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『ガンダムビルドファイターズトライ』と青春部活物としてのガンプラバトルについて

プリパラ三十話視聴完了。パラダイスコーデをめぐる最終決戦!と言う中で明らかになったファルルの正体。「人造物」と言う気配はしていたけど、まさか持ち主がいないプリチケから生まれた存在だったとは。でも考えてみれば納得で、ファルルは「あらゆるアイドル達を模倣することが出来る」という能力を持っているのだが、プリチケはアイドルならば誰でも持っているし、ライブごとにアップデートされているものなので、「プリチケの化身」とでも言うべき存在であるファルルがアイドル達を完璧に模倣できるのも納得がいく。
そしてそんな「あらゆるアイドル達を完璧に模倣できる」というものを表現するために、『プリパラ』が選んだ「今までらぁら達が作り出したメイキングドラマを連発する」というのはなかなか衝撃的だ。なぜなら視聴者視点ではそのメイキングドラマには数々のドラマが有ったからだ。例えば「ときめきプレゼントフォーユー」はらぁらの「思いを届けたい」という気持ちから生まれたものだし、「もぎたてスイーツパーク」はみれぃの思い出から生じたものだ。解放乙女ヴァルキュリアはらぁら達がいたからこそ完成したそふぃの一歩を象徴するメイキングドラマだし、今回ファルルがやったメイキングドラマはいずれもそのメイキングドラマが生まれるだけのドラマが詰まっている。
しかしファルルはそんなメイキングドラマを考えた一人一人の「皆に伝えたい思い」に一切気遣うことなくそのメイキングドラマを模倣してしまう。これはもう圧倒的な脅威だ。『プリパラ』のアイドル達に対する挑戦であり、ファルルの怪物性がプリパラ全体へ牙を向いた瞬間でもある。ファルルがいる限り、アイドル達の夢の欠片であるメイキングドラマは模倣され続けるだろう。それは自分の夢をファルルに食われるということだ。そんなプリパラで誰が夢を見れるだろうか。誰が頑張りたいと思うだろうか。「友達と一緒だから大丈夫」というのは、夢があるからだ。そんな夢すらも食いつくすファルルは怪物と言ってもいい。まさしく「ラスボス」のそれだ。
「次はいつ挑戦してくるのか」とらぁらに微笑むファルルにおぞましさを感じるのは、そんな「夢を食い散らかす怪物」だからなのではないだろうか。ファルル、恐ろしい子。
何にしてもソラミやドレパにとってはこれからである。今のこの仲間たちに出会えたのも、自分達を応援してくれる友達と出会えたのもこの場所があったからだ。この場所を守るために、彼女達が再起する姿が楽しみである。



