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2014年のベストアニメ十選について

一日目が無事に終了したわけなのだが、委託とはいえ出した本がちゃんと誰かの手にわたっていく姿を見るのは何度見ても嬉しいものがある。
制作していた時はまた色々と考えているものの、実際にそれが「受け入れられるかどうか」というのはその時になるまで分からないからだ。
そんなわけで三日目は東S56aの『むんくろ』様に委託させてもらっているのだが、ひとつだけネタばらしをしておくと今回の同人誌の表紙は二期十二話、裏表紙は一期三話の衣装となっている。
つまり表紙はラストライブ、裏表紙はファーストライブであり、そんな二人の高坂穂乃果が背表紙を境に向き合っているという構図になっているのである。
実際にどういう構図になっているかは現物を見てほしいので、ここには画像を張らない。そういうわけでもう一度。
三日目の東S56aの『むんくろ』様にラブライブ!本を委託してます。よろしくお願いします。



これが今年最後の更新となるわけなのだが、そういえばまだ「今年面白かったアニメ」の話をしていなかったことを思い出した。
ライブパートと前後が逆になるが、ひとまず個人的に面白かった今年のアニメは以下の十本である。、

■レディジュエルペット

主人公・ももなはジュエルペットのルビーと出会ったことにより、素敵なレディを目指して日夜少女たちが努力するジュエルパレスへやってくる。
そこで出会ったみずきやかのん、そしてリリアンと共にももなは素敵なレディになるために頑張るのだった――。
サンリオのジュエルペットシリーズがスタートしてから早くも六年。『ジュエルペットてぃんくる』『ジュエルペットサンシャイン』『ジュエルペットきら☆でこ!』『ジュエルペットハッピネス』。
そして2014年四月から放送開始されたジュエルペットシリーズ最新作が『レディジュエルペット』だ。
監督は『幕末Rock』の監督を務めた川崎逸郎、シリーズ構成は高橋ナツコが務める『レディジュエルペット』は今までの「ジュエルペットと人間の交流」から離れ、素敵なレディを目指す学校、ジュエルパレスを舞台に少女達が素敵なレディになるために努力する姿が中心となり、ジュエルペット達はそんな少女達を導くメンターとしてに少女達と関わっていく。
さて本作で大事なことは何かと問われると、それはアバンタイトルでレディジュエルが言う「レディとは努力する人のこと」という事だろう。
本作で描かれるレディの姿とは、一般的に淑女と呼ばれる姿だけではない。本作の描くレディの姿は前述した「努力する人」の事である。
「一期一会を大事に」など言われなければ見過ごしてしまうような些細な事でも、一つ一つを尊び、その尊ぶ心をそれぞれの努力によって自身の規範として反映させていく。
それが本作の描く「レディ」の姿であり、そんなレディを目指して成長していく少女達の姿は物語が進むごとに些細な描写として物語に表れている。
また本作では人間同士の恋愛が非常に大切に描かれている点も忘れてはいけない。
最初は衝突してばかりだったものの、次第に心を通わせていったももなとカイエン。
引っ込み思案ではあるものの好奇心旺盛なかろんとそんなかろんに惹かれるレビン。
女の子らしいことは苦手なものの、自分らしさを大事にし気高い精神を持つみずきとそんなみずきの気高さに惹かれるソアラ。
そしてジュエルパレスの秘密を追う中で、秘密を共有する仲となったことにより距離が縮まっていったリリアンとミウラ。
少年と少女が心を通わせる過程を丁寧に描き、二人がパートナーへと変わっていく姿は初々しさと愛の美しさに満ち満ちている。
現在はももなとリリアンがロイヤルパレスに昇格したことにより、そこにロメオとエレナが加わっており、より豊かなパートナー像を構築している。
リリアンのパートナーだったルーアがレディダイアナのパートナーだった事やリリアンの正体など、物語は大きく動き出している。
ももな達がレディになれるかどうか。そしてリリアンとルーアはどうなってしまうのか。このあとが気になる一作だ。

■アイカツ!

