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ラブライブ!の今を見せたライブ――『μ's Go→Go! LoveLive! 2015~DREAM SENSATION!~』について

『アイカツ!』の作中でドリーミークラウンのデザイナー、瀬名ツバサは「絶対にはずせないステージ」というものの存在を大空あかりに語って見せた。「絶対に外せない」とは「外してしまうと全てが無に帰す」ということ。だから「自分に出来る最善を尽くす」し「外さないようにする」。自分がやってきたことの意味を問われるステージだからこそ、自分の全てを込めて挑まなければ、何も残すことは出来ないのだから。
これは『ラブライブ!』におけるライブ活動にも同じことがいえるだろう。自分はNYライブから見続けてきた人間だが、μ'sのキャスト陣がライブで見せるパフォーマンスはいつも全力だ。その全力さがあったからこそファンに支持され、今日に至る隆盛とチケット争奪戦の激化に繋がっているのだが、それはそれとして全力で挑み続けてきた事が新たなステージへと繋がっていくのは実に「ラブライブ!らしい」展開だといえるだろう。
そんな『ラブライブ!』が、全体としては五度目、メンバー全員がそろってのライブとしては四度目となる単独ライブイベント、『μ's Go→Go! LoveLive! 2015~DREAM SENSATION!』を1/31と2/1の二日間にわたって開催した。場所は国内でも最大規模の収容人数を誇るさいたまスーパーアリーナ。実はさいたまスーパーアリーナ自体は前回も使用しており、やはり激しいチケット争奪戦が繰り広げられたのだが(まあラブライブ!が激戦でなかったためしはないのだが)、今回はそんな前回よりもさらに多くの人数を収容できるスタジアムモードでの開催となった。自分は一日目のチケットしか持ち合わせていなかったのだが、友人の助力によって両日とも参加することが出来たため、両日鑑賞してきたのだが、単刀直入に言う。今回のライブは前回よりも遥かに凄い。
これは大げさでも何でもない。少なくとも自分の主観においては前回のライブは今回の比較対象にすらなりえない。それほどまでに今回のライブはとてつもなく凄く、『ラブライブ!』という作品が今現在持ちうるポテンシャルの全てを発揮されたライブだったのだ。一日目の合唱で感極まって泣きそうになったぐらいである。
そもそも『ラブライブ!』のライブイベントの魅力とは一体なんなのだろうか。九人のキャストが全員集まることは確かに『ラブライブ!』のライブイベントの面白さだろう。南條愛乃がスケジュールの都合で参加できなかった2013年1月のNYライブは、確かに面白いライブではあったものの、どことなく物足りなさがあったことは事実だ。
よく上げられるのは「アニメの中でキャラクター達がやっているライブパフォーマンスをそのままキャストが行っている」ということだが、個人的にはそれは『ラブライブ!』の行うライブイベントの面白さの一面的な部分ではないかと思っている。では自分が思う『ラブライブ!』のライブイベントの面白さは何かというと、「キャストとキャラクターが区別されず、歩み寄って一体となったパフォーマンス」ではないかと思っている。例えば『ラブライブ!』のライブイベント(特に最近のライブ)を見ていくと、キャストは誰か別のキャストに話しかける時も演じているキャラクターの名前で呼んでいるし、パフォーマンスについても基本的にはキャスト自身ではなくキャストが演じているキャラクターのものが選択されている。例えば自己紹介の時の「にっこにっこにー!」や「誰か助けてー!」への「ちょっと待っててー!」というレスポンスは用いているのはキャストであるものの、そのルーツはそもそも演じているキャラクター由来だ。また最近のライブになればなるほど、キャスト達はドンドン演じているキャラクターの方へと寄せてステージに立つ事が増えている。内田彩などは今回も髪をことりの髪色と同じにしてステージに立っているし、他のキャストもウィッグなどを用いて自身が演じるキャラクターと同じ髪型でステージに立つことが圧倒的に多いのである。
こうしてキャスト達がキャラクターの方へと自身を寄せていくからこそ、楽曲でアニメと同じパフォーマンスを行うことに驚きと感動が生まれる。そんな驚きと感動こそが『ラブライブ!』のライブイベントの魅力だと個人的には思うのだ。
本題に戻そう。
なぜ自分が今回の『μ's Go→Go! LoveLive! 2015~DREAM SENSATION!~』が前回ですら比較にならないと思うのかというと、その歩み寄りがキャストだけでなく演出の方にも反映されるようになったからだ。
