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小説版『プリパラ』に見るらぁらの歌う理由と物語軸の違いについて

『ハピネスチャージプリキュア』が終わって『Go!プリンセスプリキュア』が始まった――といういつもの一月末から二月頭にかけてのバトンタッチだけど、新たに始まった『Go!プリンセスプリキュア』は割と面白い。というのも物語の軸としては「プリキュアとしての活動」よりも「プリンセスになる」というところに話の重点が置かれているからで、どちらかといえばプリキュアの方が本筋から外れたものになっているように描かれ方をしているからだ。
今回の『プリンセスプリキュア』が「プリキュアの方に話の比重を置かない」と言う作りになったのは、おそらく「プリンセス」と言う具体的なイメージをモチーフにしているからだろう。「プリキュア」と言うシリーズは今まで「愛」や「幸せ」や「夢」など割と抽象的なものをテーマにしてきたのだが、今回の「プリンセス」はそれに比べると具体的なものだから、ある程度の幅を持たせながらも成長物語を組みやすい。特に今回主人公の一人が「プリンセスになる」と言う夢を持っていて、その夢を叶えようとしている少女だし、プリンスであるカナタとの繋がりもあるので「少女の成長譚」という軸は一話の段階で組み込まれているように見える。二話でキュアマーメイドが出たけど、あの辺も結構面白いなぁ。
まあそういうのを抜きにしても今回は「全寮制の学校が舞台」「必殺技はもう一段階変身する」など新機軸が多い辺りは意識的に「従来のプリキュア像から変えよう」としているように見えて結構面白いと思う。特に前年の『ハピネスチャージ』が従来のプリキュア像の流れを継承している作品だった事もあって、『プリンセス』は新鮮さの方が今のところ勝ってる。自分の中で。でも3DCGモデルはちょっと手足が細すぎると思うの。もうちょっと太い方が……。



「メディアミックス企画の中でも特に話題性が高いものは何か」と問われれば「アニメ化」になるだろう。
昨今様々な作品が次々と生まれているが、それらの作品は一つのメディアの中で留まることは殆ど無い。アニメ化や漫画化、少し変わったところでは演劇化など、作品はメディアの垣根を超えて、様々な世界に飛び出し、その場所でまた新たな輝きとなってコンテンツに彩りを加えていく。「アニメ化」がそんなメディアミックス――他メディアへの展開の中でも特に注目されるのはアニメが集団制作物だからだろう。「多くの人が作品に関わる」ということは、それだけその作品が注目され、認められているということの証明でもあるのだから。
そんなメディアミックスの中でも少し距離を置いたところにあるもの、と個人的に思うのは「小説化」である。なぜなら「小説化」と一言で言ってもその在り方は多種多様だからだ。原作のストーリーに忠実に小説化したものや、原作の外伝としてエピソードやキャラクターを補完するものなど様々なものがあるが、小説版『プリパラ み~んなトモダチ!! み~んなアイドル!!』は、原作のエピソードを踏まえながら、少しの工夫で原作の面白さをより引き出すことに成功した作品である。
アニメ『プリパラ』でも脚本を手がけている福田裕子が本文を執筆し、ちゃお本誌で連載している漫画版『プリパラ』の辻永ひつじがイラストを手がけるこの小説版は、アニメと漫画に関わる両者の合作とも言えるこの小説版は基本的な物語の流れこそ、アニメ版の一話から十三話まで(らぁらがアイドルデビューしてから、ソラミスマイル結成まで)をらぁらの視点で再構成したものだが、らぁらが一年生の時に友達だった少女、くるみちゃんとのエピソードが本作をアニメ版とはまた違った魅力のあるものへと変えている。
特に大きいのはらぁらがアイドルを目指すきっかけとなったエピソードだろう。
ヴァイオリンが得意なくるみちゃんと一緒にいる時だけコンプレックスを気にすること無く歌うことが出来たというらぁら。しかし世界的に有名なヴァイオリンの先生のもとで勉強するために、くるみちゃんは一年生の終わりに転校してしまう。そんなくるみちゃんと一緒にいられる最後の日に、らぁらはその歌声でくるみちゃんを笑顔にし、共に笑って別れることが出来た。
そんならぁらの歌声が起こした小さな奇跡と最後にくるみちゃんと交わした「いつか歌を聴かせる」という約束。
その二つが、アイドルとしてのレッスンの苛酷さに打ちのめされたらぁらがもう一度ステージに立つ理由として描かれている。
アイドルを続けていればいつかくるみちゃんの元に届くかもしれない。アイドルを続けていれば、あの時のような奇跡がまた生まれるかもしれない。アイドルを続けていれば、そんな小さな奇跡が別の誰かの大きな笑顔に繋がるかもしれない。
そんな小さな奇蹟と大きな笑顔を夢見て突き進むらぁらは『プリパラ』でも屈指の傑作回である十二話を元にしたそふぃの加入のエピソードにも繋がっている。
アニメでのそふぃ加入までの一連の流れは、「らぁら達とチームを組むことを約束したそふぃだったが、「一人でプリパラへ行く」と言う挑戦に失敗したことからウサギに守られる道を選ぶも、らぁらや親衛隊、姉であるコスモの応援でもう一度立ち上がり、らぁら達の元へ辿り着く」というものだったが、小説版では挫折するエピソードが端折られている。その代わりに小説版ではトモチケを返そうとするそふぃと、別れの日に今にも泣きそうな表情を浮かべながらヴァイオリンを演奏していたくるみを重ねあわせる事でらぁらの「もう一度そふぃに会おう」と言い出す展開をドラマチックなものへと見せている。
そんならぁらの思いが通じたからこそのそふぃが大事な一歩を踏み出す一連の流れは、アニメと遜色ないほど力強い展開となっている。
またこのシーンだけそふぃ視点に寄せている点も面白い。そふぃに視点を寄せる事で「そふぃにとってチーム結成式でのらぁらとみれぃの乱入がどれだけ予想外の出来事だったか」や「そふぃにとってあの二人がどれだけ大事な存在だったか」が語られており、らぁら達がいたから初めて感じられたワクワクがそふぃが一歩を踏み出すための力になっている事がよく分かる。親衛隊の応援受けて、らぁら達の元へと走っていくシーンではそふぃがどれだけらぁら達の元へ辿り着くべく頑張ったかが読み取れる。そんな頑張りがあったから結成した時の感動があるのだ。

『Febri vol.27』にてシリーズ構成を務める土屋理敬は「シリーズとしては「みんな友達、みんなアイドル」というところがテーマになる」と語っているが、小説版はどちらかといえばらぁらに視点を寄せて「アイドル・らぁらが届けたい思いとは何か」というところを掘り下げているように思う。しかしそこを掘り下げた事で、らぁらの歌が生み出していく小さな奇跡の積み重ねが「そらみスマイル」に繋がっている事を感じさせる。
そんな奇跡の積み重ねを最後に「くるみからの手紙」という形で「現在の出来事」に昇華されており、本作後のそらみスマイルがきっと神アイドルになる事を予感させる。この予感が本作を読み終わった時に爽やかな読了感に浸らせてくれる。
物語の軸そのものがアニメとは異なっているからこそ、光る魅力のある小説版『プリパラ』は『プリパラ』と言う作品が持つプリズム色の輝きが宿った作品なのかもしれない。


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