アイドル学校、スターライト学園。神崎美月に憧れてその扉を叩いた星宮いちご。アイドルとしてより成長するためにアメリカへと旅立ったいちごの帰還とライバル学校、ドリームアカデミーのアイドル、音城セイラ。
二人のアイドルの登場によりアイカツ界は大きく動き出そうとしていた――。
「今年最も面白かった作品は何か」といわれると悩むが、少なくとも『アイカツ!』が今年放送された作品の中でも指折りの傑作であることは間違いないだろう。
特に神崎美月の帰還から始まるアイカツの世界を切り開こうとする二組のアイドルデュオの活躍はもはや言葉では語りつくせないほどだ。「壮大なアイドルサーガ」ともいうべきダイナミズムを感じさせる一幕に、星宮いちご達が未来を切り開いて見せた時には思わず拍手を送ってしまったほどだ。
しかし個人的に素晴らしかったのは星宮いちごから新主人公・大空あかりにバトンタッチされるまでを丁寧に描いた事だ。
星宮いちごは神崎美月に憧れてアイドルになる夢を見たように、大空あかりは星宮いちごを見てアイドルになる夢を見た。
スターライト学園の入学試験に落ちてもなお諦めなかった大空あかりの夢への情熱は周囲の人たちを熱くしていくのだが、物語を見ていく中で面白いのは大空あかりと星宮いちごは徹底して真逆になるように描かれている事だろう。
星宮いちごは入学試験でスペシャルアピールを出していたり、「とにかくやってみる」で突き進んでいくなど物語序盤から「アイドルの天才」であるかのように描かれてきた。星宮いちごに憧れる大空あかりはそうではない。
大空あかりはいちごのように完璧なパフォーマンスが出来たわけではない。それどころか編入試験のライブはボロボロといってもいい結果を出している。またスペシャルアピールも誰よりも長い時間をかけてようやく習得できるようになるなど、とにかく「努力しなければ何も始まらない」というキャラクターとして描かれている。
これは「星宮いちご」と「大空あかり」の差別化の意味も込められているのだろうが、だからこそ「星宮いちごになるのではなく大空あかりらしいアイドルになる」という覚悟を固める姿と「いつか芽が出る」と信じて努力し続ける大空あかりはトップアイドルとなった星宮いちごと並び立てるほどの輝きを宿しているように見える。
また第三期シリーズからはそんな大空あかりに新たなルームメイトとして「ステージに咲く氷の花」という異名を持つほど美人な氷上スミレや、子役時代からアイドルを続けてきた新条ひなき、偉大な母親を持ち一人前の役者になることを志す紅林珠莉が登場し、彼女とともにアイカツ!を盛り上げる。
いちごにとっての霧矢あおいや紫吹蘭として登場した彼女達だが、面白い事にどのキャラクターもある種突き抜けた能力を持っており、それがかえって大空あかりの個性を引き出すような構図が形成されている。
『劇場版アイカツ!』で星宮いちごは名実ともにトップアイドルとなり、アイカツ界を牽引する役目を負うことになった。そんな彼女の後を追う大空あかり達が描いていく、彼女達だけのアイドルストーリーはどのような輝きを見せてくれるに違いない。

■プリパラ

「何かになる」「理想の自分になる」とはどういうことなのだろうか。
『プリティーリズム』シリーズの完結後、そのテーマを受け継いだ作品として発表されたのが『プリパラ』だ。
二期シリーズの放送が既に発表されているなど今まさに乗りに乗っている本作だが、菱田正和監督からバトンを受け継いだ森脇真琴監督のスラップスティックコメディの芸風が出ていながらも、根幹を成すテーマは『プリティーリズム』譲りのとても力強いメッセージとなっている。
大事なことは「友達」と「どうなりたいか」だ。
北条そふぃがそうだったように、本作の多くのキャラクターはコンプレックスを抱えた等身大の少女であるかのように描かれている。
超人ではない普通の少女達だからこそ、誰もがコンプレックスに苦しみを持つ。しかしそんな普通の少女達も「プリパラ」という世界で一時的に「理想の自分」へと変身し、友達とともに頑張ることで少女達はそのコンプレックスの先にあり、また変身後の姿である「理想の自分」へと少しづつ成長を遂げていく。
「友達」というテーマだけを切り出してみても、『プリパラ』は非常に面白い作品だ。
本作には一話限りのゲストキャラクターという存在が一人もいない。らぁらと一番最初にトモチケを交換した少女は、また別の少女と友達になり、その友達もまたらぁらと友達になっていく。
ゲストキャラクターを「一話限り」とするのではなく、一人一人を大事に描き友達になっていくかたこそ「友達」とすれ違った事が屈折したプリパラへの憎悪を作り上げた大神田グロリア校長の心を溶かしていくのである。
第二クール目の終盤に登場し、鮮烈なデビューを飾ったファルル。伝説のプリズムボイスをその身に宿し、どこか機械的な挙動をしている彼女の正体とは一体何なのか。
森脇真琴監督がラスボスと呼ぶファルルの登場にもめげずにアイドル活動を続けるらぁら達のそのアイドル活動は、「友達」と一緒にいるからこその輝きに満ち満ちたとても素晴らしい物語だ。

