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アイドルアニメのカタログ補足――『劇場版アイカツ!』について

年末にネット配信された紅白アイカツ!合戦。リアルタイムでの視聴はできなかったものの、配信されていたので視聴したのだが、とても素晴らしい番組だった。この「紅白アイカツ!合戦」は本家の紅白歌合戦と同じように、『アイカツ!』のアイドル達が紅組、白組に分かれて、一曲づつ歌っていき、最終的に紅組か白組のどちらが素晴らしかったのかを決定する!という企画だ。『アイカツ!』本編でも六十三話「紅白アイカツ合戦!」で「紅白アイカツ!合戦」が描かれており、今回年末特番として放送されたこの番組はそんな「紅白アイカツ!合戦」をなぞらえたものなのだろう。
この番組の素晴らしい点はいくつかあるが、楽曲やアイドル達の拾い方がいちいち素晴らしい。大空あかり・氷上スミレ・新条ひなきと星宮いちご・霧矢あおい・紫吹蘭の三人を別チームに分けている点は当然として、神谷しおんをドラマパートで拾い上げることで、『アイカツ!』と言う作品が描く「アイドル」と言う仕事の多面性と面白さを演出している。またお気に入りのブランドがセクシー属性のアイドル同士を組ませて一曲歌わせてみたり、あえてポップ対ポップと言う対決をすることで両者の魅力を引き出そうとしていたりと工夫が見られる。
おそらく『アイカツ!』作中で行われている「紅白アイカツ!合戦」もこのような番組なのではないだろうか。
アイドル達が二つのチームに分かれ、そのチームの中で行われる対決の一つ一つは「アイドル」と言う仕事と多面性を踏まえた上で演出される。その結果、「普段は見たことないような組み合わせで歌う」や「同じ学校の所属でもあえて別のチームにされる」ということで、色々なアイドル達の見たことのないような一面を見ることが出来る。作中の紅白アイカツ!合戦もまたそんな「アイドル達が一同に集い、チームを組むからこそ違った一面を見せてくれる」と言う一つのお祭り的な番組であるのならば、今回年末特番として制作されたこの番組は言ってしまえば『アイカツ!』と言う作品と現実の入り混じった番組といえるだろう。
そういうのを差し引いても、この番組が素晴らしいのは作品を読み込んだ上での対決を作っていることだ。三ノ輪ヒカリ対紫吹蘭、WM対マスカレードなどはその典型で、作中では描ききれなかった対決を見ることが出来るという点で貴重だ。ちゃんと見ていれば見ているほどより面白く鑑賞できる「紅白アイカツ!合戦」は素晴らしいというしかない。
結果としては白組の勝利で落ち着いたものの、どちらも甲乙つけがたいものがあり、非常に面白い番組だった。『アイカツ!』には今後もこのような形で挑戦していって欲しいし、作品外に飛び出すようなアプローチを続けていって欲しい。



冬コミで頒布した『DREAM WING』に「アイドルアニメのカタログ」として2014年に放送・公開されたアイドルアニメについての簡単な情報と寸評をまとめたテキストを収録したのだが、締切と公開時期の都合で『劇場版アイカツ!』については収録できなかった。三日目の友人知人の挨拶回りの際には『劇場版アイカツ!』について書いたペーパーを配布したのだが、さすがに量を作ることが出来なかったのでここに全文上げておくこととする。

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原作:バンダイナムコゲームス
総監督:木村隆一副監督:小山田桂子監督:矢田雄一郎
脚本:加藤陽一
音楽:MONACA
制作:サンライズ

『アイカツ!』待望の映画化の第一報が流れたのは二○一四年二月末のこと。テレビ東京五十周年記念作品として一二月一三日に公開されたのが本作『劇場版アイカツ!』だ。
この『劇場版アイカツ!』では第二期シリーズまでで主人公を務めた星宮いちごにもう一度スポットを当て、彼女が企画したライブイベント「大スター宮いちごまつり」を成功させるまでを描いている。
本作で特筆すべき点は「神崎美月への星宮いちごからの返歌」を中核に据えた物語になっていることだろう。
星宮いちごは神崎美月のライブを見たことでアイドルへの夢を抱いた。その夢が彼女を突き動かし、こうして大きなライブのステージに立つことが出来た。
今の星宮いちごを作っているのは神崎美月がいたからこそだ。
神崎美月がいなければ星宮いちごはこのスターライズスタジアムのステージに、アイドルとして立つこともなかっただろう。
神崎美月はアイドル・星宮いちごの原点とも言うべき存在なのだ。
しかしそんな神崎美月は本作の中で、自分と同じステージにまで辿り着いたいちごの成長を認め、引退を決意している。
本作はそんな「引退する神崎美月に星宮いちごは何が出来るのか?」を中心とした物語となっている。
神崎美月の引退を知った星宮いちごは悩みながらも自分に出来る方法、つまり大スター宮いちごまつりでのパフォーマンスで答える覚悟を固める。そんないちごの歌う「輝きのエチュード」は神崎美月の心にもう一度輝きを灯させるほど、いちごの思いが強く宿った名曲だ。
また第三期シリーズで主人公を務めた大空あかりも忘れられていない。一○一話で星宮いちごからバトンを貰った大空あかりだが、そんな彼女だからこそ神崎美月からバトンを貰った星宮いちごの返歌を神崎美月へ伝えるために尽力する。
そんな後輩達の姿とメッセージを受け取った神崎美月が再びステージに立ち、アイドル活動を続ける
覚悟を固める。
この一連の流れはトップアイドルでなくなったからこそ、新たな時代を生きる一人としての覚悟が垣間見える良いシーンだ。
ライブの演出に着目してみると、「大スター宮いちごまつり」と言うライブではアイドル達だけでなく、それを観客席から見ている観客達の反応にも工夫されている事に気がつく。
リアルタイム中継でライブを視聴することが出来るライブビューイングが盛んに行われているが、そんな「ライブビューイング」というシステムを念頭に入れて本作を見てみると、作中のライブでアイドル達が行う数々のパフォーマンスに観客達があたかも目の前で起きていることのような反応を返すことで擬似的なライブ体験へと昇華されている事に気づかされる。
この虚実入り混じり、映画館で本作を見ているファン一人一人が作品の中にいるかのような錯覚を覚えさせる演出の数々が出来るのは「臨場感」を重視した演出を心がけている『アイカツ!』だからこそだ。
劇場版第二弾も告知され、まだまだ続いていく『アイカツ!』。新世代のアイドル達が描き出した新たな世界がより輝いていく事を心から楽しみにしたい。


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