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『探偵歌劇ミルキィホームズTD』と外側から描かれる探偵とアイドルについて

『ラブライブ!』第一期シリーズの再放送が始まっているのだが、改めて一話を見ると「ここから始まった」と感慨深くなる。というのも、この一話があったからこそたまに更新する程度でほぼ更新していなかったこのブログをもう一度動かし始めたからで、それはつまり俺の同人活動のきっかけになった作品だからだ。
二年前の一月にこれが放送されたことと、これを見ていた関東の友人達が「これはなんだ」という反応をしていたことが毎週ばかみたいな量のテキストを書くそもそもの原因だったわけで、そういう意味ではこの一話は俺の中では色んな意味で「特別な一話」だ。これがなければそもそも今はないのだから。
そんな「特別な一話」だから見直してみると「初めて見た時から今までの二年間」が思い出されるわけで、そりゃ感慨深くもなるというものである。そうならないほうが無茶だ。
そんなわけで一話を見ながら遠い目をしてたらとらのあなで新刊『DREAM WING』が予約開始していた。
今やっているのは一期で、この本には二期の話が殆どだけど、一つよろしくお願いします。



「トイズ」と呼ばれる超能力を悪用する怪盗と人々のために使おうとする探偵。偵都ヨコハマを舞台に、両者が互いに競い合いながら高め合っていく姿を描いた『探偵オペラミルキィホームズ』。原作である同名のゲームを中心にアニメ化や演じる声優達によるライブ活動などを続けてきており、『カードファイト!ヴァンガード』と共にブシロードの看板の一つと言っていいコンテンツだ。
その中でもアニメは2010年に発表された第一期シリーズの森脇真琴監督とシリーズ構成を務めたふでやすかずゆきの作風が色濃く反映されたスラップスティック・コメディながらも、古今東西のミステリー作品を徹底的にパロディにして笑わせにかかるなど手の込んだ作りが反響を呼んだ。その反響を受けて2011年には『サマースペシャル』が2012年には『第2幕』として第二期シリーズが制作され、2013年には森脇真琴監督からバトンを受け継ぎ、錦織博監督による『ふたりはミルキィホームズ』が制作された。
この『ふたりはミルキィホームズ』はミルキィホームズに憧れる探偵見習いである二人の少女達が「フェザーズ」という探偵へと成長していくまでを描いた物語で、今までの『ミルキィホームズ』らしいギャグ描写は影を潜めながらも「探偵になるということの意味」と「怪盗であることの意味」を問いなおした意欲作だった。
そして2015年1月から放送開始されたのがこの『探偵歌劇ミルキィホームズTD』である。
第四期シリーズとなる本作では監督は錦織博が続投するなどスタッフ面での変化は見られないものの、『ふたりはミルキィホームズ』で「ミルキィホームズ」という作品世界を切り開いたスタッフ達は新たに大探偵時代ならぬ「大アイドル時代」へと挑む。
大アイドル時代が到来した偵都ヨコハマ。そんなヨコハマでは今アイドル達の歌が何者かに奪われるという事件が頻発しており、そして奇跡の歌を歌うスーパーアイドル、天城茉莉音の歌も奪われてしまう。彼女から依頼を受けたミルキィホームズ達は歌を取り戻すために活動を開始する!というあらすじの『ミルキィホームズTD』だが、一話を見てみると分かるのはとても「ミルキィホームズらしい作品」であるということだ。
フェザーズや怪盗帝国など、今までの作品に登場した数々のキャラクターが余すところなく登場していたり、明智小衣とシャーロックの「小衣ちゃん!」「小衣ちゃんって言うな!」の一連のやりとりや隙あればパロディに繋げていく辺りは「ミルキィホームズ」と言う作品の一つの集大成のようにも感じられる。ジーニアス4の「大人の事情」などはメタなギャグではあるものの、この作品に関して言えばとても「らしい」。
ストーリー面に目を向けてみても第一期シリーズや第二期シリーズで起きたことを本作では物語にきちんと組み込み、『探偵歌劇ミルキィホームズTD』の物語へと昇華している。
例えば森脇真琴が監督を務めた第一期、第二期シリーズでは「トイズを失ってしまったミルキィホームズ」が描かれていたが、そんな森脇真琴版での出来事を「探偵として大事なものを失っても、諦めなかった」というエピソードとして拾い上げ、「奇跡の歌を失った」という天城茉莉音と重ねあわせる事で、天城茉莉音がアイドルとして再び立ち上がる理由に仕立て直している。
第一期シリーズや第二期シリーズを見ていた人達ならば「あのことか!」と気づけ、見ていなくても「ミルキィホームズにもそういう経験がある」と聞かされた天城茉莉音の視点で楽しめるような絶妙な匙加減で物語に組み込めており、一話の幕引きだった天城茉莉音がミルキィホームズへ依頼する流れにも「同じような経験をしても諦めなかったミルキィホームズだからこそ依頼する」という天城茉莉音の意思の強さが垣間見える。
またアイドルを題材にしたアイドルアニメとしても本作は大変興味深い。
『探偵歌劇ミルキィホームズTD』は大アイドル時代を舞台にしており、ミルキィホームズ達が事件に関与するきっかけを作った天城茉莉音もまたそんな大アイドル時代を生き抜くスーパーアイドルだ。
そんな彼女が自分が小さな頃から大事にしてきた「奇跡の歌」を喪失するところから物語は幕を開けるわけなのだが、前述したように天城茉莉音とミルキィホームズ達はアイドルと探偵の違いがあるとはいえ、「大切なモノを失った」という点で共通項を持たされている。その共通項を持たせることで、「アイドル(天城茉莉音)から見た探偵(ミルキィホームズ)」と「探偵から見たアイドル」の二つを描いている。
両者は共に大切なモノを失ってもなお諦めない。彼女達がなぜ「諦めないのか」という点に注目していくと、自ずと彼女達一人一人が見ている「探偵」や「アイドル」の目指す姿が見えてくるだろう。そんな「諦めない理由」が「探偵」と「アイドル」という違いはあれど、彼女達をまた一歩目指す姿へと近づけていく。
奇跡の歌を失ったことで出会った探偵と共に行動することで、天城茉莉音は再びアイドルとして立ち上がり、「スーパーアイドル・天城茉莉音」へと変わっていくだろう。
彼女がスーパーアイドルになった横に並び立つミルキィホームズはきっと素敵な探偵であるはずだ。