■プリティーリズム・レインボーライブ

『プリティーリズム・オーロラドリーム』が放送開始されてから三年が過ぎ、『ディアマイフューチャー』で上葉みあ達がグレイトフルシンフォニアという希望に満ちた物語を描いてから二年。
菱田正和『プリティーリズム』三部作の最終作となった『レインボーライブ』だが、その結末は筆舌尽くしがたく、感動のフィナーレとしか言い表しようのない素晴らしい結末だった。
物語中盤から本格的に登場した現プリズムクイーン、天羽ジュネ。プリズムワールドの使者である彼女を越えなければ、この世界からプリズムショーが失われてしまう。
そんな天羽ジュネを越えようとする六人の少女達のプリズムショーは、いずれも素晴らしいものばかりだった。福原あんはこの世界には様々な側面があることを知り、小鳥遊おとはは想いを伝えることの大事さを知った。
涼野いとは愛する喜びを知り、森園わかなは自分の限界を飛び越えていく強さを手に入れた。そして蓮城寺べるは愛を知り、仲間を知り、そして新たな夢を手に入れた。
彼女達はプリズムショーがあったからこそ出会うことができ、プリズムショーがあったからこそ変わっていく事が出来た。
そんなプリズムショーへ一人一人の思いを込めたプリズムショーだったが、「愛する人のために自分のすべてを燃やし尽くす」という覚悟を固めた天羽ジュネの、文字通り決死のプリズムショーはこの世界からプリズムショーを消失させてしまう。
しかしそんな状況においても、プリズムの輝きが失われたことを知って涙する仲間達を前にしても、彩瀬なるはめげない。親友のりんねが残した言葉を信じ、自分の心の傍にあるプリズムの輝きを信じて彼女は飛ぶ。
プリズムストーンを使わず、この世界にあるすべての輝きで作られた彼女のプリズムショーは世界にもう一度輝きを取り戻す。
本作のシリーズ構成を務めた井内氏は彩瀬なるの物語を「何かになる事」と語っていた。彩瀬なるが何になれたのか。それは本作を見た者ならわかる筈だ。
また本作を語るうえでプリズムボーイ達の存在は忘れてはならない。放送終了から半年後にリリースされたにも関わらず、プリズムボーイ達の新曲を収録したCDはファン達に暖かく迎え入れられ、発売を祝した記念イベントは盛況に終わるなど、多くのファンから愛されたプリズムボーイ達だが、2015年にリリースされる『プリパラ』とのクロスオーバー作品では、そんなプリズムボーイを代表して速水ヒロが登場することがアナウンスされており、本作のプリズムボーイ人気を裏付ける結果となっている。
最終作となった本作だが、だからこそ今こそ見てほしい。そこには愛され続けるだけの理由があるのだから。

