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『プリパラ』三十二話に見る南みれぃのキャラを捨てる事、続ける事について

『アイドルマスターシンデレラガールズ』六話を見ていたのだが、原紗友里キャラが心を曇らせる土屋理敬脚本、挿入歌の作詞は三重野瞳と『プリティーリズム』を思い出すしかない状態で「た、試されてる……!」と思いました。いや内容自体は七話次第な部分はあるけど、順当な作りだったとは思う。
三話でバックダンサーという立場でとはいえ頂点付近の面白さを知ってしまった以上、自分の身の丈にあったステージというものは窮屈だしつまらないものだ。自分を応援してくれるのはアイドルとしての自分ではなく、普通の人間である事を知っている人達だけで、その声援はあの時城ヶ崎美嘉が聞かせてくれた声とは比べ物にならないだろう。
でもそれは「今の自分」で、デビューすらしてない身の上なら仕方が無い事なのだ。誰も期待はしていない。自分たちの声を聞いてくれる人も少ないだろう。そういう現実を突きつけられて逃げたくなる気持ちは分からないでもない。誰だって逃げ出したいし、辞めたくもなる。でもそこで歯を食いしばってステージに立ち続けた奴だけが本当の意味で輝く事ができるわけで、ニュージェネレーションにとっては厳しいかもしれないけど頑張って欲しいんだよなぁ。本田未央はそういう現実を突きつけられて逃げ出したけど、現実から逃げた先にあるのってあとはもう「忘れて生きるしか無い」というもう一つの辛い現実なわけでそっちの方がしんどいと思うぜ。一度美味しさを知ってしまった人間として。
あーあとプロデューサーについては五話辺りから「言葉足らず」と言う部分が悪い方向で出てきているけど、四話ぐらいまでで有能そうな立ち振舞いをさせていた事が後からジワジワ効いてくる作りにしていたのかなーという気はしてきた。「アイドルをプロデュースしたのは今回が初めて(もしくはそれに近い)」とかだと、「導き手」であるとともに「一緒に歩むもの」として立ち上がってくるので『アイドルマスター』っぽいなーという気はするんだよなー。ただ今回の話は言い方以外の面ではプロデューサーは特に悪くないので、「両方が謝って終わり」だけはやめてほしい。本当に。