従来の『ラブライブ!』のライブはバックモニターがあったとしてもそれほど有効に使われているとはいえなかった。告知はともかくTVアニメのライブパートやPVの映像をそのまま流すことが多かったため、そのモニターに映し出される映像と実際のキャストのパフォーマンスを比較することで面白さを引き出そうとしていたのかもしれないが、個人的にはあまり面白い演出とは思えなかったし、そもそもTVアニメでもPVでも用いられていなかった楽曲に関してはこれといった面白い映像演出をすることはなかったのである。
それが今回は三つのモニターを駆使して楽曲の世界観を表現してみたり、従来と同じような比較演出についてもアニメの映像に合わせて、舞台上で踊っているキャストを映していたりと、とにかく「キャストとキャラクターを一体に見せる」という演出が随所に盛り込まれていたのである。前述のように、キャストとキャラクターが歩み寄る事で魅力溢れるライブになっていた『ラブライブ!』において、演出面でも同様のことを行うとどうなるのか。それは「二次元と三次元の融合を果たしたライブの誕生」に他ならない。
元々『ラブライブ!』にはそうなれるだけの下地があったことは間違いない。
前回のライブではアンコールの際に「観客達のアンコールを望む声に返答をする」というアニメを挿入していたりと「アニメ演出側からの歩み寄り」はされていたからだ。
それが今回はライブ側も前回のアニメ側からの歩み寄りに答えるかのように歩み寄る事で、キャストとキャラクター、アニメとライブは高いレベルでの融合を果たした。その結果が四時間をも超える長時間のライブにも関わらず、全く飽きさせず、むしろ「次は何が来るか」を期待させる素晴らしいライブ体験を自分にさせてくれた。特に素晴らしいのはアンコール時のアニメだろう。
前回のライブから導入されたこのアニメだが、今回のライブはそれを遥かに凌ぐものだ。なぜなら九人の自己紹介の中にはコール&レスポンスが組み込まれているのだが、「絶妙なタイミングでリアクションをしてくれる」からだ。「かしこいかわいい?」とアニメの中の綾瀬絵里がレスポンスを求め、観客達が「エリーチカ!」と答えると絶妙なタイミングでアニメの中の綾瀬絵里が「ハラショー!」と返してくれるのである。
これが九人全員分あるのだが、一人づつ番号を叫んでいき、最後にファンが「10!」と答える、最近では定番と化したやりとりすらもちゃんとアニメの中に組み込んでおり、ファン達が「10!」と言い終わった辺りからアンコールが幕を開けるように作られていた。タイミングのつけ方が完璧すぎて、あたかもアニメのキャラと現実のファンが本当にやりとりしているかのようだった。
おそらく過去のライブ映像から平均的な時間を割り出して、そこからタイミングを付けて制作されているのだろうが、それにしてもこのアンコールアニメの完成度の高さは唸らされる。このアンコールアニメこそが「アニメのライブ演出への歩み寄り」で、それがライブそのもののアニメ方向への歩み寄りと組み合わさっている。だから今回のライブは「凄く」、そして「面白い」と絶賛したくなる。いや誰が何と言おうが自分は絶賛する。正直、ここまで面白いものになるとは想像すらしてなかった。
予想以上のものを見せてくれたスタッフとキャストにはただただ拍手を送るのみだ。こんなライブ体験はそうそう味わえるものではない。
また従来のドラマパートも紙芝居形式ではあるものの、演出としてははるかにパワーアップしている点も大事にしたい。特に主観ショットを使ってくる辺りには「ライブ中の所謂箸休め的なパート」であるはずなのにとても面白く、ライブの熱中度を引き上げてくれていた。特に一日目と二日目ではユニットとソロの違いがあったため、一部差し替えられていた他、会場となったさいたまスーパーアリーナをも物語に組み込んでおり、キャラクターとキャストを区別しない事による融合と言った従来の面白さをより強化していた点は押さえておきたい。
これは余談だが、二日目となった2/1は東條希役の楠田亜衣奈の誕生日ということもあって、本人には内緒で用意された誕生日ケーキが登場し、メンバーだけでなくファン一堂に誕生日を祝福されるという一幕があった。せり上がるステージの上段にくっすんを配置し、他のメンバーが苺のぬいぐるみを持つことで、くっすんの誕生日ケーキのように見立てていたり、会場をケーキに、ファンの手に輝くサイリウムを蝋燭の火のようにしてくっすんの動きに合わせてサイリウムの輝きが消えていく光景は、ファンのみならずキャスト達全員で作り上げたくっすんへの誕生日プレゼントのようであった。