■ラブライブ! 2nd season

『ラブライブ!』の第二期シリーズが告知されたのは2013年6月のこと。それから約一年経って放送開始されたのが「ラブライブ!二期」こと『ラブライブ! 2nd season』である。
卒業を間近に控えた三年生。そんな三年生と共に出来る最初で最後のスクールアイドルの祭典、ラブライブ!へと再び挑むことを決めた音乃木坂学院のスクールアイドル達の汗と涙と青春のアイドル活動を描いた本作だが、本作で最も素晴らしかった点は「卒業」という要素から逃げずに真正面からとらえ、最後まで駆け抜けて見せたことだろう。
卒業という要素をあえて出さない作品にもできたはずだ。しかしその卒業から逃げずに真正面から挑んだ事により様々な物語を描く事が出来た。卒業をしていく三年生や残された二年生・一年生に焦点を当てた物語が描けたのは、「卒業」から逃げずに刻一刻と迫っていくタイムリミットを大事に描いていたからこそだろう。
そして彼女達が努力し、頑張り続けてきた日々の集大成はラストライブに宿る。
彼女達は何のためにスクールアイドルをやってきたのか。
その答えが全て現れたあのラストライブは『ラブライブ!』というTVシリーズが何を描いてきたかが分かる名シーンだ。
放送終了後に劇場版が告知されるなど、まだまだ『ラブライブ!』という作品は終わらない。
彼女達九人の頑張りがより大きなステージで花開く瞬間を見たいと願わざるを得ない。

■ガンダムビルドファイターズトライ

『ガンダムビルドファイターズ』から七年後。イオリ・セイの活躍はすでに過去となり、かつて彼が所属していたガンプラバトル部は廃部寸前の危機にあるほど落ちぶれていた。
ガンプラバトル部の部長を務めるホシノ・フミナは次元覇王流拳法を操るカミキ・セカイ、かつて世界選手権で共に戦う約束を交わしたコウサカ・ユウマと共にガンプラバトル選手権へ挑む!
本作は『ガンダムビルドファイターズ』の正式な続編ではあるが、ガンプラのない異世界からやってきたレイジとセイの友情の物語だった前作と打って変わってガンプラとそんなガンプラを操って戦う「ガンプラバトル」というスポーツに打ち込む少年少女の青春部活物となっている。
そのため本作では前作のような一対一のバトルではなくチームバトルを主眼とした物語となっており、チームトライファイターズが共に喜びを分かち合い、悲しみに共に涙する流れがドラマを大きく盛り上げている。
本作で特筆すべき点はやはり「ガンダムビルドファイターズ」というシリーズを今後も続けるために、「ガンプラ」ではなく「ガンプラバトル」を主な題材とするように前作からずらして描かれている事だろう。
確かに前作はガンプラを作って戦い勝利する喜びに満ち満ちていたし、そんなガンプラ好き同氏がやるバトルは相手への誠意に満ちたものだった流れとなっていた。
『ガンダムビルドファイターズトライ』はそうした視点は確かに存在しているものの、そこが中心ではない。あくまで「チームだからこそ、力を重ねた時に今までできなかったことができるようになる」という部分に重点を置き、「ガンプラバトル」を題材として物語を構築している。そうして「ガンプラバトル」を中心に据えることで、本作は多種多様な物語を生み出せるステージに上がったといっても過言ではないだろう。
そんな本作だが、前作から受け継いだガンプラが好きなスタッフの遊び心を忘れていない。今まで一度として動く姿を見せたことがなかったレッドウォーリアの登場や、Gボンバーの合体の一連のれなど、マニアックなネタは数が多い。
世界選手権の覇者、ガンプラ学園のガンダムジエンドとの戦いを通じて少年少女達は何かに気付いた。その気づいたことが三人をより高みへ押し上げてくれるのだろう。
それぞれに越えなければならない壁が生まれたからこそ生じる成長は、彼らの結束を強めると共に彼ら自身をより高く飛び上がらせてくれるだろう。