三月七日よりいよいよ映画が公開される『プリパラ』。
一時間弱と短い上映時間ながら、「アトラクション」をコンセプトに四種類ものバリエーションを用意されているなど、非常に挑戦的な作品となっているようだ。公開される四種類のうち一つはプリズムボーイ達を主役とした内容である辺りも興味深い。主役となる女性キャラだけでなく男性キャラも魅力的だった『プリティーリズム』シリーズだが、『プリパラ』とのクロスオーバーとなる劇場版で主役を担うとは。まさに「誰も予想できないストーリー」だが、『プリパラ』本編も第一期シリーズ完結へ向けて盛り上がってきている。
パラダイスコーデを巡る戦いは「見ただけで全てを模倣できる」というファルルが、らぁら達のメイキングドラマを全てコピーして圧勝するという形で幕を閉じた。パラダイスコーデを手に入れるために今まで頑張ってきた六人は、この敗北によってやる気を失ってしまい、アイドル活動そのものが停止するかに思われたが、そふぃの姉であるコスモやファンの応援でアイドル活動を再開することを決める。そしてらぁら達はファルルがパラダイスコーデを光らせることが出来なかった事から急遽開催されることになった大会に向けて再び走りだす!という三十一話だったが、三十二話では南みれぃにスポットを当てた物語が描かれることになった。
そもそも南みれぃは『プリパラ』の中でも特に「変身」というギミックをフルに活かしたキャラクターの一人だ。普段は真面目な風紀委員長だが、プリパラではポップなアイドルへと姿を変え、その語尾には「ぷり」をつけるなどキャラ作りを欠かさない。みれぃのこの「ポップなキャラクター像」だが、この三十二話でスポットがあたったのはそんな南みれぃと彼女のポップなキャラクター、そして「ぷり」についてだ。
ファルルに次こそは勝つ!と決めたものの、ファルルに勝つ計算が立たないみれぃ。らぁら達が等身大の自分で勝負していることから、自分も計算されたキャラクターを捨てて等身大の自分で挑む覚悟を固めたみれぃだったが、今度は風紀委員長としての活動にも支障が出るようになってしまうのだった――。
栃乙女クールラブリーが登場した四話や東道シオンの登場した十四話などを手がけたふでやすかずゆきとワタナベシンイチコンビによるこの三十二話は、スラップスティックな方向でのコメディ路線の物語だ。しかし南みれぃにスポットを向けてみると、非常に大事な物語が展開されているのだ。
この三十二話で展開された「「ぷり」が彼女にとってどういう存在になっているか」だが、みれぃにとってこの「ぷり」というのは非常に大事なものとなっている。なぜならこの「ぷり」やポップなキャラクター像はみれぃが神アイドルを目指すために作り出したものだからだ。
アイドル・みれぃと風紀委員長のみれぃが同一人物であることが判明した三話では「アイドルになるのは私にとってとても大きな夢。やるからには中途半端は嫌」「神アイドルを目指すためならこれぐらい当然」と言う台詞が、他ならぬみれぃ自身の口で語られている事からもそのことは分かるだろう。
三十二話でファルルに勝つためにその「ぷり」を捨て去ることで「ありのままの自分でファルルと勝負する」と語るみれぃだが、前述したとおり、そもそもその「ぷり」やポップなアイドルというキャラクターが「神アイドルになる」と言う目的のために創りだされたものである以上、「ぷり」やポップなキャラクターを放棄することは「神アイドルになる」と言う「本来のみれぃの目的を捨て去る」ということだといえる。
だから実際に「ぷり」を捨てたみれぃは「本来の目標を見失っている状態」なのだ。それは目的の面でも現れている。
「神アイドルになるためにパラダイスコーデを手に入れる」ではなく、「ファルルを倒す」。目的を見失ったからこそ、「ぷり」を捨て去ってしまうのだが、それは「ありのままの自分か?」と言われると答えは雨宮の言うように「NO」だ。
「ぷり」を捨て去りファルルを倒すのではなく、「パラダイスコーデを光らせ、神アイドルになるための一歩とするために「ぷり」とともに行く」というと言うみれぃの覚悟はライブ後のファルルに対する宣言にも描かれている。
みれぃにとって「ぷり」は元々は「神アイドルになるための計算の中で生じたもの」で「演じるもの」だった。しかしその「ぷり」にはみれぃの「中途半端ではなく本気で神アイドルになる」という意気込みが宿っている。だから雨宮は「「ぷり」もみれぃの一部だ」と言ったのだろう。
「セインツを見てアイドルに憧れ、本気で神アイドルを目指した」というアイドル・みれぃのアイドル活動の全てが宿った「ぷり」を捨てたみれぃは、雨宮が応援してきた「みれぃ」ではないのだから。
またそんな「本来のみれぃへの回帰」をらぁら達ではなく最初期から応援し続けてきた雨宮に背負わせている辺りは面白い。この話は一言で言ってしまえば「本筋からの寄り道」に分類されてしまうのだろうが、そのドラマの組み立て方を見ると「大切なことを見失ったアイドルが、ファンにそのことを思い出させられる」というアイドル物の王道とも言える筋書きになっていることに気がつくはずだ。
今回雨宮がみれぃに「ぷりのままで」と言うドラマを背負わされたのは風紀委員長のみれぃとアイドル・みれぃの両方を最初期から支え、応援し続けた存在だからだが、「最初期のファン」というのはその人をずっと見続け、応援してきた存在だ。
だからそんな雨宮が「みれぃはぷりのままでいい」という台詞を叫ぶことで、みれぃは「最初の自分」にもう一度対峙させられる。だから雨宮に指摘されたカットではみれぃだけでなく、アイドル・みれぃも同時に描かれているのだ。
風紀委員長とアイドル。
二つのみれぃを応援し続けてきた雨宮だからこそ、両方の「最初の目的」を呼び起こせたのではないだろうか。

『プリパラ』はファンタジーとリアルのバランスで言えば、リアルよりもファンタジー色が強い作品だといえるだろう。
しかし『プリパラ』で活動しているアイドルの少女達一人一人や応援しているファン達一人一人はどうかというと、ファンタジーではなくリアルな存在として描かれている。今回の雨宮とみれぃの関係性はその中でも特にリアルな方で、「大切なことを忘れたアイドルをファンが思い出させる」と言う流れはアイドルとファンの相互関係そのものだ。
「笑って楽しめながらも、アイドルの話ではきちんと締める」という『プリパラ』らしい形で落し込まれたその相互関係が、ファルルとの戦いの中でどう生かされていくのか。「ぷりのままで」見届けたい。


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2件のコメント

[C1595]

雨宮がみれぃに違反チケットを突きつける展開、
つまり学園生徒代表である雨宮とみれぃの間で違反チケット交換が成立することによってぷりコールが巻き起こる、友チケと違反チケットを並列化させる演出で本当に感激しましたね!
31話でコスモのライブを企画した面々の中にみれぃに縁のある人物がほとんどいないのが気になっていたのですが
今回アイドルも風紀委員長もどちらも同じ自分だと認めることによって、みれぃにもらぁらにとってのなおや栄子、そふぃにとっての親衛隊のような存在が出来る、いや本人が気づいていないだけで最初からいたのだ、みれぃはボッチじゃないだという話なんですね~
いやはや最後のみれぃと雨宮のやりとりには流石の僕も魂が震えました
  • 2015-02-22
  • チョウチンアンコウ
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[C1600] Re: タイトルなし

らぁらを中心にしているので忘れがちなんですけど、「ちゃんとアイドル達一人一人のファンがちゃんといて、そのファンたちのお陰で今ここにいる」と言う話なんですよね。この辺の組み立て方は物凄く丁寧にやっているなーと思います。
  • 2015-03-19
  • 水音
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