ライブ全体についてはそんなところだが、一日目と二日目について書くと、まず一日目は「「Love wing bell」とかいう新たな百合曲。タキシードの花陽がウェディングドレス姿の凛を連れていく!とか「硝子の花園」以来の衝撃よ」「BiBiの衣装がサイリウムコーデだったのだが、サイリウムコーデが輝く理由づけとして「ファンの熱意」というのは綺麗すぎる。そして説得力が段違い」「トロッコ使いまくりで距離近くて死にそう」「大体投げるものも撃つものも降るものも噴き出すものもやったけど、ランウェイの先のステージがせり出すのはプリパラみたいで軽く興奮した」「テンションマックス!というえみつんの言葉にリラックス!と返しかけた」と言ったあたりだろうか。詳しいセットリストはすでに各所で上がっている通りなので端折るのだが、ゲーム系楽曲までやってきた事は驚いた。「タカラモノズ」ぐらいはやってくるとは思ってきたが、スクパラにまで言及するとは。
二日目についてだが、前述した「くっすんへのサプライズハッピーバースデー」の他には何といっても二期の話の流れがセットリストで再現されたことだろう。二期十二話で流れた「Kira-Kira Sensation!」で一度終了し、アンコールアニメを挟んだ後(余談だがこのアンコールアニメは一日目+衣装チェンジのパートを挟んでいる)一期OPにして二期十二話のアンコールで披露した「僕らは今のなかで」を大熱唱。それも終わった後の二度目のアンコールでは何といっても「愛してるばんざーい!」が素晴らしい。
というのも「愛してるばんざーい!」は南條愛乃不在だったNYライブ以降は一度も使われていない楽曲だったからだ。
「愛してるばんざーい!」が最後にライブで使われた頃の『ラブライブ!』は、まさに「いつ終わってもおかしくない」というコンテンツだった。そして「愛してるばんざーい!」は儚さを歌った曲だ。
NYライブは自分にとって初めて現地でμ'sを見たライブということもあって非常に強く覚えているのだが、あの当時あの楽曲を生で聴いて感じたのは「吹けば飛ぶような儚さがあるからこそ、今を大事にしよう」という尊さと儚さに満ちた印象だった。
しかし今回のセットリストでは「Kira-Kira Sensation!」の後だ。「奇跡、それは今さ。ここなんだ」と歌った後なのだ。
そのことでNYライブ以来となる「愛してるばんざーい!」は当時とは全く違った印象の楽曲へと変化をしている。
「まだ始まったばかり」「私たちの今はここにある」「まだゴールじゃない」という歌詞は、まさに今の『ラブライブ!』がまだまだ続いていくコンテンツであることを物語り、「ばんざーい!」は力強さを感じさせるフレーズとなっている。
アニメ化以前からのファンである自分としては、この楽曲がこういう力強さを感じさせる楽曲へと変わっているという事だけで涙が止まらなかった。
このコンテンツがここまで続いて、しかも「まだゴールじゃない」と力強く言い切っても本当にそうであることを実感させるだけのコンテンツへと成長を遂げていることを強く感じたからだ。
アニメ放送直前に見たあの光景が今に繋がっている。そしてその「今」は「まだゴールじゃない」。まだ続いていくのだ。
今までこのコンテンツを応援してきた事の意味と時間を噛み締めた時に、自然に涙がこぼれたのも仕方がない。これを書いている今、ちょっと思い出して涙ぐんでいるぐらいである。
また今回のライブイベントそのもの締めに二期EDの「どんな時もずっと」の大合唱というのも素晴らしい。
なぜなら「愛してるばんざーい!」をその前にやっているため、楽曲自体の意味がより掘り下げられており、歌詞の意味を噛み締めさせる構成になっているからだ。
この辺りのセットリストの構成から見るに、おそらく「TVシリーズが一段落ついた今だからこその意味」をライブで見せようとしているのだと個人的には思う。それはおそらく「今」しかできない。
そしてその「今しか出来ないセットリスト」に自分は賞賛を送りたい。「今のμ's」「今のラブライブ!」にしか出来ないものを、最高の形で描いてくれたからだ。
他にも二日目ではユニット曲ではなくソロ曲を採用することで各キャラクターを見せながらも、楽曲の世界観を演出していたりと素晴らしかったのだが、その中でも特に素晴らしいものだとやはりくっすんが上がる。
元々九人の中でも一番ダンスが上手い存在ではあったのだが、希のソロ曲である「もしもからきっと」ではダンスそのものの上手さと多岐にわたるダンスの経験をフルに生かした圧倒的なパフォーマンスを見せてくれた。
自己紹介では「東條希役」と名乗っているが、ステージ上で見せるそのパフォーマンスは彼女を「東條希本人」とだぶらせるほどのものだったと思う。
最高のライブだった。今はただその言葉のみである。

