそ、本来は良い意味で機能するはずの変身が原因ですれ違いの悲劇を産んだのだ。
もっともおそらくこの程度のことは『プリパラ』の世界観的にはよくあることなのだろう。
らぁらとみれぃも当初は現実の姿とプリパラでの姿は結びついていなかったし、みれぃのアイドルの時の姿を知っている者達は現実でのみれぃの姿に驚いている描写は何度か描かれている。現実とプリパラ。二つの世界での姿が大きく変わる者達には「起きうる出来事」の一つなのだろう。
しかし大神田グロリア達の場合はたまたま翌日に、ひめかの学校で「プリパラ禁止」の校則ができてしまった事がそのすれ違いの悲劇に拍車をかける。「二十年前のあの日、何があったのか」を解きほぐし、ひめかもグロリアに会って、あの日あった事を伝えようとしていた事を知ったことで見えてくるのは、「よくあるすれ違いの悲劇」がここまで拗れた原因が「プリパラ禁止」という学校の校則にあったことだろう。
あの日ひめかに会えなかった事はプリパラのギミック上、「よくあること」だ。しかしその翌日以降も約束の場所で待ち続けたグロリアが、ひめかともう一度出会い、誤解を解くチャンスに恵まれなかったのはひめかの学校が「プリパラ禁止」と言う校則を作ってしまったからだ。「よくあること」にも関わらずプリパラとかつての親友を憎悪するまでの出来事へと変貌を遂げたのはこの校則があったからで、この校則さえなければそんな思いをしなくても済んだのである。
そしてそんな「プリパラ禁止」で傷ついた自分が、生徒や子供を守るためとはいえ同じ事を唱え、同じ思いを生徒達にさせていたことに大神田グロリアは気づく。
しかし気づいたからこそ変えられる。二十年前のあの日を理由に憎み続けていた親友がちゃんとあの日待ち合わせの場所に来てくれていた事を知り、何度も自分に会おうとしてくれていたことを知り、そしてこうしてもう一度トモチケを交換し、「かつての親友」から「今の親友」になったように。未来を後悔しないために、何度だって今を変えていくことは出来る。
だから大神田グロリアはそんなかけがえのない親友とようやく出会い、トモチケを更新することができた。そしてそんな親友と出会う事が出来たプリパラを「素晴らしいもの」として生徒達に謝罪した上でプリチケを全生徒達へと返却する。
「友達」と一緒に夢にむかって頑張る場所としてプリパラをすべての生徒の元へと返したのである。
また大神田グロリアにプリチケを奪われ、事の顛末を見届けたソラミスマイル・ドレッシングパフェの描き方も興味深い。
特にドレッシングパフェは今まで強い個性を持つ三人だから、三人の絆という事はあまり感じさせないような描かれ方をしていた。しかしプリチケを奪われたことで三人の中に改めて生まれたのは「この三人でもう一度歌いたい」という願いだ。また大神田グロリアとひめかの和解を見たからこそ、未来を後悔しないために今を大事にしたいという思いも生まれた。
「今のこの三人だから一緒に歌いたい」
その思いがあったからこそ三人はプリパラのチーム結成の儀式をあえて行った。ようやくドレッシングパフェは三人となったのだ。
ソラミスマイルもらぁらの「ドレッシングパフェに勝たなきゃダメ?」からわかるように、三人ではなく六人で同じ問題に挑んだからこそ「決着を着けるために競い合う」のではなく「皆に届けるために、六人の力を合わせる」という結論に賛同したのではないだろうか。
そしてそんな六人で挑むアイドルグランプリメリクリでのライブは新曲となる『Realize!』や六人でのメイキングドラマなど、「みんなでプリパラをする楽しさ」に溢れたもので、半年近く積み上げてきた大神田グロリアを描いた本編と合わさり「特別なライブ」のような印象を残す。
『プリティーリズム』シリーズ譲りの本編とのつながりが非常に強いライブを演出する『プリパラ』だが、今回のライブでは「クリスマス」と言う季節ネタを衣裳に、本作のライブ演出の特徴でもあるメイキングドラマでは本編の内容を意識させるものに振り分けた事で、非常に強固な一体感が生まれている。現実とリンクを意識させる季節ネタは通年の番組では頻繁に用いられるものではあるが、クリスマスに寄せ過ぎない事で「クリスマス」と「本編とのリンク」を同時に描いてみせた今回のライブは非常に『プリパラ』らしいライブだといえるだろう。
余談ではあるが、このライブに二十年前の「外で待ち合わせて一緒にプリパラへ行こう」と言う約束を果たせなかったひめかとシュガーが参加していたりする辺りも非常に熱い。二十年前に約束した時の気持ちを上手く昇華させる素晴らしい描写だ。

一話から引っ張られてきた大神田グロリアのプリパラ嫌いの物語が幕を下ろしたわけなのだが、一話で顔を出しハロウィンイベントで本格的に登場したファルルのデビューがまだである。既にアーケードゲーム版ではプレイアブルキャラとして登場し、彼女の身にまとうマリオネットミューやメイキングドラマが公開されているが、本編ではまだアイドルとして登場しているわけではない。二十六話ではそんなファルルのデビューが描かれるようだ。
監督である森脇真琴が「ラスボス」と呼ぶファルル、彼女は一体何者でどのような実力を秘めているのだろうか。
第一期シリーズの終了まで残り一クールほど。告知された二期シリーズではらぁら達が続投するようだ。
まだまだらぁら達の『プリパラ』は視聴者を熱くさせてくれるに違いない。



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