■WIXOSS

「願いを叶えるためにライバルと戦い、勝たなければならない」という作品は数あるが、おそらく本作ほど「願いにかける真剣さ」という部分を強調させた作品はなかったのではないだろうか。
「意志を持つルリグカード。そんなルリグカードを手に入れた者はセレクターと呼ばれ、そんなセレクター同士の戦いで勝ち続けられたものは夢限少女となってどんな願いでも叶えられる」
そんな都市伝説がまことしやかに囁かれている世界で、兄から貰ったスターターデッキに宿っていたルリグ、タマとの出会いを通じて主人公・るう子はセレクター達の戦いへ巻き込まれていく――というストーリーの『WIXOSS』だが、物語が進むにつれてそのセレクターバトルは非常に悪辣なものであることが明らかになっていく。
「三回負けたものは願いが反転して不幸になってしまう」「夢限少女となったものはルリグとなってしまい、願いを叶えるのはルリグカードから抜け出したルリグ達だけ」など、明かされていく真実はどれも「悪辣」の一言だ。
しかしだからこそ「それでもなお叶えたい願いが本人にとってどれだけ重要なものであるか」や「負けてしまったからこその恐怖心」は本作の物語を盛り上げるスパイスとなって、「思春期の少女」の物語を形成していく。
人気を受けて制作された第二期シリーズではセレクターバトルが元々は繭という少女が作り出したものであることが明かされ、物語は「セレクターバトルからどうやって解き放たれるのか」というところを焦点として動き出すのだが、そんな本作の結末は非常に美しいものとなっている。
誰からも愛されず、誰からも選択肢を与えられなかったからこそ、繭はセレクターバトルへ参加する選択を示した少女達を憎悪していた。自身にはそれすらも与えられず、それどころか生きた証すら残すことができなかったのだから。
しかし死ぬ直前に胸に懐いた外の世界への憧憬がタマを外の世界へ誘い、タマはるう子と出会った。
外の世界を知って変わったタマとイオナ、もといユキの想いを重ねたるう子のグロウは「マユ」という少女へ至り、世界と選択者を憎悪する「繭」の心を溶かしていく。
そんなるう子が願ったものは何よりも尊いものだ。「すべてを救いたい」という思いは作中で言及されているように、子供じみた願いだろう。
しかし子供じみているからこそ、その願いは世界を変えていく。繭が見ていた白と黒しかない狭い世界から、色とりどりの輝きに満ちた鮮やかな世界へ。世界に色が満ち満ちていく。
世界に希望が満ちている。
そのことをもって結末としたこの『WIXOSS』。「願いを叶えるためのバトルロイヤル」という様式の物語の中で「全てを救う」という結論を大事に描いてみせた快作である。

■少年ハリウッド

「アイドルの輝き」というものがあるとして、ではそれを宿している者はすべからく「アイドル」なのだろうか。
『少年ハリウッド』はそんな「アイドルの輝き」とそんな輝きを宿さんと、アイドルとして変わっていく少年達を描いた青春サクセスストーリーである。
本作に登場する少年達は全員「アイドル」という姿とは程遠い少年達だ。しかしアイドルとしてレッスンを積み、アイドルとして学んでいくごとに彼らはアイドルとして光り輝いていく。
特に成長が著しいのはマッキーこと甘木生馬だろう。彼は高校時代から居場所を特に大切にしない少年だった。
仲間と一緒にいても、彼らの居場所を守ろうとすらしなかった。しかし少年ハリウッドとして活動していく中で、自分の居場所を守ること、そして「誰かの居場所になる」という事がどれだけ大切な事かを知って変わっていくのだ。
比喩表現が効いた台詞回しで描かれる「アイドルと一般人の違い」や「偽物と本物の違い」、「なぜアイドルになりたいのか」など、十三話という短いストーリーの中で語られていく本作だが、演出面で面白いのはやはり五話や十話のような演出面での挑戦だろう。
例えば五話では「何かになり切れないものに、人の心を打つことはできない」というシャチョウの言葉を受けて『エアボーイズ』という演劇をやることになった少年ハリウッドの初回講演の様子が描かれているのだが、殆どのカットでも若干煽り気味のアングルで固定化されていることに気が付く。
これは観客席から舞台上を「見上げている」という事なのだろう。それはつまり、この五話が「エアボーイズ」という演劇を「観客の一人として見てほしい」というスタッフのメッセージでもある。だからこそ熱いのは一シーンだけある、観客席から見ていないシーンの存在だ。
「この瞬間を楽しませる」
そのために必要なことなら何でもやる。そのことを知った少年ハリウッド達は「アイドルになりきる」ということの神髄を心で理解するのである。
また十話では一話丸々「ときめきミュージックルーム」という音楽番組仕立てにすることで、彼らの成長を見届けるファンの心情に寄り添った楽しみ方をさせるつくりになっている点も面白い。
最終回で第二期シリーズの告知がされ、2015年1月から放送が予定されているが、きっとスタッフは一期から二期の間で流れた現実の時間すら物語に組み込んでくるに違いない。
どのような物語が二期で綴られるか。楽しみである。