『ラブライブ!』一期終了後に行われた3rdライブと二期終了後初となる今回のライブは、どちらも「アニメの話の流れをライブで再現しよう!」という事が根底にあるライブだった。
3rdライブがファンが自然に歌いだした「僕らは今のなかで」にキャストが答えて全員で大合唱して閉幕するなど、奇跡的な偶然が積み重なった面白さがあるライブだとしたら、今回のライブは計算づくでありながらも、キャストやスタッフやファン達が予想を遥かに超える熱量を見せ、より完成度の高いものへと押し上げたライブだったのではないだろうか。
いずれにしても少なくとも自分にとって今回のライブは、今現在の『ラブライブ!』が全て宿ったライブだったように思うし、ライブに来られなかった人達やライブを見ていない人達には出来る限り見てほしいライブの一つだ。
今その時の全力で挑み続けることで「前回よりももっと凄いライブ」を作り上げるのが『ラブライブ!』だ。そして今回のライブでは次回のライブの告知がされ、劇場版の公開日も決まり、ベストアルバム第二弾のリリースが発表された。
つまりまだ今はゴールではなく道の途中。まだまだ続いていくのである。
彼女達の全力が切り開いていく今をまだ見続けていたい。次回のライブも絶対に行きたい。
そう思わせてくれるだけの魅力がたっぷり詰まった『μ's Go→Go! LoveLive! 2015~DREAM SENSATION!~』。
本当に素晴らしいものだった、と何度目かわからない賞賛の言葉を今回のライブのまとめとしたい。



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2件のコメント

[C1589]

ライブの感想拝見させていただきました
私も2日目に参加したのですが圧巻の一言です
去年とは比べ物にならないくらいパワーアップしたライブだったと思います
  • 2015-02-05
  • きの子いぬ
  • URL
  • 編集

[C1591] Re: タイトルなし

ライブに行く度に「今までで一番良かった」と思えるのは本当に素晴らしいことだと思いますねー
  • 2015-02-07
  • 水音
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  • 編集

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