余談ではあるが、天城茉莉音のトイズは本作を代表する非常に面白い舞台じかけの一つだろう。
本作では「歌の喪失」という事件を扱っているが、「歌が失われる」と聞いてもその怖さはいまいちぴんとこない。しかし天城茉莉音のトイズを通じてみると、その事件の恐ろしさがなんとなく理解できるようにできている。
天城茉莉音のトイズは「歌の持つ力=エレメントを可視化出来る」というトイズで、天城茉莉音はそんなトイズによって生まれたエレメント達と小さい頃から一緒に暮らしてきたという経歴を持つ。そんな彼女から「歌を奪う」ということは、つまり「小さな頃から一緒に暮らしてきたエレメント達を奪う」という事だ。
「小さな頃から一緒に暮らしてきた存在を奪う」という事をもって「歌の喪失」と言う事件が「どういう恐ろしさなのか」が分かるし、エレメントの奪還は「=歌を取り戻す」であるため目標が非常に分かりやすくなっている。またエレメント達は意思を持つため、歌を取り戻そうとするミルキィホームズ達に情報をもたらすなど、物語にメリハリを与える良い舞台じかけではないだろうか。

「探偵オペラ」から「探偵歌劇」へと変化し、舞台も「大アイドル時代」になったからこその新たな出会いと物語が描かれる『探偵歌劇ミルキィホームズTD』。一話からしてとても完成度が高く、二話以降を期待させる作品に仕上がっている。
惜しむらくは同時期にリリースされた『トイズドライブ』ではエレメントの存在が一切触れられていないことだろうか。
なんとかしてくれねぇかなぁ。



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