ガンダムのプラモデル、略してガンプラ。そんなガンプラとガンプラを用いた架空の競技である「ガンプラバトル」を題材に、ディープなファンから今までガンダムを見たことがないファンまで数多くのファンを魅了した『ガンダムビルドファイターズ』。そんな『ガンダムビルドファイターズ』の好評を受け、2014年10月より放送開始したのが『ガンダムビルドファイターズトライ』だ。前作から七年後を舞台とする本作は一対一ではなく三対三のチームでのガンプラバトルが描かれ、前作よりもぶっ飛んだ、もとい多種多様なガンプラ達が次々と登場し、激しいバトルを繰り広げている。特にZZガンダムをベースとして制作されたガンプラ心形流の最新作となるトライオン3は「お前はもう勇者ロボだろ!」と突っ込みたくなるような造詣に、わざわざ合体時専用ロゴが存在するなど、「恐ろしさ」をガンプラ一つで表現している辺りは「さすがガンプラ心形流」と唸らされる。
そんな『ガンダムビルドファイターズトライ』だが、自分が見ていて興味深いのは前作とは変わって「青春部活物」として製作されていること。そして今後も『ガンダムビルドファイターズ』と言うシリーズを続けていくための仕掛け作りが随所に凝らされている点だ。
前作の『ガンダムビルドファイターズ』は「異世界からやってきた少年、レイジがイオリ・セイと出会って共にガンプラバトルを続けていく中で様々な人間と分かり合い、ガンプラとガンプラバトルというものを理解して好きになっていく」と言う物語が貫かれていた。マニアックなガンダムネタは多い作品ではあったものの、作品の中心には「異世界からやってきた少年がこの世界の人間達と友達・ライバルなど、絆を育む」という物語があって、そんな「絆」の物語の存在があったからこそ『ガンダムビルドファイターズ』と言う作品はこんなにも愛されたのではないだろうか。
ではその続編となる『ガンダムビルドファイターズトライ』はというと、「絆」と言う要素はそのままに、チームバトルの概念を持込んで「部活物」や「スポーツ物」で括る事により、青春部活物というテイストでの再構築をしているように思うのだ。
ガンプラバトルで屈辱的な敗北をしたことでガンプラバトルへの情熱を失った少年と、ガンプラバトルへの情熱は誰よりもあるもののチームメンバーの不在によりその情熱が空回りしていた少女が、ガンプラもガンプラバトルも知らないが、その面白さに取りつかれた少年がガンプラバトル部に入部したことをきっかけにチームを結成して共に全国大会での優勝を目指す――。
そういう「部活としてのガンプラバトル」「チームバトルだからこその仲間とともに戦う事、仲間とともにいる事の面白さ」というのは前作では描けなかったものだし、チーム全員が同年代だからこそ分かり合えるものや共有できるもの、そして「勝利への執着」は仲間と一緒だからこそより強い思い入れとなって物語に現れてくる。
そんな「勝利への執着」と「仲間と一緒だからこその思い入れ」が物語に強く現れていたのが、地区予選決勝でのGマスターとの戦いだ。どちらも「全国大会へ行きたい」という思いは同じなのに、一つしかない椅子を巡ってビルドファイターズとFマスターは激しく衝突する。プライドを捨ててチームの勝利を目指したスドウ率いるGマスターは、「このチームで勝ちたい」という思いを一つにしているからこそ、主人公であるセカイ達ビルドファイターズを苦しめた。そしてビルドファイターズも、そんなスドウ達を相手にしたからこそ、より強く結束し、より強い思いを武器に、互角以上の戦いを繰り広げてみせた。
「仲間と一緒だからこそ勝ちたい・続けたい・優勝したい」という思いを軸に構成されている本作は、レイジとセイの友情を軸としていた前作とは異なる作品だ。だが前作にはない「仲間と共に勝つ」と言う絆を中心に描くことで、本作は「『ガンダムビルドファイターズ』の続編」ではなく、『ガンダムビルドファイターズトライ』という魅力がキラリと輝く快作として仕上がっているのである。
また二つ目の「今後も『ガンダムビルドファイターズ』と言うシリーズを続けていくための仕掛け作り」だが、本作の舞台となっているのは「全国大会」、それも「中高生の部」と、前作の世界大会と比べるといささか小さい物語のように見える。前作では国籍や年齢を問わず、様々なガンプラバカ達が全国大会で凌ぎを削っていたのに対して、本作は「中高生」ばかりだ。まるで前作を「伝説の出来事」としてしまうかのような扱い方をしている本作だが、だからこそ様々な形で「ガンプラバトル」を描くことが出来る。
今回は「中高生の部活としてのガンプラバトル」となっているが、もしかしたらガンプラバトルの中にもプロ同士が戦うバトルがあるのかもしれない。本作が部活物としてガンプラバトルを扱ったことで、「身近なところにあるガンプラバトル」の可能性がシリーズの中に生まれつつある。
また前作に比べると減ったマニアックなガンダムネタだが、これについて本作の監督を務める綿田慎也は『グレートメカニックDX31号』のインタビューにて「単純に『ガンダム』内のネタ消化だけでは限界性があると思っていて、もうちょっと拡張していけたらなと」「前作のアドバンテージで、今回はもう使えないなと思ったのは、「過去のMSが今のアニメーションの中で動く」というやり方です。前作ではファンの方も喜んで、現場も楽しかったんですけど、さすがにもうバリエーションがなくなってきて限界だろうと。もちろんサービスとして残していきますが、ある程度目先を変えていきたいという意識もあります」と語っており、その辺りについては意識的に減らしている事が分かるだろう。その理由も「シリーズを拡張していくため」と、本作が『ガンダム』シリーズとして、『ガンダムビルドファイターズ』シリーズとしてどのような立ち位置にあるかを十分に理解した上での判断のようだ。
そういう意味では本作は第三、第四のビルドファイターズが生まれた時にこそ、その真価を見ることが出来る作品であると言えるのかもしれない。
とはいえ、『ガンダムビルドファイターズトライ』は今現在は「放送中」の作品だ。物語も終盤戦に突入しつつあり、ビルドファイターズの戦いは激しさはドンドン熱を上げていくだろう。セカイを中心とした甘酸っぱいラブコメ模様も第三勢力であるシアの登場で激しさを増している。
続編に繋がるかどうかという遠い未来の話よりも、本作が描き出す青少年の情熱のガンプラバトルの行く末という近い未来を楽しみにしたい。


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