■劇場版モーレツ宇宙海賊

消息不明になった父親が残した最後の遺産。その手がかりを手に入れた無限彼方少年は、宇宙海賊・弁天丸と船長の加藤茉莉香に拾われて、父親が残した選択肢を見つけに行く。
2012年に放送された『モーレツ宇宙海賊』はその挑戦的なシリーズ構成と骨太なスペースオペラの物語によって様々な世代に愛される作品となった。
そんな『モーレツ宇宙海賊』の劇場アニメ作品として制作されたのが本作、『モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE -亜空の深淵-』である。
先代弁天丸船長と無限博士。親同士の約束が結び付けた奇縁と加藤茉莉香の奔放さが無限彼方の心の壁を打ち壊していくのだが、本作で大事なことはTVシリーズでもそうだったように「父親の遺産」や「父親の想い」といったものが「使命」ではなく「未来の選択肢」の一つとして描かれている事だ。
無限少年は本作の中で一度として「父親の想いを受け継ぐ」とは言わない。あくまで彼は「父親の残した遺産を見てから自分の道を決める」と一貫した主張を持っており、そのために彼は父親の遺産と向き合う。
そんな自分に与えられた選択肢と正面から向き合い、自分の道を選んだ無限少年の決断。その決断に連動して広がっていく世界には「無限彼方」という少年が「何かになっていく」という感動がある。
本作を制作する上で佐藤竜雄監督は「十年後も視聴してもらえる作品にするための工夫」として「劇場アニメならではのテーマ」を大事にしていると映像ソフトの特典ブックレットで語っている。
劇場アニメならではのテーマが宿った本作は五年後、十年後も愛される大傑作だ。

■あいまいみー妄想カタストロフ

2014年で一番見たアニメは何かと問われれば『あいまいみー』以外無いだろう。
まずショートアニメということもあって「一話辺りの視聴にかかる時間が少ない」ということも確かにある。
しかし本作を複数回見てしまう理由はそれだけではない。
一期からさらにパワーアップした頭のネジが数本吹っ飛んでいるとしか思えない展開の数々や声優陣の絶妙な演技、そして時折見せるまともそうに見える結末など、こちらが求めているものにちゃんと答えながらも部分的にはそこから外している事などが上げられる。
例えば処女声優回でのミィの「2ちゃんだよ!」などは文字情報だけではそのニュアンスは伝えられないし、あのテンポの中で繰り出されるからこその面白さの一つだろう。そうして少しづつ伸びていく尺をちゃんと使い切って繰り出されるギャグの数々は何度見ても見飽きない。
ソフト化した際には処女声優回をさらに追加するなど前のめりとしか言えない挑戦を繰り返す、ショートアニメ界の怪作。
そんな『あいまいみー』が自分は好きで好きで仕方がないため、十本に入れた。



そんなわけで十本のタイトルと寸評を書いてきたが、今年は豊作と言い切ってもいい一年だったと思う。
自分の研究対象であるアイドルアニメが非常に多く、一定水準を超える作品ばかりだったこともその「豊作」という評価につながっているのだが、そんな十本の中でも特に見てほしいのが『少年ハリウッド』と『劇場版モーレツ宇宙海賊』の二本だ。
この二つは少なくとも今年だけでなく五年後、十年後も語られるほどの大傑作だ。ぜひこの機会に視聴してほしい。
そんなわけで十本書いたところで。来年もいいアニメに恵まれますようにと心から願う年の瀬である。


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2件のコメント

[C1579]

萌え、ロボばかりランクインで悲しいランキング
内容がもっといいアニメたくさんあったでしょう?

[C1580] Re: タイトルなし

あのー、貴方がこの十選を見てどう思おうが勝手ですけど、「悲しいランキング」「もっと内容のいいアニメがあったでしょう?」という言い方はどうかと思いますよ、正直。
  • 2014-12-29
  • 水音
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